公開日:2026年1月22日
火災保険への加入は、法律で義務付けられているわけではありません。「それならわざわざ入る必要はないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。
しかし、火災保険未加入の状態で火災や自然災害により損害を受けた場合、住宅の修繕費や家財の買い替え費用などが自己負担になります。また、隣家や近所の火事で自宅が損害を受けても補償を受けられない場合が多いため、自分の火災保険で備えておくことが大切です。
火災保険の加入率、未加入のリスクについて詳しくご説明します。
火災保険への加入は、法律で義務付けられているわけではありません。しかし、持ち家と賃貸のそれぞれで、火災保険が必要となる場合があります。
住宅ローンで持ち家を購入する場合、金融機関や不動産会社から火災保険への加入を求められることがあります。これは、火災や自然災害により住宅に大きな損害が生じた場合でも、保険金を利用してローンの残りを支払えるようにするためです。
また、住宅ローン借入者にとって、住宅が損害を受けた後にローンの返済が続く状況は大きな負担となります。火災保険に加入していれば、災害時に受け取った保険金を住宅の修繕や再建、ローンの返済に充てることが可能です。
火災保険に加入することで、金融機関は貸したお金をスムーズに回収でき、住宅ローンの借り手は返済困難になるリスクを抑えられるため、双方にメリットがあります。
賃貸物件では、建物部分の火災保険は大家や管理会社が加入し、借主は「家財を対象とする火災保険」と「借家人賠償責任補償」がセットになった保険に加入するのが一般的です。
借家人賠償責任補償は、入居者の過失(火災・漏水など)によって建物を損壊し、大家に対して法律上の損害賠償責任が発生した場合に補償するものです。大家や管理会社は、こうしたリスクに備えて入居者が損害賠償に対応できるよう、「借家人賠償責任補償」を付帯した火災保険への加入を賃貸契約の条件とすることがあります。
なお、加入する火災保険は大家や不動産会社が指定する場合もありますが、入居者が自分で保険会社を選んで加入することも可能です。
※出典:内閣府 「参考資料 保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告」よりグラフ作成
2025年10月執筆時点
内閣府の防災情報ページで公表されている試算によると、持ち家世帯の保険・共済の加入率は約82%です。つまり、持ち家世帯の8割以上が火災保険に加入しており、約2割は未加入のままということになります。
火災保険に入っていない場合、損害を補償してもらえないだけでなく、さまざまなリスクもあり、その内容は住まいの形態によって異なります。ここでは、共通のリスクと持ち家・賃貸それぞれのケースを見ていきましょう。
持ち家・賃貸共通のリスク
火災保険に加入していない場合、持ち家・賃貸どちらにも共通するリスクがあります。
日本には「失火責任法」という法律があり、隣家や近所の火事で自宅に損害を受けても、故意または重大な過失がない限り、加害者に損害賠償を請求することはできません。
たとえば、隣家の火事で自宅が全焼した場合でも、重大な過失や故意が認められなければ、修復費や家具・家電、衣類などの再購入費用はすべて自己負担になります。
火災保険に加入していれば補償を受けられますが、未加入の場合は経済的な負担が大きくなります。
火災保険は火事だけでなく、台風・大雨・雪災などの自然災害による建物や家財の損害も補償対象です。
もし火災保険に未加入の状態で自然災害が発生した場合、住宅の修繕費や建て直し費用、家具や家電製品、衣類の買い替え費用などをすべて自分で負担しなければなりません。
さらに、住宅が損壊して住めなくなった場合は、一時的な避難や仮住まいのための家賃・引越し費用なども必要になります。
火災保険に加入していれば、こうした費用の一部を保険金でまかなうことができますが、未加入の場合は生活再建の負担が大きくなるでしょう。
地震による損害は火災保険の補償対象外で、補償を受けるには地震保険に別途加入する必要があります。ただし、地震保険は火災保険とセットでしか契約できません。
そのため、火災保険に加入していない場合は地震保険にも加入できず、地震や津波による損害は原則として自己負担となります。
ここでは、持ち家で火災保険に入っていない場合のリスクをご説明します。
住宅ローンを返済中に火災で自宅が焼失した場合、火災保険に加入していなければ、ローンの支払い義務だけが残ることになります。建物を失っても返済は続くため、経済的な負担が大きくなります。
多くの金融機関が住宅ローン契約時に火災保険への加入を条件としているのは、こうした返済不能リスクを防ぐためです。また、住宅ローンの返済を続けながら新しい住宅を建て直す場合、二重ローン状態となり、家計を圧迫するおそれがあります。
火災によって建物や家財が損壊した場合、住宅の再建や修繕には高額な費用がかかります。さらに、がれきの撤去や残存物の片づけなどにかかる取り壊し費用も自己負担しなければなりません。
また、仮住まいへの引越し費用や、新居の準備に必要な生活資金なども追加で発生します。火災保険に入っていなければ、これらを自己資金でまかなう必要があるため、生活再建は厳しくなるでしょう。
大規模な災害が発生した際には、公的支援を受けられる場合があります。ただし、火災保険が不要になるほど充分な補償が得られるわけではありません。
たとえば、「被災者生活再建支援制度」では、自然災害によって住宅に著しい被害を受けた世帯に対し、修繕や再建を支援するための支援金が給付されます。支援額は被害の程度によって異なりますが、最大でも300万円にとどまります。
