冬になると雪による道路の凍結が怖いですよね。どうして雪や氷でクルマが滑るか知っていますか? その原因は、雪や氷ではなく水。クルマの荷重が掛かることで雪や氷が瞬間的に溶けるため、雪や氷とタイヤとの間にできた水膜によって滑るのが原因なのです。スタッドレスタイヤを装着するとその水をゴムで吸ったり、弾き飛ばしたりするので滑りにくくなるのです。
身近な例でいうと、冷凍庫から取り出した瞬間はしっかりつかめた氷も、ほんの少し溶け出すとすぐに手から滑り落ちてしまいます。氷を机の上に置いた場合でも同じですよね。
だったら、スタッドレスタイヤって雨にも強そうな気がしちゃいますよね?だって水を吸うんでしょ?って思ってしまいますよね?でもそれ、実は大間違いなのです。
スタッドレスタイヤが吸える水分は、あくまでミクロン単位でのお話。雨のようなミリ単位の水の量は多すぎるため、瞬時に吸いきれないんです。さらに、雪や氷の上でも硬くならない柔らかいゴムを使っているため、タイヤと路面との間にある水を弾き飛ばす力が弱く、濡れた路面ではグリップ力を発揮できません。
ノーマルタイヤ | スタッドレスタイヤ | |
---|---|---|
ゴムの硬さ | 硬い | 柔らかい |
溝の深さ | 浅い | 深い |
路面とタイヤとの間にある水膜(水分量)が多くなるため、タイヤの溝が減ったときに起こるハイドロプレーニング現象が起きやすくなるというわけなのです。ちなみに、ハイドロプレーニング現象とはクルマが水たまりなどを走った際に、タイヤの溝が路面の水を排除しきれなくなりクルマが水の上を滑るようになることで、ブレーキやハンドルが効かなくなる現象のことです。
なおスタッドレスタイヤのほうがノーマルタイヤより溝が深いのでは?と思われるかもしれませんが、これは雪道用。濡れた路面ではこれらの溝はほとんど役に立ちません。むしろ柔らかいゴムを使っているため吸水性があり、雨の日には水分を多く含んでしまいます。そのため、タイヤと路面との間に水膜をつくりやすく、結果的に滑りやすくなるのです。これが、いちばんのウイークポイントだったりしますので、「スタッドレスタイヤ=雨に弱い」と言い切っても過言ではないんですね。
タイヤは消耗品とはいえ、なかなかに高いお買い物。スタッドレスタイヤとしての寿命はプラットフォーム(スタッドレスタイヤとしての使用限界を表す目安)で確認できます。ですが、プラットフォームが露出しても、スリップサイン(残溝1.6mm)が出るまではノーマルタイヤとしては使えるので、夏場もそのまま使用して、次の冬シーズンに新しく買い換えるという方も多いと思います。
もし夏場も引き続きスタッドレスタイヤで走る場合は、とにかく速度を落とすことが大切。晴天&雨天で平均(制限)速度はご自身で変えていると思いますが、もう一段階速度を落とすことを心掛けてくださいね。梅雨時はもちろん、特に最近多いゲリラ豪雨には超要注意です。また気温の高い夏場は、スタッドレスタイヤのゴムはさらに柔らかい状態になり、濡れた路面での摩擦力が低く、滑りやすくなることも覚えておいてください。
経済的な問題もあるかもしれませんが、冬が過ぎたらできるだけ早くノーマルタイヤへの履き換えをオススメします。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
※ 本記事は著者個人の見解・意見によるものです。
「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、 日本車・輸入車問わずカーライフを女性の視点で発信している。
現在はTV出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める他、MCやレポーター、コメンテーター、イベントでのトークショーなど、多方面で活動中。
プロダクション人力舎所属
アンガーマネージメントファシリテーター
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
国際交通安全学会(IATSS)会員
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