ドライブするときは、できるだけ車内で快適に過ごしたいですよね。いま販売しているほとんどの車には、カーエアコンが標準で装備されています。
しかし、車に長年乗っていると、エアコンの効きが悪くなったように感じたり、エアコンから異臭がしたりといった経験をされる方も多いでしょう。
このように、エアコンが故障してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。カーエアコンのしくみや、エアコンガスが漏れた場合など、故障時の対応についてもご説明します。
カーエアコンというと夏の暑い時期に使用する「クーラー」としての機能を真っ先に思い浮かべるでしょう。炎天下で駐車していた車、エンジンをかけたらすぐに冷房をいれますよね。まずはカーエアコンが冷気をつくるしくみを解説します。
エアコンが冷気をつくるのは、液体が蒸発するときに、周りから熱を奪っていく気化熱を利用しています。冷房は液状→気体→液状→気体と、液体が何度も気化して繰り返し気化熱を発生させることで冷気を生み出しているのです。
このような液化と気化を繰り返すための冷媒がエアコンガスで、気体の物質が充填されています。エアコンガスを圧縮することで液状化させ、エバポレーター内で蒸発させると、蒸発させる際の気化熱冷却によりエバポレーターが冷えます。そこに空気を通過させることで冷たい空気が室内に入っていきます。
車のエアコンは、経年劣化で故障してしまうことが多い装備です。何年で交換という目安はありませんが、特に、悪条件下で車の保管をしているとさまざまな故障を引き起こしてしまうことがあります。
エアコンが効かなくなる原因として真っ先に考えられるのがエアコンガスの不足、ガス漏れです。エアコンガスが漏れると圧力がかからず、エアコンの効きが悪くなってしまいます。
エアコンは、複数の部位をアルミ管やゴムのホースで繋いでいます。とりわけ、エアコンガス配管の継ぎ目に使用されているゴム素材の部品は、走行中の振動がどうしても加わりますので、だんだん結合部にガタが生じたり部品に亀裂が入ったりして、少量ずつですが自然にエアコンガスが抜けていきます。
エアコンの効きが悪いな、と感じたら、まずはエアコンガスの不足からチェックしてみましょう。
しかし前回のガス補充(チャージ)からそれほど時間が経たずにガスが抜けてしまう場合は、どこからかエアコンガスが漏れている可能性もあり、修理費用も高額になりがちです。
また、エアコンガスを圧縮させるコンプレッサー本体が故障することもあります。コンプレッサーが正常に起動していれば、エアコンスイッチを押すと「カチッ」と音がしますが、スイッチ音がせずに、エアコンも作動しない場合は、コンプレッサーの故障が考えられます。
なお、エンジンから異常音がする場合は、コンプレッサーのベアリング不良や内部の損傷が考えられます。そのままにしておくと、コンプレッサーが破損してしまい、異物がクーラー内部に詰まってしまう可能性があります。こうなるとクーラーシステム全体の部品を交換する必要が出て、高額な修理費用がかかってしまうため早急な対策が必要です。
通常、エアコンガスがなくなってしまった場合、ガソリンスタンドやディーラーなど、専門知識のある整備士に依頼してガスを補充(チャージ)してもらうことになります。エアコンガスの補充作業自体には、特に資格は必要ないものですが、使用するガスが高圧ガスになるので、作業を誤ると重大な事故につながる恐れがあります。必ず、信頼のできる業者で補充するようにしましょう。
エアコンガス補充の料金は車種によって差があり、ガスの注入本数によって金額が変わります。通常大きい車ほど、大量のガスを必要としますが、作業工賃と合わせると5,000円程度が相場となっています。また、コンプレッサー保護のため、オイルも同時に注入することも多いようです。
なお、エアコンガスを補充する前には、必ず管にヒビが入っていないか、パーツの劣化はないか点検をするようにしましょう。ガス漏れが起きている状態でエアコンガスを注入しても、またすぐにエアコンが効かなくなってしまいます。
また、カー用品店などで行っているエアコンガスクリーニングというメニューを聞いたことがあるかもしれません。エアコンガスの補充(チャージ)が古いガスに新しいガスを注入するのに対し、エアコンガスクリーニングは残っている古いエアコンガスを専用の機械に回収して不純物などを取り除くクリーニングを行い、新たにエアコンガスを注入し冷却効果を回復させるというものです。
しかし、エアコンの効きが悪いのであれば、まずはトラブルシューティングをすることが大切です。ガスが十分にある状態でガスを補充してしまうと、内圧が高めになってしまい、それが原因でガス漏れや故障を引き起こすこともあります。
運転中、エアコンの効きが悪いと感じる場合は、思い切ってエアコンは切っておきましょう。というのも、エアコンガスが内部にない状態でエアコンを使用し続けると、コンプレッサー潤滑用の循環オイルが漏れるなどして、循環オイルが回らずコンプレッサーが焼き付いてしまうからです。コンプレッサーが焼き付いてしまった場合は、交換には高額な費用がかかってくるため、異常を感じたらエアコンはつけずに点検に出すようにしましょう。
エアコンガスの点検のみであれば、無料で実施してくれるディーラーや自動車整備工場、ガソリンスタンドなどがあります。おかしいな、と感じたら無理はせず、ぜひ一度相談をしてみてください。
最後に株式会社アスアが提唱している「エコドライブ10のすすめ」より車から排出される温室効果ガスを減らすためのエアコンの使い方についてご説明します。
①車内を冷やし過ぎない
気象条件に応じて、こまめに温度・風量の調整を行いましょう。特に夏場に設定温度を下げすぎないことがポイントです。外気温25度のときに、エアコンを使用すると、12%程度燃費(km/L)が悪化します。
②「内気循環」「外気導入」の切り替えも適切に。
せっかく温めたり冷やしたりした車内の空気も、外気導入にセットしていると逃げていってしまいます。適切に空気の入れ替えをすることは大切ですが、気温や車内環境をよく把握して、空気の管理も適切に行いましょう。
③環境シャシーダイナモメータで測定
実際に車を使った冷房と燃料消費との関係です。
環境シャシーダイナモメータという設備を使って、実験室で実験を行いました。
室内設定温度:24度 市街地走行 走行距離:4.2km
(財)省エネルギーセンター調べ
この表からわかるとおり、外気が25度と、おおよそ真夏・真冬以外の気候のよい時期には、体感温度は変わらなくとも、エアコンをONにしているだけで14%も燃料消費が増す(悪化する)ことがわかります。 燃費を気にしてこまめにエアコンのON・OFFを行いましょう。
また、外気が35度と、真夏の時期には、エアコンをMAXにして外気導入をすると燃料消費が著しく悪化することがわかります。 真夏には、なるべくAUTOモードで、外気導入と内気循環の切り替えもこまめに行いましょう。
※このグラフ上段の削減率(14%)は燃料消費率(cc/km)で表記されています。冒頭①に記載されている改善率(12%)は(km/L)で表されており、このふたつの数字は逆数の関係になります。
温度や湿度を保つだけでなく、換気や視界を確保するなど、エアコンは快適なドライブには欠かせません。エコなドライブを意識した使い分けをしながら有効に活用してください。
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