あなたの“読む”が気候変動対策に

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Green Music つながる風景

サンゴ礁の保全を軸に環境・経済・社会の好循環を目指す、 沖縄県恩納村の取組み

“読む気候変動対策”メディア
Green Timesについて

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チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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サンゴ礁が広がる美しい海岸線を持ち、日本屈指の観光リゾート地として知られる、沖縄県恩納村。2018年には世界一サンゴと人にやさしい村として「サンゴの村宣言」を行い、プロジェクトをスタートした。その背景には1998年に起きた大規模なサンゴの白化現象があった。現在も海水温の上昇をはじめとする、地球温暖化によって引き起こされる気候変動の影響により、サンゴにとって危機的な状況が続いている。美しいサンゴ礁を守るため、海域と陸域から対策を講じ、いち早く活動を開始した恩納村の取組みを聞いた。

INDEX

[連載概要]
気候変動は、私たちの暮らしや自然環境に深く影響を与える課題です。
チューリッヒ保険会社は、気候変動に対し、より多くの人々とともに考え、行動するきっかけをつくりたいと考えています。
本連載は、その想いをもとに、YouTubeチャンネル『チューリッヒ保険会社のGreen Music』で公開される作品の背景にある自然環境やその土地の取組みを掘り下げ、持続可能な未来につながる手がかりになればと考え生まれました。作品では伝えきれないストーリーをお届けしていきます。

白い砂浜と透明度の高い海、サンゴ礁が織りなす海岸線、真栄田岬といった人気のダイビングスポットなどを有する沖縄県恩納村。海以外にも山や川など、変化に富んだ自然を楽しめることから、毎年多くの観光客が訪れる、日本を代表するリゾート地の一つに数えられている。また、恩納村は「サンゴの村」として知られているが、近年の海水温の上昇やサンゴを食するオニヒトデの大量発生、海を濁らせ、光合成阻害や窒息を引き起こす可能性がある赤土の流出などにより、そのサンゴ礁が危機に瀕している。長年にわたりサンゴ礁の保全に取り組んできた恩納村漁業協同組合(以下「漁協」)や関係者と共に「サンゴの村宣言」を推進する恩納村企画課企画係長の宇江城悟さんはこう語る。

「恩納村のサンゴ礁保全活動は1960年代まで遡ります。当時は、漁師がオニヒトデを駆除することからスタートしました。70年代に入り、新たに問題となったのが陸域からの赤土流出。それは、同時期に漁協が確立したモズクとアーサの養殖やサンゴにも大きく影響をもたらしました。そこで村では、1975年に「恩納村地域開発指導要綱」を制定(その後、1991年には「恩納村環境保全条例」を制定)したことで、大規模開発による赤土の流出を抑止してきました。サンゴ礁保全活動に関しては、他市町村に比べてもかなり先進的な取組みがなされてきたと認識しています。長い歴史の中で、恩納村のサンゴ礁保全活動には大きなターニングポイントがありました。それは、1998年に発生した大規模なサンゴの白化現象です。これまではオニヒトデの駆除や赤土流出の抑制のみでしたが、この年をきっかけにサンゴを養殖し、増やしていくことを始めたのです。白化によりダメージを受けたサンゴ礁の回復を、人が手伝うことを本格化させました」

サンゴの養殖をスタートさせると企業からの協力も増え、その後も継続的に活動を実施してきた。2018年には、環境に配慮した持続可能な地域社会の実現を目指し、より広く周知するために「サンゴの村宣言」を行う。翌2019年には環境保全をしながら、経済と社会を含めた総合的な活動が評価され、恩納村はSDGs目標達成に向けた優れた取組みを行う都市として、内閣府より「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」に選定された。

恩納村で養殖を進めるサンゴは、主にミドリイシ類の枝サンゴ。漁協では世界で初めてとなる「ひび建て式養殖」(海底に鉄筋とパイプを立て、そこに育成させるサンゴをセットしていく方法)を開発し、サンゴの“親”を育成、苗の植え付けに成功した。また“親”に仕立てたサンゴの自然産卵を促したり、人工的に受精させたりと、遺伝的多様性にも配慮してきた。恩納村で養殖しているサンゴは、天然と同程度、もしくはそれ以上の遺伝的多様性を有することがOIST(沖縄科学技術大学院大学)の研究からも裏付けされている。

実は、昨年、またサンゴの大規模白化が起きてしまったという。30℃以上の海水温が長期にわたり続いたのが主な要因だと考えられているが、これにより自然のサンゴと養殖サンゴの8~9割が白化・死滅してしまった。

「これまで長年にわたり、漁協を中心とした多くの皆さまの協力を得て植え付けてきた数万本ものサンゴの大部分が失われてしまいました。かろうじて残った個体を地道に増やしていくしかない状況ですが、サンゴの白化は大なり小なり何回も繰り返してきたことでもあり、自然現象の一つとして捉え、悲観しすぎず、サンゴ礁の保全活動を続けていくことが大切だと思っています」

