車のガソリンのハイオクとレギュラーの違いをご存じでしょうか。ハイオクはプレミアムガソリンともいわれるので、高級ガソリンと勘違いしている方もいらっしゃるかもしれません。そこでハイオクとは何か、そのメリットやレギュラーガソリンとの違いなどについてご説明します。
ハイオクはスポーツカーや高排気量車などの給油に使用されることが多いガソリンであるため、高級なガソリンというイメージを持つ方も多いと思います。しかしハイオクとは高オクタン価ガソリンのことをいい、燃えにくいガソリンのことをいいます。 オクタン価とは、エンジン内の異常燃焼のひとつであるノッキング現象の起こしにくさを示す指標のことです。
車を動かす燃料にはガソリンと軽油があります。ガソリンも軽油も原油から作られますが、原油からはさらに灯油や重油、アスファルトなども作られます。
産油国などから輸入した原油は製油所に運ばれると加熱炉で350度まで加熱されます。加熱された原油は石油蒸気となって加熱炉から蒸留塔に送られますが、蒸留塔は上に行くほど温度が低く、下に行くほど温度が高くなっています。このため蒸留塔で、沸点の低い石油蒸気から順に分けられていくしくみです。上から沸点30度から180度地点でガソリンやナフサが、170度から250度地点で灯油やジェット燃料が、240度から350度地点で軽油が、350度以上地点で重油やアスファルトが抽出されます。
このようにしてガソリンや軽油は作られるのです。
ガソリンにはハイオクとレギュラーの2種類がありますが、その区別はオクタン価によって決定します。純粋なガソリンは自然発火しやすく、自動車の燃料に使用するとノッキング現象という異常燃焼を起こし、エンジンに不自然な動きや振動を起こしてしまいます。こうした現象を起こさないために、自動車の燃料となるガソリンには添加物が加えられ、異常燃焼を起こさないよう工夫されています。オクタン価とは異常燃焼の起こしにくさを示す値のことで、オクタン価が高ければ高いほどそのガソリンは異常燃焼を起こしにくくなります。そしてこのオクタン価の数値によってハイオクかレギュラーかの区別がされるのです。
ハイオク | オクタン価96以上 |
---|---|
レギュラー | オクタン価89以上 |
このように日本産業規格(JIS)でオクタン価が96以上のものがハイオク、オクタン価が89以上のものがレギュラーとなります。レギュラーよりもオクタン価が高いハイオクは異常燃焼しにくく、ノッキング現象を起こしにくいガソリンなのです。
ハイオクはレギュラーよりもオクタン価が高く、スポーツカーや高排気量車に適したガソリンです。では、ハイオクはレギュラーよりも秀でたガソリンなのでしょうか。
車のエンジンはエンジンと空気の混合気を圧縮し、プラグで点火し爆発させることで動き出しますが、スポーツカーや高排気量車などは混合気の圧縮比が高く、シリンダー内の温度も圧縮比に伴い上昇するので、ノッキング現象が起きやすくなります。
しかし“発火しにくい”ハイオクを燃料として使用することで、混合気の圧縮比を高めてもノッキング現象が起こりにくくなり、ハイスピードで力強い走行が常時可能になります。つまり、ハイオクガソリンのほうが燃えにくいため、より圧縮して燃やすことを可能にしています。圧縮比が高いほうがより大きな力を生むのです。
こうしたことから、ハイオクはスポーツカーや高排気量車、高級車、外国車に適したガソリンといえ、これらにはハイオク専用車が数多くラインアップされているのです。
ハイオクのオクタン価が96以上であるのに対し、レギュラーは89以上ですから、レギュラーはハイオクに比べてノッキング現象を起こしやすくエンジンを傷めやすいガソリンと考える方もいるかもしれません。
しかしハイオクはあくまでもスポーツカーや高排気量車のノッキング現象を防ぐのに適したガソリンです。軽自動車から普通車まで、通常の車ならレギュラーガソリンでもノッキング現象を起こすことはなく、レギュラーがハイオクよりも劣っているわけでもないのです。レギュラー仕様車にハイオクガソリンを入れてしまうことで、かえって燃費の悪化を招く可能性があるのです。
