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- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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気候変動に向き合う企業の担当者とチューリッヒ保険会社の社員が対談し、お互いの取組みからビジョン実現のヒントを探り合う連載『サステナ未来会議』。第二弾となる今回は、大手航空会社の「日本航空(以下、JAL)」をゲストに迎えました。
CO2排出量の多さから、気候変動への取組みが特に求められている航空業界。「小手先の対策ではなく、いままさに向き合うべき当社の“中心事業”のひとつ」と語るのは、今回の対談相手となるJAL
総務本部 ESG推進部の亀山和哉さん。
業界は違えど、「気候変動」そして「生活者の“移動”を支える」という共通課題に挑む姿勢は同じです。チューリッヒ保険会社の羽入とともに、その想いや現場の実践、個人にできるアクションについて語り合いました。
INDEX
亀山和哉
日本航空株式会社 総務本部 ESG推進部 部長
羽入洋介
チューリッヒ保険会社 ダイレクト事業本部 マーケティング部長
空を飛び続けるために、今やるべきこと。JALのCO2戦略とは
—まず、JALグループが現在進めている気候変動対策について、代表的なプロジェクトをいくつかご紹介いただけますか?
亀山:気候変動対策の取組みは、非常にたくさんあります。いまや航空運送事業において「ど真ん中」、まさに一丁目一番地のテーマといえますね。JALグループ全体のCO2総排出量は、年間およそ970万t。主な内訳は、航空機の燃料使用などの「直接排出」と、オフィスや空港施設の使用電力による「間接排出」に分けられますが、総排出量の約99%が前者になります。
CO2削減は社会から強く求められているだけでなく、これからも地球で暮らし続けるために不可欠な取組みです。これに真剣に向き合わなければ、私たちのビジネスも成り立ちません。小手先で済ませるものではなく、航空事業を営むうえで欠かせない、当社の「中心事業」のひとつともいえる領域なのです。
日本航空株式会社 総務本部 ESG推進部の亀山さん
羽入:単なる個別のプロジェクトではなく、JALの未来を左右する重要な事業なのですね。
亀山:はい。特に3つの柱を掲げて、CO2削減に取り組んでいます。まずは、航空機そのものを省燃費な最新モデルに切り替えていくこと。新しい機材に切り替えることで、利便性や快適性が向上するだけでなく、当社の実績では2割近くのCO2削減効果が出ました。
2つ目は「運航上の工夫」です。例えば離陸時に、一定の高度まで一気に上昇することで燃費効率を上げたり、着陸後に片方のエンジンのみで走行することで省エネしたり。こうした取組みを日々のフライトに取り入れることで、2023年の実績では、年間約21万tのCO2削減を実現しました。数字だけ聞くとピンとこないかもしれないですが、おおよそ沖縄県の世帯数に相当する、68万世帯の1か月間のCO2排出量と同じくらいです。
3つ目は、持続可能な航空燃料(以下、SAF※1)への切り替えです。2025年度末までに、全燃料搭載量の1%を、そして2030年までには10%をSAFに切り替えるべく取り組んでいます。
ただ、これら3つの取組みだけでは弊社が掲げている削減目標に届かないため、カーボンクレジットの調達や、大気や海中のCO2を直接除去・吸収するCDR※2のプロジェクトへの出資も行っています。
羽入:私もチューリッヒ保険会社のサステナビリティ担当者として感じるのですが、各社のCO2削減への本気度や具体的な取組みって、まだまだ世の中に知られていないですよね。企業の真剣さを知っていただくことが、生活者一人ひとりの「私もできることをやろう」という想いにもつながるのでは、と思います。
※1 SAFは、Sustainable Aviation
Fuel(持続可能な航空燃料)の略。廃食油や植物、廃材などを原料にしてつくられる、環境に配慮した航空燃料
※2
CDRはCarbon Dioxide Removalの略で、大気や海中のCO2の除去を指す
チューリッヒ保険会社 ダイレクト事業本部の羽入洋介
亀山:本当にそうですね。世の中の理解を促進する重要性は、私たちJALも感じています。現在、さまざまなアプローチで取り組んでいますが、その一例となるのが「すてる油で空を飛ぼう」というプロジェクトです。ご家庭で使い終わった食用油を、全国のスーパーを中心に設置している「すてる油リサイクルボックス」に入れていただき、それを回収してSAFの原料として再利用しています。
羽入:お客さまが自分ごと化して取組みやすい、素晴らしいプロジェクトですね。
「すてる油リサイクルボックス」に、捨てる使用済みの食用油を持ち運ぶためのJALオリジナルの専用ボトル
羽入:ちなみに、通常の航空燃料とSAFでは燃料の調達にかかる費用に違いはあるのでしょうか?
