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vol.6 つながるクルマ「コネクテッドカー」の可能性と自動車のIoT

高根英幸の“先進!”カーテクノロジー講座

ポテンシャルを秘めたコネクテッドカー

このところ、クルマは急速に進歩を遂げています。ハイブリッドカーやEVのようにエンジン以外を駆動力とするパワートレーン関連の技術をはじめ、自動ブレーキなどの先進運転支援システムが充実していることは、この連載でもお伝えしています。

もう一つの流れがコネクテッドカー、「つながるクルマ」です。これは周囲のクルマや道路と、インターネットでながるクルマのことで、実はこのコネクテッドカーは、これまでのクルマとは想像できないほどのポテンシャルを秘めているといわれています。

インターネットでつながるクルマ「コネクテッドカー」のポテンシャル インターネットでつながるクルマ「コネクテッドカー」のポテンシャル

マイクロソフトやアップル、グーグルなどのコンピュータ・ソフトウェアメーカー大手やインテルやサムスンなどの半導体メーカーなどが自動車産業へと進出してきているのは、まさにこのコネクテッドカーで確固たる地位を築こうとしているためです。

クルマに新たなビジネスチャンスを見出している企業と、従来の自動車メーカーが続々と手を結び、そこに自動運転の実現に向けて独自の技術をもつベンチャー企業が加わることで新たなクルマの能力が作り出されようとしています。

この完全自動運転には欠かせない技術の一つがコネクティビティです。つまりインターネットでクルマと情報をやりとりすることで、自車のセンサーや搭載されている地図情報だけではない膨大な道路交通情報を利用できるようになります。

クルマもいよいよ人工知能を利用する時代に

クルマとクルマ、クルマと道路がつながることで、どういうメリットがあるのか、疑問に思う人もいることでしょう。渋滞情報だけでなく、お互いの位置を教え合うことで見通しの悪い交差点での出合い頭の衝突事故も防げます。前方のクルマが自動ブレーキを作動させたことを瞬時に察知して、連動してブレーキをかけて玉突き事故を防ぐこともできるのです。道路からの情報では、前方に凍結した路面があるなどの危険な情報も受け取れるようになります。周りのクルマや道路をセンサーとして利用する、といってもいいでしょう。こうなれば交通事故は激減するのではないでしょうか?

お互いの位置を教えあい、事故を防ぐ お互いの位置を教えあい、事故を防ぐ

クルマに搭載されているコンピュータよりも高性能なコンピュータを使えるようになる、というのもコネクテッドカーの大きなメリットでしょう。インターネット上で急速に発達しているクラウドコンピューティングがクルマにも進出するのです。スマホの音声認識や人工知能がクラウド上で実現しているのと同じように、クルマもいよいよ人工知能を利用する時代になるのです。

米国では昼夜の温度差が激しい砂漠地域などでクルマが立ち往生してしまうと生死に関わることもあるため、高級車には90年代半ばから人工衛星を使った通信サービスを開始しています(今では一般的な携帯電話の電波を利用しています)。現在は交通事故や故障時の通報や救援サービスだけでなく、盗難車の通報やサンタを追いかける(?)サービスなど実用的なものやユニークなサービスまで活用されています。

90年代から人工衛星を使った通信サービスを使っている 90年代から人工衛星を使った通信サービスを使っている

その他に高級車ブランドでは専用のコンシェルジュがホテルなどの検索や予約も行ってくれるサービスもありますが、これは単に携帯電話回線を使ったマンツーマンのサービスなのでコネクテッドカーとはまた別の話になります。

自動車のIoTが進むと、スマホとの関係性も変わるかも。

一般的にはクルマとスマホの連携では今はメールを読み上げたり、電話をかけたりする程度のことしかできません。しかしコネクテッドカーになればショッピングやレストラン、病院やホテルなどの予約も走行中に音声で手軽にできるようになるでしょう。またドライバーの健康状態などを判断して休憩を促したり、病院へ行くことを勧めることも可能になるといわれています。

IoTが進むとスマホの関係性が変わってくるかも? IoTが進むとスマホの関係性が変わってくるかも?

