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- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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沖縄本島から南西に約300km、碧く澄んだ海に囲まれた宮古島。亜熱帯の自然が息づくこの島は、美しいサンゴ礁と白砂のビーチで知られる観光地である一方、河川を持たず地下水に生活を支えられた、特異な地形を有している。水資源の保全は、島の持続可能性を左右する重要な課題だ。加えて、再生可能エネルギーの導入も近年加速し、地域に根ざしたサステナブルな実践が注目を集めている。自然と共生する島の未来を見据え、宮古島が切り拓く持続可能な歩みを追った。
[連載概要]
気候変動は、私たちの暮らしや自然環境に深く影響を与える課題です。
チューリッヒ保険会社は、気候変動に対し、より多くの人々とともに考え、行動するきっかけをつくりたいと考えています。本連載は、その想いをもとに、YouTubeチャンネル『チューリッヒ保険会社のGreen
Music』で公開される作品の背景にある自然環境やその土地の取組みを掘り下げ、持続可能な未来につながる手がかりになればと考え生まれました。作品では伝えきれないストーリーをお届けしていきます。
「宮古島では、長年、干ばつと台風という2つの深刻な災害に見舞われてきました。島の農業を守ろうと、1970年代から農業用水確保のための地下ダム(*1)の建設が進められました。しかし、生活が豊かになるにつれて、農業を中心とした土地利用の影響で、地下水への負荷が増大し、1980年代には地下水の硝酸態窒素濃度(*2)の上昇が確認され、市民の間に危機感が広がったのです。これを契機に、徐々に地下水保全に対する意識は高まりました。また、同時にエネルギーや食料の島外依存、観光の急成長によるオーバーツーリズムといった課題も浮き彫りとなりました。これらの問題に包括的に向き合うために、2008年に『エコアイランド宮古島宣言』を行いました」
「エコアイランド宮古島」は持続可能な島づくりを目指したビジョン。その頃から地下水保全を中心に、再生可能エネルギーの導入、ごみの資源化、地域循環型のライフスタイルなど、多方面にわたる政策が本格化していった。2018年には、その理念をさらにアップデートさせた「エコアイランド宮古島宣言2.0」を発表。これまで一部の市民から「エコアイランドとは何かよく分からない」「自分たちの生活とは関わりを感じられない」という意見もあったそうだが、それらを踏まえ、より市民主体の持続的な取組みにつなげていくために再定義した。
事前に行われた、宮古島を考察するワークショップには、行政、市民、学生が参加。そこで生まれたのが「千年先の、未来へ。」という言葉だ。このスローガンは、単なる環境保護だけでなく、世代を超えた責任と希望を表現した言葉として、市民の胸に刻まれた。島に暮らす一人ひとりの手によって未来につないでいくという、強い意志の表れでもある。
(*1)「地下ダム」は、地下に水を通さない壁を築き、地中を流れる地下水をせき止めてためる施設。水の安定的な確保と利用が可能。出典:http://www.m-kairyouku.com/index.htm
(*2)「硝酸態窒素(硝酸性窒素)」は、水や土壌、植物などに存在する窒素化合物のことで、特に硝酸イオンとして存在する。肥料や家畜の糞尿、生活排水などに含まれ、地下水や河川水に溶け出しやすい性質を持つため、地下水汚染や富栄養化の原因となることがある。「硝酸態窒素濃度」は、その量を表す指標のこと。出典:https://www.env.go.jp/content/900539353.pdf
「宮古ブルー」と呼ばれる海の色。サンゴ礁が隆起して形成された琉球石灰岩に覆われた宮古島は、平坦な地形ゆえに降った雨はすぐに地中へと染み込み、大きな川をつくることはない。そのため土砂が海へ流れ出すことがほとんどなく、透明度の高い海が保たれる。
2018年に新たに打ち出された「エコアイランド宮古島宣言2.0」のビジョン。この島に住む一人ひとりが「自分ごと」にできるよう市民目線で作られた。
「エコアイランド宮古島宣言2.0」のために行なった事前の市民アンケートでは、「資源とエネルギーを大切にする」「ごみのない美しい島づくりを目指して住民一人一人が行動する」が最も訴えるべきテーマという結果だった。写真は中学校で行われた、ごみに関する環境学習。
島の未来を支える、地下水保全と再生可能エネルギーへの取組み
