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認知機能検査とは。認知症診断のテスト問題やイラストパターン(絵)。75歳以上の高齢者の免許更新

更新日:2024年7月2日

公開日:2020年3月2日

認知機能検査とは。認知症診断のテスト問題やイラストパターン(絵)。75歳以上の高齢者の免許更新

認知機能検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上の高齢者のドライバーが、受けなければならない検査です。
「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つの検査項目があり、記憶力や判断力を測定します。

認知機能検査は、警視庁などのウェブサイトで検査内容が公開されているため、事前に受検対策が可能です。
認知機能検査の対象者、認知症診断のテスト問題やイラストパターンをご説明します。検査の受検が不安な方や検査の内容や流れを確認したい方は、ご参考にしてください。

ポイント

  • 認知機能検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーが受けるテストです。
  • 認知機能検査のテスト内容には、「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つの検査項目があります。
  • 認知機能検査の内容は、警視庁などのウェブサイトで事前に確認が可能です。

目次

認知機能検査とは

認知機能検査とは、高齢者のドライバーの記憶力や判断力を測定する検査です。検査用紙またはタブレット端末を用いてイラストを記憶したり、検査時の年月日を回答したりする検査が行われます。認知機能検査の対象者には、運転免許証の更新期間満了日の6ヵ月前(約190日前)までに、認知機能検査等の通知が警察から届きます。

認知機能検査の対象者・目的

認知機能検査の対象者は、以下の通りです。

  • 運転免許証の更新期間が満了する日(誕生日の1ヵ月後の日)の年齢が75歳以上の方
  • 特定の交通違反をした75歳以上の方

70〜74歳の方は「高齢者講習」のみで、認知機能検査の実施はありません。

認知機能検査は、医師の診断書を認知機能検査の代わりにすることも可能です。
「認知機能に異常は認められない」、「明らかな認知機能の低下は認められない」など、対象者が認知症に該当する疑いがないという、判定結果が記載された診断書を提出すれば、認知機能検査が免除されます。

認知機能検査の目的は、自分の認知能力を認識したうえで今後も安全運転を続けてもらうことです。
高齢者自身は、「認知機能や運転に問題はない」と思っていても、検査をすると「運転には問題がある」ことが発覚するかもしれません。
高齢者自身の命を守ることはもちろん、同乗する家族の安全のためにも、認知機能検査の目的を理解しておきましょう。

認知機能検査が不合格だとどうなるのか

認知機能検査の結果、「認知症のおそれがある」と判定された場合は、警察から連絡があります。警察からの指示に基づいて、臨時適性検査の受検または診断書提出命令により医師の診断を受けることになります。
臨時の検査や医師の診断によって認知症であると診断された場合は、聴聞などの手続きを経たうえで免許の取消し、または、効力の停止を受けることになり、運転ができなくなります。

認知機能検査の認知症診断のテスト問題・イラストパターン

認知機能検査には、「手がかり再生」「時間の見当識」の2つの検査項目があります。これらの検査で、記憶力と判断力を確認します。
検査結果が36点未満の方は、記憶力・判断力が低くなっており「認知症のおそれあり」と判定され、臨時適性検査(専門医の診断)の受検または診断書の提出が必要になります。

手がかり再生(イラストを記憶する)

手がかり再生は、イラスト(絵)を記憶し、何が描かれていたかを回答する検査です。

【検査内容・方法】
「一度に4種類の絵がかかれた紙を約1分で記憶する」ということを4回繰り返します。合計16種類のイラストを覚えて紙に書き出す検査です。

1回目は「自由回答」といい、記憶を頼りにどのような絵が描かれていたのかを思い出しながら書き出します。2回目は「手がかり回答」といい、解答用紙に書かれたヒントをもとにイラストを思い出しながら書き出します。

【イラストパターン】
出題される問題は、イラストパターン4つのうち1パターンです。出題される4つのパターンは警察庁のウェブサイトに掲載されているため、検査前に予習することも可能です。

