あなたの“読む”が気候変動対策に

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「持続可能なフェス」にするには?フジロックやアースデイ東京のサステナブル担当と考える

“読む気候変動対策”メディア
Green Timesについて

記事を“読む”だけで森林保全活動の支援につながります
チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
  1. STEP 1
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  2. STEP 2
    気候変動を考えるきっかけになったか、ボタンで回答
  3. STEP 3
    きっかけになった数に応じて、チューリッヒ保険会社が森林保全活動へ寄付

自然のなかで開放的に音楽を楽しめる「野外フェス」。環境に配慮し、フェスを楽しむために、私たちはどのようなアクションを起こすと良いのでしょうか。

今回は、フジロックやアースデイ東京などのサステナビリティ担当を担うグリーンアップルの代表である中島悠さんと、チューリッヒ保険会社で「Green Times」を運営する成田伶奈が対談。両社の取組みをはじめ、個人でもできるエコな活動について話し合っていただきました。

INDEX

株式会社グリーンアップル 代表取締役

中島悠

2003年に大学を卒業後、コンベンション会社に勤務。2005年から環境イベント『アースデイ東京』の事務局に籍を置く。2006年、事務局長就任。来場者12万人、NPO / NGO・企業・団体などが集うイベントに成長させる。2011年、社会や環境、防災、サスティナビリティ、ダイバシティなどにかかわる社会的なメッセージを発信するイベントの企画制作に特化した株式会社グリーンアップルを設立。年間60本以上大小さまざまなイベントを手がけ、日本最大級の音楽フェス『フジロック』ではサステナビリティの担当者として20年以上運営に携わっている。

ごみの分別や資源循環で、サステナブルなイベントづくり

―中島さんが代表を務めるグリーンアップルは、インベントプロデュース事業を通して、環境問題・地域再生などの社会問題に取り組んでいます。具体的には、どのような事業を展開されているのでしょう?

中島:そもそもからお話すると、グリーンアップルは2011年に「イベントには社会を変えるチカラがある」をコンセプトに立ち上げた会社です。

もともと僕自身は、代々木公園で開催している環境イベント『アースデイ東京』の事務局長を長いあいだ務め、環境に配慮したイベントづくりや、イベントのなかで環境問題のことを積極的にアピールする取組みをずっと行ってきました。それを事業化するためにつくった会社が、グリーンアップルなんです。

環境問題からスタートした会社ですが、最近ではSDGs関連、高齢者の認知症やフレイル予防、特別養子縁組に関することなど、社会にまつわるいろいろな課題を取り扱っています。それらの課題について、イベントを通して向き合っていくことが、僕らのミッションです。

グリーンアップルの中島悠さん

グリーンアップルの中島悠さん

成田:グリーンアップルは、フジロックをはじめ、数々の野外音楽フェスにも関わっていますよね?

中島:そうですね。関わっているといっても、いわゆる「ごみゼロ」活動といいますか、会場内で出るごみに関することだったり、エネルギーのことだったり、環境面に関することに携わらせていただいています。

成田:具体的には、現地でどのような活動をされているのでしょう?

中島:野外フェスでは会場内でごみがたくさん出るので、その分別がきちんとできるような施策やリサイクル活動はもちろんのこと、イベント内での資源循環も目指しています。たとえば会場内では「繰り返し使う」「再利用する」ことをコンセプトにしたワークショップを行ったり、フジロックでは、現地で分別した紙コップをリサイクルして、次の年に使うトイレットペーパーに生まれ変わらせたりしています。

中島:また、野外フェスでは電気が身近にないことが多いので、ガソリンや軽油を燃料とする発電機を使うのですが、少しでも化石燃料から脱却できないかと考え、使用済みの天ぷら油をリサイクルした「バイオディーゼル燃料」を用いて、会場の一部のエネルギーをまかなうような取組みもしています。

避けられないCO2排出。だからこそ、森林支援でオフセット

―野外フェスに関連してできるエコ活動は、数多くあるんですね。逆に野外フェスの開催によって排出されてしまうCO2に対して、なにか対策や施策などはされていますか?

中島:イベントを実施するためには電気が必要です。つまり、フェスを開催するためにCO2が排出されることになりますよね。フジロックでは、それを少しでもオフセット(※)しようとする活動もしてきました。最初はオフセット先を海外にしていたのですが、私たちではなかなか現場を見ることができないじゃないですか。

そうするとあまり実感が持ちづらく、自分たちが目に見えるかたちで行うことを検討しました。そのタイミングで新潟県からお声掛けをいただけて、2011年から「フジロックの森プロジェクト」という林業支援の活動を展開しています。

