気候変動の“いま”がわかるウェブマガジン
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「冬の電気代」も「地球の負担」も減らす。CO2を意識した節電アイデア5選

寒さの厳しい冬は、1年の中でも特に電力消費量が多くなる季節です。電気代が高くなり家計への負担になると同時に、CO2の排出量が増えるため、地球環境にとっても負担が大きくなります。

省エネの進展によって、日本の家庭における電力消費は減少傾向にあるものの、いまだに化石燃料を燃やす火力発電を主力とする発電や、その燃料使用量の増加は社会全体の課題になっているのです。

本記事では、そんな課題をより身近に感じていただくため、冬に電気代が上がる理由と、今日から取り入れやすい “節電×CO2削減” の具体的なアイデアをわかりやすく紹介します。

特に、手軽に始められる5つの節電方法について、電気代の節約効果やCO2排出量の削減効果とあわせて解説します。

電力由来だと日本人1人あたりの月平均CO2排出量=約67kg(※4)という数値を1つの指標としながら、ぜひそれぞれのアイデアにトライしてみてください。

INDEX

立命館大学 理工学部 環境都市工学科 准教授

重富陽介

京都府生まれ。2016年京都大学大学院博士後期課程修了「博士(エネルギー科学)」。専門は産業エコロジー。長崎大学環境科学部助教・准教授を経て、2024年より現職に就任し、サステナブルライフスタイル研究室(サスライラボ)を主宰。日本LCA学会奨励賞、環境経済・政策学会奨励賞を受賞。モノの生産の繋がり(サプライチェーン)に注目し、ライフスタイル由来の環境負荷の直接・間接排出構造の「見える化」に取り組む。気候変動と少子高齢化の二つの視点から、持続可能なライフスタイルへの移行に向けた研究を行っている。

そもそもなぜ冬は電気代が高くなるのか?

政府の統計によると、2025年冬('24年12月〜'25年2月)の1世帯あたりの電気代は月平均で約14,269円で、2025年夏('25年6〜8月)の約11,403円と比べて高くなっています(いずれも2人以上の世帯における全国平均値)※1。冬に電気代が高くなる主な理由として、以下の3点が挙げられます。

※1「家計調査 家計収支編(2人以上の世帯)2025年」〔e-Stat〕


●    エアコンの性能上、暖房は冷房と比べて多くの電力を消費する傾向にある
●    外気温と設定温度の差が大きく、空気を暖めるのにより多くのエネルギーが必要になる
●    日照時間が短く、照明など家電製品の使用時間が長くなる

家庭における電力消費量の増加が影響を与えるのは、電気代だけではありません。

家庭で使う電力の多くは、化石燃料を燃やして得られるエネルギーを利用した火力発電に由来し、この発電の過程では気候変動の要因となるCO2が大量に排出されます。つまり、私たちが電力を消費すればするほどCO2が排出されるしくみになっているといえるのです。

1世帯あたり月別CO2排出量。電気使用量が増える冬の時期に、CO2排出量が特に高くなることが分かります。※2参照: 「知っておきたい電気とCO2の関係」(Yahoo! JAPAN)※3参照: 「令和5年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査結果について(確報値)」(環境省)

1世帯あたり月別CO2排出量。電気使用量が増える冬の時期に、CO2排出量が特に高くなることが分かります。
※2参照: 「知っておきたい電気とCO2の関係」(Yahoo! JAPAN)
※3参照: 「令和5年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査結果について(確報値)」(環境省)

省エネの進展により、コロナ禍以降、電力消費は減少傾向にありますが、さらなる削減に向けて、この冬は「電気代の節約」と同時に「CO2の削減」にも目を向けながら節電に取り組んでみてはいかがでしょうか。

節電でCO2を減らす方法5選!

電気代の節約・CO2削減につながる手軽で効果的な節電方法を、家電の種別に5つ紹介します。なお、日本の平均的な生活では電力由来だと 1人あたり月に約67kgのCO2を排出している※4とされています。ぜひ、この数値と比較しながら読み進めてみてください。

●    エアコン|フィルターを掃除する
●    冷蔵庫|物を詰め込みすぎない
●    テレビ|画面を掃除する
●    暖房便座|温度は低めに設定する
●    エコキュート|保温や追い焚きは控えめに
※4 「一人当たりの二酸化炭素排出量(2023年度)」(JCCA)

エアコン|フィルターを掃除する

一つ目の節電方法は、エアコンフィルターの掃除です。

エアコンフィルターがホコリで目詰まりしている状態では、空気の通りが悪くなって暖房効率が下がり、室温を設定温度にするために多くの電力が必要になります。2週間に一度程度フィルター清掃をすることで、年間約860円の電気代の節約と14.1kgのCO2削減(杉の木の年間CO2吸収量約1.6本分)につながります※5

※5 「省エネ性能カタログ 2024年版」(経済産業省 資源エネルギー庁)

冬の家庭で使われる家電の中でも、最も大きな割合を占めるのが暖房、特にエアコンです。フィルターをこまめに掃除して効率よく使用するほか、暖かい服装を心がけて必要なときだけ暖房をつけるなど、稼働を減らす工夫をすることで、より高い節約・省エネ効果が期待できます。

なお、このフィルター掃除を全国の約5,000万世帯※6が行った場合、年間でおよそ70万トン以上のCO2削減につながる試算になります。これは、人工スギ(36~40年生)約8,000万本が1年間に吸収する量に相当します※71世帯レベルの小さな工夫でも、積み重なれば大きな効果を生む代表例と言えるでしょう。

