更新日:2023年9月1日
公開日:2020年3月14日
現在ではさまざまなメーカーから、電気自動車が発売されていますが、その普及率は決して高いとはいえません。なぜ、電気自動車の普及が進まないのでしょうか。
電気自動車(EV)のメリットとデメリット、そして電気自動車の普及が進まない理由についてご説明します。
エンジンを搭載した車や、エンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車は、走行時に化石燃料を燃焼させ、CO2を発生します。
一方、電気自動車(EV)はバッテリーに蓄えた電力でモーターを回して走るため、走行時に排出ガスを一切出しません。
電気自動車がゼロエミッション・ヴィークル(排出ガスゼロの乗り物)といわれる理由がここにあります。
しかし、電気自動車のバッテリーに蓄える電気がどのようにして作られているかに思いを巡らせると、電気自動車もゼロエミッションではないことがわかります。
太陽光や風力といった再生可能エネルギーや原子力だけで発電するのであれば排出ガスは事実上ゼロになりますが、現在日本の発電量の72.4%は火力発電です。
これは、車の排気管からCO2を出さない代わりに発電所でCO2を出していることを意味します。
このようにエコとは、言い難い現実があります。
電気自動車(EV)は、製造時にもガソリン車よりCO2を多く排出します。それはエネルギーを溜め込むバッテリーを搭載する以上、避けられない問題です。今後、バッテリーの生産効率が向上し、再生可能エネルギーで電力が賄われるようになれば解決できるでしょう。
電気自動車(EV)とは、ガソリンではなく電気をエネルギーに動く車のことです。
ガソリン車にはエンジンがありますが、電気自動車にはエンジンの代わりにモーターがあり、電気自動車はバッテリーに蓄えられた電気でモーターを駆動させるしくみです。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表しているデータによると、2021年の電気自動車(普通自動車)販売台数は、2万1,139台でした。
しかし、2022年の電気自動車(普通自動車)販売台数は約3万1,592台にも上っています。1年の間で電気自動車の販売台数は約1.5倍に伸び、電気自動車の普及が進んでいることがわかります。
参照元:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別売上台数」をもとに作成
また、2022年に販売された乗用車の合計は約222万台です。電気自動車(普通自動車)の販売台数は約3万2,000台であったことから、2022年中に販売された普通自動車において、電気自動車以外との比率は約1.4%であるといえます。
一方、軽自動車でも電気自動車は発売されており、2022年には日産のサクラ、三菱のeKクロスEVが販売開始となりました。
一般社団法人全国軽自動車協会連合会によると、2022年度のサクラとeKクロスEV、ミニキャブ・ミーブの累計販売台数は約4万3,000台となっています。
軽自動車全体の販売台数が約169万台であったことから、2022年度に販売された軽自動車のうち、電気自動車以外との割合は約2.5%になります。
電気自動車(EV)には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
電気自動車は走行中にCO2を排出しないため、環境負荷の少ない車です。
また、エンジンがないため、停車時の振動や騒音が少なく、静かに走行できる点も電気自動車のメリットだといえるでしょう。
さらに、なめらかで力強い発進ができる点、アクセルペダルで車のスピードをコントロールしやすい点も電気自動車のメリットです。
非常時には、電源として活用できるのも電気自動車の大きな魅力となっています。
電気自動車のデメリットとしては、車両本体の価格が高い、充電時間が長い、充電できるスタンドが少ないといった点が挙げられます。
今後、電気自動車を普及させるためにはこのような課題を解消する必要があります。
電気自動車(EV)を選ぶ際には、どのようなポイントに注意して選ぶとよいのでしょうか。
電気自動車の選び方をご説明します。
電気自動車を選ぶときには、どのように電気自動車を使用するかによって適した車が変わってきます。
電気自動車の場合、搭載されているバッテリー容量によって1回の充電で走れる距離に違いがあります。1回の走行で長い距離を走ることが多い場合は、航続距離が長い電気自動車を選ぶとよいでしょう。
しかしながら、バッテリー容量が大きくなれば車両価格も高くなります。近距離を走る程度であれば、充電切れの不安も少ないため、価格を優先して選んでもよいでしょう。
戸建て住宅の場合は、充電設備を設置することが可能です。しかしながら、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合、勝手に充電設備を付けることはできません。
自宅に充電環境がない場合は、頻繁に充電スタンドに通う必要があります。たとえ近距離でのみ使用する場合でも、航続距離の長い電気自動車を選んだほうが安心でしょう。
電気自動車の人気ランキングを、掲載しているサイトもあります。しかしながら、前述したように、どのように電気自動車を使う予定なのか、自宅の充電設備の有無によって選ぶべき電気自動車は変わってきます。
人気ランキングの上位の電気自動車が、必ずしも自分に合った電気自動車になるわけではありません。電気自動車を選ぶ際には、車の使用目的や充電設備の有無をポイントにして、自分のライフスタイルに合った一台を選ぶことをおすすめします。
電気自動車(EV)の普及がなかなか進まない背景には、次のような課題が関係しています。
電気自動車は、バッテリーに蓄えた電気をエネルギーとして走行します。
そのため、ガソリン車と同様にドライブの途中で充電量が減ってきた場合には、エネルギーを補給しなければなりません。
しかし、日本ではまだ充電スタンドの整備は十分には進んでいないのが現状です。
公共充電スタンドを利用する際に利用できる充電カードを、自動車メーカーやなどが発行しています。カードの発行会社によって、料金プランは変わります。ご自身が所有する車種や車の使い方に合わせて、最適なプランを選びましょう。
また、自宅での充電料金は1kWhの単価を25円と仮定した場合、週に1回30kwhの充電を月に4回、合計120kWhの充電をした場合の電気料金は3,000円程度となります。(2023年6月現在)
自治体の中には、電気自動車の購入時に補助金を交付するところもあります。また、充電設備の導入を支援するための助成を行っている自治体もあります。
お住まいの自治体に電気自動車などへの補助金制度があるかどうかは、「一般社団法人次世代自動車振興センター」のウェブサイトから確認することができます。
電気自動車は普通充電により時間をかけて充電することで、バッテリーを長く使うことができます。急速充電は目的地に着くまでに足りない分を補う場合など、非日常的な使い方と考えた方がいいでしょう。駐車場に充電設備を義務付けるような法整備がなされないと、なかなか普及は難しそうです。
電気自動車(EV)とは、ガソリンの代わりに電気をエネルギーとして動く車です。
電気自動車の最大のメリットは環境負荷が少ない点ですが、車両価格が高額であるというデメリットもあります。
また、充電スタンドの整備などが十分に進んでいない点も、電気自動車が普及しない要因の一つだと考えられています。
しかしながら、自治体によっては電気自動車の購入時や充電設備の導入時に利用できる補助金制度を用意しているところもあります。
電気自動車の利用を検討している場合には、お住まいの自治体の補助金制度を確認してみるとよいでしょう。
※記載の情報は、2023年6月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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