車やチャイルドシートの安全性を評価する自動車アセスメント。安全な車選びには必要不可欠なものとなっています。その評価方法や高い評価を得た車の確認方法などをまとめました。
国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が、自動車の安全性能をさまざまな項目から比較、評価し、それを公表したものが自動車アセスメントです。平成7年からスタートし、車を購入する際、安全性の高い車を選ぶ基準となっています。また、自動車メーカーに対しては、より安全性に優れた車の開発を促すことを目的にしています。
自動車アセスメントは大きく分けて3つの項目で評価を実施しています。
衝突安全性能評価
衝突時の乗員および歩行者の安全性を評価します。
予防安全性能評価
たとえば自動ブレーキに代表されるような事故を前もって防止する技術を評価します。
チャイルドシート安全性能評価
前面衝突時の安全性や確実にチャイルドシートが取り付けられるかを評価します。
自動車アセスメントの中にチャイルドシートアセスメントがあります。小さな子どもの命を守るチャイルドシートですが、平成13年から自動車アセスメントと同様に比較テストを実施し、安全性能を評価・公表しています。消費者には年齢に合った最適なチャイルドシートの選択の目安となり、チャイルドシートメーカーには安全性の高い製品の開発を促すことを意図しています。
参考:国土交通省 平成29年度チャイルドシートアセスメント
衝突安全性能評価、予防安全性能評価、チャイルドシート安全性能評価ではこのような試験を実施しています。
自動車アセスメント評価項目 | 試験項目 |
---|---|
衝突安全性能評価 |
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予防安全性能評価 |
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チャイルドシート安全性能評価 |
|
衝突安全性能評価は乗員保護性能評価、歩行者保護性能評価、シートベルトリマインダー評価などの合計得点に基づいて5段階評価で判定され、満点は208点となります。たとえば、平成29年度自動車アセスメント評価結果を見てみると、乗用車(10車種)、軽自動車(5車種)の計15車種の評価を実施して、A社の車が最高得点193.9点を得ました。
衝突安全性能評価結果で208点中170点以上を獲得した車種は、最高評価のファイブスター賞に認定されます。平成29年度は9車種が獲得しました。
平成29年度まで予防安全性能評価は被害軽減ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)、車線逸脱抑制、後方視界情報について安全性能試験が実施されてきました。平成30年度から新たに夜間の対歩行者被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、高機能前照灯がプラスされました。
車の予防安全性能は「ASV+++」、「ASV++」、「ASV+」の3段階で総合評価されます。合計得点が126点満点中86点を超えると最高評価のASV+++、46点を超えるとASV++、12点を超えるとASV+となります。たとえば平成30年度は、ASV+は126点満点中12点を超えた車種が評価対象となり、実施した10車種中6車種がASV+++を獲得しました。
参考1:国土交通省 報道資料発表:平成29年度「自動車アセスメント」において、マツダ「CX-8」が衝突安全性能と予防安全性能の双方で最高得点を獲得!
チャイルドシートには乳児用ベッド型、乳児用後ろ向き型、幼児用があり、それぞれ前面衝突試験と使用性評価試験を行います。平成29年度は41機種の試験を実施しました。
結果は次のように表記されます。この評価の見方を解説します。
総合評価 | 乳児用 | 幼児用 |
---|---|---|
前面衝突試験 | 優 | 良 |
使用性評価試験 | 23 | 22 |
たとえば乳児用ベッド型は下記の5項目で評価します。
衝突によるチャイルドシート取付部などの破損
衝突によって胸部に生じる力(胸部合成加速度)
衝突時のヘッド底面の傾き
衝突時の頭部の移動量
衝突時に生じたその他の事象
5項目の評価結果から総合的に4段階評価を行います。
<4段階評価>
優…5つの項目がすべて◎の場合(×が1つでもあれば除く)。
良…5つの項目の中で◎が3つ、○が1つの場合(×が1つでもあれば除く)。
普…優、良、推奨せずに当たらない場合
推奨せず…評価項目の中で1つでも×があった場合。ただし、すべて安全基準を満たした製品でテストしていますので安全性は保持しています。
取扱説明書(取付、装着に関して説明がある等)、装着性(チャイルドシートへの子どもの着座等)、本体表示(取付方法の表示が明記されている等)、取付性(車の座席への確実な取付等)、本体機構(リクライニングの操作性等)の5項目から評価し、各項目5点満点で判定します。満点は25点です。
ISO-FIXとは、シートベルトを使わずに専用の金具でチャイルドシートを車の座席に固定する方式の国際標準規格です。どなたでも簡単に確実に取り付けられます。ISO-FIX固定のチャイルドシートで、前面衝突試験の結果が4項目すべてで優と判定された製品にこのマークが付けられます。
自動車アセスメントの結果発表会は、毎年5月頃行われます。『平成29年度自動車アセスメント結果発表会』は、平成30年5月31日に東京国際フォーラムで開催されました。 試験結果発表や衝突安全性能評価ファイブスター賞に輝いた自動車メーカーへ表彰状、メダルなどが授与されます。ファイブスター賞受賞車両9 車種が展示され、会場内には自動車アセスメントの結果パネルやチャイルドシートアセスメントの結果パネルなどが展示されました。さらにISO-FIX 対応チャイルドシートの展示や取付体験も実施されました。
衝突安全性能評価ファイブスター賞や予防安全性能ASV+++を獲得した車種を知るには、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のウェブサイトや各自動車メーカーのウェブサイトで知ることができます。
ニュースリリースのページをチェックすると、いち早く自動車アセスメントの結果発表などがわかります。
自動車を購入されるときには、ウェブサイトのニュースリリースや車種紹介ページ、カタログなどの印刷物で衝突安全性能評価ファイブスター賞マーク、予防安全性能評価マーク、SO-FIXチャイルドシートマークがついているかチェックしましょう。これらのマークは、公平な視点からさまざまな厳しい試験をクリアした安全性の高い車であることを証明しています。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
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