更新日:2023年11月15日
公開日:2020年11月9日
スピード違反(速度違反)は、交通違反の中でも件数が多い違反の1つで、正式な交通違反名を「速度超過」といいます。自動車を運転していれば取締り現場を通りかかったり、いつもは慎重に運転しているのに、うっかり自分自身もスピード違反をしてしまったりといった苦い経験がある方もいらっしゃるでしょう。
スピードの出しすぎは大事故につながる危険な行為です。スピード違反(速度違反)の点数や反則金、罰金のしくみについてご説明します。
道路交通法では最高速度について以下のように規定しています。
第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
道路上に設置された標識や標示に書かれた最も速く走れる速度=「最高速度」、その他標識や標示がない道路においては政令で定める最高速度=「法定速度」を超えて走行すると、スピード違反(速度違反)となります。
法定速度は一般道では時速60km、高速道路では時速100kmとなっています。
(ただし、新東名高速道路など、高速道路の一部区間において最高速度規制を120kmとしているところもあります。)
スピード違反をした場合は超過したスピードによって、「反則金」もしくは「罰金」の処分を受けることになります。
スピード違反の件数は非常に多いため、比較的軽微なスピード違反に対しては、交通反則通告制度による行政処分となります。警察からいわゆる「青キップ」(交通反則告知書)と納付書が渡され、一定期間内に反則金を納めることで刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理されます。
以下の表でいうと、一般道で超過速度時速30km未満、高速道路で時速40km未満の違反の場合が反則行為として反則金が科せられます。スピード違反の反則金は、超過したスピードに応じて金額が変わります。
下表に色付けしてある一般道30km以上、高速道路40km以上のスピード違反は、いわゆる「赤キップ」(交通違反通告書が交付され、刑事上の責任が免除されない重大な違反)となり、刑事処分として罰金が科せられ、前科がつきます。
罰金額は裁判によって決まります。
一般道路 | 高速道路 | 一般道路 | 高速道路 | ||
---|---|---|---|---|---|
超過速度 (単位km) |
点数 | 反則金 (普通車の場合) |
|||
1〜14 | 1 | 9,000円 | |||
15〜19 | 1 | 12,000円 | |||
20〜24 | 2 | 15,000円 | |||
25〜29 | 3 | 18,000円 | |||
30〜34 | 6 | 3 | 6ヵ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金 | 25,000円 | |
35〜39 | 3 | 35,000円 | |||
40〜49 | 6 | 6ヵ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金 | |||
50〜 | 12 |
このようにスピード違反に対する処分は行政処分としての「反則金」と刑事処分としての「罰金」があります。
スピード違反の反則金・罰金の額、違反点数は超過したスピードが大きいほど重くなり、一般道路か高速走道路かによっても異なります。
スピード違反は超過したスピードによって違反点数が決められています。超過した速度によっては1回の違反で「一発免停」「免許取消」になることがあります。
交通違反の点数制度は、減点方式ではなく累積方式であるため、それぞれの違反行為につけられている点数を累積します。
過去3年以内の 運転免許停止などの処分回数 |
停止期間 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
30日 | 60日 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | |
なし | 6点〜8点 | 9点〜11点 | 12点〜14点 | ‐ | ‐ | ‐ |
1回 | ‐ | 4点〜5点 | 6点〜7点 | 8点〜9点 | ‐ | ‐ |
2回 | ‐ | ‐ | 2点 | 3点 | 4点 | ‐ |
3回 | ‐ | ‐ | ‐ | 2点 | 3点 | ‐ |
4回以上 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | 2点 | 3点 |
過去3年以内の違反点数の累積が6点に達した時点で、30日の免許停止処分となります。
