更新日:2026年5月21日
公開日:2026年4月20日
県民共済の「新型火災共済」は、地震による損害に対して、元から備わっている地震等基本共済金のほかに、追加で「地震特約」を付帯できます。
県民共済による地震保障と、保険会社の地震保険では、万が一の地震被害時に受け取れる金額が異なるため、どちらが自分に合うのか悩む方も多いかもしれません。
どちらの補償内容が、自宅の状況や必要な備えに合っているかを確認したうえで、自分に合うほうを選びましょう。
保険会社が扱っている「地震保険」は、県民共済の「新型火災共済」にはありませんが、地震による損害に備えることは可能です。新型火災共済には、あらかじめ保障に含まれる「地震等基本共済金」と、任意で付帯できる「地震特約」があり、地震などの損害があったときに共済金が支払われます。
地震保険は、民間の保険会社が提供する火災保険に付帯できる保険です。地震などによる被災者の生活再建を支えるため、民間保険会社が対応しきれない大きな地震損害を、政府が再保険で補うしくみで成り立っています。
地震保険の補償内容や保険金の支払い基準、保険料率は法律または全保険会社共通の規程で定められており、どの保険会社で加入しても保険料や補償内容に違いはありません。
保険と県民共済は、どちらも万が一のリスクに備えるしくみですが、運営の考え方や制度、使われる用語などに違いがあります。
県民共済は、都道府県単位で運営される非営利の共済組合が提供する制度です。将来起こり得る災害や事故に備えて、組合員同士がお互いを助け合う「相互扶助」の考え方をもとに運営されています。
一方、保険は民間の保険会社が提供する商品で、火災保険などは保険会社が定める一定の条件を満たせば加入できるしくみです。
保険と共済では使われる用語にも違いがあります。保険では契約者が支払うお金を「保険料」、万が一のときに受け取るお金を「保険金」と呼びますが、共済では支払うお金を「掛け金」、受け取るお金を「共済金」と呼びます。
県民共済の新型火災共済の地震保障は、地震で大きな被害を受けたときに当面の生活を支える見舞金・共済金という位置付けです。被災直後の一時的な負担を軽減することを主な目的としています。
一方、地震保険は「地震保険に関する法律」に基づく損害補償制度で、被災後の生活再建を支えることを目的としています。
その他の違いを見ていきましょう。
| 地震保険 | 県民共済の地震保障 (地震等基本共済金・地震特約) |
|
|---|---|---|
| 補償(保障)の対象 | 建物(住宅)+家財 | 建物(住宅)+家財 |
| 保険金(共済金) の支払い基準 |
損害区分(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて、保険金額(※1)の100~5%の保険金が支払われる | 半壊・半焼以上の損害で、新型火災共済の加入額の20%(※2)の共済金が支払われる |
| 保険料(掛け金) の決まり方 |
建物(住宅)の所在地・構造などをもとに算出され、どの保険会社でも同じ保険料率が適用される | 建物(住宅)の所在地・構造などをもとに、各都道府県の県民共済が定める掛け金率で決まる |
| 加入方法 | 火災保険に付帯して契約する | 地震等基本共済金は新型火災共済にあらかじめ含まれている 地震特約は、新型火災共済に付帯して契約する |
| 税制優遇 | 地震保険料控除の対象 | 地震保険料控除の対象(地震特約の掛け金) |
※1地震保険の保険金額であり、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内(建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限)で決定します。
※2地震等基本共済金5%+地震特約15%
地震保険の補償対象は、居住用の建物(住宅)と家財です。火災保険で補償対象とした「建物」、「家財」の範囲で地震保険の補償対象とするかどうかを選べます。そのため、居住建物として、空き家や別荘を火災保険の補償対象とした場合は、地震保険の補償対象とすることができます。
新型火災共済の地震保障も、住宅と家財が対象です。一方、新型火災共済では、空き家や別荘は対象外です。そのため、地震保障においても対象外となります。
地震保険と県民共済の新型火災共済の地震保障では、保険金・共済金の決まり方や上限額に違いがあります。