ハイオクとレギュラーでは1リットル当たり約10円、ハイオクのほうが値段が高くなっています。それはハイオクがレギュラーよりもオクタン価を高くするためにさらに添加物を多く入れているからです。またハイオクでは添加物の分だけ燃えカスもたくさん出ますが、燃えカスを洗浄するための洗浄剤もハイオクには含まれています。ハイオクのほうがレギュラーよりも値段が高い理由はこうした添加物や洗浄剤が含まれているからなのです。
ハイオクとレギュラーの比較で特に気になるのは燃費の違いではないでしょうか。ハイオクのほうがレギュラーよりも燃費が優れていると思っている方も多く見受けられます。しかし一言でいうと、ハイオク、レギュラーだけで燃費を語ることはできません。車の燃費は車の大きさ、重量、エンジンなど車両全体で決まるからです。そして現在の車は専用ガソリンのオクタン価に合った仕様になっています。つまり車の燃費はガソリンの種類だけで決めることはできないのです。あくまでも車両の燃費で決まることを忘れないようにしてください。
ハイオクかレギュラーかは車種によって指定されていますが、万が一異なるガソリンを入れてしまったらどうなるのでしょうか?
レギュラー車にハイオクを入れた場合、パワーがあがったりエンジンがキレイになったりすると考える方がいるようです。しかし実際はレギュラーを入れた場合と何ら変わらず、ただ単にレギュラーとの差額分のコストがかかるだけです。先に述べたようにレギュラー専用車はレギュラーガソリンで最適な燃焼をするように設計されているのでレギュラーガソリンを使用するのが最も効果的なのです。
一方、ハイオク専用車にレギュラーを入れることはリスクが伴います。レギュラーはハイオクに比べてオクタン価が低いためノッキング現象を起こしやすくなり、エンジンの故障などを起こしやすくなるからです。ハイオク専用車にはハイオクを、レギュラー専用車にはレギュラーを使用することをおすすめします。
なおガソリン車(ハイオク、レギュラー)に軽油を給油したり、ディーゼル車にガソリン(ハイオク、レギュラー)を給油したりした場合は黒煙をあげるなどエンジンの故障の原因になります。軽油はディーゼル車専用の燃料であることを忘れないようにしましょう。
ではハイオクとレギュラーのうち、どちらが優れ、どちらを選ぶべきなのでしょうか。ハイオクはプレミアムガソリンとも呼ばれ、燃費がよくエンジンにも優しいイメージがあります。しかし先に述べたように、車のエンジン設計は使用するガソリンに合わせているので、ハイオクかレギュラーのどちらかで優劣を決めることはできません。ハイオク専用車はハイオクのガソリンを、レギュラー専用車はレギュラーのガソリンを給油して最大の効果を発揮するよう作られています。
ハイオク専用車はスポーツカーや高排気量車、高級車、外国車が多く、レギュラー専用車は軽自動車や一般の乗用車が多いです。仕様と異なるオクタン価のガソリンを選ぶということ自体に意味がなく、どのような種類の車でカーライフを送りたいかが重要になるのです。
ただし、ヨーロッパではオクタン価95以上のガソリンしか販売されていないので、並行輸入の欧州車に乗っているという方は、ハイオクガソリンを選んだほうがよいでしょう。
ハイオクはレギュラーに比べてオクタン価が高く発火しにくい性質を持つために、ノッキング現象を起こしにくいガソリンです。そのためスポーツカーや高排気量車などに適したガソリンです。
ハイオク、レギュラーに優劣はありませんので、自分の車に適したガソリンを正しく給油し、エンジンに優しい走りを心がけてください。
2024年9月時点の内容です。
インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引
DD181116-1