1965年、日本で初めて地下水取水許可制度を規定した「地下水保護管理条例」を制定した宮古島。以来、水資源を守るためのルール作りを進めてきた。大きな河川を持たず、生活、農業、産業すべてを地下水に依存する島にとって、地下水は“命の水”。そのため、地下水を守る意識は長年にわたり、島の文化として根づいてきた。
現在は、人口増加や農業の拡大による課題に対応すべく、新たに再編された「地下水保全条例」に準じている。現行の条例では、水質のモニタリングや農業との調整を行うこと、住民や事業者の協力体制を築くなど、より実効性ある仕組みが構築されているという。
現在、水道水源には湧水や地下水井戸が活用されており、さらに貯水池を整備することで、渇水への備えが進められています。「地下水位については、降雨などによる一時的な変動はあるものの、全体としては安定しており、顕著な低下傾向は見られていません。農業・畜産業が地下水へ与える影響としては、肥料や家畜糞尿による硝酸性窒素の濃度上昇、農薬による水質汚染などが一般的ですが、宮古島市においてはいずれも基準値を大きく下回っており、水質は良好な状態が保たれています」と話すのは環境保全課の職員。さらなる水質向上を図るため、地下水の保全と産業振興の両立を目指し、市民も参加しやすいイベントやシンポジウムの開催など、さまざまな施策も進めているという。
宮古島の農業の発展を支える地下ダム。島独自の地形と水資源の特性を生かして構築された。水の安定供給により農業生産性のさらなる向上が期待される。
もう一つ、宮古島の大きな挑戦が「エネルギーの地産地消」だ。エコアイランド推進課の職員曰く「宮古島で使用されているエネルギーのほとんどは化石資源であり、その大半を島外に依存しています。
離島であるがゆえに輸送コストがかかり、需要規模が小さいため効率的なエネルギー供給が難しく、結果として供給コストが高くなってしまう。さらに、原油価格の高騰などに影響されやすい構造にも課題がありました」
外的リスクに強く、島内で経済が循環する社会システムの構築が求められる中で何よりも強化されたのが「エネルギーの自給」だった。
「エネルギー政策で重点を置いたのは、省エネ、地産地消、低コストの3本柱。省エネルギー対策を推進し、太陽光や風力など島内資源を地消エネルギーとして有効活用し、さらに安定的かつ低コストでエネルギーを利用できるような仕組みの構築を目指しました。今もその実現に動いています」
市民生活では、停電時に利用できる太陽光発電システムと蓄電池の整備が進んだことで、台風のたびに長時間の停電に悩まされていた住民からは、「被害が軽減された」という声が上がっているという。
また、再生可能エネルギーへの本格的なシフトは、市民の暮らしを支えるとともに、脱炭素社会を目指すうえでの大きな前進となった。2021年度にゼロカーボンシティを宣言した宮古島市は、2023年、脱炭素先行地域として環境省に採択された。“脱炭素先行地域”とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域を指し、「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとなるものだ。
島内の総電力使用量に対する再生可能エネルギーの比率は、2016年に12%、2023年には18%まで伸び、宮古島のエネルギー自立への歩みは、確かな成長を見せている。
一般家庭や事業所における省エネアクションや省エネ機器の設置を進め、2050年には自給率48.9%を目指している。
「エコアイランド宮古島宣言2.0」とは、“いつまでも住み続けられる豊かな島”という理念のもと、島民が一体となって、持続可能性を追求する取り組みの表明である。千年先を見据える——その視点は、世界のサステナブルな地域づくりにとっても確かなヒントとなるだろう。
熱田千鶴
編集者。講談社『FRaU』SDGs号ディレクター・チーフエディター、マガジンハウス『&Premium』コントリビューティングエディター。旅やライフスタイル系メディアを中心に、雑誌、書籍、web
などの企画、編集、執筆に携わる。主な書籍に『LIFECYCLING』(PIE
International)、『柚木沙弥郎92年分の色とかたち』(グラフィック社)他、共著に『柚木沙弥郎のことば』(グラフィック社)。
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Chill Music - 透きとおる夏の海にとけこむチルBGM - Tamotsu LeftGroove
A-250812-03
Photo:宮古島市役所 Text:Chizuru Atsuta
ご回答ありがとうございます
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