公開日:2023年8月21日
車を購入する際に、多くの人が重要視するのが「燃費」です。 燃費がよい車は、ガソリン代が安くなるため、ランニングコストが少なくてすみます。二酸化炭素排出量も少なく、エコカー減税の対象になります。
時代とともに変化した「燃費の測定方法」と「WLTCモード」や、JC08モードからの移行についてご説明します。
燃費のいい車を調べるときに、いわゆるカタログ燃費を参考にする方が多いでしょう。
リッターあたり○○kmという燃費データです。
国土交通省では、2030年度の乗用車の燃費基準推定値を「25.4km/L」としています。国が目標とする燃費基準も、燃費のいい車を判断する際の目安の一つとなるでしょう。
カタログ燃費は、各メーカー間の公平を期すこと、また試験条件の違いによるデータのバラツキを防いでいます。国土交通省が定めた厳格な試験内容で走行して求められたものです。
かつては、カタログ燃費と実走行燃費には2〜3割程度の差がありましたが、現在は、「車の性能向上と測定方法の改善」により、カタログ燃費と実走行燃費の差は少なくなっています。
車の燃費というと、ガソリン代ばかりが注目されがちですが、燃費がよい車はそれだけ排出ガスが少ないということになります。気候変動や大気汚染の問題を考えると、燃費のよい車を選ぶ必要性が高まりますね。
燃費の表示方法は、測定方法の進化などに伴い、時代とともに変化しています。まずは、「10・15モード」と「JC08モード」について、ご説明します。
10・15モードは、1991年に国土交通省が定めた燃費の測定方法です。
10・15モードは市街地を想定した10の走行パターンと、郊外を想定した15の走行パターンを加えて測定をしています。10・15モードの測定は、エンジンが暖まった状態で行われていました。
JC08モードは、2011年から用いられてきた測定方法です。
10・15モードでは実燃費との違いが大きすぎる(カタログ燃費値との差が大きい)ということで、より実際の走行に近づけるために生まれた測定方法です。
JC08モードは、エンジンが冷えた状態からも試験をします。
また、平均速度や最高速度を引き上げて実際の走行パターンに近づけることで、ユーザーが実際に運転して得られる「実燃費」により近い数値を得られるようになりました。
2017年の夏以降のWLTC モード燃費が算定された車からは、世界統一試験サイクルといわれる「WLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle)」モードが使用されるようになりました。
車の燃費測定方法の種類と特徴 | ||
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10・15モード | JC08モード | WLTCモード |
1991年に定められた燃費測定方法。実際の使用条件と離れており、カタログ燃費の数値と実燃費の数値の差が大き過ぎる。 | 2011年4月に表示が義務付けられ、2013 年3月以降はJC08モード燃費に統一。実燃費は、全車平均でJC08モード燃費より2割程度低下するといわれている。 | 2018年10月から表示が義務化。「市街地」「郊外」「高速道路」の3つの走行モードで構成される国際的な試験。モード毎の燃費も表示される。 |
WLTCモードは、「市街地」「郊外」、「高速道路」の各走行モードを平均的な使用時間分配で構成した国際的な燃費測定方法です。
3つの各モードの燃費も表示されるため、車の使用環境に合わせて燃費の比較がしやすくなりました。
2018年10月以降に発売される新型車については、新型乗用車のカタログなどで燃費を表示する際にはWLTCモードを用いることが義務付けられました。
市街地モードは、市街地の走行を想定したモードです。信号や渋滞などの影響を受ける低速走行も含まれています。
信号や渋滞の影響をあまり受けない走行を、想定したモードです。
高速道路などでの走行を想定したモードです。
車の燃費は、走行条件や走り方でも変わります。その影響を少なくするよう自動車メーカーも工夫していますが、ドライバーも車や人、地球に優しい運転を心がける必要がありますね。
車の燃費の測定方法は、時代とともに変化してきました。
現在用いられているWLTCモードでは、市街地モードや郊外モード、高速道路モードの燃費も表記されるようになっています。
WLTCモードの導入によって、ユーザーは自分の使い方に合った燃費のいい車選びができるようになったともいえるのです。
※記載の情報は、2023年6月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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