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ホイールナットの締め付け

ホイールナットの締め付け

一般のドライバーでも、タイヤ交換など、自分自身でホイールを車体から脱着することがあります。この作業で気をつけたいのが「ホイールナットの締め付け」です。締め付けが緩いとナットやタイヤが外れる危険があり、強すぎてもボルトが破断してしまうことがあります。事前に正しい知識を得て作業を行いましょう。この記事ではホイールナットの締め付けについてご説明します。

知っておきたいホイール脱着に関する用語

まずはホイールの脱着で実際に取り扱う部分について知っておきましょう。

ナット

「ボルトのネジ山を受ける側」の部品です。ボルトに比べ短いことがほとんどで、ネジ山が入っていくための穴が空いています。

ボルト

ネジ山が刻まれた金属の棒のことです。国産車の多くは、車体側からボルトが出ていますので、そこへホイールの穴をはめ、最後にナットで締め付けます。輸入車と一部の国産車はこの逆で、車体側にはナットと同じようにネジ山が刻まれた穴が空いており、ここへホイールの穴を合わせ、ボルトを締め付けていく方式です。この記事では「ナット」を扱いますが、「ボルト」と同じように考えて問題ありません。

トルク

タイヤ交換、ホイールの脱着でよく耳にするのが「トルク」という用語です。トルクとは物体をねじる方向の力のことで、N・m(ニュートン・メートル)またはkgf・m(キログラム・メートル)という単位で表されます。

あると必ず役に立つ、トルクレンチ

あると必ず役に立つ、トルクレンチ

トルクはホイールナットを締め付ける際、非常に重要な指針となります。車やホイールのメーカーが指定するトルクを超えて締め付けを行うと、必要以上の力がナットやボルトにかかり、最悪の場合は破断(ねじ切れ・ボルト折れ)を招きます。作業中に破断しなかったとしても、そのような状態で走行を続けていることは非常に危険です。

ホイールナットの締め付けトルクは、一般的に普通乗用車では90〜110N・m(9〜11kgf・m)、軽自動車では70〜90N・m(7〜9kgf・m)といわれています。この値を手の感覚だけで合わせることは困難なため、トルクレンチという工具が市販されています。ご自身の車の適正なトルク値を知りたい場合は、まず取扱説明書をご覧ください。
記載がない、あるいは純正ホイールではない場合は、ディーラーやホイールメーカーなどに問合わせましょう。自動車メーカーによっては車種別の適正トルク値を一覧表としてネット上に公開しているところもあるようです。

トルクレンチを使うと、セットしたトルク以上にはナットを締め付けることができなくなります。そのため、ナットやボルトへの過度な負荷や破断を回避することができるのです。

なお、「インパクトレンチ」と呼ばれる電動工具もありますが、規定トルクでの締め付けができないインパクトレンチでは締め付け過ぎてしまう場合があり、おすすめできません。もしインパクトレンチを締め付け作業で使用する場合は、工程の前半だけにとどめておきましょう。

トルクレンチを使用せずにホイールナットを締め付けるには

トルクレンチを使用せずにホイールナットを締め付けるには

夏タイヤとスタッドレスタイヤを1年に一度交換する、といったように定期的にホイール脱着をするのならトルクレンチの購入をおすすめしますが、もしそこまでの頻度でないのなら、新車であれば車載されているホイールレンチ(ホイールナットレンチ)で十分です。

ホイールナットの締め付けを行う場合は、ジャッキなどで車を浮かせた状態にする必要があります。車体が不安定な状態になるため、作業は慎重に行い、無理をしないように気をつけてください。ここからは、ホイールの穴が4つの場合について、締め付け方法をご紹介します。

  1. @ホイール穴をボルトに通し、ホイール・タイヤ全体を車体側にぴったりと接触させる
  2. Aナットを一箇所だけはめ、指で回していく
  3. B最初にはめたナットと対角にあたる部分のナットをはめ、指で回していく
  4. C残った2つのうち片方のナットをはめ、指で回していく
  5. D最後のナットをはめ、指で回していく
  6. E車載のホイールレンチを使用し、ナットをA〜Dの位置の順で締め付けていく
  7. Fジャッキを下げて、本締めを行う

ナットの締め付け作業での大きなポイントは、「対角にあるナットの順番で締め付けていく」ことです。最初の位置から時計回り、あるいは反時計回りに作業してしまうと、締め付けトルクの偏りによってホイールが車体に対して正しく装着できないことがあります。これに気付かずに走行を続けると、ボルトの破断やタイヤの脱落などの危険性があります。

5つの穴が空いているホイールでは、最初のナットから時計の文字盤で例えると「12時→4時→10時→2時→8時」といったイメージで締め付けていきましょう。指でナットを回していく段階(上記A〜D)では、指の力が強く必要となったところで一旦止めておくと、締め付けトルクの偏りを抑えられますのでおすすめです。

@ A B C D

Eの工程後は仕上げとして最後の締め付けをします。車の駆動方式によっては、ジャッキアップした状態ではナットとホイールが共回りしてしまい、最後の締め付けがしづらい場合があります。ジャッキを下げてから最後の締め付けを行いましょう。安全面からも、下ろすことを強くおすすめします。

適正トルクでの締め付けが難しい車載工具では、最後に体重を軽くかけて「ぐっ」と締め込むと良い、とよくいわれます。筋力に頼ってしまうとトルクがかかり過ぎてしまうため、これを防止する目安として「体重をかける」と表現されているのです。ホイールレンチを回すというよりは、体重を乗せて押すイメージで最後の締め付けを行ってください。

作業後に気を付けること

どのような方法で作業をしたとしても、忘れてはならないのが「作業後の確認」です。

ホイールナットの締め付けを行った後しばらく走行したら、ナットが緩んでいないかを確認してください。レンチを使い、再び最後の締め付けを行います。取り付け作業と同じように力を加え、その際にまだ大きく回ってしまうようならナットが緩んでいます。再び走行後に確認してください。

この確認を怠ると大事故になりかねませんので必ず行いましょう。

またアルミホイールの場合は作業中に、工具でキズを付けてしまう可能性があります。工具を正確にナットに当てるよう心がけてください。

最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。

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