※6 「世帯数と世帯人員の状況」
※7 「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」(林野庁)

冷蔵庫|物を詰め込みすぎない

続いて紹介する節電方法は、電気冷蔵庫の使い方の見直しです。

冷蔵庫に物を詰め込みすぎると冷気が十分に庫内を循環せず、冷却に余分な電力が必要になります。物を庫内の半分程度にすれば、詰め込んだ場合と比べて年間約1,180円の電気代の節約と18.8kgのCO2削減(杉の木の年間CO2吸収量約2.1本分)につながります※5

※5 「省エネ性能カタログ 2024年版」(経済産業省 資源エネルギー庁) 

「常温で保存できる物が冷蔵庫に入っていないか」「賞味期限を過ぎた古い食品が残されていないか」などを確認し、庫内のスペースに余裕を持たせましょう。また、庫内温度の設定温度の切り替えも比較的簡単にできるアクションです。

テレビ|画面を掃除する

続いて紹介する節電方法は、テレビ画面の掃除です。

テレビの画面がホコリで汚れていると、映像が本来の明るさよりも暗く見えます。このとき明るさを補うために画面の輝度(光源の明るさ)を上げると、余分な電力が使われてしまうのです。

テレビ画面の輝度を適切(中間)に設定すれば、最大輝度で使用する場合と比べて年間約730円の電気代の節約と11.6kgのCO2削減(杉の木の年間CO2吸収量約1.3本分)につながります※5

※5「省エネ性能カタログ 2024年版」(経済産業省 資源エネルギー庁)

週に一度は柔らかい布で画面を掃除し、中程度の輝度でも映像が見えやすい状態を保つのが望ましいと言えます。

暖房便座|温度は低めに設定する

続いて紹介する節電方法は、暖房便座の使い方の見直しです。

暖房便座の設定温度を「弱」にする(冷房期間は便座の暖房を切る)と、「中」で使用する場合と比べて年間約710円の電気代の節約と11.3kgのCO2削減(杉の木の年間CO2吸収量約1.3本分)につながります※5

※5 「省エネ性能カタログ 2024年版」(経済産業省 資源エネルギー庁)

また、他に「洗浄水の温度も低めに設定する」「使わないときは蓋を閉じる」「タイマー機能を活用して必要な時間帯のみ保温する」などの工夫をあわせて行うことで、節電の効果を高められます。

エコキュート|保温や追い焚きは控えめに

最後に紹介する節電方法は、エコキュートの使い方の見直しです。

エコキュートには、一度ぬるくなってしまった浴槽内のお湯を温め直す「追い焚き」や、湯温を保つために追い焚きを自動で繰り返す「保温」などの機能があります。こうした温め直しの機能を頻繁に使用して余分な電力を消費しないよう、間隔をあけずに入浴を済ませ、蓋を活用して温度の低下を防ぎましょう。

【番外編】 家電全般|省エネ性能の高い家電に替える

近年の家電製品は、エネルギーの消費量を抑えて効率よく稼働する「省エネ性能」が大幅に高まっています。ここまでに紹介した家電の使い方の見直しとあわせて、古い家電から省エネ家電への買い替えを行うことで、より電気代の節約とCO2排出量削減の効果をあげやすくなります。

さらに、家電の使い方を見直す以外にも、日常に取り入れやすい工夫があります。たとえば、蛍光灯をLEDに替えるだけでも比較的大きな節電効果が得られます。

また、断熱カーテンを使うことで室内温度を保ちやすくなり、空調の負荷を抑える助けになります。

さらに、家庭の消費電力の約5%を占めるといわれる待機電力をこまめに切ることも有効です※8。スイッチ付きの電源タップを利用するなど、日々の小さな工夫が積み重なることで確かな節電につながります。

※8 「部門別エネルギー消費の動向」(経済産業省 資源エネルギー庁)

国が定める省エネ基準を達成した製品に表示される「省エネルギーラベル」や「省エネ型製品情報サイト」(資源エネルギー庁)を参考にしながら、家族構成や部屋の広さ、生活スタイルに合った機器を選び、こうした日常の工夫と組み合わせて取り組んでいきましょう。

節電・CO2削減を続けるコツとまとめ

これまでに紹介した5つのアクションでは、1人ひとりの工夫がもたらす効果を提示しました。もしかすると、「年間で10〜20kgくらいしか削減できないのか」と感じた方もいるかもしれません。

しかし、もし日本人全員(2025年11月1日の概算値によると、約1億2319万人)が少しずつこれらのアクションに取り組んだとしたらどうでしょうか。

たとえば、1世帯あたりの削減量が年間10〜20kgだとしても、全世帯で取り組めば約54万〜110万tものCO2削減につながる計算になります。

節電の取組みは、日々の習慣として継続していくことが大切です。そして、一つひとつは小さな行動だとしても積み重なることでとても大きな効果として現れるのです。

そのためにも、「寒さをこらえて暖房の使用を控える」といった我慢を伴うものではなく、まずは「設定温度を一段階下げる」「2週間に一度、日頃使っている家電を1つ掃除する」といった、簡単なアクションから無理なく始めてみましょう。また、取組みの成果を電気代の変化などわかりやすい形で記録するのもおすすめです。

日々の小さな心がけから、家計にも地球にも優しく快適な冬を過ごしましょう。

A-251205-03

執筆:永田遥奈  編集:玉野井崚太(CINRA, Inc)