ちなみに現在のスマホはこれ1つで色々なことができるようになっているため、高性能ですが高価で大きく重くなっています。ですが、今後自動車のIoTが進んでクルマや家電などさまざまなモノがインターネットに直接つながれば、スマホの役割は今よりも低くなることも予想できます。たとえばスマートウォッチに機能が吸収される、あるいはクルマのキーくらい、小さくてシンプルなモノになってしまうかもしれません。その場合、現在の液晶モニターではなく、3Dで空中に投映するような画面も開発されそうです。

現在、高速道路ではノンストップ自動料金収受システムのETCがETC2.0へと進化して、さまざまな情報を提供できるようになってきました。利用には専用の車載器などが必要ですが、これも独自サービスではなく、いずれは一般的なカーナビの機能に取り込まれることでしょう。同じように交通道路情報のVICSもいずれ自動車のIoTの流れに飲み込まれて、統一化されていくことになるはずです。携帯電話の電波も現在の4G(第四世代)より100倍速くなるといわれている5Gになると、こうした開発や統一化の流れは一層早まるでしょう。

ETCやVICSもいずれはIoTで統一化されていく!? ETCやVICSもいずれはIoTで統一化されていく!?

自動車保険もカーナビやドライブレコーダーによる運転スコアから、保険料の割引が受けられるようになってきましたが、コネクテッドカーになればさらにドライバーの運転技術や性格なども細かく診断されるようになるかもしれません。もっともクルマが完全自動運転になってしまえば、こんな割引は関係なくなるでしょうね。

クルマ自体が小さなインターネット。ますます便利で快適な乗り物に。

実は現時点でも、クルマ自体が小さなインターネットのようなものだと考えることだってできるのです。

たとえばパワーウィンドウのモーターには電流だけが伝えられていると思っているかもしれませんが、実際にはモーターユニットにも信号を伝えることでECU(電子制御ユニット)とモーターが認識し合い、作動を制御しています。これにより、装備一つ一つに配線を用意する必要がなく、連結することが可能になります。軽量化のためにハーネスを簡略化できるだけでなく、プログラムを書き加えるだけで、さまざまな動きを実現できるのも、こうした車内通信のメリットです。

クルマ自体が小さなインターネット、セキュリティがますます重要に。 クルマ自体が小さなインターネット、セキュリティがますます重要に。

ただし、ネットにつながるということは危険性も考えなくてはいけません。つまり、セキュリティがますます重要なものとなっていきます。ネットの脅威といえば、現在は個人情報やクレジットカード情報を盗まれたり、システムダウンやウイルスをばらまいたりするなどの被害がありますが、コネクテッドカーになるとさらに車両の盗難や、交通事故といった大きな危険性も生じるのです。もちろん、自動車メーカーやサプライヤーは、十分に対策を施した製品を提供してくれることでしょう。

このようにクルマはますます便利で快適な乗り物に進化していくことが予想されています。AI(人工知能)の導入によって、話しかけるだけで色々なことをしてくれるようになるでしょう。買い物や予約、検索、自宅の空調や施錠など管理できるようになることは数え切れません! 自分だけのコンシェルジュや秘書のような機能は、頼もしいですし、ますますクルマが相棒のような存在になっていくのではないでしょうか。

クルマが自分だけのコンシェルジュに! クルマが自分だけのコンシェルジュに!

けれども至れり尽くせりのサービスは快適ですが、お膳立てされ過ぎていて物足りないと思うのは私だけでしょうか? 私個人はむしろ古典的なクルマを操る喜び、オープンカーの開放感や独創的なメカニズムを搭載したクルマに魅力を感じます。自動車メーカーには便利になったりエコになったりするだけでなく、そうした運転の楽しみも充実させたクルマを作ってほしいと思いますね。

次回は、完全自動運転が実現する近未来の道路交通について、語りたいと思います。

※ 本記事は著者個人の見解・意見によるものです。

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※1 大手損害保険会社(3社)から切替えた当社ご契約者アンケートより算出。(回答数:1,829件/集計期間:2018年1月-2018年8月)お客さまの申告による、加入中の保険会社から提示された継続保険料と当社契約保険料の差額であり、当社商品・補償内容が前契約保険会社と異なるケースも含まれます。

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※1 大手損害保険会社(3社)から切替えた当社ご契約者アンケートより算出。(回答数:1,829件/集計期間:2018年1月-2018年8月)お客さまの申告による、加入中の保険会社から提示された継続保険料と当社契約保険料の差額であり、当社商品・補償内容が前契約保険会社と異なるケースも含まれます。

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