運転代行サービスとは、お酒を飲む会へ車で出向いたときや、体調不良などで車を運転できないときに、代わりに車を運転して指定の場所まで送ってくれるサービスです。
飲酒運転の防止にも有効な運転代行サービスですが、タクシーと混同している方もいるかもしれません。
運転代行のサービス内容や料金(値段)、運転代行業者が事故を起こした場合の保険適用についてご説明します。
自動車運転代行業とは、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律第2条によって「他人に代わって自動車を運転する役務を提供する営業」と定義づけられています。
これらのいずれにも該当することが規定されています。
つまり、運転代行サービスは主に飲酒などで車を運転することができなくなった利用者(以下依頼人)の代わりに、運転代行業者のドライバーが依頼人の車を運転することです。
運転代行業者が現場に向かう際は、通常二人一組になり車で現場に向かいます。
まず運転代行業者のドライバーが、依頼人の車を運転します。
このとき、依頼人も同乗します。
もう1名は随伴車で、依頼人を乗せた車を追走します。
このようにして、依頼人を目的地まで届けたあと、運転代行業者のドライバーは随伴車に乗って戻ります。
運転するのは依頼人の車です。
依頼人の車に、依頼人や同乗者が乗車し、運転代行業者の車は依頼人の車の随伴をすることが「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」で定められています。
タクシーは、タクシー会社の車に利用者を乗せて運転手が、目的地まで運ぶサービスです。
対して自動車運転代行サービスは、依頼人の車に依頼人やその同乗者を乗せて、二種免許を持った運転手が目的地まで運転します。
つまり依頼人の車と、依頼人を目的地まで運ぶのが自動車運転代行業です。
運転代行の依頼者は、自分の車に乗って目的地に行かなければなりません。複数人で車に乗り合わせる場合も、依頼者の車に乗らなければなりません。
自動車代行サービスとタクシーのサービスは、似ているようで全く違います。
全国運転代行協会によれば、運転代行の料金は地域や業者によって独自に設定されています。
そのため「料金システムが不明」「思ったより値段が高い」という声が多く寄せられるそうです。
国土交通省では運転代行業の利用者の保護のため、平成28年に料金制度に関するガイドラインを策定、また運転代行用料金メーターの規格化、設置の義務化についても検討しています。
運転代行業者にはサービス提供前に目的地までの値段の概算を伝える説明義務がありますが、運転代行を利用する際は、事前に目的地までの概算料金を確認することで、トラブルを防ぐことができるでしょう。
自動車運転代行業務を行うにあたり、さまざまな要件があります。
この要件を知っておくことが、信頼できる運転代行業者かどうか見極めるポイントになります。
運転代行業を開業するには、各都道府県の公安委員会からの認定を受ける必要があります。
事業者は、運転代行業を営むにあたり「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」を守る必要があり、安全運転管理者の選任、損害賠償に関する措置などさまざまな義務を負います。
依頼人の車を運転するドライバーは、道路交通法第86条5項、6項により二種免許資格者でなければなりません。
もし二種免許を持っていないドライバーが、依頼人の車を運転した場合は無免許運転違反として処罰されます。
当然、代行業の経営者は、ドライバーが二種免許保持者かどうかを確認する義務を負っています。
もし経営者が、二種免許保持者以外に運転を命令したり、許容したりした場合は、無免許運転の下命容認※となり、懲役刑や罰金刑を受けた場合、代行業者の認定が取り消されます。
依頼人の車で、依頼人や同乗者を乗せて代行運転するときは、依頼人の車の所定の位置に、代行運転自動車標識を表示しなければいけません。
もし表示しない場合は
運転代行業法第16条違反として、20万円以下の罰金になります。
随伴用自動車は、国土交通省令で定める表示を「ペンキ」「カッティングシート」「切り文字シール」「マーキングフィルム」「ステッカー」などで表示しなければなりません。
また、各文字は、公衆および利用者にとって見やすく表示する必要があります。
内容は以下の通りです。
もし表示しない場合は
運転代行業者は、依頼人が安心して代行サービスを利用できるように、依頼人に対してサービス提供前に、口頭または書面で以下の説明をする必要があります。
事業所の名称と運転手の氏名を説明しなければいけません。
運転代行業者は、サービス提供の前に料金表を提示して目的地までの値段の概算を明確に伝えなくてはいけません。
自社に関する約款を提示しなければいけません。
万が一の事故の際に加入している保険に関しては、共済組合名(保険会社名)、契約期間、契約額(対人、対物、車両)を書面で依頼人に説明しなければいけません。
運転代行サービスでは、依頼人やその同乗者を随伴用自動車(業者の車)に乗せることは、法律で禁止されています。
飲食店から駐車場までのわずかな距離でも禁止行為です。
もし依頼人やその同乗者を、随伴用自動車に乗せた場合は白タク行為となり、道路運送法第4条第1項違反として、罰則3年以下の懲役または300万円以下の罰金(道路運送法96条)となります。
依頼人の側から運転代行業者に要求し、随伴用自動車に乗ることもいけません。依頼人は自分の車の助手席などに乗って、代行業者に運転してもらいます。
自動車運転代行業者を依頼した場合の事故は、決して他人事とはいえません。
運転代行を依頼して事故にあった場合の補償はどうなるのでしょうか。
自動車運転代行業者が業務中に交通事故を起こした場合は、運転代行業者が加盟している保険から補償が行われます。
依頼人自身が手厚い補償に加入していても、依頼人自身が加入する自動車保険を利用することはできません。
運転代行業者は損害賠償措置を取る義務を負っており、国土交通省の定める基準以上の代行保険に加入しなければいけません。
損害賠償額:対人8,000万円以上、対物・車両200万円以上
ただし事故によっては、より多くの補償が必要になる場合もあります。
しかし、運転代行業者が運転しているときの損害については、依頼人が加入している任意保険は利用できません。
こうした危険性を避けるためにも、損害賠償額は対人、対物補償ともに基準以上の補償をまかなう代行保険に加入している業者を選ぶことをおすすめします。
事故が起こったときの補償やトラブルをできるだけなくすためにも、信頼できる運転代行業者を選びたいものです。では、どうすれば安心できる運転代行業者を選ぶことができるのでしょうか。
運転代行業者は、各都道府県の公安委員会からの認定を受ける必要があります。認可を受けた運転代行業者は、各都道府県警のサイトで探すことができます。
各都道府県警のサイトに載っている運転代行業者は、認可基準をクリアしているので、基本的に安心できる業者といえるでしょう。
東京都では2023年7月時点で70以上の運転代行業者が登録されています。
依頼する際は、加入している代行保険の保険金額などを確認してから予約するのもひとつの方法です。
運転代行業者が法律で定められた最低限の保険に加入していた場合、対人賠償は8,000万円までの補償となり、超えた部分については補償されません。
大切な車と依頼人自身を預ける運転代行ですから、運転代行業者が加入している保険の補償内容を確認し、万が一の事故にも十分な備えをしている運転代行業者を選ぶことが重要です。
自分の車を運転することができなくなったときに、運転を依頼できる運転代行業についてご説明してきました。
飲酒運転による死亡事故は飲酒運転根絶の取り組みや社会気運で減少していますが、死亡事故率については飲酒なしの約7.1倍(2018年 警察庁)という値です。
飲酒運転による悲惨な交通事故を起こさないためにも、お酒を飲む前から、安心できる運転代行業者について調べておくのもよいでしょう。
各警察のウェブサイトには、行政処分を受けた運転代行業者も公表されていますのであわせて確認してみてください。
※記載の情報は、2024年9月時点の内容です。
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