バイクは16歳から免許を取ることができ、免許を取得すれば公道で運転ができるようになります。クルマよりも運転者の年齢幅が広いバイクですが、クルマとは違った危険性もはらんでいます。
安全性を意識した走行を心がけるよう、本記事では、バイク・原付の事故発生率や事故の原因について解説します。
クルマのように車体を覆われていないバイクで事故が起これば、ライダーの身体へのダイレクトな衝撃は避けられません。大ケガや、場合によっては死に至る大惨事となります。
本来、快適な移動手段であるはずのバイクですが、ちょっとした不注意や自分本意な運転などから、自分や他人の人生を左右してしまう大事故に繋がってしまうおそれがあります。これまでの事故の統計などを見てみましょう。
次の表でバイクとクルマの死傷者数を、その保有台数と比較してみます。保有台数は自動車が多いのですが、死傷者数の割合はバイクの方が高いことがわかります。
車種 | 死者数 | 重傷者 | 軽傷者 | 計 | 保有台数 |
---|---|---|---|---|---|
自動車 | 1,221名 | 1万33名 | 36万9,448名 | 38万702名 | 7,593万7,487台 |
原付 125cc以下 |
184名 | 4,689名 | 2万5,361名 | 3万234名 | 735万3,271台 |
自動二輪車 126cc以上 |
448名 | 5,004名 | 2万5,478名 | 3万930名 | 360万2,689台 |
出典:警察庁交通局 平成29年中の交通事故発生状況 平成30年2月15日付
二輪車の交通死亡事故統計(平成30年中)
JAMAウェブサイト 平成29年3月末現在の排気量別保有台数と構成比
自検協ウェブサイト 自動車保有台数の推移
この表をもとに事故の発生率をみると、自動二輪車の数値が高いことがわかります。
車種 | 死者数 | 重傷者 | 軽傷者 | 計 |
---|---|---|---|---|
自動車 | 0.0016% | 0.013% | 0.49% | 0.5% |
原付 | 0.0025% | 0.064% | 0.34% | 0.41% |
自動二輪車 | 0.012% | 0.14% | 0.71% | 0.86% |
まず表から読み取れるのは、126cc以上のバイクの登録台数1万台の所有者(1人1台として)1万人に1.2人が事故により生命を落としていることです。重傷者が1万人に14人、軽傷者となると71人となります。
この数値をクルマと比べると、交通事故死者数が約7.5倍、重傷者が約10.8倍、軽傷者が約1.5倍で、重傷以上の死傷者の割合が極端に多いことがわかります。身体を守る部分の少ないバイクの事故の特徴といえます。
バイク事故での死亡者の損傷部位の1位が胸部35%、2位が頭部33.4%となります。約7割が胸部と頭部のダメージにより生命を落としていることになります。
負傷者の損傷部位は1位が脚部35.4%、2位が腕部21.9%、3位が頸部16.3%と続きます。死亡者では上位を占める胸部と頭部は、負傷者ではそれぞれ7.3%と5.1%です。胸部と頭部にダメージを受けるとケガでは済まず、死亡率が高くなることがわかります。※
これらのことからも、安全基準を満たしたヘルメットを確実に被ることの重要性、胸部プロテクターの必要性が理解できるでしょう。いざというときのことを考え、そうした装備で被害を最小限に抑える自衛策が有効です。
では、不幸にしてバイク・原付の事故が起こるのはどんなときでしょうか。いくつかの事故原因に絞ってご説明します。
スピード
まずはスピードの出し過ぎが挙げられます。
先述した事故率の結果でも、125cc以下の原付(1種・2種)の場合はクルマとの死者数比が約1.6倍、重傷者が4.9倍、軽傷者に関してはクルマより少なく0.7倍という結果が出ています。
原付より大きな126cc以上のバイクと比較すると、死者数、重傷者数の比率は7.5倍と10.8倍です。
原付と身体の無防備さはさほど変わらない126cc以上のバイクの事故率の高さは、原付と比べ走行距離が長いことと、走行スピードが高いことが要因であると考えられます。
