“読む気候変動対策”メディア、
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- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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昨今、多くの企業が気候変動への取組みを進めています。企業の社会的責任として重要な動きですが、ビジネスの観点では成果が見えづらく、長期的な視点を維持することが難しいという課題もあります。
それでも、企業はなぜこのテーマに取り組むのか?施策を推進する担当者はどんな想いで向き合っているのか?また、本気で持続可能な社会を目指すためにはどんなアクションが必要なのか?
気候変動に向き合う企業の担当者とチューリッヒ保険会社の社員が対談し、お互いの取組みからビジョン実現のヒントを探り合う連載『サステナ未来会議』。第一弾となる今回のゲスト企業は、大手の総合不動産デベロッパー「三菱地所」です。チューリッヒ保険会社とは異業種でありながら、環境問題に立ち向かう同じ志を持つ両社の担当者が語り合います。
INDEX
高月耕太郎
三菱地所株式会社 サステナビリティ推進部 マネジメントユニット ユニットリーダー
羽入洋介
チューリッヒ保険会社 ダイレクト事業本部 マーケティング部長
不動産デベロッパーが、リノベーションや「森の保全」に取り組む理由とは?
―三菱地所もチューリッヒ保険会社も、気候変動対策をはじめとする環境への取組みに力を入れています。具体的なプロジェクトをいくつか教えてください。
高月:三菱地所ではさまざまな環境施策を行なっていますが、なかでも大きな柱はカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体として差し引きゼロを目指すこと)に対する取組みです。
というのも、世界の全産業のなかで、われわれの建設・不動産業界はとりわけ多くのCO2を排出しています。建物をつくる過程もそうですし、ビルを運用する際の空調や電気なども含めて、相当なエネルギーを消費している。そのため、さまざまなアプローチでCO2排出量を削減していくことが私たちのミッションであるととらえています。
三菱地所株式会社 サステナビリティ推進部の高月耕太郎さん
高月:具体的な取組みをいくつか挙げますと、たとえば建物自体のエネルギー性能を上げること。再生可能エネルギーへの代替を進め、化石燃料の使用を抑えていくこと。この2つの対策は重点的に力を入れています。
それから、これまでのような新しい建物が増え続ける時代も変わっていくかもしれません。新しい建物をつくり続けるのではなく、いまある建物をリノベーションするなどして利用・活用していく。環境負荷を下げる目的もありますし、既存の建物を活かすことで街としての歴史を引き継ぐという意味合いもあります。この流れは今後も加速していくのではないかと思います。
羽入:たしかに、都心でも古いオフィスビルをリノベーションしたり、伝統的な街並みを活かした再開発の事例が増えている印象があります。
高月:そうなんです。たとえば、ここ(この日の対談会場)のすぐ隣にある大手町ビルは、築60年越えの建物の構造を活かした大規模リノベーションを実施し、いまの需要にこたえる建物として活用されています。当時の建築物はいまよりも柱が多いなど、使いづらさがある一方で、年月を重ねた建物にしか醸し出せない雰囲気や味わいもあります。
リノベーションについては、ハード・ソフト両面の機能更新を図ることで、オフィスのバリエーションを増やして様々なテナントニーズに対応し、再開発が進む都市景観に新たな色付けを行いました。
リノベーションされた大手町ビルの外観
―三菱地所ではほかにも、建設とは切り離せない「木材」を有効活用する取組みにも力を入れているとうかがいました。
高月:建物にはさまざまな材料が使われていますが、たとえば鉄鋼の建材などは一般に製造過程で多くのCO2を排出します。そのため、建設業界では脱炭素という観点からも積極的な木材の活用が注目されています。構造部への大胆な活用にはいまだ技術的な課題もありますが、床や天井などに木材をふんだんに使うことで、建物建設時のCO2排出量を減らしていこうとしています。当社でも、そのための研究や仕組みづくりを進めているところです。
その一例といえるのが、国産の木材から建設資材をつくっていくために、鹿児島県で2020年に立ち上げた「MEC
Industry(メックインダストリー)」という会社です。樹木は40年周期でCO2の吸収量が減少するといわれ、適切な森の活動サイクルを維持するには、国産の木材を建築などの産業に活用していくことが重要。MEC
Industryはその事業を通じて、森林のサイクルや地域の林業の持続可能性への寄与を目指しています。
MEC Industryの工場全景
高月:また、群馬県のみなかみ町では人工の杉林を自然林へと再生し、ネイチャーポジティブを目指す活動に参加しています。日本は山間部を中心に多くの森に恵まれた国です。今後、人口が減少していくなかでも豊かな森を維持できるよう、われわれができることはやろうと。それも、開発や街づくりに関わる企業の責任ではないかと考えています。
保険会社だからこそ地球にできることは? 気候変動への取組みを模索
羽入:じつはチューリッヒ保険会社でも森の保全活動を実施していて、その点では取組みに対する想いなど、三菱地所さんとの共通点も多いように感じました。当社でいえば、グループとして2020年からブラジルでの森林再生活動「チューリッヒ・フォレスト・プロジェクト」をスタートさせています。
ブラジルの大西洋岸森林を再生して、生物多様性の回復を支援するというプロジェクトです。先ほど高月さんが「人口が減少していくなかでも豊かな森を維持できるように」とおっしゃっていましたが、当プロジェクトも健全な生態系を維持することで、森が自助で再生していけるようなサイクルの実現を目指しています。
「Zurich Forest プロジェクト」で植樹するための苗を管理する様子
チューリッヒ保険会社 ダイレクト事業本部の羽入洋介
高月:うちはいまのところ国内だけですが、ブラジルの森ですか。すごい規模感ですね。
羽入:とはいえ、それもグローバルの動きなので、日本国内ではまだそこまでダイナミックな取組みができていません。現状、国内ですと、自治体と協力して森の再生活動に、当社の社員やその家族などがボランティアとして参加することで森林の役割、保護の大切さを学び、気候変動問題への意識を高めています。
ドローンで撮影された、長崎県西海市雪浦地区の森林
―ほかに、保険会社ならではの取組みもあるのでしょうか?
