“読む気候変動対策”メディア、
Green
Timesについて
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記事を“読む”だけで森林保全活動の支援につながります
- チューリッヒ保険会社は企業としての排出CO2削減などはもちろん行った上で、気候変動という全人的な問題へ対応するには一人ひとりの理解と参加も重要であると考え、多くの人が気候変動についてよりよく知り参加できる“きっかけ”作りを始めました。
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日本固有種のブナを主とする原生的なブナ天然林を有し、東アジア最大級の規模を誇る白神山地。ここには人為の影響をほとんど受けていない、多種多様な動植物が生息または自生しており、その希少性から1993年に世界自然遺産に登録された。約13万haにも及ぶ白神山地は大きな開発が入ることなく、かねてより自然と人間との共生があった。現在、気候変動による温暖化の影響を少しずつ受けているという白神山地の自然と現状、貴重な生態系を保つための活動を聞いた。
[連載概要]
気候変動は、私たちの暮らしや自然環境に深く影響を与える課題です。
チューリッヒ保険会社は、気候変動に対し、より多くの人々とともに考え、行動するきっかけをつくりたいと考えています。
本連載は、その想いをもとに、YouTubeチャンネル『チューリッヒ保険会社のGreen
Music』で公開される作品の背景にある自然環境やその土地の取組みを掘り下げ、持続可能な未来につながる手がかりになればと考え生まれました。作品では伝えきれないストーリーをお届けしていきます。
青森県南西部と秋田県北西部にまたがる、約13万haに及ぶ広大な山岳地帯の総称である白神山地。日本海側に位置する標高約200〜1,250mの山地帯に広がるのは東アジア最大級の規模となる原生的なブナ天然林。極相林(※1)が大部分を占め、自生する植物は約540種ある。また、特別天然記念物に指定されているニホンカモシカやツキノワグマなど35種の哺乳類、希少なイヌワシやクマゲラをはじめとする94種の鳥類、約2,200種の昆虫類などが生息している(※2)。青森県西目屋村にある、白神山地ビジターセンターの俵谷庸美さんは、豊かな生態系を有する白神山地についてこう話す。
「白神山地は約8,000~12,000年前から存在しているといわれますが、現在までこの生態系がほぼ変わらずに保たれているのは、人為的な開発がなかったことが大きな理由です。道路を作ることもなく、いわゆる手付かずの自然が保たれたというのが大きな特徴です。多種多様な動植物の生態系が維持されてきましたが、その希少性が認められて、白神山地の約13万haのうち、原生的なブナ林で占められている約17,000haが世界自然遺産として登録されました」
世界自然遺産区域は核心地域と緩衝地域と呼ばれるエリアで分かれている。核心地域は基本的に人が入れない区域で、世界自然遺産として登録された地域は主に核心部に位置し、地形が急峻なために森林の伐採もほとんど行われていないという。
「世界自然遺産地域は手付かずのエリアでほぼ占められますが、白神山地自体は昔から住民が山菜を採ったり、薪用に木を切ったり、マタギが狩猟したりと、身近にある生活の場でした。むしろ人々の暮らしは白神山地の自然とともにあったといえます。周辺の地元住民は豊富な自然の恵みを享受し、共存しながら生きてきました。日本では高度経済成長期に広葉樹を伐採し、成長の早い杉への植え替えが行われましたが、白神山地はかなり奥地だったことともあって、開発のない状態で保たれたのは幸いだったと思います」
(※1)
植物が成長と時間の経過に伴って最終的に樹立される安定した林。大きく変化しなくなった森のこと。
(※2)
環境省「日本の世界自然遺産」より
https://www.env.go.jp/nature/isan/worldheritage/shirakami/uiversal/index.html
過去に伐採された形跡のないブナ遺伝資源保存林。県道、岩崎・西目屋・弘前線(白神ライン)赤石大橋北側に位置する。
夏の白神山地。鮮やかな新緑が深い緑に変わっていく夏シーズンは登山もおすすめ。黄色い花は高山植物のニッコウキスゲ。
白神山地に影響を及ぼす、温暖化や獣害の問題
落葉広葉樹のブナの寿命は約250~300年程度で、その樹高は25m程度に達し、幹の太さは1.5m以上になるものもある。5月頃に雄花と雌花を開花させ、実は10月頃に熟す(※3)。ブナ林は人間にさまざまな恩恵を与えてくれるが、一つには水資源を提供する、天然のダムとしての役割を果たしてくれている。保水機能が高く、土壌に雨水を浸透させやすいため、乾季が続いても土壌中に水を保持する。渇水や洪水を防ぎ、土砂崩れや雪崩を防止するなどの機能を持っているのだ。さらに二酸化炭素を吸収し、酸素を供給することで地球温暖化緩和の機能も持ち合わせている。近年、懸念されているのは、気温上昇によってブナ林が減少してしまうのではないかという問題だ。
