公開日:2026年4月23日
火災保険は、条件によっては複数の保険会社と同時に契約することもできます。ただし、しくみを知らずに選ぶと損をしてしまう可能性もあるため、メリット・デメリットを確認したうえで検討することが大切です。
二重加入のデメリットや注意点、意図せず二重加入になりやすいケースについてご説明します。
火災保険は、複数の保険会社で二重に加入すること自体は可能ですが、二重加入しても両方の契約から満額の保険金を受け取れるとは限りません。保険には、「実損てん補」や「利得禁止」といった考え方があり、被った損害を超える分は保険金が支払われないためです。
火災保険はあくまで、事故や災害によって生じた損害を補うためのものです。火災保険を複数契約しても支払われる保険金が上乗せされるわけではなく、保険料の負担が増えるだけになるケースがほとんどです。
二重加入のメリットはあまりないため、一般的には1つの契約とすることが推奨されます。ただし、古い長期の火災保険で、「時価」で補償する契約の場合、「新価(再調達価額)」での補償を得るために、上乗せで別の火災保険契約をすることがあります。こうしたケースでは、前述の内容が一部当てはまらないことがあります。
火災保険の二重加入には、以下のようなデメリットがあります。
火事や災害が発生して建物や家財が被害を受けた場合、保険会社から保険金を受け取れます。受け取れる保険金は、「新価(再調達価額)」または「時価」で評価した損害額(保険金額が限度)です。火災保険によって異なりますが、チューリッヒのネット火災保険は新価で補償します。
火災保険を二重で契約しても、実際の損害額を超える保険金は支払われないため、二重で加入する必要性はありません。
火災保険に二重で加入すると支払う保険料は増えますが、損害額を超える保険金は受け取れません。受け取れる保険金は変わらず保険料の負担だけが大きくなる点がデメリットです。
火災保険に二重加入すると契約者が行う手続きが複雑になります。また、保険会社ももう一方の契約を確認する手続きが必要になるため、保険金の受け取りや復旧に時間を要してしまうことがデメリットです。
火災保険に二重加入することはできますが、以下の点に注意してください。
二重に火災保険に加入する場合、新たに加入する保険会社に、すでに火災保険に加入していることを伝える「告知義務」があります。
なお、すでに加入しているのが火災保険ではなく、火災共済の場合であっても同様に告知義務の対象となり、加入している旨を伝えなければなりません。
A社とB社で火災保険に加入してそれぞれに保険金を請求する場合、A社には「B社の保険に加入している」、B社には「A社の保険に加入している」ことを通知しなければなりません。
仮に両社から保険金が支払われたとしても、その合計額が損害額を超えることはありません。
火災保険を複数契約する場合、基本補償だけでなく特約の重複にも注意が必要です。たとえば「個人賠償責任補償」を2社の火災保険にそれぞれ付帯しても、保険金は損害額(損害賠償請求された額)を超えて支払われることはありません。
さらに、個人賠償責任補償は火災保険以外に自動車保険や傷害保険、クレジットカードの付帯保険にも特約として付帯できる場合があります。すでに他の保険で付帯しているケースでは、火災保険に追加で付帯しても保険料の負担が増えるだけで、やはり、保険金は損害額(損害賠償請求された額)を超えて支払われることはありません。
火災保険を契約する際に特約を付帯する場合は、他の保険で同じ補償を受けていないか確認しておくことが大切です。
本人にそのつもりがなくても、二重加入になってしまうケースも考えられます。
契約が重なっていると、保険料も重複して支払うことになるため、過去に火災保険を見直した経験がある場合は、現在の契約内容を一度確認しておくと安心です。
特に、次のようなケースでは、意図せず契約が重なりやすくなります。
「条件がよい保険会社があったので切り替えた」という場合、以前加入していた火災保険を解約し忘れて、二重加入になっていることがあります。
本来、保険を切り替える際は、旧契約の解約日と新契約の開始日をあわせて調整します。しかし、解約手続きを忘れたまま新たな火災保険を契約すると、契約期間が重なり、結果として保険料を二重に支払う状態になってしまいます。
保険会社の変更時は、解約の有無もあわせて確認しましょう。
火災保険と火災共済が異なる補償だと思い、それぞれを契約していたという例も考えられます。
火災共済は制度のしくみこそ異なりますが、建物や家財を対象に、火災や自然災害による損害を補償する点は火災保険と同様です。そのため、両方に加入していると補償内容が重なり、必要以上の保険料負担につながることがあります。
どちらか一方の契約で補償内容を十分にカバーできているかを確認したうえで、加入状況を整理しましょう。
火災保険を二重加入したときの解約手続きは、通常の保険の解約と同様です。手続きの流れは保険会社によって異なります。「代理店へ行く」「電話をする」「インターネット上で解約をする」などの方法があるため、保険会社に確認しましょう。
解約する際は、「二重加入をやめることで、補償を受けられなくなる部分がないか」を確認することが大切です。必要な補償を網羅できることを確認したうえで、補償内容や保険料を比較し、どちらの保険を継続するか判断しましょう。
「万が一に備えて補償を手厚くしておきたい」という理由で火災保険に二重加入したい場合は、以下について確認しましょう。
こうした点を整理することで、不要な契約を増やさずに、必要な補償を確保できるケースもあります。
火災保険の二重加入は、保険料の負担が増えても損害額を超えた保険金は受け取れないため、無駄な保険料の支払いとなるほか、万が一被害にあったときに手続きが煩雑化するためおすすめしません。原則として1社にまとめるほうがよいでしょう。
「補償を手厚くしたい」「そのうえで保険料もできるだけ抑えたい」という方は、火災保険の切り替えも検討しましょう。
チューリッヒでは、申込みがインターネットで完結できる火災保険を提供しています。地震保険や特約を付帯することも可能です。
火災保険への加入を検討している方や、保険料を見直したいと考えている方は、まずはシミュレーションで補償内容と保険料のバランスを確認してみるとよいでしょう。
損害保険には実損てん補の原則があり、複数の保険会社で加入していても受け取れる保険金は実際の損害額が上限です。それぞれに保険料を支払う必要があるため、費用対効果の面でメリットは少ないかもしれません。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
解約をした場合、保険期間のうち、未経過であった期間に対して所定の方法で計算して返金されます。しかし、すでに経過していた分については、二重加入だった場合でも返金はされません。
火災保険と火災共済に二重で加入することは可能です。しかし、損害額を超えて保険金を受け取れるわけではない点に注意しましょう。火災保険、火災共済のどちらかを選択するのがおすすめです。
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