亀山:製造コストが高いことに加え、原料の供給量が限られているためSAFのほうが3倍から5倍くらい高いですね。
羽入:そんなに違うんですね。
亀山:そうなんです。コストが高い一方で、導入を進めないわけにはいきません。たとえば国際線には、一定のCO2排出削減ルールがすでに課せられ、対応が求められています。しかし、すぐに成果を出すのは難しく、数十年かかることもあり得ます。だからこそ、現状の課題を把握しつつ、次なる一手を考える確かな判断力とスピード感が必要です。
外部とのコミュニケーションを通じて、業界の今後の動きや技術の進歩、規制の変化といったリアルな情報を収集しながら、どの技術にどう投資すべきかという「目利き力」を日々磨いています。
社内の温度差、どう乗り越える? 手触り感のあるESGを目指して
—さまざまな施策を推進するなかで、どのような点に苦労してきましたか?
亀山:いちばん悩んだのは、社内の理解を得ることですね。専門用語が多くてわかりにくかったり、普段の業務とどう結びついているかが感覚的にとらえにくかったり……「手触り感」が感じられないことが大きな壁だったと思います。
転機となったのは、2018年に現会長の赤坂祐二が社長に就任したことでした。赤坂は「気候変動対策に本業として取り組むべき」という強い意思を持っており、経営計画のなかでESG※3が柱として据えられました。これによって社内の機運が醸成されてきたところは大きいですね。
※3
ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの視点で、企業の持続可能性や社会的責任を評価する基準
—社内理解を促進する難しさは、さまざまな企業のサステナビリティ担当者も感じていると思います。亀山さんの所属するESG推進部としては、どういった取組みを行ってきましたか?
亀山:私も試行錯誤を続けているフェーズなので、成功事例といえるかはわかりませんが、一つ取り組んでいることがあります。それは、サステナビリティ推進に関わる部署のメンバー全員を集めて、それぞれの取組みや課題、感じていることなど、率直に話し合える場を週に一度設けることです。ある意味、強制的にでも場を設定することで、社員たちに意識を高く保ってもらい、社内への浸透につなげることを目指しています。
あとは、社内ネットワークを通じてカジュアルに情報発信を行ったり、若手管理職に向けたサステナビリティ講習を実施したりと、地道な活動を通じて社内理解の促進に取り組んでいます。
また、サステナブルなフライトのためにわれわれがいまできることを1便にすべて詰め込んだ「サステナブル・チャレンジフライト」も、2022年から3年連続で運航しています。燃料としてSAFを活用したり、使い捨てプラスチックを削減した機内サービス品や、規格外の食材などを使った機内食を提供したりと、さまざまな面で「サステナビリティ」を取り入れた便となっています。この取組みは、2030年までにすべてのフライトをサステナブルなものとするべく、JALグループの便においてサステナブルなフライトの実現に向けた挑戦です。
2023年の9月14日から20日の1週間、「みんなで行こう、サステナブルな未来へ。」を合言葉に、羽田発ニューヨーク行きJL6便で第2弾となるサステナブル・チャレンジフライトを実施
機内では大豆ミートを使用したハンバーガーや規格外のりんごを使用したジュースなどが提供された
羽入:社内理解を得ていくのは本当に難しいですよね。サステナビリティの取組みに関する発信が、本業である保険業とどうつながるつながりがあるのか、日々目の前の日々業務に真剣に取り組んでいる社員にはなかなか共感しにくい部分がはあるように思います。事実、私も最初はそのように感じていました。しかし、当グループのパーパスは「明るい未来を共に創造する」。明るい未来は、豊かな地球環境がなければ成り立たないんですよね。