サンゴは”褐虫藻”と呼ばれる藻類を体内に共生させ、それらの光合成によって生み出される栄養を利用する。夜間にはプランクトンなどを捕食する。なんらかの環境ストレスにより褐虫藻の光合成系が損傷され、サンゴが褐虫藻を放出することにより白化現象が起きてしまう。

サンゴは”褐虫藻”と呼ばれる藻類を体内に共生させ、それらの光合成によって生み出される栄養を利用する。夜間にはプランクトンなどを捕食する。なんらかの環境ストレスにより褐虫藻の光合成系が損傷され、サンゴが褐虫藻を放出することにより白化現象が起きてしまう。

恩納村海域で養殖したサンゴの苗を岩盤に植え付けする様子。

恩納村海域で養殖したサンゴの苗を岩盤に植え付けする様子。

恩納村漁協で行っているサンゴのひび建て式養殖と主に養殖されているミドリイシ類。モズク養殖の鉄筋にサンゴの幼生が多く着生しているところから着想を得ている。オニヒトデからの食害や潮通しの良さから健全に成長し、早い群体では3~4年で産卵を行う。

恩納村漁協で行っているサンゴのひび建て式養殖と主に養殖されているミドリイシ類。モズク養殖の鉄筋にサンゴの幼生が多く着生しているところから着想を得ている。オニヒトデからの食害や潮通しの良さから健全に成長し、早い群体では3~4年で産卵を行う。

サンゴ礁の保全には海域だけでなく陸域の活動も鍵に

サンゴ礁を守るためには海の活動だけではなく、陸域から防いでいくことも重要視されている。サンゴや海草の生育にも影響するといわれるのが農地からの赤土の流出。陸は川を通じて海と繋がっていることからその影響も大きい。また、農地の資産でもある良質な赤土の流出は、農業にも影響を及ぼす。その防止対策を担当する恩納村農林水産課の桐野龍さんはこう語る。

「沖縄県の土壌は『赤土』と呼ばれる独特な土で、恩納村では約8割が赤土で構成されています。赤土は雨水に溶けやすく、砕けやすい性質があるため、特に畑からの流出が問題です。雨が降ると土壌の表面が浸食され、雨水と共に赤土が河川に流れ込み海に流入します。堆積した赤土はサンゴ礁の海を濁らせ、サンゴや海草の光合成を阻害する原因となることがわかっています」

現在、赤土流出には主に4つの対策がある。「葉がらマルチング」はサトウキビの葉がらを畑に敷き詰め、直接雨が土に当たらないようにするもの。畑で使われる一般的な「マルチ」(ビニールシート、不織布、わらなどの素材で作られ植物の根元を覆う被覆材)の役割を果たし、除草剤の使用回数が年間4回ほど減るなど、農家にとってもメリットがある。葉がら自体が有機物となり、土作りにも役立つ。2つ目は、「グリーンベルト(ベチバー植栽)」。植栽によるフィルター(壁)を作り、赤土の流出を防ぐ。イネ科の多年草であるベチバーは成長が早く、すぐに2mほどになるため、年4回程度の草刈りが必要となる。3つ目の「深耕ソイラー」は畑を深く耕すことで浸透性・給水率を上げ、畑からの赤土流出を抑制するというもの。”ソイラー”とは土壌の深層まで耕すための作業や機械のことを指す。4つ目の「緑肥カバークロップ」は耕したままになる畑に花の種をまき、植物で土壌をカバーする。その中の「ハニー&コーラルプロジェクト」では採蜜によるブランド蜂蜜の生産・販売といった新たなメリットを創出し、ミツバチの手を借りて沖縄のサンゴ礁の保全を目指している。

赤土流出は、農家にとっても作物を育てる上で大事な土壌が流出してしまうため深刻な問題となっているが、対策には農作業の負担が大きく、労力やコストも必要となる。恩納村では「農家にとってメリットがある形」を第一に考えているという。

「農家の負担軽減とメリット創出が活動継続のための鍵となります。たとえば人手が必要な『葉がらマルチング』では、漁協青年部やマリン関係者に報酬を支払い、農家でなく彼らに作業してもらう。『グリーンベルト』ではベチバーの葉を二次活用し、クラフト商品として販売することで、ベチバーの葉を植える農家の収益向上と管理意欲の向上に繋げる。商品化や収益化、地元の企業やホテルに参加してもらいブランド化することで、村内外での販売体制を構築するといった全員がWin-Winとなる持続可能な仕組みを目指しています」