視線運びと安全確認
バイクは運転姿勢や頭部を守るヘルメットにより視界の妨げがあり、クルマのドライバーがイメージするよりも視界は狭く、特にスポーツタイプで前傾姿勢になるバイクでは目線も下に向きがちです。
加速力があるにもかかわらず、目線が下がり、遠くをみることが疎かになっている状態です。
そうした状態でスピードが出ている場合、前方で急に停まったクルマへの対応が遅れ、車列の最後尾のクルマへの追突などが避けられないことがあります。追突してしまった場合はバイクから投げ出され、大きなダメージを受けることは避けられません。
乗車姿勢を意識したヘルメット選びやプロテクターの装着だけでなく、運転時の視線の運び、前後左右の確認と車間距離の確保が重要になります。
追い越しやすり抜け
クルマに対し車幅が狭く、加速力のあるバイクはクルマより自由な走行が可能です。
複数車線の渋滞路で車列の間をすり抜けていくバイクはよく見かける光景ですが、その前で車線変更をするクルマがあったり、左側からすり抜けをしているバイクの前でクルマが左折をしたりという危険なシーンもあります。
いざ、接触をしてしまうとバイクの運転者は大きく放り出され、大きなダメージを負う結果となります。追い越しやすり抜けはバイクの運転者として危険だという認識をもちつつも、「つい」という軽い気持ちが大事故に繋がるのです。
バイクで事故になったときの影響は、あまりに大きいことをよく自覚しておくべきでしょう。時間に余裕を持ち、慌てず、自分本位の運転にならないよう気をつけましょう。
最近特に増えた事故原因
市街地で最近増えている事故原因に、交通ルールを無視してバイクやクルマの前に飛び出してくる自転車の存在も無視できません。
軽車両という扱いの自転車の走行場所は車道ですが、実際には車道を走る自転車と歩道を走る自転車が混在しています。都合よく歩道と車道を走り分け、さらには信号無視で突き進むなど危ない運転を規制するために、自転車の走行に関して道路交通法でそのルールが示されています。
しかし実際にはクルマやバイクの方が事故に巻き込まれた場合でも、弱者にあたる軽車両の自転車に有利な判断がなされることが多くあります。
また、クルマによる故意のあおり(煽り)運転による事故も社会問題となっています。2018年7月に大阪府堺市で起きたクルマによるあおり(煽り)運転が引き起こしたバイクの死亡事故が記憶に新しく、あおり(煽り)運転をした運転者に懲役16年の殺人罪が適用されました。
これらの理不尽ともいえる事故には特にドライブレコーダーの装着が有効です
運転者による事故原因だけでなく、以下のようなバイクの整備不良やメンテナンス不足による事故も起こりえます。
日頃からの点検、整備を怠らないようにしましょう。
バイクの安全対策や安全装備が進んだこともあり、現在バイク事故による死亡者数は減る傾向にありますが、まだまだ多くの不幸な事故があることに変わりはありません。特に、クルマもバイクも先を急ぐ朝の通勤時間や帰宅時間が事故の多い時間帯という統計※もあります。
交差点での出会い頭の事故、右折時の事故なども多く見られる※事故です。確実な一時停止や、ちょっとした譲り合いの気持ちで事故は防げます。行ってしまえと思う前に一瞬冷静になってみましょう。
ヘルメットやグローブ、プロテクターなどの安全装備に加え、もしものときに助けてくれる任意保険への加入も検討しましょう。事故の際、強制保険といわれる自賠責保険だけでは十分な補償は得られません。万が一に備えることで、心にゆとりが生まれ、譲り合う気持ちが持てるようになれば、事故防止にも繋がります。さまざまな条件設定が選べるので、まずは見積りから検討し、ご自身に合った保険に加入しましょう。
ゆとりをもって安全で楽しいバイクライフを送りましょう。
最後に、バイクを所有されている方は、チューリッヒのバイク保険をぜひご検討ください。
万が一のバイクの事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
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