更新日:2024年8月13日
公開日:2015年10月21日
高齢者講習とは、運転免許証の更新期間満了日時点で70歳以上の方が免許を更新する場合に受けなければならない講習です。普通自動車第一種免許の場合は、講義(座学)と運転適性検査、実車指導を経たうえで更新手続きを行います。
高齢者講習のテスト問題などの内容や受講までの流れ、何歳から受講が必要かご説明します。
また、75歳以上の方の免許更新についてもご説明します。
高齢者講習とは、運転免許証の更新期間満了日時点で70歳以上の方が免許を更新する場合に受けなければならない講習です。
70歳以上の方は、高齢者講習を受けなければ運転免許証を更新できません。
高齢運転者による死亡事故件数は、近年増加傾向にあります。
年齢を重ねるとともに、記憶力・判断力の低下や体力・筋力の衰え、視力の低下などがあらわれ、アクセルとブレーキの踏み間違いや前方不注意など、交通事故につながる重要な影響を及ぼす可能性があります。
高齢者が安全に運転し続けるためには、加齢による身体的な変化を理解し、それに応じた運転技術や安全対策を身につけることが必要です。
このような背景から、道路交通法で高齢者講習が義務付けられました(2022年5月13日施行)。
75歳以上の方は「認知機能検査」も受ける必要があります。なお、免許証を更新しない方や自主返納する方は、高齢者講習を受講する必要はありません。
高齢者講習を受けられる期間は、更新期間満了日(誕生日の1ヵ月後の日)の6ヵ月前から更新期間満了日までです。
高齢者講習は合否がないため、講習を受けるのは期間中の1回のみです。
高齢者講習のテスト問題の内容や費用、所要時間は所有している免許の種類によって異なります。
講習の名称 | 所要時間 | 講習の内容 | 講習手数料 |
---|---|---|---|
高齢者講習 (普通自動車対応免許所持者) |
2時間 |
座学・運転適性検査(60分) 実車指導(60分) |
6,450円 |
高齢者講習 (原付、二輪、小特、大特のみの方) |
1時間 | 座学・運転適性検査(60分) | 2,900円 |
高齢者講習の内容は以下の3つに分けられます。
講義ではDVDなどを視聴して、車社会の実態や交通事故の特徴、安全運転の心構え、基礎知識などを学びます。
講義にかかる時間は30分程度です。受講者に質問したり発言を促したりして、理解度を確認しながら進行するため、「双方向型講義」などの名称を使用している自治体もあります。
運転適性検査では、主に以下の検査が行われます。
運転適性検査にかかる時間は30分程度です。検査ごとに合格基準が定められており、それぞれの合格基準は免許の種別によって異なります。
たとえば視力の場合は、普通第一種免許であれば両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上、または一眼の視力が0.3に満たない方、もしくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であることとなっています。
裸眼に限らず、メガネやコンタクトレンズを使用した矯正視力でこの規定をクリアすれば問題ありません。
※参考:警視庁「適性試験の合格基準」
※2024年6月執筆時点
実車指導は教習所のコース内を実際に運転し、運転状況に応じて指導員からアドバイスを受けるものです。指示速度による走行や一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げなどの課題があります。
実車指導にかかる時間は1時間程度です。実車指導に合否の判定はなく、受講後に免許更新の手続きに必要な「高齢者講習終了証明書」が交付されます。
参考:警視庁ホームページ「高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)」
高齢者講習の流れは以下のとおりです。
更新期間満了日における年齢が70歳以上の方に対し、有効期間満了日の約6ヵ月前に「講習のお知らせ」はがきが届きます。
高齢者講習は予約制とする自治体が多いため、はがきを受け取ったら早めに予約しましょう。
高齢者講習には以下のものを持参しましょう。
講習手数料は免許種別によって異なり、普通自動車対応免許であれば6,450円、二輪・原付・大特・小特のみの場合は2,900円です。なお、免許更新には講習手数料とは別に更新手数料(2,500円)がかかります。
参考:警視庁ホームページ「高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)」
免許更新の流れは、以下の図のように「70歳から74歳」と「75歳以上」で異なります。
運転免許証の更新期間満了日(誕生日の1ヵ月後の日)の年齢が70歳から74歳の方は、高齢者講習の受験のみで、免許証の更新が可能です。
免許更新期間の満了日の年齢が70歳から74歳の方が受けるのは高齢者講習のみです。一方、75歳以上の方は「認知機能検査」を受ける必要があります。
認知機能検査で「認知症のおそれなし」と判定された場合は、高齢者講習を受けて免許更新手続きをすれば、免許を更新できます。
しかし「認知症のおそれあり」と判定された場合は、臨時適性検査を受けるか、医師の診断を受けて診断書を提出する必要があります。そこで「認知症である」と診断されれば、聴聞などの手続きを経たうえで、免許の取消または効力の停止となります。
2022年5月13日に施行された道路交通法改正により、75歳以上で一定の違反歴がある方は「運転技能検査」を受検しなければならなくなりました。教習所のコースなどで実際に車を運転し、合格しなければ免許を更新できません。
運転技能検査の内容は「75歳以上で一定の違反歴がある方が受検する運転技能検査とは」で詳しくご説明しているので、あわせてご確認ください。
認知機能検査は記憶力や判断力を測定する検査です。「手がかり再生」と「時間の見当識」という2つの検査項目に分けられます。
手がかり再生 |
記憶力の検査 一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答する。さらに、ヒントをもとに回答する。 【問題例】 |
---|---|
時間の見当識 |
時間感覚の検査 検査時における年月日や曜日、時間を回答する。 【問題例】 |
