車の事故といえば、そのほとんどが道路上で起きていると思われるかもしれません。ところが実際は、車両事故のうち約3割※が駐車場で発生しているといわれています。近年ではアクセルとブレーキの踏み間違いによる大きな事故のニュースも耳にします。
ここでは、駐車場ではどのような事故が多いのか見ていきましょう。
※一般社団法人日本損害保険協会「東北6県の車両事故実態に関するモニタリング調査」(2018年1月〜12月)
コインパーキングや飲食店、コンビニ、民家などの駐車場内は、私有地扱いになります。道路交通法は原則として公道についての法律のため、駐車場内の事故では適用されず、警察が対処できないケースもあるようです。
ただし、「不特定多数のものが自由に行きかうことができる場所」は道路交通法が適用されることもあるため、駐車場内で発生した事故は警察に届け出る義務があります。
警察に届け出をしていない事故は交通事故証明書が発行されず、保険が適用されないこともあるので、事故が発生したら必ず警察に届け出ましょう。なお、私有地のため道路交通法が適用されない場合でも、自動車運転過失致死傷などの刑罰が適用される可能性はあります。
一般道では原則として車は同じ車線で同じ方向に走行し、右左折の際はウィンカーで進行方向が表示されます。歩行者が道路を横断する以外の目的で走行車線上に現れるケースは少ないでしょう。
一方、駐車場では車も歩行者も不規則な動きをしがちです。一般道に比べて駐車場は見通しが悪いため、利用者の多いコンビニやショッピングモールなどの駐車場では特に注意しましょう。
駐車場内ではドライバーがいない状態が多いため、当て逃げの事故も発生しやすいようです。となりの車にドアをぶつけてしまった、などのドアパンチも駐車場内で起こりがちな事故の一つです。
しかし、「ドライバーがいないから」とその場から逃走してしまうと「当て逃げ」となり、これは刑罰の対象になります。車をぶつけてしまった場合は「物損事故」として扱われますが、当て逃げは点数が加算されて免許停止になる可能性も。パニックに襲われるかもしれませんが、当て逃げは重い刑罰の対象になることを忘れず、落ち着いて必ず警察に届け出ましょう。また、保険会社にも連絡をしてください。
自分が当て逃げされてしまった場合は、まずは警察に連絡します。相手がわからない場合であっても修理代に保険が適用されるケースもあるので、保険会社にも連絡するようにしましょう。
限られた面積に多くの自動車を駐められる機械式立体駐車場は、都心のマンションでは特に多くみられます。利用者や周囲にいた方が機械装置に挟まれるなどして重傷・死亡に至る事故も起きています。利用する際は、充分に注意しましょう。
※政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報」
「止まってくれるだろう」「大丈夫だろう」という見込み運転は大変危険です。駐車スペースを探すことばかりに気をとられないよう、絶えず周囲の車や歩行者の動きに注意して、確認はミラーを見るだけでなく目視も行いましょう。
目だけでなく、音でも周囲の状況を確認できるように、オーディオのボリュームを下げて窓を開け、外の音が聞こえるようにするとより効果的です。クラクションの乱用は避けるべきですが、早めの警告やヘッドライトで自車の存在をアピールすることを心掛けましょう。
交通事故総合分析センターの統計によると、ブレーキとアクセルの踏み間違い事故の発生場所は「駐車場など」に多い傾向があります※。
バックしようとしたらギアがRに入っておらず前進してしまい、慌ててブレーキを踏んだつもりがアクセルだった…などの事故はどの年齢層でも起こりえます。「高齢者の事故」と考えず、普段から気をつけるようにしたいものです。
※財団法人 交通事故総合分析センター「イタルダ・インフォメーション No.86」
バックする際はギアをRに入れてもすぐには動かさず、リバース警告音を確認してから車を動かすことが重要です。バック駐車の場合は、後方の死角に人や車がいないか、常に確認しながら行います。特に子どもは死角に入りやすいので、要注意です。
駐車場内では充分に速度を落とし、徐行(時速10km以下)しましょう。歩行者がいる場合やバック運転の際はさらに速度を落とし、人が歩く速度(時速3〜4km)にします。また走行順路を守ることも大事です。
駐車場内で起きた事故の過失割合は、算定が難しいケースが多くあります。その理由は、もともと見通しが悪いことと、交通標識がないためです。どちらの過失割合が大きいかについては、トラブルになることも少なくありません。
さまざまなケースが考えられますが、過失割合は過去の判例にあてはめることにより決められています。たとえば、「通路を進行するクルマ(A)」と「駐車区画から通路に進入しようとしたクルマ(B)」との事故の場合、過失割合はA:B=30:70とされています(別冊判例タイムズ38号)。
車道から駐車場に入ると、走行速度が遅くなりつい緊張が緩みがちです。常に周囲に気を配り、事故防止に努めましょう。
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