たとえばパターンAの場合、以下4枚16種類のイラストを見せられます。

  • 大砲/オルガン/耳/ラジオ
  • てんとう虫/ライオン/たけのこ/フライパン
  • 定規/オートバイ/ぶどう/スカート
  • にわとり/バラ/ベンチ/ベッド

※引用元:警察庁ホームページ
2024年3月時点

以下はパターンAのイラスト例です。

イラストパターン例

※出典元:警察庁ホームページ
2024年3月時点

イラストを記憶したあとの介入問題

手がかり再生は、イラストを見せられた直後に回答するわけではありません。検査は以下の流れで行います。

  • イラストを見ながら記憶する
  • 別の問題の実施(介入問題)
  • 自由回答
  • 手がかり回答

介入問題は、以下の検査用紙のようにたくさんの数字が書かれた表があり、指示された数字に斜線を入れていくというものです。たとえば「1と4」といわれたら、以下の例示のように順番に見つけ斜線を引きます。

介入問題の回答例

※出典元:警察庁ホームページ「認知機能検査用紙」をもとに作成
2024年3月時点

介入問題は手がかり再生に介入されるものであり、これ自体が点数に関係しないため、介入問題の対策は不要です。ただし、介入課題により事前に覚えたイラストの記憶が曖昧になるため、イラストを覚える対策は行っておくのがおすすめです。

時間の見当識(年月日・曜日・時間を答える)

時間の見当識では、以下の5つの質問が行われます。

時間の見当識(年月日・曜日・時間を答える)

※出典元:警察庁ホームページ
2024年3月時点

受検している現時点での日時情報を回答します。

認知機能検査の採点方法

認知機能検査の採点は、以下のような方法で行われます。総合点は、「手がかり再生」および「時間の見当識」の2つの検査の点を、次の計算式に代入して算出します。

【計算式】
総合点 = 2.499 × 「手がかり再生」の点 + 1.336 × 「時間の見当識」の点

総合点が36点未満の場合は「認知症のおそれがある者」、総合点が36点以上の場合は「認知症のおそれがない者」と判断されます。たとえば、手がかり再生で30.0点、時間の見当識で12点となった場合の検査結果は以下の通りです。

手がかり再生の採点方法

手がかり再生には、3種類の点の付け方があります。記憶を頼りに回答する「自由回答」と、解答用紙のヒントをもとに回答する「手がかり回答」です。どちらで正答したかによって配点が異なります。手がかり再生は最大32点です。

検査結果 配点
自由回答+手がかり回答の両方とも正答 2点
自由回答のみ正答 2点
手がかり回答のみ正答 1点

たとえば、自由回答と手がかり回答の検査結果が以下の場合、合計は4点となります。

問題 自由回答 手がかり回答 得点
1 正答 不正答 2点
2 不正答 正答 1点
3 不正答 不正答 0点
4 不正答 正答 1点

全問正答した場合は、2点 × 4問 × 4回 = 32点となります。

時間の見当識の採点方法

時間の見当識は、以下の5つの質問があり、質問ごとに得点が異なります。時間の見当識は最大15点です。

問題 得点
今年は何年ですか? 5点
今月は何月ですか? 4点
今日は何日ですか? 3点
今日は何曜日ですか? 2点
今は何時何分ですか? 1点

1問目は、和暦と西暦のどちらで回答してもかまいません。5問すべてに正答した場合、15点満点となります。
※出典:警視庁ホームページ「採点基準」
2024年3月時点

認知機能検査を受ける前の対策

認知機能検査は、試験の対策が可能です。特に対策をしたいのは手がかり再生の検査です。時間の見当識の対策のために、日々カレンダーを確認しておきましょう。

手がかり再生のイラストパターンは4種類であり、4種類のいずれかから出題されます。イラストパターンは、警視庁などのウェブサイトで公開されていることから受検対策が可能です。ここでは、より具体的な対策方法をご説明します。

