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地球温暖化が都市部のヒートアイランド現象にもたらす影響とは?

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年々、ジリジリと焼けつくように暑さを増している日本の夏。実際、6〜8月の平均気温は長期的に見ても上昇していますが※1、体感としての暑さはそれ以上ではないでしょうか。

実際の気温と体感温度の差は、なぜ生まれるのか。都市特有の「ヒートアイランド現象」と地球規模の「地球温暖化」は何がどう違うのか。都市環境学の専門家である一ノ瀬俊明先生にお話をうかがいました。

INDEX

実際よりも暑く感じる体感温度は何で決まるの?

──実際の気温と、私たちが体感する「暑さ」には、どのような違いがあるのでしょうか。

一ノ瀬:天気予報で目にする「気温」は、気象庁がAMeDAS(アメダス)のステーションで観測しているものです。ここでは、直射日光を遮り、風通しを確保した条件下で、専用の測器を用いて、芝生の上で気象データが計測されています。

しかし、これは私たちが普段歩くアスファルトの上とは条件が大きく異なります。私たちが実際に屋外で感じているのは気温そのものではなく、周囲の環境要素が複雑に絡み合った「体感温度」のほうです。体感温度は、“体と外気との熱のやり取り”の状況で決まります。気温が同じでも、体に熱がこもりやすい状況なら「暑い」、奪われやすい状況なら「寒い」と感じるわけです。

例えば、風が吹くと涼しく感じるのは、肌の表面の空気の動きによって熱が運び去られるから。このように、体感温度は気温以外にも湿度や風速、また着衣や運動量によっても変わってくるのです。

──特に都市部では、気温が30℃程度でも体感温度が40℃近くにまで上振れしてしまうこともあるとか※2。こうした事態はなぜ起こるのでしょうか?

一ノ瀬:アスファルトの路面や建物の壁面が日射によって加熱されると、それ自体が赤外線を放出します。赤外線が人体に吸収されると体感温度が上昇しますが、これは熱したフライパンやストーブの近くに手をかざすと熱さを感じるのと同じ原理です。

また、太陽の光が路面や壁面に反射して人体に吸収されたり、都市部の建物が風を遮ることによっても、体に熱がこもりやすくなります。こうした都市空間特有の要因がいくつも絡み合うことで体感温度は上昇し、熱中症のリスクを高めるなど健康への悪影響をもたらすので注意が必要です。

一ノ瀬:このように人工的な構造物や、エアコンや自動車からの排熱によって、都市部の気温が周辺のエリアより高くなることを「ヒートアイランド現象」と呼びます。気温分布図を描いた際、高温域が都市を中心に島のような形になることからこの名前がつきました。

ヒートアイランド現象と温暖化は悪循環の関係にある?

──「ヒートアイランド現象」と「地球温暖化」はどう違うのでしょうか?

一ノ瀬:どちらも人間活動が原因である点は共通していますが、仕組みも規模もまったく異なります。ヒートアイランド現象は、先ほどご説明したように都市の気温が局所的に上昇する現象のこと。

一方で地球温暖化は、CO2をはじめとする温室効果ガスが地球全体を覆い、地表面から逃げるはずの熱をとらえてしまうことで気温上昇を引き起こす現象であり、その影響は地球規模です。

──この二つの現象が、互いに影響を及ぼしあうこともあるのでしょうか。

一ノ瀬:そうですね。ヒートアイランド現象によって都市の気温が上がれば、人々は室内を快適に保つためにエアコンをより多く使います。エアコンは室内の熱を外へ汲み出す装置ですから、室外機のそばに立つと熱い空気が出ているのを感じますよね。こうした排熱によって、さらに局地的な気温上昇が感じられるわけです。

加えて、エアコンの電力をまかなうための発電所からは温室効果ガスが排出されるので、地球温暖化にも拍車をかける。「悪循環」とまで言えるかどうかは実証されていませんが、影響はあるでしょうね。

カギは断熱!? 地球に優しい体感温度の下げ方とは

──温暖化対策と、ヒートアイランド対策を両立することはできますか?

一ノ瀬:両者にとって最大の共通課題は、「室内の空調ニーズをいかに減らすか」です。とりうる対策としては、建物の気密・断熱性を高めることがあります。また、暗い色は太陽光を吸収しやすく温度が上がりやすいため、屋根を明るい色にすることも一定の効果があるでしょう。

ただ、室内の快適性だけではなく、建物が街に与える影響についても考えねばなりません。例えば断熱の方法にも、建物のもっとも外側の層で熱を処理する「外断熱」と、コンクリートの躯体には熱を入れつつその内側で断熱する「内断熱」があります。

一ノ瀬:外断熱は、昼間に外壁の側を歩く人の体感温度を上げる要因になる一方、内断熱は夜になると躯体が吸収した熱を少しずつ外に放熱します。夜に外が涼しい街を目指すのか、昼に気温の上昇を防ぐ街を目指すのかによって、建物の仕組みは変わるんです。街としてどんな環境をめざすのか考慮した都市開発を行うことが理想ですね。

──個人が日常のなかでとれるアクションについても教えてください。

一ノ瀬:体感温度をうまく調整する工夫によって、空調の使用を抑えられるとよいでしょう。例えば、窓の外にゴーヤなどのつる植物を利用した「グリーンカーテン」やすだれを設置して日射を遮るのは有効です。また、夏には首周りを冷やすグッズが人気ですが、冬も同様に首を温めると体感温度が上がりやすいですよ。

冬場の暖房についても知っておいてほしいことがあります。一般的に使われるエアコンは空気を温めますが、暖かい空気は上に溜まる性質があるため、足元が冷えがちです。対して、ストーブは赤外線の放射によって人体を直接温めるため、効率的に体感温度を上げることができます。

身の回りの熱の仕組みを理解し、体感温度を上手にコントロールすることが、健康を守りながら地球環境にも優しいアクションにつながるのです。

一ノ瀬俊明

1963年生まれ。国立研究開発法人国立環境研究所 シニア研究アドミニストレータ。東京大学大学院工学系研究科修了。工学博士。ヒートアイランド現象をはじめとする都市環境における気候の解析を中心にさまざまな研究を行なっている。1998年度にフライブルク大学客員研究員として在独。2008年より名古屋大学大学院環境学研究科教授(連携大学院)。平成28年度環境科学会学術賞。つくば科学教育マイスター第6号認定。

※1:環境省. “熱中症の最新状況”. 熱中症に関する最新の情報.  令和7年3月19日. https://www.env.go.jp/content/000299035.pdf, (2026年4月22日).
※2:環境省. “2.2 暑さ対策のポイント”. まちなかの暑さ対策ガイドライン令和4年度部分改訂版. 令和5年3月.
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/city_gline/city_guideline_full.pdf, (2026年4月22日).

DSR-4530

構成・執筆:原里実  編集:福田裕介(CINRA, Inc) 

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