※排出してしまったCO2の量に見合ったぶん、CO2削減活動に投資するなどして埋め合わせる考え方

フジロック会場周辺への植樹など、森づくり活動のほか、会場にはケミカル素材不使用の木材を用いたボードウォークを設置している

フジロック会場周辺への植樹など、森づくり活動のほか、会場にはケミカル素材不使用の木材を用いたボードウォークを設置している

―チューリッヒ保険会社でも環境問題に配慮した取組みをされているかと思います。どのような背景から始まったのでしょうか。

成田:チューリッヒ・インシュアランス・グループでは、「明るい未来を共に創造する」というパーパスを掲げています。いまはゲリラ豪雨や洪水、山火事など、気候変動の問題が、私たちの生活に直接影響を与えていて、今後ますます深刻になっていくことが予想されます。

そういった状況のなかで、気候変動について知り、その影響に備えることが、私たちの重要な使命です。チューリッヒ保険会社では、世界中が同じ想いで地球環境と向き合うことが大切であると考え、気候変動への取り組みを始めました。

チューリッヒ保険会社ブランド&マーケティング部 成田伶奈

チューリッヒ保険会社ブランド&マーケティング部 成田伶奈

中島:そういった活動を、どのくらいやられているんですか?

成田:グループとしては、2020年よりブラジルの大西洋森林の再生と生物多様性の回復を支援する「チューリッヒ・フォレスト・プロジェクト」を展開しています。日本も2022年より「チューリッヒの森」というプロジェクトをスタートさせました。

中島:それは、どういったプロジェクトなのですか?

成田:先ほど中島さんがおっしゃられた「フジロックの森プロジェクト」と、同じような取組みだと思うのですが、「チューリッヒの森」プロジェクトでは現在、長崎県、神奈川県、大阪府の3か所で、各自治体とともに森林の整備活動を行っています。

間伐の様子

間伐の様子

成田:たとえば、「神奈川県 チューリッヒの森」では、神奈川県の「森林再生パートナー制度」に参加し、5年間県に寄付を行い、それを財源として県が水源地域の森林の整備活動をしています。

水源地域の森林を健康で活力のある状態に保ち、次世代に引き継いでいくため、当社社員も間伐、枝打ち、下草刈り、自然観察などの活動を実施し、県と一体となって森林を守る活動を行っているんです。

中島:まさに、私たちと近い取組みをされているんですね。

年々増える車での来場に、フェスの運営はどう対応すべき?

―中島さんは、長年にわたって多くの現場を見られてきたと思いますが、イベント参加者の意識もだいぶ変わってきたのではないですか?

中島:そうですね。いまのような野外音楽フェスが始まった90年代の終わり頃は、「自然のなかで音楽を聴けるなんて最高!」という思いだけで、キャンプやアウトドアの知識を持たない方が何の準備もせずに来てしまうこともありました。

最近はアウトドアメーカーの方々にも協力いただいて、「野外フェスの心構え」のような、準備したほうがいいことを呼び掛ける活動を積極的に行っています。そうした活動や、野外フェスの常連も増えたことから、参加する方々の意識はだいぶ上がっているように感じます。

環境に対する意識も同じです。いまはこちらが呼び掛けなくても、積極的にごみの分別をしていただけるようになってきています。野外フェスが一般的になってから年月が経っているので、当初から参加していただいた方に家族ができたり子どもができたりして、ご家族で来られる方もすごく増えているんですよね。

子どもがいる手前、親はしっかりした行動を取らなくてはいけないという意識もあるのでしょう。そうやって参加者全体の意識が高まっているとは思います。

フジロックのごみゼロステーション。細かく分別ができるよう設置されている

フジロックのごみゼロステーション。細かく分別ができるよう設置されている

成田:勉強になります。環境への意識が、だいぶ変わったのですね。

中島:キャンプをされる方って、キャンプ道具を持ってくるじゃないですか。そうするとやっぱり、電車で行くのは大変なので、車で会場まで来られる方が多いんです。特に家族連れの方とか、電車での移動は大変ですからね。

そうなると、車のトラブルも多くなります。野外フェスをするような山のなかだと、車で来た参加者たちでは解決できないようなトラブルも多くて。なので、それをサポートするような仕組みも、最近は検討しています。

成田:何かあったときに対応してくれる連絡先が、すぐにわかるようになっている、などですか?

中島:そうですね。トラブルが発生したときの対応窓口があるだけでも運転する人は安心するじゃないですか。ほかにも、車で来ることによるCO2排出の問題も抱えています。そういった車の問題を考えている点では、イベントと保険会社さんは深く関係しているのかもしれないです。

中島:大勢の人が集まるイベントは、開催するだけで環境負荷が生じてしまいます。だからといって無くしてしまったら、楽しみが減ってしまうじゃないですか。どうやったら環境に配慮した持続可能なイベントをつくれるのか。それを僕らは日々一生懸命考えています。

車もそうですよね。なるべく環境に配慮したかたちで、車に乗ることを考えられないか。そういったサステナブルなライフスタイルを考えることも、やはり重要だと思うんです。

自分の車が排出したCO2を、好きな地域の森林支援でオフセットする

成田:おっしゃるとおりだと思います。その際に、やはり「オフセット」という考え方が、すごく大事なのかなと思っていて。イベントはやるけれど、環境活動もやるから、それでオフセットされて、持続可能なかたちで行える。当社の自動車保険でも、「カーボンニュートラル自動車保険」というプログラムがありまして……。

中島:それは、どういったプログラムなんですか?