警察庁・都道府県警のウェブサイトで質問例を確認する

警察庁や都道府県警のウェブサイトには、認知機能検査の各種情報が掲載されています。4種類のイラストパターンや、検査の流れが説明されているため、どのような問題が出るか事前に確認が可能です。

イラストパターンは、4種類のうちどれが出るかは受検までわかりません。すべてを記憶することは難しいため、「どのような流れで受験するのか」「どのような問題が出るか」などを把握しておくだけでも安心して検査に臨めるでしょう。

認知機能検査対策の本を読む

書店では、認知機能検査のイラストパターンを使った練習や、模擬テストができる本が1,000円前後で販売されています。本で勉強すれば、自宅や外出先でも練習できます。本を購入する際は、最新の年度のものを選ぶようにしましょう。

タブレット端末の操作に慣れる

認知機能検査は、タブレット端末を用いて実施されることがあります。タブレット端末に文字を書くことになるため、不慣れな場合は操作が難しく感じるかもしれません。

タブレット端末に文字を書くためには、専用のタッチペンを使用します。そのため、日常でスマートフォンを利用している方であっても、キーボード入力などではなく普段と異なる手書きの操作になることを知っておきましょう。

タブレットによる手書き操作が不安な場合、家族にタブレット端末やタッチペンを所有している方がいれば、文字を書く練習ができるか相談してみるとよいでしょう。

認知機能検査の受検期間と流れ

ここでは、認知機能検査の受験期間と流れを説明します。検査そのものの時間は、約30分です。検査当日は、以下の流れで行います。

  • 検査前の準備、注意点共有(スマートフォンをマナーモードにする、腕時計を片付けるなど)
  • 検査実施
  • 検査結果の通知、助言

検査結果が書かれている書面には、総合点による判定結果に応じた助言も記載されています。

また、検査の結果、記憶力・判断力が低下しているとされた方は、直ちに認知症とされるわけではありませんが、手順を踏まなければ免許証の更新はできません。警察から連絡があれば、医師の診断を受けていただくことになります。

免許更新までの流れ

75歳以上の方の場合、認知機能検査以外にも受けなければならない講習があります。ここでは、認知機能検査の予約から免許更新までの流れをご説明します。

まず更新期間満了日の約190日前に、免許更新のための「検査と講習のお知らせ」はがきが郵送されます。認知機能検査は予約制になります。

75歳以上の方の免許更新までの流れ

※認知機能検査は、認知症に関する医師の診断書を提出することで、認知機能検査に代えることができます。
※高齢者講習は、運転技能検査の対象の方及び原付、二輪、小特、大特だけの免許をお持ちの方は、実車指導なしの講習となります。
※運転技能検査は、合格しないと免許更新ができません。不合格であっても普通車を運転できる免許を返納して原付等にする場合は更新可能です。

「認知機能検査」「高齢者講習」「運転技能検査」を受ける順番は自由です。はがきが届いてから更新期間満了日の6ヵ月以内に受検、受講しましょう。

認知機能検査の予約方法

認知機能検査の予約方法は、ウェブ予約(スマートフォン、パソコン)と電話の2パターンがあります。

ウェブ予約は、24時間利用が可能です。電話のように混雑や、受付に時間はかかりません。受検する本人以外でも予約ができるため、自分で予約するのが不安な場合は家族の方に予約してもらいましょう。

どこで受検できるのかは警察から届くはがきに記載されているため、はがきの記載内容を確認してください。

認知機能検査の受検手数料・必要なもの

認知機能検査の受検手数料・必要なものについて、東京都(警視庁)の場合は以下の通りです。

手数料 1,050円
必要なもの
  • 「検査と講習のお知らせ」はがき
  • 検査手数料1,050円
  • 黒色ボールペン
  • 運転免許証
  • 補聴器や眼鏡(必要な方のみ)

