チューリッヒ保険会社

カーボンニュートラルとは?必要性や脱炭素社会の実現に向けた取組み

公開日:2022年12月19日

地球温暖化によって、海面の水位が上がると、自然災害や公害の増加など地球全体に悪影響をもたらすといわれています。

温暖化による気候変動を防ぐために重要なのが、「カーボンニュートラル」の実現です。

カーボンニュートラルは、CO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスの「排出量」を削減する取組みに加え、植林や森林管理などによる「吸収量」を増加させる取組みも併せて、実質的にゼロにすることを意味します。日本をはじめ、120以上の国と地域が2050年までの実現を目指して、さまざまな取組みを始めています。

今回は、カーボンニュートラルの必要性や達成に向けた具体的なアクション、さらに住まいや車など個人の生活におけるカーボンニュートラルの影響について説明します。

ポイント

  • カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの「排出量」を削減し、植林や森林管理などで吸収量を増加させて、温室効果ガスの排出を全体として実質的にゼロにすることです。
  • 2050年までにカーボンニュートラルを実現するには、官民あわせたCO2削減や省エネなどあらゆる工夫が欠かせません。
  • 住宅や自動車に省エネやCO2排出低減を求める動きが広がっており、個人の生活にも影響が拡大することが想定されます。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出を削減し、植林などによる吸収量を増やすことで温室効果ガスの排出量全体を実質的にゼロにするという考え方です。

2020年度の温室効果ガスの排出量は、国内全体で11億600万トン(※CO2換算)でした。日本では「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言しています。同じように世界125の国と1地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しています。(2021年4月時点)

排出量を減らすには、省エネルギーとともに脱炭素化技術の利用促進が必要と考えられています。

ただし、排出量そのものをゼロにするわけではありません。電力などのエネルギーを使用しないことは現実的ではないため「排出量に対し吸収量と除去量をあわせて全体として実質的にゼロにする」状態を目指すのがカーボンニュートラルの概念です。

※CO2換算…一定期間にそれぞれの温室効果ガスがおよぼす地球温暖化の影響について、CO2の影響を1としたときに「地球温暖化係数(GWP)」を用いて計算する

環境省発表データをもとに弊社作成

カーボンニュートラルの必要性

地球温暖化を抑えることは世界共通の課題となっています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2022年4月の報告書で「2010年代の世界の年間平均温室効果ガス排出量は人類史上最も高い水準だった。(中略)排出量を直ちにかつ大幅に削減しない限り、地球温暖化を1.5°C以内に抑えることは不可能」と述べています。

カーボンニュートラルは、未来に向けて地球環境を守るために必要なだけでなく、新たな産業を生み出し経済の成長につながる可能性も秘めています。

温室効果ガス(CO2など)による地球温暖化を防止する

大気中に排出された温室効果ガスは、「ふた」の役割を果たします。太陽の熱を大気中に閉じ込めることで、地球温暖化による気候変動を引き起こすのです。

1880年〜2012年までの間に地球の平均気温は0.65〜1.06℃上昇し、そのため世界中の海面の水位は1901年〜2010年までに17〜21cm上がったといわれます。気温と海面の上昇は、次のような影響をもたらしてきました。

  • 干ばつと洪水の増加と農業への悪影響
  • 絶滅種の増加
  • 沿岸地域が水没する恐れ
  • 伝染病が蔓延する恐れ
  • 公害問題の増加による健康被害

温室効果ガスの排出を極力減らし、カーボンニュートラルを達成することは、さらなる温暖化を防ぐことに欠かせないと考えられています。

産業の新たな成長が期待できる

カーボンニュートラルは、エネルギー利用を抑えて経済成長を阻害するものではなく、新たな産業の成長に向けた絶好の機会とする考え方が広がっています。

気候変動という困難な課題への対応を通じ、技術革新や生産性のさらなる向上を追求すれば、むしろ経済が発展するという考え方です。

環境や社会に配慮した企業を支援するESG投資※は、国際社会で急増し、日本でも遅れて投資額が拡大してきました。企業には、脱炭素経営を推進しながら、産業成長を実現することが求められています。
※ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治)の略です。

グローバル・サステナブル投資白書|NPO法人 日本サステナブル投資フォーラムの数値をもとに弊社作成

カーボンニュートラルに必要な対策・取組み

2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野での技術革新が重要です。脱炭素化を推進する新エネルギーや環境技術の導入など、必要と考えられる対策や取組みを説明します。

エネルギーの効率化

エネルギー効率の向上、いわゆる「省エネ」の推進は、使用電力の減少につながるため、発電によって発生するCO2も減らせると考えられます。

無駄なエネルギー使用量を削減することも重要ですが、エネルギーの使い方をできるだけ効率よいものとする取組みが重要です。

家庭で使っているエアコンや冷蔵庫は、以前よりも消費電力が少ない製品が次々に開発されています。電気代を節約できるメリットに加えて、エネルギーの効率化推進にもつながります。

CO2の排出量の削減

CO2の排出を直接的に抑える取組みも重要です。

エネルギーを使うことが原因で発生するCO2は、国内で排出される温室効果ガスのうち85%を占めます。従って発電に必要なエネルギーの供給源を、従来の石炭・石油などから再生可能エネルギーにシフトさせていく脱炭素化は、CO2の削減に大きな効果があると期待されます。