成田:先ほどおっしゃられたように、自動車は使うけれど、CO2の排出はやはり気になるので、それをオフセットしたいという考えから生まれた商品です。

具体的には、当社の「スーパー自動車保険」のご契約者さまが、ご自身の運転によるCO2排出量を踏まえて森林保全活動を支援し、オフセットできるプログラムです。

中島:なるほど。そういった取組みもされているのですね。

成田:はい。ちなみにこのプログラムは7月にリニューアルされて、CO2排出をオフセットする際に、応援したい森林保全プロジェクトを選ぶことができるようになりました。

たとえば、北海道の広大な森林や九州の美しい山々など、異なる魅力を持つ森林を7地域のなかから選んで支援することが可能です。

中島:すごいですね。

成田:先ほど中島さまのお話にもあったように、やはり自分たちが目に見えるかたちで行うことが大事だと思っていて。なので、自分の身近な地域だったり、地元だったりを選んで支援できるといいな、と。またこの7月から、オフセットが100円からできるようにもなったので、これまで以上に気軽な気持ちで参加できます。

中島:そういった要望が、お客さまの側からあったのですか?

成田:そうですね。自動車に乗ると、どうしてもCO2を排出してしまうので、それが気掛かりだという方が多くなっていて。もちろん、それをオフセットすることで、まったくなかったことになるわけではないのですが、排出した分は別のかたちで補填する、というものです。

中島:いいですね。それこそフェスにCO2ゼロで行こうみたいなこともできますよね。

成田:そうですね。たとえば、車でフェスの会場に行くには、どれぐらいのCO2を排出するのかを計算して、その分をオフセットして、ご希望の地域の森林保全活動を支援するという。それこそ、7月から北陸地方では新潟県の苗場山が加わりましたので、フジロックが好きな方は、そちらの地域を選ぶことも可能です。

野外フェスが続くために必要な「マイ○○○」の意識

―では最後に、野外イベントが今後も続くために、私たち一人ひとりができそうな取組みは何かありますでしょうか?

中島:取組みとは少し違うかもしれませんが、マイボトルのような「マイ」の意識を持つことが、まずは重要なのかなって思っています。「マイイベント」のように、これは自分が好きな、自分のイベントなんだとみなさんに思ってもらえるイベントをつくること。

エコロジーの活動をやっていると、オーガニック素材であるとか、アップサイクルされているものであるとか、そういう話をよく聞きますし、とても大事なこと。ですが、いちばん大切なのは、「いいものを長く使うこと」ではないかと考えているんです。「このイベントは自分にとっていいものだから、ずっと続いて欲しい」と思えたら、自分がいまできることは何だろうっていう考えに、自然と至るはずです。

中島さんのマイイベントは、東京ビッグサイトで毎年開催される『エコプロ』。サステナビリティの分野で活動している多くの仲間たちに会え、自身も活動を続けるエネルギーとなる大切な時間だという。写真は中島さんの担当している「エコプロステージ」の様子

中島さんのマイイベントは、東京ビッグサイトで毎年開催される『エコプロ』。サステナビリティの分野で活動している多くの仲間たちに会え、自身も活動を続けるエネルギーとなる大切な時間だという。写真は中島さんの担当している「エコプロステージ」の様子

成田:お客さまとして参加するのではなく、自分事として参加するようなイメージですか?

中島:そうですね。自分の部屋でポイ捨てはしないのと一緒ですよね。「マイ」の意識がないと、なかなか環境のことまで考えられない気がします。

もうひとつ、まわりの人たちに呼びかけることはすごく大事なことだと思うのですが、そのとき気をつけなくてはいけないのは、いまの若い人たちが、いわゆる「エコネイティブ」であること。エコが当たり前の世代なんです。

成田:「エコネイティブ」ですか?

中島:20〜30年くらい前までは、ごみの分別って当たり前のことではなかったじゃないですか。だから、「分別しましょう」と呼びかけるだけでエコだったのですが、いまは分別が当たり前の時代。それだけでは響かないんです。

そういうエコネイティブな世代に、何をどう伝えるのかっていうのは、今後すごく重要になっていくような気がします。

成田:やはりエコ活動は、たまに参加して気合いを入れてやるものではなく、できることから毎日の習慣にしていくことが大切だと思っています。

ごみの分別も習慣にしてしまえば自然とできるので苦ではなくなるし、マイボトルも毎日持つようにすれば、つねにあたたかい / 冷たい飲み物が飲めるし、一石二鳥ですよね。

つねに「もったいないし、出さない」という意識が持てれば、自然と選ぶものも変わってくるのかなと思います。電気の使用やCO2の排出は、生活のなかで発生してしまうもの。だからこそ、「使った分はオフセットする」という意識を持つことが、これからますます大事になっていくと思います。

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取材・執筆:麦倉正樹  撮影:北原千恵美  編集:森谷美穂(CINRA, Inc) 

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