先ほど亀山さんもおっしゃっていた「手触り感」は、私たちにとっても非常に重要なポイントです。「チューリッヒの森」というプロジェクトでは、東京、大阪、長崎の3拠点で社内の希望者を募り、森林整備などのボランティア活動を行っています。社員だけでなくパートナーや家族も気軽に参加でき、実際に体験してみてわかることも多く、徐々に理解が深まってきています。
オフィスで育て、山へ返す。JALが推進する体験型森林保全活動
—森林保全という観点でいえば、JALも「戻り苗」プロジェクトに参加していますね。
亀山:「戻り苗」は、林業ベンチャーのソマノベースが提供する、企業や一般の方も森林づくりに参加できる体験型の商品です。オフィスでどんぐりから苗木を育て、約2年後にその苗木を送り返すと、森に植林してもらえます。個人でも購入可能で、苗木の育成を終えた方は、自分で苗木を植える植林ツアーに参加したり、その苗木が植えられた山の木を使った木材製品を購入したりすることもできるんです。
グループ会社のJALマイレージバンクでは2024年から導入していると聞き、私たちも2025年から導入を開始しました。
JALのオフィスで実際に育てている「戻り苗」
—どういった想いや目的で導入を決めたのでしょうか。
亀山:毎日オフィスで水をあげていると、やっぱり愛着が湧いてくるんですよね。それが2年後、どこかの山に植林されたとなれば、現地へ見に行きたくなるじゃないですか。私たちの生業は、「移動」とそれによって生まれる「関係づくり」ですから、非常に相性がよいのではないかと。
具体的には、私たちが「オフィスで苗を育て、それを山に返し、その山を実際に訪れる」という一連の流れを体験することで、それをもとに同じような体験をさまざまな企業さまにおすすめできないだろうか、と考えています。
—森林保全の取組みを、「移動」の既存事業とも結びつけられないかと考えているのですね。
亀山:そうですね。人々が「わざわざ飛行機に乗って訪れたい」と思えるような日本各地の自然環境や生物多様性を守り、「移動」がこれからも持続可能であり続けることこそ、私たちの理想ですから。
だから私たちESG推進部は、生物多様性の保全の取組みにも向き合っています。生態系への影響をできるだけ少なくするためには、不要な立ち入りを避けることが望ましいとされています。ただ、現実には人間活動が自然に与える影響をゼロにすることは難しい。ですから、生物多様性の保全に配慮した形で人に訪れてもらい、お金を落としてもらい、費用をかけて自然環境を適切に管理していくことが必要になります。
その一環として、沖縄のサンゴや北海道のタンチョウの保全活動などにも取り組んでいますが、それだけをむやみに実施していても継続できません。きちんとビジネスとして成立させることによって、より持続可能な取組みになっていくはずだと考えているんです。
人の心に響くサステナビリティ発信と、移動の持つかけがえのない意味
—さまざまな活動に取組むなかで、サステナビリティの大切さが人の心に届いた、と感じた瞬間はありますか?
羽入:たくさんの方々に、「自分たちが自然環境にできること」を考えてもらうきっかけづくりとして、YouTubeで「チューリッヒ保険会社のGreen
Music」というチャンネルを運営しています。気鋭の音楽クリエイターに、それぞれ思い入れのある日本の自然豊かな土地をテーマにした楽曲を書き下ろしてもらい、美しいループアニメーションと融合させたヒーリングミュージックコンテンツをお届けしています。
2022年にスタートしてから3年が経ち、じつは先日、チャンネル登録者がついに30万に到達したんです。気候変動問題を直接的・学術的に伝えてもなかなか関心を得られないため、あえてライトにメッセージを発信しているのですが、視聴者から「明日からできることをやってみます」といったコメントも寄せられ、少しずつ輪が広がっている実感があります。
—「音楽」という身近なところを接点に、気候変動への関心を訴求しているのですね。亀山さんはいかがでしょうか?
