イモビライザーとは。点滅で搭載？合鍵は作れる？

「イモビライザー」とは、キーと車のIDを一致させることで乗り逃げや盗難などを防止する機能のひとつです。最近では、標準装備になっていることも多いイモビライザーですが、「どのようなしくみなのかわからない」、イモビライザーが車のキーとの組み合わせになっていることから、「鍵の種類とあいまいになっている…」という方もいらっしゃるでしょう。
今回は、防犯装置である「イモビライザー」の機能を中心にお伝えします。

車の鍵のタイプはさまざまなものがあるので、まずは車の鍵について整理しておきましょう。

イモビライザーとは、車とキーのそれぞれに事前に登録されたIDを照合し、一致する場合のみエンジンを起動させるという、自動車の盗難を防ぐシステムのことです。たとえ鍵の形状が合致しても、IDが異なる場合にはエンジンが起動しないので、防犯効果が高く、車両盗難防止には非常に有効な手段となっています。

従来の車のキーの多くは、通常キーシリンダーの内部とキーの鍵山が物理的に一致すれば、エンジンの起動ができるものでした。

それに対してイモビライザーは、専用のキーに埋め込まれた「トランスポンダ」と呼ばれる電子チップが持つ固有のIDコードと、車両側に設定されているIDコードを電子的に照合し一致させることで、エンジンの起動ができるものです。設定されているキーのIDは暗号化されているため、複製することは極めて難しいと言われています。

この防犯効果の高さから、EU諸国では法整備が進み、1995年からすべての車にイモビライザーを装備することが義務化されました。しかし、日本でイモビライザーが広まったのは2000年代に入ってからであり、現在でもイモビライザーを搭載していない車もあります。

なお、イモビライザーキーというのは、自動車のキータイプのひとつに当たります。

イモビライザー機能を搭載している車には、メーター周辺にその機能を示すインジケーターランプが付いています。駐車中にキーが差し込まれておらずエンジンが停止しているとき、このランプが点灯または点滅することで、周囲にイモビライザー搭載車だと認識させることで盗難防止効果を高めています。

ランプの形状はいくつか種類がありますが、鍵のシルエットや、車と鍵の絵を組み合わせたようなマークが多いようです。また、ランプの有無の他に、イモビライザーステッカーが貼ってあるかどうかでも確認できます。ウインドウに貼ってあることが多いのですが、これも周囲にイモビライザー搭載車だとアピールすることで、盗難防止効果を高める狙いがあります。

車の鍵を紛失してしまって、途方に暮れて困った経験のある方もいるのではないでしょうか。イモビライザーキーをなくしてしまった場合は、なんとか車内に入ることができても、エンジンをかけることができません。

もし家の中ではなく、外で紛失した可能性がある場合は、交番に遺失物の届出を出しましょう。もし誰かが見つけて交番に届けてくれた場合は連絡がくるので、届出時にはできるだけ紛失時の詳しい状況を書き、キーナンバーなど落とした鍵が特定できるような番号や特徴も伝えておきましょう。

急ぎで鍵が必要な場合は、鍵業者に合鍵の作製を依頼するという方法があります。その場合は、イモビライザーに対応している業者かどうか、事前に確認が必要です。
ディーラーに頼むほうが純正のものをつくってもらえて、安心できるという方もいらっしゃるとは思いますが、鍵のタイプによっては、鍵業者よりも作製に時間がかかってしまうこともあります。
また、自動車保険のロードサービスにキー紛失時の解錠、キー作製がある場合、そちらを利用することも可能です。鍵の紛失時は、ご自身の加入されている自動車保険を一度チェックしておきましょう。

チューリッヒのロードサービスについてはこちら

紛失時に備え、イモビライザーを搭載した車のスペアキーをつくる際、鍵専門業者であればどこでも複製できるというわけではありません。
イモビライザーのスペアキーをつくるためには、イモビライザーのしくみに精通していること、トランスポンダと呼ばれるICチップごとに対応した機械やイモビライザーキーを登録するための装置、スペアキーを作製するための装置などの専用機材が必要です。
新しい車種が発売されれば、それに伴いICチップも新しくなりますので、それに対応している鍵業者でなければスペアキーの複製ができないのです。

よって紛失時に備えてイモビライザーのスペアキーを作製するならディーラーに依頼し、紛失などの緊急時は合鍵作成の専門業者にあたってみるのがよさそうです。

ご自身の自動車がイモビライザー搭載車でない場合は、イモビライザーを後付で取り付けることが可能です。後付けタイプのほうが防犯効果は高いと言われています。理由としては、純正品のイモビライザーは出回っている数も多く、それゆえに解除方法もかなり研究されてしまっているからです。

後付けタイプのイモビライザーの場合は、同一の車種であっても装備しているイモビライザーシステムの判別が難しいために、防犯効果が上がります。
ただ、取り付け費用も高いので、ハンドルロックなど自動車本体のキー以外の他の防犯対策なども検討するといいでしょう。

防犯効果が高いイモビライザーにも、欠点がないわけではありません。それは、あくまでもエンジンを始動することを防ぐものであるため、強引に窓を割って侵入するような車上荒らしには効力がないということです。

最近では、「イモビカッター」というものが登場し、イモビライザー搭載車でも盗難被害にあう事例が増えています。
イモビカッターは、イモビライザー搭載車のハンドル付近にあるコネクタに接続することで、IDを無効化してしまう装置です。暗号化されたIDを複製できなくても、無効化することで新しい別のキーと対応させることができてしまうのです。

またスマートキーから出ている信号を拾い、それを利用してドアを開け、エンジンをかける「リレーアタック」という手口も発生しています。

イモビライザーは車両盗難防止には非常に有効ですが、それだけでは自動車を完全に守りきることはできません。イモビライザーが付いていても被害に遭う事実があるので、ハンドルロック、警報機の装着など他の防犯グッズと組み合わせ、防犯対策を強化する必要があるといえるでしょう。

本記事では、イモビライザーについてお伝えしましたが、いかがでしたか。
イモビライザーは万能ではありませんが、非常に有効な防犯装置です。近年は特に防犯意識が高まり、イモビライザーやそれ以外の防犯グッズを車につけている方も多くいます。

ご自身の大切な自動車が盗難されるということがないように、イモビライザーの特性を理解したうえで上手に活用しましょう。