更新日:2024年10月29日
公開日:2020年2月19日
ETC割引は、ETCを搭載している車が受けられる割引サービスです。高速道路や有料道路の料金が、現金支払いよりもリーズナブルになります。
ETC割引には「平日朝夕割引」「休日割引」などさまざまな種類があります。ETC割引は常に更新されているため、最新情報は国土交通省やNEXCOのウェブサイトなどで確認するのがおすすめです。
ETC割引の種類や高速道路料金の深夜割引・休日割引・平日朝夕割引についてご説明します。ETC割引を活用して高速道路や有料道路の料金を抑えたい方は、参考にしてください。
ETCとは、高速道路や有料道路の料金所ゲートで認証や決済を行うシステムです。自動車や自動二輪車に搭載した車載器と無線通信を行い、車種や通行区間を判別します。
ETCが搭載されている場合、高速道路や有料道路の料金所で現金を支払う必要がありません。さらに通行料金が現金よりもリーズナブルになるため、お得かつ便利になるというメリットがあります。
ETCを搭載していると、特定の時間や区間を利用する際に割引サービスを利用可能です。
なお、ETC割引の内容は定期的に見直しが行われています。今後、変更を予定している内容は「2024年時点で見直しが進んでいるETC割引」でご説明します。
※2024年8月執筆時点
ETC割引を利用するには、ETCカードとETC車載器が必要です。
ETCカードはクレジットカード会社やETC専用カード会社から発行されます。車に設置されたETC車載器にETCカードを挿入すると、ETC対応の料金所を通過する際に自動的に料金が支払われ、割引が適用されるしくみです。
ETC車載器がなくETCカードを手渡しして通行する場合は、割引が適用されません。また、各種割引には車種や利用時間・利用区間などの条件が設けられており、その条件を満たしている必要があります。
ここでは、ETC割引の種類をご説明します。改定された内容についてもご説明していますので、確認してください。
曜日や時間帯による割引 |
・平日朝夕割引 ・休日割引 ・深夜割引 |
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利用者による割引 |
・大口・多頻度割引 ・障がい者割引 |
利用区間による割引 |
・関越特別区間(水上IC〜湯沢IC間)ETC割引 ・外環道迂回利用割引 ・ETCアクアライン割引・ETC時間帯別料金 ・千葉外環迂回利用割引 |
その他の割引 |
・ETC2.0割引 ・通勤パス |
まずは、NEXCO3社(東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社 )が管理している地方部の高速道路のETC割引をご説明します。曜日や時間帯によって、割引を受けられる制度です。
平日朝夕割引は、平日(月〜金)の朝と夕方の指定時間内に高速道路を利用すると、利用回数に応じて通行料金の30〜50%が還元される割引です。
還元率は1ヵ月間の利用回数によって異なり、5〜9回は約30%分還元、10回以上利用すると約50%分還元となります。対象となる高速道路は地方部に限定され、東京や大阪近郊の区間は割引の対象外です。
平日朝夕割引は、割引分がETCマイレージサービスの還元額として後日還元されます。割引を受けるためには、事前にETCマイレージサービスの登録が必要です。
ETCマイレージサービスとは、NEXCO3社などが管理する対象道路において通行料金の支払いにETCを利用すると、その支払額に応じてポイントが貯まるサービスです。1ヵ月の利用回数が5回に達しなければ、還元率は適用されません。
同じ日に2回以上走行した場合、割引が適用されるのはその日の朝夕それぞれ最初の走行時のみとなります。平日朝夕割引は2026年をめどに、適用時間帯を全日・24時間にする方向で改正が進められており、一部区間では試行が開始されています。
現行と2026年に改訂予定の内容は、以下の通りです。
※2024年8月執筆時点
【現行(2024年8月時点)】
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 平日:6時〜9時、平日:17時〜20時 |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速道路(東京・大阪近郊の区間は対象外)と一部の有料道路 |
割引内容 | 約30〜50%割引(還元) |
【2026年に改正予定の内容】
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 全日・24時間に拡大 |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速道路(東京・大阪近郊の区間は対象外)と一部の有料道路 |
割引内容 | 最大50%割引(月10往復以上利用した場合) |
参考:国土交通省道路局「新たな高速道路料金に関する基本方針」
※2024年8月執筆時点
休日割引は、土日・祝日に地方部の高速道路を利用すると、通行料金が30%割引される制度です。対象車両は普通車・軽自動車(二輪車)限定で、中型車・大型車・特大車は対象外です。
平日と土日・祝日を跨いだ場合でも割引が適用されます。また、東京・大阪近郊は対象外で、たとえば地方部区間と東京近郊の区間を走行した場合は、地方部区間のみが割引対象となります。
対象車両 | 普通車・軽自動車など(二輪車を含む) |
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対象日時 | 土曜日・日曜日・祝日(ゴールデンウィークなどの連休やお盆休み、年末年始を除く) |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速道路(東京・大阪近郊の区間は対象外)と一部の有料道路 |
