気候変動の“いま”がわかるウェブマガジン
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気候変動対策を暮らしから。エコで挑む年末大掃除チェックリスト5選!

猛暑日や熱波の増加、暴風雨の激化や頻発など、さまざまな形で気候変動が私たちの生活に影響を及ぼす昨今。その主な要因の一つであるCO2をはじめとした温室効果ガスの削減に向けて、私たち一人ひとりが日々の暮らしのなかで身近に取り組めることがあります。

この記事では、年末の大掃除における「ごみの削減」をテーマとして取り上げ、ごみを減らすことが気候変動対策につながる理由と、大掃除の機会に取り組める5つのアクションを紹介します。

INDEX

立命館大学 理工学部 環境都市工学科 准教授

重富陽介

京都府生まれ。2016年京都大学大学院博士後期課程修了「博士(エネルギー科学)」。専門は産業エコロジー。長崎大学環境科学部助教・准教授を経て、2024年より現職に就任し、サステナブルライフスタイル研究室 (サスライラボ) を主宰。日本LCA学会奨励賞、環境経済・政策学会奨励賞を受賞。モノの生産の繋がり (サプライチェーン) に注目し、ライフスタイル由来の環境負荷の直接・間接排出構造の「見える化」に取り組む。気候変動と少子高齢化の二つの視点から、持続可能なライフスタイルへの移行に向けた研究を行っている。

気候変動の危機に「ごみを減らす」が効く理由

ごみの削減が気候変動対策において重要な意味を持つのは、ごみの収集や、運搬・焼却・埋立といった処理の過程で、多くの温室効果ガスが発生するためです。

こうした背景をふまえ、一人ひとりが3R(Reduce:ごみの発生抑制、Reuse:再使用、Recycle:再資源化)を意識してごみの削減に取り組むことは、気候変動のさらなる拡大や深刻化を防ぐうえで欠かせません。

さらに、モノをごみとして処分せずリユースやリサイクルにつなげることで、必要以上の大量生産を抑え、製品やその原材料・資材などの製造過程におけるCO2排出量の削減も期待できます。

一方、日本では2023年度の廃棄物分野において1610万t(CO2換算)の温室効果ガスが排出され※1、中でもCO2に着目すれば、家庭からは一世帯あたり年間142kgのCO2がごみ処理に由来して発生しています※2。家庭から出されるごみを減らすことで、こうした処理に伴う温室効果ガスの排出量を大幅に削減できる可能性があるのです。

普段は行わない大掛かりな掃除に各家庭が取り組む年末は、地球の未来を考えてごみ削減のアクションを起こす良い機会であると言えます。

ごみ清掃員として働く芸人のマシンガンズ滝沢さんは、別の記事で「このままでは約25年後にはごみを埋め立てる場所がなくなってしまう」と語る(記事はこちら)

ごみ清掃員として働く芸人のマシンガンズ滝沢さんは、別の記事で「このままでは約25年後にはごみを埋め立てる場所がなくなってしまう」と語る(記事はこちら

年末はCO2削減のチャンス。エコな冬支度を

ここからは、気候変動対策を意識した「エコな冬支度」として、大掃除の際に実践できる具体的な5つのアクションを紹介します。

1.いらなくなった服をリユースする|今さら聞けないリサイクルとの違いについても解説

いらなくなった衣類をごみとして捨てずに、リユース(再使用)する方法です。例えば、フリマアプリやリユースショップ、交換イベントなどを通じて、そのモノを必要とする人へ譲ることができます。

日本で供給される衣類に関して、原材料調達から廃棄までの一連の過程において排出されるCO2量は約9500万tに及ぶと推計されています※3。これは人工スギ(36~40年生)約107億本が1年間に吸収するCO2量に匹敵するほど膨大ですが※4、日常の感覚ではなかなか想像がつきません。

では、もっと身近な単位で見るとどうでしょうか。例えば、洋服1着を新たに製造する際に排出されるCO2は、杉の木約3本が1年間に吸収する量に相当します※5

衣類のライフサイクル全体におけるCO2排出の大部分(約95%)は、「製造・廃棄」工程に集中しているため※6、リユースへの転換は非常に大きな効果を生むのです。

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【リユースとリサイクルの違い】
リユース(再使用)とリサイクル(再資源化)は、「いらなくなったモノを、どのようにしてもう一度活用するか」の観点で異なる意味を持ちます。

●    リユース:モノやその部品を(そのままの形で)繰り返し使うこと
●    リサイクル:不要になったモノを、新たな製品を生み出すための原材料やエネルギー源などの「資源」として有効活用すること
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2.古くなったタオルや衣類をウエスにする|

タオルや衣類は、本来の用途では使えなくなった後にウエス(使い捨て雑巾)としても活用できます。

使用済みの布を活用することで、新しい布と比べて水分や油分を吸収しやすい点がメリットです。ただし、衛生面を考慮し、使用済みの布から作ったウエスは食卓・食品周り以外の場所で「使い捨て」を前提として活用するのが望ましいでしょう。

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【ウエスの作り方】
使い古したタオルやシーツ、サイズが合わなくなった子供服、着古したシャツなどを、掃除したい場所に合わせて使いやすい大きさに切れば、簡単にウエスが作れます。ハサミで布の端を少し切り、切れ込みを起点に手で裂くようにすると、糸くずが出づらくなります。
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なお、家庭でウエスとして使用しきれない布類は、可燃ごみではなく資源として出すことで、回収されて工業用ウエスなどとしてリユースされるケースもあります※7。各自治体のルールに則り、「ごみとして捨てる」以外の選択肢を検討してみてください。

