更新日:2024年4月10日
公開日:2019年9月30日
バイクは時間の経過とともに、タイヤやスパークプラグなどのパーツも寿命を迎えます。そこで、バイクの寿命と走行距離の関係、タイヤやプラグなど各パーツの寿命についてご説明します。
バイクの走行距離の測定方法として、おもにオドメーター(Odometer)とトリップメーター(Tripmeter)による走行距離の計測ができます。
オドメーターとは、バイクが製造されてからどれくらいの距離を走ったのか総走行距離を示す総走行距離計です。
オドメーターは、メーターそのものを取り替えない限り走行距離の書き換えが出来ません。オドメーターを確認すれば、それまでエンジンにどれだけの負荷がかかってきたかを判断出来ます。
一方、トリップメーターは随時書き換えが可能なメーターです。ツーリング時など特定の区間の走行距離や、燃費を計算するなどの活用が出来ます。事前に走行距離をリセットしておく必要がある点に注意しましょう。
バイクの寿命には、走行距離だけでなく使用頻度や使用方法、メンテナンスの頻度も関係します。そのため、同じ排気量のバイクであっても短い走行距離で寿命を迎えるものもあれば、長い距離を走行しても問題なく使用できるものもあり、一概に走行距離だけでバイクの寿命を決定することはできません。ここでは排気量別に、おおよそのバイクの寿命と走行距離の関係をご説明します。
排気量が小さいバイクほど、エンジンの回転数を上げる必要があります。エンジンへの負担が大きくなり、排気量の小さい原付の寿命は短くなる傾向にあります。走行距離を目安に寿命を考えた場合、原付は2万km〜3万km程度が限度だと考えられています。
原付はエンジンや変速機、足回りなどの部品が小さいため、排気量あたりの摩擦が大きくなってしまう傾向にあります。車両重量やコストとの兼ね合いからも部品の大きさや素材に限度もあります。
たとえば排気量125ccのバイクも、原付同様にエンジンへの負担が大きいため、走行距離2万km〜5万km程度が限度だと考えられています。
たとえば排気量250cc程度の中型バイクの場合、走行距離5万km〜8万km程度が限度だと考えられています。
たとえば125ccや250ccなどのバイクのさまざまな部品にも、寿命があります。各部品に次のような症状が現れた場合、寿命だといえそうです。
バイクのタイヤには、路面をグリップして安定した走行を可能にするために、接面部にはトレッドパターンと呼ばれる溝のパターンが刻み込まれています。走行によりタイヤがすり減ると溝が浅くなり、雨のときなどには特にスリップしやすくなります。
タイヤには残り溝が1.6mmになったことを示す、スリップサインが施されています。スリップサインが表れたときは、タイヤの摩耗限界です。また、経年劣化によりひび割れが起きている場合や製造年から5年以上が経過している場合も、タイヤの交換時期だといえるでしょう。
クルマと違ってバイクの場合、タイヤがスリップすると転倒するというリスクがあります。バイクは、クルマ以上にタイヤの性能に左右される乗り物なのです。
バイクのスパークプラグは、電流を流すことで火花を飛ばし、エンジン内の圧縮された混合気に点火する働きをもつ部品です。
スパークプラグが劣化するとエンジンのかかりが悪くなったり、加速しにくくなったりといった症状が表れます。このような症状が表れた場合、スパークプラグの劣化が原因の可能性があります。プラグを外して点検し、必要な場合は交換してください。
レギュレーターは、発電した電気を安定的に供給するための整流と電圧制御を担っている部品です。バッテリーが充電されなくなったり、過充電によりバッテリーを傷めてしまうことがあります。バッテリー液が著しく減っていたり、ヘッドライトが切れやすくなるなどの症状が表れた場合は、レギュレーターの交換が必要です。
ジェネレーターとは交流発電機のことで、エンジンによって駆動されます。電装系に電気を供給する他、始動時にバッテリーが失った電力を充電して補います。
ジェネレーターが故障すると発電能力が下がり、バッテリーが充電されず、電圧が低下してしまったりします。ひいては、エンジンのかかりが悪くなったりといった症状が表れます。また、焦げ臭いようなにおいがしたり、ファンやメーターなどが動きにくくなったりするケースもあります。
これらの症状がみられた場合、ジェネレーターの交換が必要です。
無理のないスムーズな運転を心がけるとバイクの動きも無理のないものとなり、余計な摩耗が起こらず長持ちします。
またメーカーにもよりますが、125ccや250ccなどのオイル交換のタイミングは走行距離なら3,000〜5,000km、経過年数なら半年〜1年程、どちらかのタイミングを目安にして推奨されています。たとえば、小排気量ゆえ、アクセル全開で加速する機会が多い原付の場合などは、推奨される目安よりもっと積極的にメンテナンス時期を考えたほうがよいでしょう。
最寄りの駅までのいわゆる「チョイ乗り」が主な使用用途である場合が多い原付は、冬場はエンジン内のオイルが温まり切る前に走り出し、すぐにエンジンを停止しなければなりません。このような使い方を繰り返すことで、エンジン内に結露が生じ、オイルに水分が混ざり劣化を早めます。また車体が小さいので、夏場は油温が極端に上がる環境にあります。
バイクの寿命をもっと積極的に延ばすことを考えるなら、オイル交換や点検整備などのメンテナンスをこまめにすることは大変効果があります。たとえば、ホイールベアリングなどの交換も同様です。走行しても気づかない部分をプロの目で見てもらうために、定期的な点検を行うのは非常に大事なことです。
125ccや250ccなどのバイクの寿命は、走行距離や使用方法、メンテナンス頻度などによって変わります。なかでも原付や125ccバイクなど、小型のバイクはエンジンの回転数が多くなるため、エンジンへの負担が大きく、寿命は短い傾向にあります。
タイヤやプラグなど、バイクのパーツにもそれぞれ寿命があり、故障と思われる症状が表れる前に交換を行うようにしましょう。バイクの寿命を延ばすためには、安全で無理のない運転と適切なメンテナンスが重要です。
※記載の情報は、2024年4月10日時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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