赤土が流入したサンゴ礁。赤土流出は、天候や地形など自然的要因よりも農地からの流出といった人為的な要因が大きいため、対策次第で抑制が可能だという。

赤土が流入したサンゴ礁。赤土流出は、天候や地形など自然的要因よりも農地からの流出といった人為的な要因が大きいため、対策次第で抑制が可能だという。

左側は「葉がらマルチング」を施した畑。右側の畑との差は明瞭で、完璧に近い赤土対策ができる。

左側は「葉がらマルチング」を施した畑。右側の畑との差は明瞭で、完璧に近い赤土対策ができる。

畑に花の種をまき、植物で土壌をカバーすることで赤土の流出を抑制する「緑肥カバークロップ」。花が咲くことで景観向上や観光資源化にも繋がる。

畑に花の種をまき、植物で土壌をカバーすることで赤土の流出を抑制する「緑肥カバークロップ」。花が咲くことで景観向上や観光資源化にも繋がる。

日本初のGreen Fins導入で目指す、持続可能な村づくり

世界的なダイビングスポットとして知られる恩納村では、グローバルな取組みの一つとして、環境に優しいダイビングやシュノーケリングの国際的なガイドライン「Green Fins(グリーン・フィンズ)」の導入も進めている。Green Finsは、国連環境計画(UNEP)とイギリスのReef-World財団による、マリンレジャーにおける海の環境を守るための国際的ガイドラインだ。たとえば「サンゴに触ったり、蹴ったり、膝をついたり、寝転がったり、踏んだりしない」「海洋生物を追いかけたり触ったりしない」「魚に餌付けをしない」など、サンゴ礁の保全のためのダイビングやシュノーケリングの基準が設定されている。恩納村企画課企画係の饒波武周さんはこう話す。

「恩納村ではこの国際ガイドラインを日本で初めて導入し、事業者間でも環境保護に対する意識向上の機運を高めています。主にダイビングショップを対象に認証を行い、環境に配慮した潜り方などマリンレジャーによる生態系への影響を最小限に求める制度です。村には約100店舗のダイビングショップがあり、観光客の多くがこれらを利用しています。これまで安全管理は徹底されていましたが、Green Finsを導入することで環境に優しい潜り方を徹底し、基準を遵守することになります。地方自治体での導入は世界初で、現在、村内18店舗が加盟しました。インバウンドも多いので、サステナブルツーリズムの実現に結びつけるとともに、ダイビングショップ以外の関係者への普及啓発にも力を入れていきたいと考えています」

Green Finsの認証には、ダイビングツアーに認証員が同行し、国際的なガイドラインに基づいたダイビングを行っているかを確認・評価する。2020年、2021年には、イギリスからトレーナーを招き、日本で6名のGreen Finsの認証員が誕生した。

Green Finsの認証には、ダイビングツアーに認証員が同行し、国際的なガイドラインに基づいたダイビングを行っているかを確認・評価する。2020年、2021年には、イギリスからトレーナーを招き、日本で6名のGreen Finsの認証員が誕生した。

これまでもダイビング事業者が海中清掃やリーフチェック(サンゴのモニタリング調査)を行なってきたが、その環境保全の一環として、Green Finsをマリンアクティビティの商品に組み込み、今後さらに強化していくという。

これまでもダイビング事業者が海中清掃やリーフチェック(サンゴのモニタリング調査)を行なってきたが、その環境保全の一環として、Green Finsをマリンアクティビティの商品に組み込み、今後さらに強化していくという。

SDGsの考え方をもとに、サンゴ礁の保全のためのさまざまな取組みを行なう恩納村。その他にも、毎年3月5日(サンゴの日)に「恩納村Save The Coralプロジェクト」と題して、地域の企業や住民とともにサンゴ苗の植付け、ビーチクリーンや陸域での植樹などを実施している。小中学校ではサンゴ及び環境に関する学びをカリキュラムとして導入したり、中学校では産官学の連携で「SDGsパートナーシッププロジェクト“UNNA魂”」を実施したりと、次世代を担う子どもたちへの教育と人材育成にも力を入れている。地域の子どもたちに海の大切さについて教えていくことは、美しい海の環境を次世代に残し、繋いでいくこと。環境、経済、社会が好循環する村を目指す恩納村の取組みは「SDGs未来都市」として、これからの自治体像を先導するモデルケースとなっている。

熱田千鶴
編集者。講談社『FRaU』SDGs号ディレクター・チーフエディター、マガジンハウス『&Premium』コントリビューティングエディター。旅やライフスタイル系メディアを中心に、雑誌、書籍、web などの企画、編集、執筆に携わる。主な書籍に『LIFECYCLING』(PIE International)、『柚木沙弥郎92年分の色とかたち』(グラフィック社)他、共著に『柚木沙弥郎のことば』(グラフィック社)。

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A-250620-02

Photo:恩納村役場  Text:Chizuru Atsuta 

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