3.詰め替え可能な製品を選択する|さまざまなタイプの製品を紹介

洗剤などの日用品を購入する際、本体容器を都度買い替えるのではなく詰め替え用製品を選ぶことも、気候変動対策の一つです。

例えば、プラスチックの詰め替えパックは一般に本体ボトルと比べてプラスチック使用量が70〜80%程度少ない※8とされ、詰め替え用製品の選択はプラスチック削減や、延いては新たなプラスチックの製造や廃棄にかかるCO2排出量の削減につながります。

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【便利な詰め替え用製品の登場】
詰め替え用パックから本体ボトルへ中身を移し替えて使う製品の他、

●        詰め替え用パックをそのままボトル内に入れて使えるもの
●        詰め替え用パックにホルダーを装着してそのまま使用できるもの

など、手間をかけずに簡単に設置・取替えができる製品もさまざま登場しています。
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4.生ごみを減らす|食品ロスを減らす・コンポストなどを活用する

生ごみの量を減らすことは、産業廃棄物分野のCO2排出量の削減に大きく貢献します。可燃ごみの30〜40%を占める生ごみ※9はその約75%が水分とされ※1、焼却処分において多くのエネルギーが必要になるとともに、多くのCO2が排出されるためです※10

さらに、2023年度に家庭から出た食品ロス233万tとされ※11、1世帯で考えると年間で約43kg、45Lのごみ袋に換算すると4〜5袋分にも相当します。本来食べられるはずだった食品がこれほどの量で廃棄されていることを考えると、家庭レベルでの取組みが無視できない規模であることがわかります。

消費者庁は、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品を指す「食品ロス」を100t削減すれば、約46tものCO2を削減できると発表※10。また生ごみを資源にかえる都市型コンポスト「LFCコンポスト」を展開する企業の発表によれば、このコンポストの活用によって1.3万世帯から排出された生ごみのうち、年間約986tの生ごみが削減され、約484tのCO2削減を達成したといいます※12

家庭の大掃除においても、食品の賞味期限管理を行って食品ロスを防ぐことや、コンポストの活用や水切りによって生ごみの重量を減らすこと、イベントの多い年末年始だからこそ食品を買いすぎないことに留意しましょう。

5.ごみの出し方を見直す|汚れを落とし、正しく分別することでリサイクル率を上げる

ごみの量を減らすだけでなく、ごみを正しく出すことも重要なポイントです。

●    ペットボトル:キャップを外し、ラベルを剥がして「資源ごみ」に
●    ビン・缶:汚れを落として「資源ごみ」に、汚れが落ちないものや割れているものは「不燃ごみ」に
●    ガラス・金属製品など:リユース・リサイクルできないものは「不燃ごみ」に
●    紙類:チラシや雑誌、新聞などはそれぞれ分別してまとめて「資源ごみ」に、ティッシュペーパーやにおい・汚れが取れないものなどは「可燃ごみ」に

特に資源ごみ類は正しく分別すればリサイクルできます。結果として焼却されるごみの量を減らして、処分にかかるCO2排出量を削減したり、原料調達や生産の段階のCO2排出量を抑制したりすることにつなげられます。

日本の一般廃棄物のリサイクル率は わずか20%程度にとどまっており※13、裏を返せば 8割以上のごみが資源化されずに焼却・埋立されている ということです。つまり、家庭での分別精度を上げるだけでも、まだ大きな改善余地があると言えます。

なお、ごみの分類や分別方法は上記の限りではなく、自治体によって異なる場合があります。お住まいの地域の分別・回収方法をご確認ください。

年末は身も心もスッキリ、エコに貢献しよう

気候変動をこれ以上加速・深刻化させないために、一人ひとりが「私たちの生活が地球環境に及ぼす影響」を知り、身近にできる小さなアクションを積み重ねることが欠かせません。

この冬の大掃除ではぜひ、気候変動の危機やCO2(温室効果ガス)排出量の削減に意識を向けながら、ごみを減らす工夫に取り組んでみませんか?

【参考】
※1 「日本国温室効果ガスインベントリ報告書 2025年」(国立環境研究所)
※2 「家庭からの二酸化炭素排出量(2023年度)」(全国地球温暖化防止活動推進センター)
※3 「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」(環境省)
※4「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」(林野庁)
※5 「サステナブルファッション」(環境省)
※6「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務」(環境省) 「自分・社会・地球に優しい消費行動」(環境省)
※7「資源 衣服・布類の出しかた」(東京都国分寺市)
※8「身近なところに発見! プラスマアクション」(Plastics Smart)
※9「家庭ごみで多いものは? ~割合をみるグラフ~」(宇宙統計ステーション NARUHODO)
※10「食品ロス削減ガイドブック」(消費者庁 食品ロス削減ガイドブック検討委員会)
※11「2023(令和5)年度食品ロス量推計値の公表について」(消費者庁)
※12「LFCコンポストが2021年CO2削減量を発表!「2030 生ごみ焼却ゼロ」を目指す」(PR TIMES)
※13「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について」(環境省)

A-251126-05

執筆:永田遥奈  編集:玉野井崚太(CINRA, Inc)