過去3年以内の 運転免許停止などの処分回数 |
欠格期間( )は運転免許取消歴保有者 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年 (3年) |
2年 (4年) |
3年 (5年) |
4年 (5年) |
5年 | |
なし | 15点〜24点 | 25点〜34点 | 35点〜39点 | 40点〜44点 | 45点以上 |
1回 | 10点〜19点 | 20点〜29点 | 30点〜34点 | 35点〜39点 | 40点以上 |
2回 | 5点〜14点 | 15点〜24点 | 25点〜29点 | 30点〜34点 | 35点以上 |
3回以上 | 4点〜9点 | 10点〜19点 | 20点〜24点 | 25点〜29点 | 30点以上 |
過去3年以内の違反点数の累積が15点に達した時点で、免許取消しと欠格期間1年となります。スピード違反の免許停止、免許取消し(過去3年以内に前歴がない場合)でみていきましょう。
一発免停になる点数は「6点以上」です。一発免停になる超過速度は以下のとおりです。
一般道:時速30km以上の超過速度
高速道路:時速40km以上の超過速度
出典:警視庁 交通違反の点数一覧表
免許取り消しになる点数は「15点以上」です。50km以上の超過速度だとしても違反点数は12点ですので、前歴がなければ一般道、高速道路ともに一発免許取消しにはなりません。あくまでも前歴がないことが前提となります。
過去3年以内に免許停止・取り消し処分がない人の場合
一発免許停止:6点以上
免許取り消し:15点以上
出典:神奈川県警察 点数制度による運転免許の取消し・停止
行政処分を受ける基準点数についての詳細は警視庁ウェブサイト をご確認ください。
スピード違反(速度違反)は交通違反の中でも取締り件数が多いと冒頭でお話しました。警察庁「令和4年中の道路交通法違反取締り状況」をみてみると約505万件の交うち、最高速度違反が約93万件と全体の18.4%を占めています。
違反種別 | 件数 | 構成率 | |||
---|---|---|---|---|---|
動 的 違 反 | 無免許運転 | 16,761 | 0.3 | ||
飲酒運転 | 酒酔い運転 | 562 | 0.0 | ||
酒気 帯び 運転 |
0.25以上 | 14,456 | 0.3 | ||
0.25未満 | 4,802 | 0.1 | |||
計 | 19,258 | 0.4 | |||
小 計 | 19,820 | 0.4 | |||
最高速度違反 | 速度50以上 | 12,396 | 0.2 | ||
速度50未満 | 127,370 | 2.5 | |||
速度30未満 | 192,311 | 3.8 | |||
速度25未満 | 317,498 | 6.3 | |||
速度20未満 | 282,555 | 5.6 | |||
速度15未満 | 130 | 0.0 | |||
小 計 | 932,260 | 18.4 | |||
信号無視 | 521,829 | 10.3 | |||
歩行者妨害 | 336,504 | 6.7 | |||
一時不停止 | 1,466,131 | 29.0 | |||
過労運転等 | 131 | 0.0 | |||
積載違反 | 積載10割以上 | 807 | 0.0 | ||
積載10割未満 | 1,492 | 0.0 | |||
積載5割未満 | 1,274 | 0.0 | |||
(過積載の小計) | 3,573 | 0.1 | |||
積載方法等 | 7,867 | 0.2 | |||
小 計 | 11,440 | 0.2 | |||
通行禁止 | 697,682 | 13.8 | |||
追越し・通行区分 | 181,364 | 3.6 | |||
徐行違反 | 327 | 0.0 | |||
整備不良車運転 | 19,537 | 0.4 | |||
消音器不備 | 2,128 | 0.0 | |||
踏切不停止等 | 76,192 | 1.5 | |||
携帯電話使用等 | 252,456 | 5.0 | |||
危険違反 | 108 | 0.0 | |||
使用違反 | 252,348 | 5.0 | |||
右左折方法違反 | 44,365 | 0.9 | |||
騒音運転等 | 222 | 0.0 | |||
その他 | 268,140 | 5.3 | |||
計 | 4,847,289 | 95.9 | |||
その他 | 駐停車禁止場所等違反 | 21,769 | 0.4 | ||
うち放置駐車違反 | 20,986 | 0.4 | |||
駐車禁止場所等違反 | 137,489 | 2.7 | |||
