“読む気候変動対策”メディア、
Green
Timesについて
-
記事を“読む”だけで森林保全活動の支援につながります
- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
-
- STEP 1
- 「Green Times」の
記事を読む
-
- STEP 2
- 気候変動を考えるきっかけになったか、ボタンで回答
-
- STEP 3
- きっかけになった数に応じて、チューリッヒ保険会社が森林保全活動へ寄付
体育の授業や部活動、運動会など、子どもたちがスポーツに親しむ機会は、健やかな成長を支える大切な時間です。しかし近年、気候変動に伴う気温上昇や異常気象によって、これまで当たり前だったスポーツの環境が変わりつつあります。暑さによる熱中症のリスクはもちろん、活動そのものが制限される場面も増えています。
こうした変化は、子どもたちのスポーツ教育にどのような影響をおよぼすのでしょうか。また、スポーツを安全に楽しみ続けるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。早稲田大学スポーツ科学学術院の細川由梨准教授に、気候変動とスポーツ教育を取り巻く現状や、私たちにできるアクションについてうかがいました。
暑すぎてプールが中止に。変化するスポーツ教育
近年、野球の帽子やヘルメット、ストッキングなどを、日光を反射し、体温上昇を防ぐ、白色に変更する動きが進んでいる
──気候変動によって、子どもたちの「スポーツ教育」の現場ではどのような変化が起きていますか?
細川:最高気温の上昇に加え、急激に暑くなる「極端現象」の頻度が増し、従来どおりの時期や環境で体育活動を行うことが難しくなっています。運動会を春や秋の終わりに移す学校も増えていますし、ユニフォームの素材や色を見直す動きもあります。
とくに大きな変化が見られるのが、水泳の授業です。かつては「水温が低すぎて入れない」ことが課題でしたが、現在は水温の上昇や直射日光が問題になっています。
──水泳の授業や屋外活動について、具体的なガイドラインは出ているのでしょうか?
日本スポーツ協会は、気温だけでなく、湿度、日射・輻射(建物や地面からの照り返し)も取り入れた指標「暑さ指数(WBGT)」が31以上の場合、原則として運動を中止するよう指針を出しています※1。
しかし、近年の夏はWBGT31を超える日も珍しくありません。安全を考慮して早めに活動を中止する学校がある一方、競技を継続する必要性が高い現場では、対策を講じながら活動を続けざるを得ないのが現状です。
ただ、危険な環境が常態化することで正常性バイアスが働き、「いつものことだから大丈夫」と危機感が薄れることも懸念されます。
──2024年夏には、日本高等学校野球連盟が「7回制」の導入検討を本格的に始めました。
細川:9回制から7回制に短縮することで、1試合あたり約30分の時間短縮が見込まれます。選手だけでなく、審判員や応援団、観客の熱中症リスクを下げ、より安全な環境を作ることが目的です。
運動生理学的な観点から見ると、厳しい暑さのなかで活動を続ければ、パフォーマンスが低下し、健康リスクも跳ね上がります。文化や歴史を尊重することも大切ですが、重大な健康被害が生じる前に、現実的な判断を下すべき時期が迫っていると感じます。
給水タイムの導入や法改正。プロスポーツも変わり始めた
──気候変動は、トップアスリートの競技環境にも影響を及ぼしているのでしょうか?
細川:大きな変化の1つが、サッカーの国際大会などで導入されているハイドレーションブレイク(給水タイム)です。
2025年のFIFAクラブワールドカップでは、開催地のアメリカで熱波が発生し、選手から競技環境への懸念が示されました。こうした背景から、FIFAは2026年のワールドカップで、前半・後半にそれぞれ3分ずつの給水タイムを導入しました。
──2025年6月に改正されたスポーツ基本法にも、「気候変動への対応」が盛り込まれました。
細川:気候変動によるリスクは暑さだけでなく、落雷や集中豪雨など多岐にわたります。今回の法改正は、こうしたリスクを踏まえて安全管理を行うことを、スポーツ界全体の課題として位置づけたものです。
しかし、「こまめな水分補給」や「適宜休憩する」といった一般的な注意だけでは、現場の行動変容にはつながりません。
例えばオーストラリアでは、競技種目や活動時間、気象条件に応じて、「何分ごとに休むか」「休憩時に冷却措置が必要か」まで具体的に示すしくみが整備されています。
事故が起きてから対応するのではなく、科学的根拠に基づいて、具体的な対策や判断基準をあらかじめ整えておくことが、日本のスポーツ現場でも求められています。
子どもたちが走り続けられる未来を守るには?
──今後、気候変動が進むと、子どもたちのスポーツ教育にはどのような影響が予想されますか?
細川:水泳の授業が減れば、泳ぐ経験や着衣水泳など、水から身を守るための学習機会が減ってしまいます。また、放課後に外を走り回ったり、転んで足をすりむいたりするような機会も、20〜30年前に比べて減少しています。
こうした身体活動の減少が続けば、子どもたちの基礎体力や生涯にわたる健康にも影響しかねません。
──安全にスポーツを続けるためには、どのような対策が必要でしょうか?
細川:まずは、直射日光を避けて休める場所を確保することです。そのうえで、積極的に体を冷やすことを心がけます。
氷水や冷たいタオルなど、体を直接冷やせるものを用意し、休憩のたびに冷却する。冷感スプレーのような「涼しく感じる」ものではなく、肌から直接熱を奪って体温を下げられるものを使うことがポイントです。
こうした対策を組み合わせれば、暑い日でも安全に活動できる可能性は広がります。
──未来のスポーツ環境を守るために、私たちにできることはありますか?
細川:「暑いから中止」と一律に判断するのではなく、安全に活動するための対策を考え、実践することが大切です。また、ショッピングモールや公共施設など、暑さをしのげる場所は社会インフラとしてすでに数多く存在しています。新しい対策の導入だけでなく、こうした「すでにあるもの」を積極的に活用することも、環境負荷を減らし、気候変動対策につながると思います。
一方で、本当に危険な状況なら、「今日はやめる」と判断することも必要です。大人がこうした判断の仕方を示すことは、子どもたちが気候変動下でスポーツを続けていくための学びにもつながるはずです。
細川由梨
早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。専門はアスレティックトレーニング、環境運動生理学。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、渡米。アーカンソー大学大学院修士課程を修了し米国公認アスレティックトレーナー(ATC)を取得。ユースや大学クラブスポーツなどの現場活動を経て、コネチカット大学大学院にて博士号を取得。同大学Korey Stringer Institute(KSI)でのディレクター職や立命館大学講師などを経て、2021年4月より現職。
※1:JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会).“熱中症予防のための運動指針”.JSPO日本スポーツ協会.https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html , (2026年7月31日閲覧)
DSR-7222
構成・執筆:東谷好依 編集:宇野宙(CINRA, Inc)
ご回答ありがとうございます
この記事は気候変動について
考える“きっかけ”になりましたか?
気候変動について考えるあなたへ
チューリッヒ保険会社のスーパー自動車保険は「カーボンニュートラル自動車保険」です。契約者数に応じて森林保全活動を行う団体へ寄付を行うほか、あなたのお車が排出するCO2をご自身で任意にオフセット(相殺)することもできます。
自動車保険をご検討の際には、“気候変動対策になる自動車保険”という選択肢も。
- カーボンニュートラル自動車保険
- 詳しくはこちら