割引内容 | 30%割引 |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「ETC休日割引」
※2024年8月執筆時点
深夜割引は午前0時〜4時に、対象となる高速道路と一部の一般有料道路を走行した場合、通行料金が約30%割引される制度です。走行距離や利用回数に制限はありません。
※2024年8月執筆時点
ただし、深夜割引は2024年中に割引内容の改正が予定されています。
改正後は後日還元型による割引制度へと変更されるため、ETCマイレージサービスまたはETCコーポレートカードの登録が必要となります。従来は割引適用の対象時間帯に少しでも走行すれば割引が適用されましたが、改正後は対象時間を走行した分のみの割引となります。
<現行>
<改定後>
【現行(2024年8月時点)】
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 0〜4時 |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速自動車国道と一部の一般有料道路路 |
割引内容 | 約30%割引 |
【2024年中に改正予定の内容】
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 22時〜5時 |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速自動車国道と一部の一般有料道路 |
割引内容 | 約30%還元、400km超の長距離利用時における負担軽減 |
参考:国土交通省道路局「新たな高速道路料金に関する基本方針」
※2024年8月執筆時点
利用者による割引は、特定の企業や個人に適用される割引サービスです。ここでは2つの割引をご説明します。
大口・多頻度割引制度は、法人や個人事業主向けに提供されるETC割引サービスです。月間の利用額に応じて割引率が段階的に上がり、頻繁に高速道路を利用するほどメリットが得られます。割引を利用するためは、ETCコーポレートカードの取得と事前登録が必要です。
対象車両 | 大口・多頻度利用者が登録したすべての車両 |
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対象日時 | 毎日 |
対象道路 | NEXCO3社が管理する全国の高速自動車国道と一部の一般有料道路 |
割引内容 | 10〜40%(利用額による) |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「高速道路の大口・多頻度割引」
※2024年8月執筆時点
障害者割引は、身体障害者手帳や療育手帳を持つ方が、通勤・通学・通院などの日常生活で有料道路を利用する際に利用できる制度です。対象者が登録した車両で高速道路を利用する場合、50%の割引を受けられます。
障害者割引を利用する場合は、身体障害者手帳や療育手帳を管理する市区町村の福祉担当窓口またはオンラインで、利用申請と車の事前登録が必要です。
対象車両 | 事前登録した車1台(※) |
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対象日時 | 毎日 |
対象道路 | 有料道路 |
割引内容 | 50%割引 |
※レンタカーや、重度の障害者の方がタクシーを利用する場合など、事前登録がない車でも割引が適用
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「有料道路における障害者割引」
※2024年8月執筆時点
ここでは、特定の区間を走行する際に適用される割引をご説明します。
関越特別区間(水上IC〜湯沢IC間)のETC割引は、ETC無線通行の場合に関越特別区間(水上IC〜湯沢IC間)の通行料金が引き下げられる制度です。普通車の場合、通常は1km当たりの料金が39.36円に設定されていますが、関越特別区間(水上IC〜湯沢IC間)が含まれるIC(インターチェンジ)相互間の通行料金は 24.6円となります。
他のETC割引や障害者割引が適用対象となる場合、関越特別区間のETC料金に対してそれぞれの割引が適用されます。なお、割引の適用は2034年3月31日までです。
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 2014年4月1日から2034年3月31日まで |
対象道路 | 関越自動車道 水上IC〜湯沢IC間 |
割引内容 | 関越特別区間(水上IC〜湯沢IC間)の通行料金割引 |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「関越特別区間(水上〜湯沢間)のETC料金について」
※2024年8月執筆時点
都心に行く、または都心から出る際に、東京外環道の通行料金が割引される制度です。ETC搭載車が東京外環道を1JCT間のみ迂回利用した場合でも、原則として、直行したときと同じ通行料金となるよう、東京外環道の通行料金が割引されます。
一部では東京外環道の料金が割引と併せて、首都高速道路の料金にも割引が適用されます。
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 毎日 |
適用要件 |
・首都高速道路の都心環状線内の出入口を発着 ・東京外環道を1JCT間のみ迂回利用して放射高速道路を利用 ・料金所をETC無線通信により通行 |
