更新日:2023年7月28日
公開日:2021年1月26日
中古車を購入する際には、さまざまな手続きが必要となります。
予算を立て、欲しい中古車を探したら、印鑑(実印)や運転免許証などの本人確認書類を準備する他に、印鑑登録証明書や自動車保管場所証明書(車庫証明書)などの書類を用意しなければなりません。
それらの証明書類は、役所や警察署へ出向いて発行してもらう必要があります。
中古車の購入手続きの流れを踏まえたうえで、普通自動車・軽自動車を購入時(買うとき)の必要書類の違いや諸費用、購入時の注意点など、中古車購入をスムーズに行うための方法をご説明します。
ここではまず中古車購入から納車までの流れとともに、必要とされる手続きや準備する書類、諸費用についてご説明します。
中古車の購入は、準備段階、販売店での商談・契約締結、納車という流れで行われます。
そのなかでは、さまざまな手続きが必要となります。中古車購入に伴う手続きは、次の①〜③に大別されます。
納車までの流れに沿って見てみましょう。
ここで希望車種や予算、オートローンを利用するなど支払いプランの概要について決めておきます。
車両本体価格の他に、法定費用や各種手数料が発生し、購入後にはガソリン代やメンテナンス費用などの維持費がかかります。
すべてを踏まえ、負担にならず継続的に支払えるかどうかを見極めることが重要です。
また、印鑑登録証明書などの書類は、市区町村の窓口などで申請を行わなければなりません。自治体によっては、利用者証明用電子証明書が搭載されたマイナンバーカードで、コンビニの端末から取得できます。
車庫や駐車場など保管場所がない場合はこの時点で確保します。
必要書類が揃うまでに時間がかかるので、早めに申請しておくことが大切です。
予算が決まったら、購入する中古車を選びましょう。
販売店を訪れて展示されている車両から選ぶ場合は実際に見て決めますが、中古車情報誌やウェブサイトで欲しい中古車が見つかる場合もあります。
中古車販売サイト、中古車比較サイトなどもご確認ください。
いずれの場合も販売側に相談して、中古車を購入するための商談を進めていくことになります。
そして、商談がまとまれば、販売店と売買契約を結ぶための手続きを行います。
契約完了後に、販売店が用意した委任状に署名、捺印をします。委任状は、販売店で各種の手続きを代行してもらうために必要です。
併せて自賠責保険加入などの手続きも行われます。
また、納車までに済ませておく手続きとして、自動車保管場所証明書(車庫証明書)の取得があります。
自分で保管場所(車庫)の管轄である警察署へ行き手続きをすることも可能ですが、販売店に代行してもらうこともできます。
いずれの段階でも必要書類や契約内容に不備がないかよく確認しましょう。
中古車を購入する流れは、新車を購入する流れとそれほど大きな違いはありません。
ただ注意したいのは、中古車を購入する場合は、車検が残っているか切れているかどうかで一部費用が異なります。
車検が残っている場合は、次の車検までの諸費用のみとなりますが、車検が切れている場合は2年分の諸費用と車検取得費用が必要となります。
もし車検が残っている場合は、どれだけの期間が残っているかをチェックしておきましょう。
次に、中古車購入の必要書類について具体的にご説明します。
普通自動車・軽自動車の種別によって必要書類は異なりますので、以下の表で確認してください。
必要書類など | 必要な数 | 交付元 |
---|---|---|
実印 | 1本 | 現住所のある市区町村の役所で登録 |
印鑑登録証明書 | 1枚 | 実印登録のある市区町村の役所など |
自動車保管場所証明書(車庫証明書) | 1枚 | 保管場所(車庫)の管轄警察署 |
委任状 | 1枚 | 販売店 |
自動車検査証(車検証) | 1枚 | 販売店 |
自賠責保険証明書 | 1枚 | 販売店 |
必要書類など | 必要な数 | 交付元 |
---|---|---|
印鑑(認印でも可) | 1本 | - |
住民票の写し | 1枚 | 現住所のある市区町村の役所など |
自動車保管場所届出 | 1枚 | 保管場所(車庫)の管轄 警察署 |
委任状 | 1枚 | 販売店 |
自動車検査証(車検証) | 1枚 | 販売店 |
自賠責保険証明書 | 1枚 | 販売店 |
普通自動車の場合は、実印登録された印鑑となります。
軽自動車は認印でも構いませんが、シャチハタや三文判は認められない場合があります。
発行日から3ヵ月以内のものが必要です。
普通自動車の購入では必要です。また軽自動車も自動車保管場所届出書を警察署に届け出る必要があります(地域によっては不要)。
保管場所(車庫)を管轄している警察署で、車庫証明書の交付を申請しましょう。
車の登録に関する各種手続きを、販売店に代行してもらうための委任状です。
書面は、販売店で用意されます。
購入後、販売店から渡されます。
「使用者の氏名又は名称」の欄が自分の名義に書き換えられているかを確認しましょう。
次に中古車の購入に必要な費用面についてご説明します。
購入費用の内訳は、以下の通りです。
中古車の購入費用=車両本体価格+税金・保険料+諸費用
では、車両本体価格以外の費用について、ひとつずつ見ていきましょう。
消費税の他、自動車税環境性能割、自動車重量税、自動車税などがかかります。
すべての自動車に加入が義務付けられている、自賠責保険料が必要です。車検が残っている中古車であれば、購入の際に自動車検査証(車検証)の名義変更手続きと同時に自賠責保険の名義も変更され、未経過相当額を支払うことになります。
その他の諸費用として、
などが発生します。
商談時によく確認しましょう。