羽入:そうですね。われわれも常日頃から、保険の業務を気候変動の問題に結びつけられないか、何かいい手段はないかと考えています。細かいところでは、紙で発行している保険証券をデジタル化して、お客さまへの利便性向上と環境負荷の軽減を同時にはかっています。
ただ、われわれのような一企業だけがアクションを起こしても、環境に対する影響力はさほど大きくありません。やはり、地球に暮らす一人ひとりが環境問題に関心を持ち、行動を起こしていくことが重要だと考えています。そうしたきっかけづくりの一環として、お客さまが任意でご利用いただけるCO2削減アクションプログラム「カーボンニュートラル自動車保険」というものを用意しています。
ドライバーの方に1年間で排出したおおよそのCO2に相当するクレジットを購入いただき、そのクレジットを日本国内の森林保全活動資金に充当することでオフセット(埋め合わせ)するというプログラムです。専用のウェブサイトに走行距離やガソリン使用量を入力することで、自身がどれくらいのCO2を排出しているか、そのCO2をオフセットするためにはいくら必要なのか、クレジットを購入することでどの程度の森の再生につながるのか……など、すべてを可視化することができます。
高月:それは素晴らしい仕組みですね。じつは、私もチューリッヒ保険さんの自動車保険を使っているのですが、カーボンニュートラル自動車保険については知りませんでした。
羽入:ありがとうございます。こちら、保険料とは別にお客さまにご負担をお願いするものになってしまうので、積極的におすすめするには悩ましい部分もあります。
ただ、やはりお客さまにこうした機会を提供していくことも重要ですので、これからも当社だけでなく皆さまとともに気候変動問題に取り組んでいきたいと考えています。
地球環境が健全でなければ、事業は成り立たない
―高月さんはチューリッヒの取組みに対して、どんな所感を抱いていますか?
高月:まず、いずれの取組みも素晴らしいなと感じました。また、チューリッヒ保険さんの場合は、これらのことを単に対外的なアピールとしてやっているわけではなく、本当に使命感や課題感を持って取り組んでおられるように感じます。
特に、気候変動によって自然災害が増えればビジネス面でもコストがかさんでいき、チューリッヒ保険さんの事業にも大きなマイナスを及ぼしてしまいますよね。その観点で、企業としてグローバルに気候変動に取り組むというのは、とても合理的なことではないかと思いました。
また、われわれの会社もそうですが、そもそも地球環境が健全でなければ長期的な事業は成り立ちません。多くの企業がそのことに気づき、具体的なアクションにつながっている。これは10年前に比べて大きな変化だと思います。
―とはいえ、こうした活動は直接収益につながるわけではなく、短期的にはコストがかかり続けます。ある意味、経済合理性に反する取組みを続けていくには、強い意志と覚悟が必要ですよね。
羽入:そこは当社の代表も覚悟を持ってやっていると感じます。先ほどのカーボンニュートラル自動車保険にしても、そもそも代表が強いこだわりを持って始まったものですので。
高月:三菱地所もチューリッヒ保険さんと同様に、やはりトップが強い意志を持って取り組んでいます。一方で、企業としては短期的にも利益を出していくことが求められるため、経済合理性とのバランスを考慮しながらシフトしていくことが重要です。
たとえば、コストをかけて環境にやさしいビルやマンションをつくり、そのコストを賃料や販売価格に上乗せしたとします。すると、やはり同じ立地の物件に比べて競争力が落ちてしまうのが現状です。環境への対策をどこまで価値として感じていただけるのか、そこは市場のニーズやお客さまの声に耳を傾けながら慎重に判断していく必要があると思います。
企業の責任が問われる時代へ。アクションこそが企業価値につながる
―環境に配慮した建材を使ったからといって、そのぶん高く売れるわけではないと。
高月:そうですね。ただ、コストがかかっても環境に配慮されたものを選ぶ人は増えつつあるように感じますし、これから将来にかけて私たち企業の責任もより強く問われるのだろうと思います。
サステナブルな開発や街づくり、さらには気候変動に対するアクションに取り組むことで、将来世代に対する責務を果たす企業であると認めていただき、企業価値につながっていく。企業の環境施策は、そうした中長期的な視点での意義があると感じています。
