自動車の車検証には、「車名」とは別に「型式」という項目があります。車名というと「プリウス」「ステップワゴン」「N-BOX」などを思いうかべる方もいらっしゃるかもしれませんが、車検証の項目にある車名とはトヨタ、ホンダ、日産などのメーカー名のことをいいます。ですから車名だけでは、車種、旧型なのか新型なのか、いつのモデルを指しているのかわかりません。車種やモデルを細かく識別・分類する記号を「型式」といいます。
本記事では、型式の調べ方や、型式不明時の対処法について説明していきます。
車がナンバーを取得して公道を走るためには、道路運送車両法で定められた保安基準に適合しているかの審査を受け、新規登録、新規検査を受けなければなりません。その際、自動車の識別をするために必要なものが「型式」です。
「型式」は自動車の車種やモデルを分類するためにアルファベットと数字の組み合わせで付される識別記号で、自動車検査証(車検証)の上図赤枠「型式」欄に記載されています。普通車であれば、車検証の左側ほぼ中央の部分に、軽自動車であれば、車検証左側の 「車名(自動車メーカー)」の右側にある項目です。
車検証が見つからない場合など、自動車のコーションプレート※でも型式を確認することができます。
※コーションプレートとは
車体番号や車体の型式、車体色などが記された5cm×10cmほどの金属板です。主にエンジンルームやドアの内側に、リベットや溶接で取り付けられており、簡単には外せないようになっています。メンテナンスの際の車種特定に必要なデータが記されているため、車の身分証明書ともいえる重要なものです。
自動車が公道を走るには保安基準に適合しているかの審査を陸運局で1台1台受ける必要があると前述しました。
上図ブルーで囲んであるのが「型式指定番号」。こちらは自動車メーカーが新車を生産、または販売する際にあらかじめ国土交通大臣に申請して、ブレーキ試験等の基準適合性審査と品質管理(均一性)の審査を受け、指定を受けた車は陸運局への車両持ちこみをせずに、ナンバー登録ができるということです。
「型式指定番号」と「類別区分番号」に記載があれば国土交通省による型式指定を受けているということです。
型式は通常、「○○○−△△・・△△」のような形式で表示され「排出ガス規制の識別記号」+「自動車製作者(メーカー)が決めた記号」で構成されています。ハイフン以降の識別子は、メーカー側で自由に設定できる識別子となるため、各社共通のルールといったものはありません。
参考にトヨタ ヴォクシーハイブリッドV(2017年7月)の型式で確認してみましょう。
DAA-ZWR80G
前半のDAAにあたる部分が、国土交通省の定める「自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号」、ハイフン以下のZWR80Gにあたる部分が「自動車製作者等が決めた記号」となり、保険料率を定める単位となる型式になります。
「自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号」については、以下のようにアルファベットで表されます。
ABA | 平成17年規制に適合させたもの |
---|---|
AAA | 平成17年規制に適合させたハイブリッド車 |
CBA | 平成17年基準排出ガス50%低減レベルのもの |
DBA | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのもの |
CAA | 平成17年基準排出ガス50%低減レベルのハイブリッド車 |
DAA | 平成17年基準排出ガス75%低減レベルのハイブリッド車 |
今回の例のトヨタ ヴォクシーハイブリッドV(2017年7月) はDAAとなっていますので、平成17年基準排出ガスより75%低減の低排出ガス認定をうけたハイブリッド車ということです。
※この他に、平成12年規制に適合させたもの(GH)、同25%低減レベルのもの(TA)、同50%低減レベルのもの(LA)、同75%低減レベルのもの(UA)もあります。
平成16年以前の表記と、貨物車・重量車は識別子が異なります。詳しくは、国土交通省のウェブサイトをご覧ください。
「自動車の構造・装置・性能などが同一であるもの」に対して型式が認定されるので、メーカー・車名・車体の形状・エンジンの種類や型式(排気量)・駆動形式などは、型式から判別が可能となります。
また、それ以外には、車のグレードなども型式でわかる場合がありますが、走行性に大きな影響を与えない部分だけの差であれば、同一の型式を用いる場合もあります。
その場合は、車台番号※と組み合わせることでより細かい内容が判明します。
※車台番号とは?
車に割り当てられるシリアルナンバー。車検証、および車のコーションプレートに記載されています。
自動車保険は、自動車の種類や運転者の年齢、過去の事故歴など、一人ひとりの差異に応じて保険料が異なります。補償内容や等級が同じでも契約車両によって保険料が異なるのは、保険料の算出に「型式別料率クラス」が適用されているからです。
型式別料率クラスには「対人賠償」「対物賠償」「傷害(人身傷害・搭乗者傷害)」「車両保険」の4つの項目があり、自動車の型式ごとに、この4つの項目を1〜9の9段階の数字で区分しています。
「リスクが高い」とみなされるほど数字が大きくなり、保険料はクラス1が最も安く、クラス9が最も高くなります。
一般的な傾向としては、スピードが出て事故を起こしやすいスポーツカーなどは対人賠償保険、対物賠償保険の料率クラスが高く、高級車などは車両保険の料率クラスが高くなります。一方、国産のコンパクトカーなどは全体的に料率クラスが低く設定されていることが多いようです。
型式別料率クラスは、「損害保険料率算出機構」が、型式ごとの事故実績などを踏まえて算出しています。型式別料率クラスは1年に1回見直しされており、事故が急増した型式は、料率クラスが上がってしまうことがあります。
そのため、契約保険期間に自分が事故を起こしていなくても、型式別料率クラスの変動によって翌年の保険料が高くなってしまうケースがあります。
型式が不明の自動車とは、車検証の型式欄に「不明(フメイ)」と記載されているもの、あるいは車検証の型式欄に、例えば「-123456-」と記載があり、型式(123456)の両サイドにハイフン(-)がついている自動車のことです。
主に、正規代理店を通すことなく輸入された並行輸入車や、年式の古い自動車がこれに該当します。
並行輸入車は型式不明だったり、車検証から年式を簡単に判断できなかったりします。そのため、リーズナブルな保険を提供している通販型の保険会社では引き受けないようにしているところもあります。
チューリッヒでは、型式が不明のお車のお取扱いについては、カスタマーケアセンターにて対応を行っています。
ただし、インタ―ネットでのお引き受けができないため、インターネット割引は適用されませんのでご了承ください。
型式がわかれば、メーカー名、エンジンの種類や排気量、車種のシリーズなどが特定、識別できることをご説明しました。
自動車のなかには車種名よりも型式名で呼ばれ、車好きの人たちに語り継がれる車も存在しています。型式で呼ぶことで何代目のモデルのことなのか、どんな仕様、グレードなのかまでわかるためです。
また、同じ車種でも、型式が変わると車の性能に違いがあることや、利用できるパーツが変わってくる場合もあります。
自動車のモデルチェンジとともに、型式も変化していきます。型式を知らなくても日常生活で困ることはありませんが、気になる方はご自身の車検証から、お車の型式を確認してみましょう。
最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客様に適用されない場合がございます。
必ずお客様の保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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