地震保険では、セット元の火災保険の保険金額とは別に、地震保険の保険金額を決めます。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内とします。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
地震による損害が生じた場合、損害区分(全損・大半損・小半損・一部損)が認定され、全損の場合は保険金額×100%、大半損の場合は保険金額×60%、小半損の場合は保険金額×30%、一部損の場合は保険金額×5%が保険金として支払われます。なお、一部損に満たない場合には、保険金は支払われません。
一方、県民共済の新型火災共済に地震特約を付帯した場合は、半壊・半焼以上の損害に対して共済金が支払われます。受け取れる金額は「地震等基本共済金」からの加入額×5%と「地震特約」の15%を合わせた20%となります。なお、半壊・半焼に満たない場合は共済金は支払われません。
県民共済の新型火災共済の共済金は、半壊・半焼以上の損害に対して一律の割合で支払われるため、地震保険で「全損」と認定されるような被害であっても、受け取れる金額は変わりません。その点を踏まえると、全損時に保険金額の100%を受け取れる地震保険は、補償が大きいといえます。
地震保険の保険料は、補償対象となる居住用建物および家財を収容する建物の構造や所在地などをもとに算出されます。セット元の火災保険の保険期間が長期(2~5年)の場合には、地震保険の保険期間も長期とすることができ、一括払の長期契約では年間あたりにすると保険料が割安になっています。
県民共済の新型火災共済の地震特約も、住宅の所在地や構造などによって掛け金が異なります。保障期間(共済期間)は1年で、毎年更新するしくみです。地震保険のような長期契約はありません。
地震保険と県民共済の新型火災共済の地震特約は、どちらも単体での加入はできません。それぞれ、主契約となる保険・共済に付帯する形で加入します。
保険期間の途中での地震保険の追加、共済期間の途中での地震特約の追加が可能です。
地震保険と県民共済の新型火災共済の地震特約は、どちらも「地震保険料控除」の対象です。
地震保険をセットしている場合、保険会社から「地震保険料控除証明書」が発行されます。火災保険部分は控除の対象外で、地震保険料に該当する部分のみが控除の対象です。
県民共済の新型火災共済では、地震特約の掛け金を支払った分だけが地震保険料控除の対象となります。地震特約を付帯している場合は「共済掛金払込証明書(地震保険料控除用)」が発行されます。
県民共済の新型火災共済の地震保障の主なメリットは以下の2つです。
県民共済は非営利団体が運営しています。また、新型火災共済の地震特約は、地震保険に比べて給付金が抑えられていることから、地震保険よりも掛け金がリーズナブルな傾向があります。地震保険とは保障内容が異なるため、掛け金だけでなく保障内容も踏まえて検討することが大切です。
地震特約の掛け金は、物件所在地によりA~Cのグループに分かれ、新型火災共済の加入額1万円あたりの掛け金が定められています。
| グループ名 | 構造 | 加入額 1万円あたりの掛け金 (月払/円) |
加入額 1万円あたりの掛け金 (年払/円) |
|---|---|---|---|
| Aグループ | 木造等 | 0.2625 | 3 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.13125 | 1.5 | |
| Bグループ | 木造等 | 0.3675 | 4.2 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.18375 | 2.1 | |
| Cグループ | 木造等 | 0.63 | 7.2 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.34125 | 3.9 |
出典:全国生協連 地震特約 物件所在地別 掛金一覧
※2026年1月執筆現在
たとえば、福岡県(Aグループ)の木造住宅で加入額が3,000万円の場合、年払いの掛け金は9,000円(3,000万円 × 3/10,000円)です。
県民共済の新型火災共済では、事業年度の決算結果に応じて組合員へ割戻金が支払われることがあります。割戻金とは、支払った掛け金が残った場合に払い戻されるお金のことです。