亀山:「人の心に届いた」といちばん感じるのは、活動で訪れた先で出会った方々の笑顔に触れたときかもしれません。先ほどお話しした北海道長沼町でのタンチョウ保全活動で、現地のお子さん向けのイベントを開催した際にも感じました。子どもたちが楽しそうに積極的に参加している姿を見たら、「やってきてよかった」と素直に思えたんです。
タンチョウ保全活動の様子
—昨今は「CO2排出量の多い飛行機の利用は避けるべき」という声も一部では上がっていますが、移動した先で人に会い、その場の空気を感じることにはかけがえのない価値があるとあらためて感じます。
亀山:そうですね。「移動」の価値については、私自身もコロナ禍であらためて強く感じました。やはり人間の根源的な欲求を満たすものなのではないかと思います。
われわれのいちばんの存在意義は、ある地点から別の地点へ人やものをお運びするということであり、航空機を保有しているからこそ、素早く快適にそれを実現できるというユニークネスがあります。
一方で、現時点で多くのCO2を排出しているという事実とも真摯に向き合う必要がある。しっかりとそれを改善し、私たちの提供するサービスを持続可能なものにしていくことがとても重要だと思っています。
羽入:個人的には、移動した先で得られる体験はもちろん、移動そのものもかけがえがない経験だと感じています。旅行先や出張先に着くまでのワクワク感ですとか、帰りの道中で旅先の思い出を振り返ったり、もうすぐ会える家族や友達に思いを馳せたり、そういった時間も移動ならではですよね。
ただ、どうしても移動に伴うCO2排出をゼロにはできないのが現状です。だから、その排出量をできる限り抑える、もしくは出てしまったものを、例えば森を再生することで少しでもオフセットするなどの対策が必要になります。そういった機会の提供を企業として、あるいは社会全体として増やしていくことがいまは重要だと感じます。
日常の意識が未来を変える。飛行機や自動車でできるCO2削減アクション
—この記事を読んだ方に、「自分・自社でも、なにか自然環境のためにやってみよう」と感じてもらえたら嬉しいですね。そうした読者の方に、「今日からはじめられるアクション」として、おすすめがあれば教えてください。
亀山:いろいろな切り口がありますが、私たちと関わりのある部分でいうと、まず「飛行機が定時に出発すること」は、CO2削減にとって非常に重要なポイントなんです。というのも、上空で遅れを取り戻そうとすると無理な加速が発生し、余計に燃料を使用してしまうからです。
また、輸送量を軽くするために、ご搭乗前にお手洗いに行く、お手荷物を少しでも軽くする、といった小さなアクションも、CO2排出量の削減につながります。最近は「#かくれナビリティ」というキーワードで、隠れたサステナビリティアクションをお客さまに伝えていく活動にも取り組んでいるので、チェックしていただけたらありがたいです。
羽入:いま亀山さんがおっしゃったことを自動車に当てはめて考えてみると、安全運転はすごくポジティブに働くんじゃないかと思います。最近の車は、燃費がひと目でわかるものが多いため、急加速や急ブレーキを避けてゆったり運転しているときと、少し急いで運転が荒くなっているときでは、燃費に明確な違いが出ることがよく分かります。
ほんの少し意識するだけでも、CO2の排出量は大きく変わってきますし、私たち保険会社の立場からしても、余裕をもった運転をしていただければ事故も減るので、一石二鳥で非常に良いことだと考えています。
A-250819-08
取材・文:原里実 撮影:大西陽 編集:玉野井崚太(CINRA, Inc)
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