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Green Music つながる風景

“ゼロ・ウェイスト”で繋ぐ、小さな町の新しいかたち

“読む気候変動対策”メディア
Green Timesについて

記事を“読む”だけで森林保全活動の支援につながります
チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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INDEX

[連載概要]
気候変動は、私たちの暮らしや自然環境に深く影響を与える課題です。
チューリッヒ保険会社は、気候変動に対し、より多くの人々とともに考え、行動するきっかけをつくりたいと考えています。
本連載は、その想いをもとに、YouTubeチャンネル『チューリッヒ保険会社のGreen Music』で公開される作品の背景にある自然環境やその土地の取組みを掘り下げ、持続可能な未来につながる手がかりになればと考え生まれました。作品では伝えきれないストーリーをお届けしていきます。

徳島市内から車でおよそ1時間。標高700m以上の山々に覆われた山岳地帯に位置する上勝町は、人口1,300人ほどの小さな町だが、現在、日本でも先駆けとなる“ゼロ・ウェイストタウン”として注目を集めている。

ゼロ・ウェイストとは、ごみを減らして、無駄や浪費をなくすことを意味し、「ごみをどう処理するか」ではなく「ごみを生み出さない」社会を目指す考え方。基本となる概念には、Refuse(不要なものは断る)、Reduce(ごみを減らす)、Reuse(再利用する)、Repair(修理して使う)、 Recycle(リサイクルする)の5Rを暮らしの中で実践することが求められる。

2003年、自治体として日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を掲げたが、「実は初めからゼロ・ウェイストを目指したわけではなかったんです」と話すのは上勝町企画環境課の菅翠さん。

「この町では1990年代まで野焼き(※1)を行っていました。ごみ収集車での回収がない地域なので、山の谷間のごみ集積所にそれぞれが持ち込み、火をつけて焼くという形で処理をしていました。そのうちに法律で野焼きが禁止となり、小型焼却炉を設置したのですが、今度はダイオキシン類対策特別処置法が施行されて、排出基準が厳しくなり使用できなくなってしまった。お金をかけて設備投資をしたのにも関わらず、3年ほどで使えなくなってしまったので、今後は財政基盤の弱い小さな自治体でも、安定して適正に処理ができる方法を探そうということになりました」

模索する中で辿りついたのが、なるべく焼却せずに処理をすること。町では焼却ごみを最小限にして民間の事業所に委託し、それ以外はリサイクルをしようということに。まずは34種類まで細かく分別することからスタートした。

そうして焼却炉閉鎖から2年後、上勝町は自治体として日本で初めての“ごみを生み出さない町”を標榜することになる。多分別をスタートすると国内外からの視察やメディアの露出も増え、それにより住民たちの意識も変化していった。現在、町への視察は年間で2,000人を超えるという。

(※1)ごみ焼却の「野焼き」は家庭や事業所からでたごみを野外焼却することを指す。一方、山を維持するために枯れ草を焼き払う「野焼き」は草原の維持、再生を目的行うもので意味は異なる。

新聞紙、チラシ、雑誌類のリサイクル置き場。リサイクル時の負荷を減らすため、ナイロンひもは禁止に。

新聞紙、チラシ、雑誌類のリサイクル置き場。リサイクル時の負荷を減らすため、ナイロンひもは禁止に。

湾曲したエリアがすべて「ゴミステーション」。43種類に分別しやすいように、コーナーごとに区切られている。

湾曲したエリアがすべて「ゴミステーション」。43種類に分別しやすいように、コーナーごとに区切られている。

ごみ出しを通して、町民のコミュニケーションの場に

上勝町ゼロ・ウェイストセンターは、上空から眺めると「?」の形をしている。そこには「なぜそれを買うのか?捨てるのか?」という消費者への問いや「なぜそれを作るのか?売るのか?」という生産者への問いなど社会に対する「WHY」を投げかける、そんな思いが込められている。

「施設を建てる際にはそれ自体がサステナブルな建物になるように、地産地消を意識して、構造や内装に上勝町産の杉材を使用しました。また、壁にはさまざまな建具がはめ込まれていますが、これらは住民から集めた不要な窓や扉です。廃材や廃品を使った公共施設はあまり前例がなかったのですが、この施設に関しては何より町のコンセプトを優先して進めました」

全体の敷地は、およそ5,557㎡。建物の大きく湾曲した部分が廃棄物の集積所になっていて、町民がごみを持ち込む「ゴミステーション」、そこから続く形でリユースできるものを集めた「くるくるショップ」、交流スペース、シェアオフィスと一続きになった構造。端にある円形型の建物は宿泊施設の「HOTEL WHY」。滞在を通してゼロ・ウェイストアクションを体感できるプログラムが用意されている。