その他、化石燃料を多く使用するガソリン車よりも、ガスを排出しない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の利用促進もCO2削減に一定の効果があると考えられています。ただ、EVを動かすための発電のプロセスでもCO2が発生することも考慮しなくてはなりません。

エネルギーの脱炭素化

長年、日本の電力需要を支えてきた火力発電では、化石燃料を多く使用します。太陽光・風力をはじめ再生可能エネルギーも増えてきましたが、直ちに火力発電をやめることは現実的ではないと考えられています。今のところ、再生可能エネルギーは、火力発電ほどエネルギーの安定性がないためです。

今後、化石燃料の使用量を減らし、カーボンニュートラルを実現するには、新たな脱炭素燃料の応用が期待されます。CO2を排出しないアンモニアや水素を使った発電は実用化に向かっている他、大気中のCO2を再利用して、水素と反応させる合成燃料の研究も進められています。

エネルギーのなかでも、特に電力供給のための脱炭素化は不可欠だといえるでしょう。

CO2吸収量の増加

ここまでに説明した省エネ化、電力化、脱炭素化によってCO2排出量を削減できても、カーボンニュートラルの達成は難しいのが現状です。トータル排出量でゼロを実現するには、CO2の吸収・除去量を増やさなくてはなりません。

植林や森林管理などでCO2の回収量を増やす方法や、大気中から回収したCO2を地中に埋めるCCSの技術開発も進められています。

さらに「カーボンオフセット」の動きも、広がっています。
カーボンオフセットは、日常生活や経済活動などで自らが排出したCO2をはじめとする温室効果ガスのうち、努力しても削減しきれない分を、他の場所で削減・吸収することで埋め合わせ、オフセットする取組みを指します。

カーボンニュートラルが個人に与える影響

発電所や大企業が取組むべき課題と考えられがちですが、カーボンニュートラルの達成や脱炭素社会の実現には、個人のライフスタイルを変えていくことも重要です。

住宅や自動車などにも、今後は省エネやCO2削減が一層求められていくでしょう。

新築住宅に太陽光設備・省エネ性能を求められる

国は2030年までに新築戸建住宅の6割以上に太陽光発電設備の導入を目指しています。省エネという点でも、断熱効果の向上や低炭素建築物の推進を行う方針です。

東京都では、2025年から新築住宅の太陽光パネル設置が義務化される方向で議論が進められています。各家庭での再生可能エネルギーの生産が増えれば、既存の大規模な発電システムによるCO2排出が抑えられるかもしれません。

ガソリン車やディーゼル車の新車販売が行われなくなる

カーボンニュートラルの実現に向けて、2035年に販売される新車をすべて電気自動車に移行させたいと政府は考えています。

現状はまだガソリン車やディーゼル車、および一部で化石燃料を使用するハイブリッド車が、販売の大半を占めていますが、世界各国で脱化石燃料の動きが広がってきました。イギリスでは日本より5年早い2030年にガソリン車の新車販売規制を表明しています。

すでにエコカー減税などのしくみもスタートしており、今後は環境負荷の小さな車がさらに優遇される可能性もあるでしょう。

自動車保険料がCO2排出量に連動する

電気自動車などの導入を後押しする動きは、自動車保険にも広がっています。

2022年4月には営業用の小型電気自動車を10台以上保有している事業者を対象に、自動車保険料を最大10%程度割引く特約も、保険会社から発表されました。国内では初めての試みです。

チューリッヒのカーボンニュートラル自動車保険|チューリッヒのサステナビリティの取組み

カーボンニュートラルを意識して地球を守ろう

将来の世代が安心して暮らせる環境を守るためには、気候変動の問題に対し、現段階から積極的に取組むことが大切です。温室効果ガスを削減し、地球温暖化を防止することは、新たな産業を成長させるチャンスでもあります。

カーボンニュートラルを一朝一夕に達成するのは困難です。企業や政府だけでなく、個人の意識や日々の行動の積み重ねが大切です。衣食住をはじめとしてライフスタイルを見直すなど、「ゼロカーボン」の実現に向けてできることから取組みを始めてはいかがでしょうか。

カーボンニュートラルのよくあるご質問

Qカーボンニュートラルとは、何ですか?
A
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることです。
「排出を全体としてゼロ」というのは、CO2をはじめとする温室効果ガスの「排出量」を削減する取組みに加え、植林や森林管理などによる「吸収量」を増加させる取組みも併せて、実質的にゼロにすることを意味しています。
Qカーボンオフセットとは、何ですか?
A

カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動などで自らが排出したCO2をはじめとする温室効果ガスのうち、努力をしても削減しきれない分を、他の場所で削減・吸収することで埋め合わせ、オフセットするという取組みのことを指します。

チューリッヒの自動車保険

インターネットから申し込むと、
初年度最大21,000円割引

  • インターネット割引(最大20,000円)、e割(最大500円)、早割(最大500円)の合計金額。各種割引項目の詳細はこちらをご確認ください。
  • お電話でお手続きされた場合“インターネット割引”は適用されません。
運営者情報
チューリッヒ保険会社
(チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド)
A-221108-7