“読む気候変動対策”メディア、
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Timesについて
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記事を“読む”だけで森林保全活動の支援につながります
- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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港町・神戸の背にそびえる六甲山。その山地の一角に、総面積およそ約142haの広大な敷地を持つ「神戸市立森林植物園」がある。樹木を主役にした珍しい植物園で、北アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地から集められた樹木や植物が、自然に近い形で植栽されている。起工は1940年。六甲山は今でこそ緑豊かな森だが、明治の初めごろまでは荒廃したはげ山で、先人たちは土砂崩れなどから市街地を守るためにコツコツと植樹を行なってきた。神戸市立森林植物園の基盤にあるのは、そんな先人たちの思い。神戸の街と森林の深い関わりを教えてもらうためにガイドツアーに参加した。
[連載概要]
気候変動は、私たちの暮らしや自然環境に深く影響を与える課題です。
チューリッヒ保険会社は、気候変動に対し、より多くの人々とともに考え、行動するきっかけをつくりたいと考えています。
本連載は、その想いをもとに、YouTubeチャンネル『チューリッヒ保険会社のGreen
Music』で公開される作品の背景にある自然環境やその土地の取組みを掘り下げ、持続可能な未来につながる手がかりになればと考え生まれました。作品では伝えきれないストーリーをお届けしていきます。
JR三ノ宮駅からおよそ6km。曲がりくねった山道を車で30分ほど登った先に神戸市立森林植物園の正門が現れる。標高約450mに位置するこの場所では、あたりの空気はひんやり涼しく、思わず深呼吸したくなる清々しさだ。この植物園の特徴は、樹木本来の姿を見せるために「樹林」として、まるで自然界の森林のように木々を植えていること。「ここは植物の“生きた姿”に触れられる植物園なんです」と職員の宮内元子さんは話す。
「園内は北アメリカ産樹林区、ヨーロッパ産樹林区、アジア産樹林区といったように原産地別に区画されていて、その一帯を散策すると、まるで異国の森を訪れたような感覚を味わえます。日本の樹木も北日本区、照葉樹林区、日本針葉樹林区と細かく分類してあるので、それぞれの特徴がわかりやすんです。見本園のように珍しい樹木を一本一本観察するのではなく、散策しながら森の雰囲気そのものが楽しめる造景になっています」
神戸市立森林植物園の英名は『Kobe Municipal Arboretum』。ここにも園の特徴が現れていると語る宮内さん。
「植物園は一般的に『Botanical Garden』と訳されることが多いのですが、私たちの園は『Arboretum(樹木園)』を名乗っています。これは国内の植物園では極めて珍しいこと。それだけ森林に特化しているということです。森林という環境の多様さやそこで育まれる生態系の豊かさをありのままに味わえる貴重な場所となっています」
アジア区のメタセコイア林。白亜紀から存在していたとされる樹木で、1939年に日本で化石が見つかり、「メタセコイア属」として新たに命名された。後に中国で現存する樹木が発見されたことから、「生きた化石」とも呼ばれている。
園内の区分を示す立体地図。モミジバフウやダイオウマツなど北アメリカ原産の樹木を植樹した「シアトルの森」や、日本の針葉樹で唯一落葉するカラマツを集めた「カラマツ林」がある北日本区など、10を超えるテーマ別の区画がある。
神戸市立森林植物園が大切にしているのは、できるだけ人の手を介さずに植物を育てること。
「園内では、倒木の危険など、余程の理由がない限りは剪定を行いません。自然界と同じように、それぞれの樹木が根を張った場所の太陽の光や風の向きに応じて、のびのびと大きくなっています。スギやアスナロといった馴染みのある木も、ここではどこか違った雰囲気に思えるかもしれませんが、それは人の手が加えられていないから。人工林などで見かけるスギやアスナロは下枝が切除され、枝のない幹がまっすぐに伸びていることが多いのですが、この園では地面ぎりぎりの高さにも下枝が力強く伸びています。これが樹木の本来の姿なのです」
下枝がそのままに育つアスナロの木。園内の木々はどれも野生味を感じるダイナミックな姿をしている。
「私たち職員の仕事は担当する区画を丹念に観察し、草木の変化に細やかに目を配ること。安易に手を入れるよりずっと難しい管理ですが、そうすることによって植物園でありながら、自然の森林を訪れたかのような体験ができるのです」
初夏の植物園を彩る5万株のアジサイ
植物園では多様なガイドツアーが開催されており、植物の生態や森林が環境に与える影響などを学ぶことができる。この日のガイドは横山幾雄さん。20年近く案内ボランティアを務めるベテランで、6月に見頃を迎えるアジサイについて教えてくれた。