うち放置駐車違反 | 126,962 | 2.5 | |||
小 計 | 159,258 | 3.2 | |||
免許証不携帯 | 46,724 | 0.9 | |||
計 | 205,982 | 4.1 | |||
合 計 | 5,053,271 | 100.0 |
また、令和4年中の高速道路における交通違反取締り状況 は以下のとおりで、最高速度違反が最も多く、超過速度40km未満が66.2%、超過速度40km以上が4.1%と合わせて70.3%を占めています。
違反 | 件数 | 構成率 | |
---|---|---|---|
無免許・無資格 | 608 | 0.2 | |
酒酔い・酒気帯び | 205 | 0.1 | |
過労運転 | 11 | 0.0 | |
速度違反 | 40km以上 | 16,060 | 4.1 |
40km未満 | 256,935 | 66.2 | |
車間距離不保持 | 5,213 | 1.3 | |
過積載 | 484 | 0.1 | |
駐停車違反 | 32 | 0.0 | |
通行区分違反 | 1,174 | 0.3 | |
通行帯違反 | 57,011 | 14.7 | |
携帯電話使用等 | 24,474 | 6.3 | |
高速遵守事項違反燃料措置 | 268 | 0.1 | |
高速遵守事項違反転落措置 | 469 | 0.1 | |
故障表示 | 3,137 | 0.8 | |
その他 | 22,183 | 5.7 | |
合計 | 388,264 | 100.0 |
10年ほど前のデータになりますが、警察庁交通局「速度規制の見直し状況と課題」(2)速度抑制による被害の軽減〜平成24年の交通事故件数によるシミュレーション〜によれば
と述べています。
※参照元:警察庁交通局 「速度規制の見直し状況と課題」1速度管理の必要性(2)速度抑制による被害の軽減
警察は交通事故を抑止するために、交通事故に直結する悪質な違反、迷惑行為に重点を置いて、さまざまな 取締りを行っています。
取締りによる事故の抑止効果は実際に取締りを受けた人だけでなく、取締り現場を見た人にもその効果が波及するという研究結果もあります。
スピードを出せば出すほど交通事故が起きたときの被害が大きい ため、交通事故による被害を減少させるためには、速度規制や取締りによる適切な速度管理が必要 なのです。
スピード違反(速度違反)の取締りには以下の方法が使われています。
①ネズミ捕り
正式名称は「定置式速度取締」です。2地点に器具を設置し、その間の通過速度を割り出してスピードを測定し、その先で違反車を停車させます。違反車両を現場で停止させるため、警察官の配置と車両を引き込むスペースが必要です。
②パトカー、白バイによる追尾
違反車を一定距離追尾して、スピード違反を確認できたら停止させ、違反車を検挙します。スピードは追尾している警察車両が測定しています。
③オービス
違反車両を自動撮影するカメラで「速度違反自動取締装置」のことです。一定の速度以上で走行する車両を速度違反車両として自動で撮影し、記録する装置です。
④可搬式速度違反自動取締り装置(可搬式オービス)
違反車両を止めるスペースがないなど、取締りスペースの確保が困難な生活道路、深夜など警察官の配置が困難な時間帯における取締りに、持ち運びができる通称『可搬式オービス』の導入も広がっています。
『可搬式オービス』は、制限速度を超えて走行している車両を感知すると、その車両の速度を測定し、車両や運転手の撮影などを行います。その場で、警察官による車両の停止をすることも、また後日、取締り場所を管轄する警察署などから車の所有者宛に出頭要請の連絡がある場合もあります。
スピード違反をした際の点数や反則金・罰金などについてご説明しました。スピード違反(速度違反)は取締り件数の多い交通違反ですが、車の速度が速ければ速いほど危険も増し、死亡事故につながる可能性が高まります。
ドライバーは運転に必要な情報の90%以上を視覚に依存しているといわれ、速度が増すほど視野が狭くなり、危険の認知が遅れます。またブレーキが利き始めてから停止するまでに走行する制動距離も速度の2乗に比例して大きくなります。
法定速度を守り、安全運転をするのがドライバーの義務です。速度超過の危険性を十分認識し、普段から余裕をもった運転を心がけましょう。
※2023年11月執筆現在
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客様に適用されない場合がございます。
必ずお客様の保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引
A-231127-07