特に、住宅が全壊するなど被害が大きい場合には、公的支援だけで生活を立て直すのは難しいでしょう。
賃貸で借りている部屋で火災を起こした場合、隣家など他人への損害については「失火責任法」が適用されるため、故意または重大な過失がない限り、損害賠償責任は原則として発生しません。
しかし、大家に対しては借主に「原状回復義務」があり、火災で部屋を損傷させた場合でも、入居時の状態に戻す責任があります。これを履行できない場合、大家に対して損害賠償責任を負うことになり、修繕費や原状回復費用などの退去費用を自己負担しなければなりません。火災保険に加入していれば、これらの費用が補償される場合があります。
また、火災や事故によって自分の家財が損害を受けた場合は、家財を対象とする火災保険が適用されます。未加入の場合は、家財の買い替え費用も自己資金で対応しなければならず、経済的負担が大きくなるでしょう。
多くの火災保険は、ウェブサイトから申込みが可能です。チューリッヒのネット火災保険の場合、申込みから契約の流れは以下のとおりです。
契約が成立すると、保険始期日から補償が開始されます。
チューリッヒのネット火災保険では、保険始期日を、「申込みをした日の4営業日+1日以降〜60日以内」で設定できます。
チューリッヒのネット火災保険では、見積りの際にお住まいの建物に関する情報を入力します。以下の書類をあらかじめ用意しておくと進めやすいでしょう。
現在、他社で火災保険を契約している場合は、保険証券も用意しましょう。火災保険とあわせて地震保険も契約する場合は、建物の免震・耐震性能を確認できる書類なども必要です。
また、申込み後に保険料の支払いを行うため、本人名義のクレジットカードを用意しておくと手続きがスムーズです。
火災保険では、火災だけでなく風災・水災・盗難などによる損害も補償されます。チューリッヒのネット火災保険(持ち家専用)の基本補償は以下のとおりです。
これらに加えて、火災で燃えた建物や家財のがれき撤去費用なども補償されます。また、地震保険をセットで契約している場合は、地震による建物や家財の被害も補償対象です。
火災保険の保険料が負担に感じる場合は、保険料を抑える方法を確認しておきましょう。
火災保険の保険期間は、保険会社によっては1年単位で設定できる場合もありますが、最長で5年契約が可能です。チューリッヒの場合、保険期間は1年から5年の整数年で設定できます。
5年契約を一括払いした場合、一度に支払う金額は大きくなりますが、1年あたりに換算すると保険料を抑えられます。
免責金額とは、損害が発生した際に契約者が自己負担する金額のことです。免責金額を契約時に設定すると、その分保険料を抑えやすくなります。
ただし、災害が起きて保険金を請求する際は、損害額から免責金額を差し引いた金額しか受け取れません。免責金額を高く設定し過ぎると、実際に受け取る保険金が少なくなるため、保険料と自己負担額のバランスを考えて設定することが大切です。
※チューリッヒのネット火災保険では、免責金額は「自己負担なし」のみを設定できます。一方、「破損・汚損損害等補償特約(住総用)」の免責金額は5万円です。このように特約によっては免責金額が存在します。
火災保険には、インターネットや電話で申込みから契約まで完結する「通販型」と、保険代理店を通じて申し込む「代理店型」があります。
通販型は、契約者と保険会社の間に代理店が入らない分、保険料を抑えられます。補償内容に大きな差はないため、保険料の負担を軽減したい場合は通販型の利用を検討するとよいでしょう。
火災保険は、火災だけでなく台風・大雨・落雷などの自然災害による建物や家財の損害も補償内容に含まれます。未加入のままだと、自然災害による住宅の修繕費や家財の買い替え費用を自己負担しなければならず、特に自然災害の多い日本では経済的リスクが大きくなります。
また、火災保険に加入していないと地震保険にも加入できません。地震保険は火災保険に付帯して契約するしくみのため、地震による損害にも備えるには火災保険への加入が前提となります。
自然災害はいつ起こるかわからないため、万が一の際の経済的負担を軽減するためにも、火災保険・地震保険への加入を検討しましょう。
火災保険に未加入の場合、火災や自然災害による損害はすべて自己負担となり、もらい火で自宅が損害を受けたときも補償が受けられません。また、地震保険は火災保険とセットでしか加入できないため、加入時や見直し時に合わせてご検討ください。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
内閣府の防災情報ページで公表されている試算によると、持ち家世帯の保険・共済の加入割合は約82%(※)です。つまり、持ち家世帯のおよそ2割は火災保険に加入していないことになります。
※参考:内閣府 「参考資料 保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告」
火災保険に加入していない場合、火災や自然災害による建物の損害や家財の被害をすべて自己資金で負担しなければなりません。隣家からのもらい火でも、多くの場合は相手に賠償請求できず、修繕費は自己負担となります。
持ち家・賃貸いずれの場合も、火災保険に加入する法律的な義務はありません。ただし、持ち家では住宅ローン契約時に加入が条件となることが多く、賃貸では入居時に借家人賠償責任補償を含む火災保険への加入を求められるのが一般的です。
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