ダッシュボードもインパネ(インストルメントパネル)も、自動車のフロントガラス下、運転席・助手席前に配置される自動車の内装品の名称です。
しかし、ダッシュボードもインパネ(インストルメントパネル)も、使う人によって用語の範囲が異なることが多いため、それぞれが何を指し示しているのか、この2つは同じものなのか違うものなのか、分かりづらい場合があるかもしれません。そこで今回は、車の内装に関する用語、ダッシュボードとインパネ(インストルメントパネル)についてご説明します。
ダッシュボードは英語ではdashboard、その名の語源は馬車の車体にあることをご存じですか?
馬車が道を走るとき、馬をあやつる御者が、馬がはね上げる泥や小石を避けるために、御者席の前に立てた板の名称を「ダッシュボード」といいました。
この馬車から発展した乗り物が路面電車と自動車です。写真は愛知県の博物館、明治村に保存されている日本最初の路面電車(京都市電)で、運転士が昔の御者と同じ位置で運転しているのは馬車のなごりなのです。
同じころ発明された自動車も、エンジンを馬に見立て、ボディは馬車と同じ箱形で作られており、やはり車内の一番前のパネルはダッシュボードと呼ばれていたのです。
愛知県のトヨタ博物館などの自動車博物館に行くと、自動車の発達の過程に関して実物を見ながら追っていくことができます。T型フォードなど1800年代の終わりから1910年代頃に活躍した自動車のボディは基本的に馬車の発展系のため、ダッシュボードの形も馬車や路面電車と同じく板状で、まだメーターはありませんでした。
自動車のボディは、1920年代になるとセダンタイプに移行し、現代的なクルマらしい形になっていきます。ダッシュボードは室内とフロントガラス下のエンジンとの隔壁となり、そこに最小限のメーターがつくようになります。さらに時代が下ると、メーターの周りに板が貼られ、パネルもデザインを考慮した形に発達していきます。
このような歴史を持つ自動車のダッシュボードとは、前席に位置する内装部全体を指しているのです。
インストルメントパネルは略して「インパネ」とも呼ばれています。英語でinstrument panelといい、運転席前面の計器盤のことを指します。元々は各メーターを取り付けた計器盤のみを示す言葉でしたが、現在では自動車メーカーや自動車内装部品メーカーも各種メーターやエアコンスイッチ、オーディオ、助手席のエアバッグまでを収めたパネル全体を指すことが一般的となっています。つまり前述の「ダッシュボード」と同義ということになります。
インパネ(インストルメントパネル)が現在のようなパネル全体となるまでの流れを簡単にご説明します。
自動車はメーターに加え、その進化とともにヒーター、クーラー、ラジオなどが装備されていきました。これらは最初、ダッシュボードに別々に取りつけられましたが、そのうちに、樹脂製の一体型カバーをフロントガラスの下に取りつけ、そこにメーターやスイッチ類および配線類や配電盤、エアコンの風洞やラジオを収めて、一体に見えるカバーに発展しました。これをインストルメントパネルと呼ぶようになったのです。
現代の自動車はさらに電子化が進み、インパネ(インストルメントパネル)はさらに増えた配線類や配電盤、オーディオやカーナビを収められるようなかたちに発展しました。助手席側には古くから自動車の取扱説明書や車検証などを収めるグローブボックスと呼ばれる物入れも作りつけられていましたが、その上部には新たにSRSエアバッグを収納するようになりました。
ダッシュボードとインパネ(インストルメントパネル)が示す範囲の変化
インパネ(インストルメントパネル)のうち、ドライバーズ・シート前面のステアリングハンドル周辺には、速度計や走行距離計(オドメーター)、エンジンの回転数を示す回転計、水温計、燃料計などの計器類やフォグランプ、ABSなどのスイッチ、サイドミラーの調整パネルなどに取りつけられているウインカーレバーやワイパーレバーと合わせて、運転に必要な計器類やスイッチ類が集中していますが、インストルメントパネルはそれらの「枠」として機能しています。最近では、フロントウインドウに計器類の値を映し出して視線移動しなくても読み取れるヘッドアップ・ディスプレイや、計器類を液晶画面に置き換えたグラスコックピットがインパネ(インストルメントパネル)に内蔵されるようになりました。
基本的には、ほこりを取るための拭き掃除ですみますが、ソフトパッドは経年で加水分解を起こし、表面がべたつく場合があります。この場合、洗浄用の無水アルコールで拭き取るとべたつきが一時的に取れますが、しばらくすると再びべたつきが起こります。そうなるとインパネ(インストルメントパネル)を取り替えるしか策はありませんが、その頃には製造時から時間が経っているため部品がなかったり、取り替えにかかる費用が高額だったりするため、古いクルマとしては割に合うものではなく、そのままにしているオーナーが多いようです。
元々は馬車の泥・小石除けを意味し、自動車に取り込まれていったダッシュボード。元々はメーター類を設置するパネルを意味し、次第に増えていったスイッチ類、配線類やエアコンの風洞やラジオなどを一体収納するようになったインパネ(インストルメントパネル)。自動車の進化とともに、その両者がほぼ同義になったということがおわかりいただけたと思います。
内閣府に設置された戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)によれば、2023年に自動運転技術を確立するための取組みが始動しています。
自動運転車の実用化が進めば、車の内装の顔ともいえるダッシュボードやインパネ(インストルメントパネル)も大きなデザイン進化を遂げることになるに違いありません。
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