「今すぐ目に見える形で表れているわけではないのですが、温暖化の影響は今後、徐々に出てくるのではないかといわれています。ブナの生息地域は現在の標高と気温によって保たれているので、このまま気温が上がり続けると今ある生息地域の面積が減少していくことが予測されます。また、近年ナラ枯れが増加していまして、これも温暖化の影響の可能性があるといわれています。ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシという虫が媒介するナラ菌によって、ミスナラなどの広葉樹が枯死する伝染病です。これまで白神山地では見られませんでしたが、温暖化によって虫が北上している可能性があります。ブナは直接的にはナラ枯れの感染をうけませんが、周辺の木々が枯れてしまうと森や山の生態系が変わってしまいます」
さらに、近年は日本全国でニホンジカなどの害獣が増加しており、森林や農業に大きな影響を与えている。これまで白神山地では多く見られなかったが、ニホンジカが入るようになると、植生や生態系に与えるインパクトは大きいという。
「繁殖力が高く、下草をすべて食べ尽くしてしまうので、ニホンジカの問題は今後の懸念の一つですね。白神山地の植生や生態系を崩しつつあるというのが現状です」
(※3)環境省「白神山地の概要」より
https://tohoku.env.go.jp/nature/shirakami-sanchi/introduction/summary.html
西目屋村にある白神のシンボル的存在だったマザーツリーは樹齢約400年、幹周り4.65mの巨木であった。(2024年に枯死が確認され、現在はマザーツリー手前30mで通行止めにしているが、離れた場所からその姿を見ることができる)
白神山地ビジターセンターでは、ブナ原生林や渓流を体験できるトレッキングコースなど初心者でも楽しめるプログラムがある。
実際に足を運び、体感することで大切さを知る
現在、白神山地は環境省や自治体が中心となり、積極的に環境保全が進められている。特にブナ林などの樹木の衰退現象が報告されていることから、山地森林生態系の評価と保全対策の調査を1999年から行なっている。
「白神山地ではあらゆる影響から自然を守る活動を行っています。例えば将来、地球温暖化や大気汚染などで、ブナ林にどのような影響が出るのかを早期に見つけることが大切で、継続的にモニタリング調査が行われています。また、遺産地域が適切に保全されるように環境省のレンジャーなど行政機関の職員や巡視員が定期的にパトロールを行なっています。一般のみなさんにぜひお願いしたいのは、実際に足を運んでもらうことですね。我々のビジターセンターはもともと観光施設というよりは教育施設として自然に対する啓発活動で始まったものでもありまして、子供たちだけでなく大人や親子で学んでもらうためのさまざまな自然体験プログラムをご用意しています」
ガイドと一緒に森に出かけ、樹木や植物に触れたり、渓流を歩いたりと、白神山地全体を感じることができるプランもあるという。
「山に行けなくても今はVRゴーグルがあるので、リアルに近い白神山地を眺めることはできます。ただ、視覚は満たされるかもしれませんが、私自身は実際に山の“匂い”まで感じてほしいという思いがあります。春に芽吹いた木々や秋の紅葉、土の匂い、晴れと雨の天気でも匂いは全く違いますし、それこそが自然を知ることだと思うのです。山に行かないと感じられないことはたくさんあります。実際に足を運んで体感することが、自然遺産を守る第一歩だと思っています」
紅葉する十二湖の様子。10月下旬〜11月上旬には葉の色が緑色から赤色や黄色へと変化する。ブナ、イタヤカエデ、カツラなどが楽しめる。
熱田千鶴
編集者。講談社『FRaU』SDGs号ディレクター・チーフエディター、マガジンハウス『&Premium』コントリビューティングエディター。旅やライフスタイル系メディアを中心に、雑誌、書籍、web
などの企画、編集、執筆に携わる。主な書籍に『LIFECYCLING』(PIE
International)、『柚木沙弥郎92年分の色とかたち』(グラフィック社)他、共著に『柚木沙弥郎のことば』(グラフィック社)。
関連動画
Chill Music - 緑深い森と碧い清流に包まれるチルBGM - Takada Fu
A-250425-08
Photo:白神山地ビジターセンター Text:Chizuru Atsuta
ご回答ありがとうございます
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