※出典:警視庁ホームページ「臨時認知機能検査と臨時高齢者研修(75歳以上の方)」
2024年3月時点

検査当日は忘れ物がないよう、確認してから会場に向かいましょう。

臨時認知機能検査と臨時高齢者講習

運転免許証の更新前以外に特定の違反行為を犯した方は、臨時認知機能検査を受けることになります。該当する違反を起こすと、運転免許本部などから通知書が郵送されます。通知を受けた1ヵ月以内に臨時認知機能検査を受検しなければなりません。

その結果認知機能の低下が見られた場合には、さらに臨時適性検査(専門医の診断)または医師の診断書の提出や、臨時高齢者講習を受けることになります。

特定の違反行為は以下の18種類があります。

  • 信号無視
  • 通行禁止違反
  • 通行区分違反
  • 横断等禁止違反
  • 進路変更禁止違反
  • 遮断踏切立入り等
  • 交差点右左折方法違反
  • 指定通行区分違反
  • 環状交差点左折等方法違反
  • 優先道路通行車妨害等
  • 交差点優先車妨害
  • 環状交差点通行車妨害等
  • 横断歩道等における横断歩行者等妨害
  • 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害
  • 徐行場所違反
  • 指定場所一時不停止等
  • 合図不履行
  • 安全運転義務違反

※引用元:警視庁ホームページ「臨時認知機能検査と臨時高齢者講習(75歳以上の方)」
2024年3月時点

臨時認知機能検査は、運転免許更新の認知機能検査と同様で、手がかり再生と時間の見当識の検査を実施します。合格の基準も、運転免許更新の認知機能検査と同様36点以上です。

東京都の場合、臨時高齢者講習の通知を受けた方は、指定場所(府中・鮫洲運転免許試験場)にて「臨時高齢者講習」を受講してください。なお、やむを得ない理由を除き、通知書を受け取ってから1ヵ月以内に受験しなかった場合は、運転免許の停止処分となります。

認知機能検査前には家族のサポートも受けよう

認知機能検査は、安全運転をするために欠かせない検査です。認知機能検査の対策はさまざまな方法がありますが、検査に向けて一時的な対策をすること以上に、日常的に安全運転を心がけることが大切です。

検査を受ける際は、必要に応じて家族のサポートも受けましょう。一緒に対策をしたり、認知機能検査の予約をしてもらったりすると、安心して受検できます。

金子 賢司
金子 賢司

仮に認知症のおそれがあると判定されても、再受験は可能です。再受験で認知症のおそれがないと判定された場合、臨時適正検査や診断書の提出は必要ありません。

認知機能検査に関するよくあるご質問

Q認知機能検査ではどのような問題が出ますか?
A

認知機能検査では、「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つの検査項目が行われます。

手がかり再生は、出されるイラストを見てどのような絵があったかを回答する検査です。一度に4種類の絵がかかれた紙を約1分で記憶し、紙に書き出します。時間の見当識は、年月日や時間を回答する検査です。

Q認知機能検査で不合格だとどうなりますか?
A

認知機能検査で不合格だった場合、「認知症のおそれがある」という判定になります。
「すぐに運転できなくなる」「免許停止になる」というわけではありませんが、臨時適性検査の受検または診断書の提出を指示され、医師の診断を受けなければなりません。

医師によって認知症と診断された場合、運転免許の取り消しまたは効力停止となります。

Q認知機能検査や高齢者講習はいつ受けますか?
A

免許更新の更新満了日の6ヵ月前になると、警察から自宅にはがきが届きます。はがきが届いたとき(約6ヵ月前)から、満了日までの間に認知機能検査を受けることができます。

免許更新のためには、認知機能検査以外にも、高齢者講習、運転技能検査(該当者のみ)を受けなければなりません。これらの検査を受ける順番は自由です。

検査期間は6ヵ月間と長く設けられていますが、早めに各種検査・講習を受けておくことをおすすめします。

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