羽入:高月さんがおっしゃるとおりだと思います。すでにいまの若い人たちは、そうした傾向がありますよね。例えば、ファッションについて言えば、環境への負荷が少ない素材やリサイクル素材を用いたアイテムを、あえて選ぶ人が増えている印象です。そのうち、環境に対して何のアクションも起こさない企業は、消費者から見向きもされない時代がやってくるかもしれません。
大手町エリアの都市模型(撮影場所:三菱地所オフィス)
―企業の環境施策を主導する立場のお二人ですが、いま最も課題に感じていることを教えてください。
羽入:一番はやはり啓蒙というところですね。繰り返しになりますが、本気で環境問題を解決していくには一人ひとりの意識変容が欠かせません。何をやれば、どんなメッセージを発信すれば、お客さまや一般の生活者の方々に共感していただけるのか。いろいろと悩みながらやっていますが、やはり難しさはありますね。
当社の啓蒙活動の一環としては、2022年1月から『チューリッヒ保険会社のGreen Music』というYouTubeチャンネルを運営しており、当社の気候変動の取組みに賛同する個性豊かなアーティストが日本の自然豊かな土地を舞台に曲を書き下ろし、ループアニメーションと融合させたBGMを配信しています。
チャンネル登録者も30万人(2025年7月時点)を超えるまでに成長していますが、大事なのはここを入り口にして、いかに私たちの取組みを知っていただき、個々の環境意識を高めていただけるか。引き続き考えていく必要があると思います。
ポリシーを持って環境問題に向き合う大切さ。対談で得た気づき
―高月さんはいかがでしょうか?
高月:課題は、環境への取組みをいかに事業と紐づけていくか。いくらトップや私のような担当者が旗を振っても、社員一人ひとりがそれをやる意義を感じていなければ形骸化してしまいますし、大きな成果は得られません。
サステナビリティという言葉は、地球や社会といった大きなくくりで語られがちですが、社員に対してはそれに加えて「自分の会社」が持続可能であるために取り組まなきゃいけない。そんな意識を醸成する必要があります。
そのためには、先ほどもお話ししたように、サステナブルな開発や街づくり、さらには気候変動に対するアクションがやがて企業価値につながっていくということを多くの社員に理解してもらわなければいけませんし、私からもメッセージを伝え続けていきたいと思います。
―お二人のお話をうかがっていて、業界は違えど、環境に対する想いや取組みについては共通点も多いと感じました。高月さん、羽入さんは今回の対談を通じて、どんな感想を抱きましたか?
高月:他社さん、それも不動産業界以外の方のお話をじっくりうかがう機会はなかなかありませんでしたので、まずは貴重な機会をいただきありがたかったです。
対談前は、おそらくチューリッヒ保険さんもすごく悩みながら、試行錯誤しつつ取り組んでいらっしゃるんだろうなと想像していました。それこそコストのことやいろんな課題があるなかで、どんな思いで、どれくらいの熱量で推進していらっしゃるのか、ぜひお聞きしたいと思っていたんです。
今回、こうして直接お話をうかがい、チューリッヒ保険さんや羽入さんの想いの強さを感じることができました。とても刺激を受けましたし、私自身も引き続き頑張っていこうと思えました。
羽入:高月さんがおっしゃるとおり、私たちも正直、何をやったらいいのか、何が正解なのかわからない中で、手探りで取組みを進めてきた部分もあります。ただ、高月さんにお話をうかがって、アプローチの仕方は違っていても目指している方向は同じだと感じることができました。
三菱地所さんもチューリッヒ保険会社も、表面上だけでなくポリシーを持って環境問題に向き合っている。なんだか、勝手に励まされたような気持ちになりました。また、われわれがやってきたことは間違っていなかったと思えて、自信が芽生えましたね。今日は本当にありがとうございました。
取材・文:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:大西陽 編集:玉野井崚太(CINRA, Inc)、福田裕介(CINRA, Inc)
ご回答ありがとうございます
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