諸費用にはわかりにくい項目があるため、余分に計上されているものがないかチェックすることも重要です。また自分で自動車保管場所証明書(車庫証明書)を取得すれば、代行費用はカットできます。必要のないオプションだけでなく、こうした手数料を省くことでも購入費用を節約できます。
納車される前に任意保険(自動車保険)に加入しましょう。
任意保険とは、自賠責保険にプラスして自分の意志で加入する保険です。
自賠責保険ではカバーしきれない、自身のケガや車の修理費用などが補償されるため、車を購入する際には加入しておくと安心です。
ただし車両保険は車両価格によって保険金額が決まります。
新車購入時から年月とともに車両価値は下がることから、中古車の場合、車両価格が低い場合があります。保険金額が修理費用を下回ってしまう可能性もあるため、ご自身の状況に合わせ車両保険を付帯するか検討しましょう。
任意保険の加入には納車予定の車の自動車検査証(車検証)が必要となります。
販売店が名義変更を終えたら、すぐに自動車検査証(車検証)のコピーをもらうようにしましょう。
また、買い替えの場合、すでに前の車で加入している保険は、納車までに切り替えの手続きが必要です。
ここでは、中古車購入時の注意点についてご説明します。
車選びはもちろん、販売店選びにも配慮することで、より効率よく中古車を手に入れられるかもしれません。
まず、車体を選ぶ際に気をつけたい点を見てみましょう。
①②については、避けたほうが無難な車体といえます。
チェックポイント | 理由 |
---|---|
①修復(事故)歴の有無 | 車に歪みを生じさせるほどの事故や損傷を受けたため修理した車は「修復歴車」と呼ばれます。車種情報に事実を記すことが義務付けられており、相場より大幅に安価の場合は修復歴車と考えることもできます。時間が経ってから大きな不具合が起こることもあり、安全性や修理費用などを考慮すると、試乗したときに問題がなくても避けたほうがよいでしょう。 |
②塩害車、雪害車、水没車 | 塩害や雪害などで車体に発生する錆は、雨漏りや漏電による火災、部品落下などの原因となります。雪の多い地方や海沿いの地域で使われていた車を購入することはできれば避けたいものです。水没車は「修復歴車」と表示されません。車内から雑菌が繁殖したような臭いがしないか、シートベルトを目一杯引き出してもシミがないか、確認することも一つの方法です。 |
③走行距離 | 一般的には、中古車は走行距離が長いほど価格が安くなる傾向にあります。1年1万kmを目安にして、年式に対する走行距離の過多を判断しましょう。 |
④年式 | 初年度登録から13年経過すると、一部の車種を除き自動車税・自動車重量税が重課されます。 |
中古車販売には数百台を展示する大型店から無店舗の個人経営、オークション売買に至るまでさまざまな形態があります。
しかし、一概に店舗の規模や事業形態で、販売店の良し悪しを測ることはできません。
ただ、購入後のトラブルを避ける意味では、なにかあればすぐに対応してくれるなど、修理やメンテナンスの体制を備えている販売店は安心感につながります。
その点では、自社工場の完備や整備士の常駐、販売店の経営歴の長さや知識の豊富さ、日頃の対応の丁寧さといった点が販売店選びの基準となりそうです。
新車の場合は自分の好みのボディカラーや欲しいグレードを選んで、金額や納期を相談する程度ですが、中古車の場合は1台1台コンディションや仕様が異なり、1台の個体ごとにじっくりと調べて検討する必要があります。クルマを選ぶのに自信がない方は、手厚い保証内容と品質が確実な認定中古車を選ぶのもおすすめです。
中古車の流通量や価格は、時期によって変動します。では、中古車購入によいタイミングとはいつ頃なのでしょうか。
決算期となる3月やその前の2月は、販売店側がサービスを行うことが考えられる時期です。
また4月1日時点の所有者に課せられる自動車税(種別割)の関係で車を手放す人もいると考えられ、1年を通じて最も中古車が出回る時期です。
さらに希少な車種を探しているなら見つかる可能性が高まるかもしれません。
早い段階で、販売店に希望の車種(グレード、年式、色など)を伝えておくのもよいでしょう。
6月や7月は、ボーナスが支給される時期です。販売店側が車を購入しやすい価格設定をする可能性もあるため、購入の検討によい時期かもしれません。
9月は、2月や3月の決算期と同様に中間決算の時期のため、販売店側が価格を検討することも考えられます。リーズナブルに購入できるかチェックしてみましょう。
年が明ければ、すべての車の年式は1年古くなるため、自分の希望に合う条件の車を探すのに期待できる時期のひとつです。
その他の時期でも、販売店が独自にセールを行うことがあります。気になる販売店のセール時期などは、まめにチェックしておきましょう。
今回は中古車購入の流れや手続き、購入の際に気をつけたいポイントについてご説明しました。
中古車は新車に比べて購入費用を低く抑えられる反面、焦った買い物をするとその後の想定外の出費や、場合によっては安全性の不十分さによる事故にもつながりかねません。
商談時には修復(事故)歴の確認、試乗を必ず行ってください。
また中古車を購入する時期により、流通量や価格などは変動します。自分の条件に合うタイミングを見逃さないことも重要です。
一度契約してしまうとその後のキャンセルは難しくなります。
不明点はスタッフに確認したうえで、契約書には慎重に署名・捺印するよう心がけましょう。
※記載の情報は、2023年5月30日時点の内容です
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
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