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「リレーアタック」による車盗難対策・防止方法

「リレーアタック」による車盗難対策・防止方法

警察庁の発表によれば、2022年の自動車盗難認知件数は5,734件となります。自動車の盗難の手口はどんどん変わっており、最近、注目を集めているのが「リレーアタック」という手口です。これは、鍵を差し込まずにドアロックを解除し、エンジンを始動させることができる(起動可能にできる)スマートキーのしくみの「盲点」を突いたもので、日本でも広がっている巧妙な手口です。

車盗難の手口の変化

車盗難の手口の変化

車を盗むには、
1.ドアのロックを解錠して侵入する
2.エンジンを始動させ、自走できるようにする
というふたつのステップが必要です。

かつての自動車盗難は窓ガラスを割ったり、ドアロックをピッキングで解除したりして、ステアリングについている始動用のキーシリンダーを外して配線を直結させ、エンジンを始動させるなどの手法が取られていました。

イモビライザーとイモビカッター

イモビライザーとイモビカッター

自動車が高度に電子化される過程で、盗難対策の「イモビライザー」というシステムが組み込まれるようになりました。従来は、エンジンキーの複雑な凹凸の組み合わせで正しい鍵かどうか判断していたのですが、キーにトランスポンダと呼ばれる固有の電波発信器を埋め込むことで、自動車側の受信器がその信号を受け、IDが一致したときにだけエンジンを始動させるというしくみを付加したのです。

これで、合鍵を作っての盗難が不可能になり、さらに車内に侵入するような不審な振動を感知するとクラクションが鳴り響くような仕掛けも加えることで、盗難対策は進歩したように見えました。

しかし、イモビライザーに使われているIDを無効化して、エンジンを始動させてしまう「イモビカッター」という機器の出現により、イモビライザーが破られ、車が盗まれる事態が起こるようになりました。

スマートキーの特性を悪用した「リレーアタック」

スマートキーの特性を悪用した「リレーアタック」

さらに、新しい手口「リレーアタック」では、素早く、しかもスムーズに自動車が盗まれるようになってしまったのです。

スマートキーの「電波」が狙われる

最近の自動車には、キーシリンダーに差し込む形状のエンジンキーから進化して、タグ状のキーを持った運転者がドアハンドルを引くと自動的にドアが解錠され、ブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押すとエンジンがかかる(ハイブリッド車や電気自動車などでは起動可能になる)「スマートキー」が普及しています。運転者はキーを服のポケットから出す必要がありません。

それまでも、ドアロックの解錠を無線で行う「キーレスエントリー」などと称したワイヤレスドアロックシステムがありました(現在でも多くの自動車に採用されています)が、運転者がスイッチボタンを押す必要があるものです。スマートキーはわざと電波を微弱にして、届く距離を1.5m程度に短くしたため、この微弱な電波を受信し続けている状態で、自動車のコンピュータは「運転者がいる」と判断して解錠し、エンジン始動を可能にします。この電波にもID情報が乗っているので、通常の鍵と同等、もしくはそれ以上の防犯効果があるとして普及したのです。

数人のチームで電波を中継

ところが、そのシステムを逆手にとって悪用したのが「リレーアタック」です。
犯人は数人のグループを組んでいます。たとえば一戸建て住宅の玄関に駐車場がある場合、住居に近づいてスマートキーからの信号を受信、それをブースターと呼ばれる機器で増幅して電波を強くし、車の近くにいる人物が解錠、スタートボタンを押してエンジンを起動させ、盗んでしまうのです。あるいは、車を離れた運転者を尾行して電波を傍受することもあるようです。

一昔前、家庭用インターネットのWi-Fiの電波が家の外に漏れていて、外からタダ乗りされたり、ハッキングされたりする危険があると問題になり、パスワード設定が普及したことがありました。それと同じようなことが、いままた起こっているわけです。

この手口は海外で報告されていましたが、日本国内でも、ある自動車窃盗未遂事件で防犯カメラに中継機器を持った人物が映っていたことから、自動車窃盗の方法として使われていることが確認できました。リレーアタックが使われたと疑われる盗難事例は、すでにかなりの数にのぼっているといいます。

リレーアタック対策

リレーアタック対策

それでは、リレーアタック対策にはどんなことをしたらよいのでしょうか。

スマートキーはオン・オフのスイッチがなく、常に微弱な電波を出しています。
自動車の側に、追加のイモビライザーやカーセキュリティを設置する方法もあります。最近ではドライブレコーダーと連動したり、万一の際にGPSによる位置確認ができ、スマホで認証・確認する機能を持った製品もありますので検討するのもよいでしょう。

「節電モード」にすると電波が遮断される

「節電モード」にすると電波が遮断される

しかし、もっと簡単な方法としては、スマートキーを「節電モード」にすることが勧められています。トヨタの場合、2013年以降にフルモデルチェンジされた車種のスマートキーについては節電モードを装備しています。

スマートキーの施錠ボタンを押しながら、開錠ボタンを2回押すと節電モードになり、電波を出さなくなります。スマートエントリーシステムは使用不能の状態になりますが、キーのいずれかのボタンを押せば節電状態は解除されます。帰宅したとき、家を出るときに節電モードをオン・オフする習慣をつけるといいでしょう。スペアキーは、どこの家でも自宅に置いたままになることが多いと思われますが、節電モードにしておけば盗難リスクを下げられますし、電池が長持ちすることにもつながります。

金属製の缶、電波遮断ポーチを活用する

また、自宅の玄関近くなど、外に電波が漏れやすいところにスマートキーを置かないようにし、ふたのできる金属性の缶などに入れると、電波を遮ることができます。
カー用品店やネットショップで、電波遮断ポーチ、キーケースなどを購入するのも有効です。

まとめ

まとめ

スマートキーの特性を悪用した車両盗難被害はさらに拡大しています。

2019年3月にはスマートキーの微弱電波を捉えてスペアキーを作る機器「コードグラバー」を使った新しい盗難手口があらわれました。「リレーアタック」がスマートキーに人が近づく必要があったのと違い、「コードグラバー」は機器を車両近くに置くことでスペアキーを作成します。

便利なスマートキーですが、その特性を理解して、しっかりと防犯対策を立てましょう。そしてご紹介した対策だけでなく、ハンドルロック、警報機など他の防犯グッズと組み合わせて対策を強化することが重要です。

車両盗難は減少傾向にありますが、盗難手口が巧妙化し、高級車の盗難が目立ちます。万が一のために盗難被害も補償対象である車両保険についても検討してみてください。

最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。

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