「アジサイは日本が原産の植物です。ヨーロッパでは“東洋のバラ”と呼ばれ、各国で盛んに品種改良が行われてきたという歴史があります。神戸市立森林植物園では、国内外の原種を25種、園芸品種を含めると350品種を見ることができます。神戸市の「市民の花」がアジサイだということもあり、原種や古品種(古くから選抜されてきた種)を大切に育ててきました。アジサイは手間暇をかけて剪定しています。弱っている枝や枯れた枝葉を剪定してあげると、新芽がすくすくと成長するんです」
園で育てられているアジサイは約5万株。1959年に六甲山系内で再発見された幻のアジサイ・シチダンカや、六甲山に自生する小さくて可憐なコアジサイなど、珍しい品種も数多くある。横山さんの話を聞くと、ただ美しいと眺めていた花々について「もっと知りたい」という欲求が湧いてくる。
「ガイドツアーで目指しているのは、植物に興味を持ってもらうこと。名前や特徴を覚えることは重要ではなくて、目を向けて、おもしろいな、きれいだなと思ってもらえたら十分だと思っています」と横山さん。隣で頷く宮内さんはこう続ける。
「園を歩いて、森林の気持ちよさを体感してもらうことが、環境について考える最初の一歩になると思っています。ガイドツアーでは地球温暖化や環境問題について詳しく解説をするわけではないのですが、例えば夏に市街地からやってきた参加者は、園内がひんやりと涼しく、市街地より気温が2〜3℃低いことに自ずと気づきます。そうしたことを体感するほうが、情報として学ぶよりもすんなりと、森林の重要性を理解してもらえるのではないかと思っています」
長年、案内ボランティアを務める横山さん。穏やかな語りで、植物について愛情たっぷりに解説してくれた。
ヒメアジサイ。信州の民家で古くから栽培されていたという手まり咲きの品種で、昭和初期に植物学者の牧野富太郎が発見した。園内の「あじさい坂」を彩る代表的なアジサイの一種。
日本原産のコアジサイ。遠目から見ると、ふわふわとした綿毛のよう。「アジサイはあまり匂いがしませんが、コアジサイは珍しく、甘い香りを放ちます」と横山さん。
「アナベルの丘」に咲くアナベルは北アメリカ産のアジサイの品種で、ボールのような大きくて丸い形状が特徴。
次世代に伝える、街を守る森林の役割
植物園では、園児から大人まで幅広い年齢を対象とした体験プログラムも開催している。ここで大切にしているのも「感じる」こと。職員と共に園内を散策し、森林の中を歩く心地よさを感じたり、葉や実の違いなどを観察したりしながら、植物を身近に感じてもらう工夫をしている。そんなプログラムの中で子どもたちに伝えているのが、この植物園が生まれるきっかけとなった水害の話だ。
「神戸の街は1938年に「阪神大水害」という大規模な水害に見舞われています。同年の7月3日から5日にかけて降った集中豪雨により、土砂災害や河川の氾濫が相次いで発生し、死者や行方不明者も多く出た被害の大きな自然災害でした。当時の六甲山にはほとんど木々がなく、大量の雨が山肌を滑って街へ流れ込み、それが被害を増大させたと言われています。子どもたちには、かつての災害では車と同じくらいの大きさの岩がゴロゴロと街に転がってきたことを伝えています。山に木があれば、そうした被害を防ぐことができる。山を背負って生きる神戸という街にとって、山に森林があることはとても重要なのです」
長谷池のほとりに佇むアカマツの木。開園当初から森林植物園とともに生きてきた。
森林展示館にある森の生態系を学ぶコーナー。植物だけでなく、動物や鳥、昆虫なども含めた、森に生きる動植物の関わりをわかりやすく伝える。
森林植物園のあちこちにある大きく育った木々。海外から運び込まれた種子を、園外の自然に影響を与えないように管理することも職員の重要な仕事。
こうした減災の視点は、神戸だけでなく全国の森林や里山で注目されている。地球温暖化によって豪雨災害が深刻化している今、人工林を伐採した後の更地が災害時のリスクとなるからだ。山にしっかりと根が張った木々が育っていれば、大雨が降った際も地滑りが起きづらく、土砂災害等のリスクを軽減できる。また、豊かな森林には昆虫や鳥、微生物などが集まり、土壌も自ずと豊かになる。その土壌によって濾過された水は、栄養豊富な天然水となり、川や湖、やがて流れ着く海の生態系も潤してくれる。
「私たちの暮らしは森に守られています」と宮内さん。
「それを知識として学ぶことも大切ですが、森林の心地よさを体験してみることも同じくらい重要です。澄んだ空気や自然のままに育った樹木の雄大さ、森に溶け合うようにして咲く花々の美しさを目にすることで、環境保全や地球温暖化の問題にも主体的に関心が向くようになるのではないでしょうか」
内田有佳
編集者・ライター。雑誌、書籍、Webを中心に、ライフスタイルをテーマとした企画・編集・執筆を行う。アートブックの制作にも関わり、編集を担当した図録に『いわさきちひろ生誕100年 Life
Chihiro Iwasaki 100』(ちひろ美術館・東京)がある。
関連動画
Chill Music - 雨の調べに紫陽花がそっと聴き入るチルBGM - murtoy
A-250606-01
Photo:Jun Kozai, Kobe Municipal Arboretum Text:Yuka Uchida
ご回答ありがとうございます
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