認知機能検査の対象者には、運転免許証の更新期間が満了する日の6ヵ月前までに認知機能検査の通知が届きます。
参考:警視庁ホームページ「認知機能検査について」
認知機能検査の結果が36点未満の方は「認知症のおそれあり」と判定され、臨時適性検査(専門医の診断)の受検または診断書の提出が必要です。検査は何回でも受けられますが、受けるたびに手数料を払う必要があります。
75歳以上の方のうち、運転免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の160日前を起点とし、それ以前の3年間に一定の違反歴がある方は「運転技能検査」を受けなければなりません。運転技能検査の対象となる方は、その検査に合格しなければ、免許を更新できません。
運転技能検査が必要となる一定の交通違反は以下のとおりです。
運転技能検査では、一時停止や信号通過、右左折、指示速度、段差乗り上げなどの課題を行います。運転技能検査の手数料は、検査を受ける教習所によって異なります。
運転技能検査は認知機能検査と同様、何回でも受けることが可能です。ただし有効期間満了日までの6ヵ月までの間に合格する必要があります。はがきが届いたら早めに予約して受検しましょう。
参考:警視庁ホームページ「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)運転技能検査について」
運転技能検査の採点は、運転行為の危険性に応じて100点満点からの減点方式で行われます。合格点は第一種免許が70点以上、第二種免許は80点以上で、検査は検査当日にわかります。
運転免許証を所有している75歳以上の方が下記の基準行為をした場合は、更新時以外でも認知機能検査を受けなければなりません。これを「臨時認知機能検査」といいます。
臨時認知機能検査を受けなければならない基準行為は以下のとおりです。
臨時認知機能検査の通知を受けた場合は、指定された日時、場所で受検します。所要時間は約30分で手数料は1,050円です。
臨時認知機能検査の結果が「認知症のおそれあり」(36点未満)の方は、専門医による臨時適性検査の受験、または医師の診断書の提出が必要です。その結果、認知症と診断された場合は、免許証が取消・停止となり、「認知症ではない」と診断された場合は「臨時高齢者講習」を受けることとなります。
臨時認知機能検査の結果が「認知症のおそれなし」(36点以上)の方は、臨時高齢者講習を受けなくても免許が更新されます。
参考:警視庁ホームページ「臨時認知機能検査と臨時高齢者講習(75歳以上の方)
臨時高齢者講習の通知を受けた場合は、指定された日時、場所で受講します。また、臨時適性検査において「認知症ではない」と診断された方でも前回の認知機能検査結果から悪化している場合は、臨時高齢者講習の受講が必要です。
所要時間は2時間、手数料は6,450円です。
参考:警視庁ホームページ「臨時認知機能検査と臨時高齢者講習(75歳以上の方)
運転免許取得者等教育(高齢者講習同等課程)を受講すると、高齢者講習を受けずに免許を更新できます。
運転免許取得者等教育とは、高齢者講習と同等の効果があるものとして公安委員会から認定を受けた講習です。教習所など、民間の運転者教育機関が実施しています。
受講すると「運転免許取得者等教育(高齢者講習同等)終了証明書」が交付されます。
講習実施の有無や実施時間、料金設定は教習所ごとに異なるため、運転免許取得者等教育を受けたい場合は問合わせが必要です。
加齢により視力や筋力、判断力などが低下すると、信号無視や一時不停止の違反をしたり、進路変更の合図が遅れたりする傾向があります。
これまでのような運転ができなくなったと感じた場合は、以下の対応を検討しましょう。
加齢により運転に不安を感じるようになった方は、自主的に運転免許証を返納できます。
自主返納すると、公的な本人確認書類となる「運転経歴証明書」の交付を受けられるため、運転免許証を身分証明書として活用していた方でも心配はいりません。
自主返納する場合は、各都道府県の警察署または運転免許センターで手続きを行います。ただし、運転免許の停止・取消の行政処分中の方や、停止・取消処分の基準などに該当する方は自主返納ができません。
各都道府県には「安全運転相談窓口」が設置されています。
安全な運転に不安のある高齢ドライバーやそのご家族、身体の障害や病気などによる症状のため安全な運転に支障のある方が、看護師や医療系専門職員などの担当職員に相談できる窓口です。
安全相談窓口では、自主返納や安全運転などの具体的な相談内容に対してアドバイスを受けられます。本人だけでなく高齢の家族の運転に関して不安がある場合も相談可能です。
運転に少しでも不安がある方は、まずは各都道府県の安全相談窓口に相談するとよいでしょう。
高齢者講習は、自身の認知機能や運転技能に気付くきっかけになります。これまでのように運転ができないと感じたときは、医師や各都道府県の運転免許センターなどにある安全運転相談窓口に相談しましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
「講習のお知らせ」はがきを受け取ったら、希望する受講会場に電話して直接予約しましょう。
地域によっては予約が取りにくいところがあるため、早めに予約することが大切です。
高齢者講習は70歳以上の方が免許更新する際に受ける講習です。免許証の区分や有効期限時の年齢によって、高齢者講習を受ける有効期間は異なります。
免許証の有効期間は、70歳の優良運転者・一般運転者(更新期間満了日の直前の誕生日に71歳を迎える方)の有効期間は4年、71歳以上の優良運転者・一般運転者(更新期間満了日の直前の誕生日に72歳を迎える方)が3年です。
高齢者講習は合否を判定するものではありません。
ただし、一定の違反歴がある75歳以上の方を対象とした「運転技能検査」の実技で不合格となった場合は、免許が失効となります。運転技能検査は、更新期限までの6ヵ月間は何度でも受検が可能なため、はがきが届いたら早めに受検しましょう。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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