「ゴミステーションでは、現在43種類に分別しています。プラスチック、ペットボトル、ガラス瓶、缶、紙、金属類……リサイクルしようと思うと素材ごとに分けなければならず、住民は各コーナーに持ち込んだごみを置いていく。例えば、同じ紙芯でも柔らかい芯は雑誌に、硬い芯はダンボールになるなど、何にリサイクルされるかによって細かく分けますし、業者さんに回収してもらいやすいよう汚れがない状態にするなど手間も多い。町民のみなさんの協力がなければ、もちろんこのスタイルは難しいことだと実感しています」

また隣接する「くるくるショップ」は、自分には必要ないけれどまだ使える、そんな不用品が持ち込まれるリユースショップで、欲しい人がいれば無料で自由に持ち帰ることができる。茶碗や皿、グラスなどの食器類から衣類やおもちゃ、日用品、家電などさまざまなものが並ぶ。

「食器類は上勝町に引っ越してきたばかりの移住者に、子どもの衣類は母親たちに喜ばれます。おもちゃを集めたコーナーは大人がごみ出しをしている間に子どもたちが真っ先に見にくる人気の場所。施設全体は町民たちの憩いの場にもなっていて、ごみ出しがてらおしゃべりしたり、役場への要望を伝えたり、ワーキングスペースで仕事したり、芝生でのんびりしたりと、単にごみ捨て場だけではない、思い思いに過ごせる場所になっています」

ペットボトル、紙パックなどに付いた汚れもきれいに洗ってから持ち込まれるのでリサイクルもしやすい。

ペットボトル、紙パックなどに付いた汚れもきれいに洗ってから持ち込まれるのでリサイクルもしやすい。

町民は決められた時間の中で、生ごみ以外のごみを好きな時間に持って来てよいというルール。分別の手際も良い。

町民は決められた時間の中で、生ごみ以外のごみを好きな時間に持って来てよいというルール。分別の手際も良い。

左はリユース品を集めた「くるくるショップ」。右は宿泊のチェックインや案内所になっている。

左はリユース品を集めた「くるくるショップ」。右は宿泊のチェックインや案内所になっている。

日用品から衣類まで、新品に近いものも多く、欲しいものがあれば自由に持ち帰って良い。

日用品から衣類まで、新品に近いものも多く、欲しいものがあれば自由に持ち帰って良い。

次世代の人材育成を目指した、持続可能な町づくり

上勝町では2003年の宣言後、焼却や埋め立てごみをなくすことを目指し、リサイクル率を80%まで向上させた(日本全体のリサイクル率は19.6%※2)。「ゴミステーションは上勝町になくてはならない」「分別ごみをゴミステーションまで持ち込むことは習慣」と考える住民は7割を超えるが、一方で、分別の難しさや手間がかかることに負担を感じるという意見があるのも事実だ。

「リサイクル率を維持しながら、住民負担の軽減を進めていかなければなりません。そのためにリサイクル業者や企業、団体との協力体制で分別の手間を減らすことを検討しています。スタート当時は焼却や埋め立て、ごみをなくすという意味合いが強かったのですが、今は“ごみになるものをなくしていく”という表現に変えています」

2020年には新たに「新ゼロ・ウェイスト宣言」を発表。2030年までの重点目標として、環境教育と人材育成を強化し、ゼロ・ウェイストを学べる仕組みや体系化したプログラムを作成、次世代のリーダーを輩出することを掲げている。

「現在、町が抱える問題に過疎化があります。このままいくと2040年には町の人口は829人になってしまうと予測されており、町では2040年に1,000人まで増やすことを目標としています。最近はゼロ・ウェイストタウンとして知られたことで特に若い世代が興味を持ってくれて、移住の問い合わせも増えました。子どもたちを中心に幅広い世代が環境やごみについて学ぶことができる場所作りに力を入れ、ゼロ・ウェイストを手段として活用することで人が呼べるような取組みを進めたいと考えています。住民負担を軽減させ、教育の充実を図ること。それにはごみの分別を楽しく取り組めるような設計が必要なのです」

かつて、ごみ処理において燃やすことから脱却し、リサイクルを決めたとき、後押ししたのは、野焼きを次世代に残したくないと考えた地域の母親たちだったという。新しい宣言にある「未来のこどもたちの暮らす環境を自分の事として考え、行動できる人づくり」という指針は、過去から受け継がれた思いであり、暮らしを豊かにしていくための未来へ繋ぐバトンでもある。

(※2)「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について」(環境省)より抜粋

「HOTEL WHY」は全4室。ゆっくり滞在しながらゼロ・ウェイストを体感することができる。

「HOTEL WHY」は全4室。ゆっくり滞在しながらゼロ・ウェイストを体感することができる。

熱田千鶴
編集者。講談社『FRaU』SDGs号editor in chief、マガジンハウス『&Premium』コントリビューティングエディター。ライフスタイル系メディアを中心に、雑誌、書籍、web などの企画、編集、執筆に携わる。主な書籍に『LIFECYCLING』(PIE International)、『柚木沙弥郎92年分の色とかたち』(グラフィック社)、共著に『柚木沙弥郎のことば』(グラフィック社)。

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Photo:Masanori Kaneshita  Text:Chizuru Atsuta 

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