割引内容 | 東京外環道を1JCT間のみ迂回利用した場合であっても直行したときと同じ通行料金になる |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「ETC外環道迂回利用割引」
※2024年8月執筆時点
ETCアクアライン割引は、東京湾アクアライン走行時に受けられる割引です。2023年7月22日から土日・祝日に上り線(木更津→川崎方面)を通行する車両を対象に、ETC時間帯別料金が適用されています。
ETCアクアライン割引の特長は、時間によって料金が変動する可能性があるという点です。たとえば普通車の場合、土日・祝日の20時〜24時は600円、土日・祝日の13時〜20時の混雑時間帯は1,200円となります。
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 毎日 |
対象道路 | 東京湾アクアライン上り線 木更津金田IC→浮島IC |
割引内容 | 時間帯別料金の適用 |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「ETCアクアライン割引・ETC時間帯別料金」
※2024年8月執筆時点
首都高速の湾岸線または横浜・川崎エリアを発着し、常磐道を利用するETC車に適用される割引です。東京外環道の三郷JCTから高谷JCTまでを迂回利用する場合、直行したときと同じ通行料金となるよう、千葉外環の料金が割引されます。
対象車両 | すべての車両(ETC搭載車) |
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対象日時 | 毎日 |
適用要件 |
・首都高速の湾岸線または横浜・川崎エリアの出入口を発着 ・千葉外環のみを迂回して常磐道を利用 ・料金所を同一のETCカードでETC無線通信により通行 |
割引内容 | 千葉外環の料金割引 |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「ETC千葉外環迂回利用割引」
※2024年8月執筆時点
時間帯や利用区間による割引以外にも、以下のようなETC割引があります。
ETC2.0とは、2016年春から本格的に運用が開始された次世代のETCシステムです。料金の自動支払いの他に、高速道路上の情報をリアルタイムに取得して、安全で円滑な運転をサポートする機能を持ちます。
ETC2.0割引では、ETC2.0を搭載する車が圏央道(新湘南バイパスを含む)などを走る際に割引を受けられます。
対象車両 | ETC2.0対応車載器を搭載した車両 |
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対象日時 | 毎日 |
適用要件 | 圏央道(茅ヶ崎JCT〜海老名JCT、海老名JCT〜木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢〜茅ヶ崎JCT) |
割引内容 | 高速自動車国道の普通区間の料金水準に割引(例:普通車の場合は24.6円/km) |
参考:NEXCO東日本 ドラぷら「ETC2.0割引」
※2024年8月執筆時点
国土交通省では、2023年12月22日に基本方針を改定し、ETC割引ルールの見直しを行っています。
たとえば、「平日朝夕割引」は平日の6時〜9時および17時〜20時に割引が適用されています。この見直しでは適用時間帯を全日・24時間に拡大すると公表しています。
新たな割引は、2023年4月から石川県の一部区間で試行が開始され、2024年4月からは複数エリアに拡大される予定です。今後は割引による効果を検証のうえ、2026年までに新しいルールを本格展開することを目指しています。
このように、ETC割引は見直しが行われているため、最新情報は国土交通省やNEXCOのウェブサイトなどで確認しましょう。
参考:国土交通省道路局「新たな高速道路料金に関する基本方針」
※2024年8月執筆時点
ここでは、ETC割引を活用する際の注意点をご説明します。
複数の割引の適用条件を満たす場合、必ずしもすべての割引が併用できるとは限りません。たとえば平日朝夕割引は、休日割引や深夜割引、障害者割引などと併用できず、これらのうち割引後の料金が安くなるものが適用されます。一方で休日割引は、ETCマイレージサービス、大口・多頻度割引と併用できるなど、複数の割引を併用できる場合もあります。
休日割引は、土日・祝日であればいつでも適用されるわけではありません。ゴールデンウィークやお盆、年末年始などは渋滞の激化を避けるため、休日割引の適用が除外される点に注意しましょう。
休日割引適用除外は、定期的に見直しが行われています。各高速道路会社のウェブサイトで最新情報を確認しましょう。
ETCは時間帯や曜日、区間などによってさまざまな割引が用意されています。ETCカードを使用するには車載器とセットアップ費用がかかりますが、上手に割引を活用すれば、それらの支出を補える程度のメリットになるでしょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
ETC割引には、以下のようなサービスが用意されています。
ETC2.0に対応したETC車載器を搭載した車です。
ETCで平日割引される時間帯は以下の通りです。
平日朝夕割引:平日「6時〜9時」、「17時〜20時」
深夜割引:毎日「0時〜4時」
※2024年8月時点
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※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
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