地震特約は割戻金の対象外ですが、地震特約を付帯する場合に加入する新型火災共済は割戻金の対象となるため、県民共済の新型火災共済のメリットのひとつといえます。
ただし、割戻金は共済全体の運営状況によって決まるため、毎年必ず支払われるものではありません。
県民共済の新型火災共済の地震保障加入を検討する前に、以下3つの主なデメリットも確認しておきましょう。
県民共済の新型火災共済に地震特約を付けた場合、地震による損害で受け取れる共済金は、加入額の20%です。たとえば加入額が3,000万円の場合、半壊・半焼以上の被害で受け取れる共済金は600万円です。
一方、地震保険は、「保険金(共済金)の支払い基準」のとおりであり、地震保険の保険金額の100~5%の範囲で保険金が支払われます。たとえば、セット元の火災保険の保険金額が3,000万円で地震保険の保険金額をその50%の1,500万円とした場合、全損では1,500万円、大半損では900万円が支払われます。
県民共済の新型火災共済の共済金は、半壊・半焼以上の損害に対して加入額の20%であることや地震保険での一部損に相当する場合には支払われないことから、地震保険と比べると受け取れる金額が少なくなりやすい点を理解しておきましょう。
県民共済の新型火災共済の契約をするには、その都道府県の共済組合に加入して組合員になる必要があります。組合員になるには、共済掛金とは別に出資金が必要です。
県民共済の新型火災共済では、1回の地震などによる地震等基本共済金および地震等特約共済金の合計が3,000億円(2025年4月1日時点)を超える場合、支払われる共済金が削減されます。
なお、保険会社の地震保険においても、1回の地震などによる保険金の総額(すべての保険会社の額を合算)が12兆円(2026年2月執筆現在)を超える場合は、支払われる保険金が削減されます。ただし、この12兆円は、関東大震災クラスの地震が発生しても大丈夫な水準です。
県民共済の新型火災共済の地震保障では、受け取れる共済金が加入額に対する一定割合に限られます。そのため、地震による被害を想定した場合に、実際に受け取れる金額がいくらになるのか、一度確認しておくことが大切です。
地震による損害に対して、貯蓄で補えるのであれば、必ずしも地震保険や新型火災共済の地震特約が必要とは限りません。しかし、建て替え費用や長期間の仮住まいにかかる費用まで想定する場合は、共済金だけでは不十分となる可能性があります。
今の備えに不安が残る場合は、地震保険を含めた備えを検討することも選択肢のひとつになるでしょう。
新型火災共済の地震等基本共済金・地震特約と、地震保険の両方に加入することは可能です。しかし、それには、新型火災共済と火災保険の両方の契約をすることとなり、補償が重複するうえ、無駄な保険料・掛け金を支払うことになるため、現実的な選択肢ではありません。
地震に対する補償を手厚くしたいのであれば、地震保険の他に地震を補償する特約を付けられる火災保険の契約をするか、地震補償単独で契約可能な少額短期事業者の火災保険に追加で加入することを検討したほうがよいでしょう。
地震保険と県民共済の新型火災共済の地震保障は、いずれも地震による損害に備える選択肢ですが、制度のしくみや保障内容には違いがあります。それぞれの特長を理解したうえで、自分に合うほうを選ぶことが大切です。
なお、地震保険は単体では加入できず、火災保険に付帯して契約する必要があります。火災保険の補償内容や保険料は保険会社によって異なるため、複数社で見積りを取り、内容を比較しながら検討することが重要です。
チューリッヒのネット火災保険では、簡単な質問に答えるだけで保険料の目安を確認できます。火災保険・地震保険の契約を検討中の方は、ぜひお試しください。
地震保険と県民共済の地震保障は、支払い基準や保障額が大きく異なります。地震保険は最大で保険金額の100%が支払われる一方、県民共済は20%が上限です。掛け金の安さだけでなく、保障内容も比較して選びましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
県民共済の新型火災共済の地震保障のデメリットは以下の3点です。
詳しくは「県民共済(新型火災共済)の地震保障のデメリット」でご説明しています。
地震特約のみで加入することはできません。新型火災共済に加入したうえで、地震特約を付帯する必要があります。
県民共済の新型火災共済の地震特約の掛け金は、物件の所在地や構造などにより異なります。加入対象となる物件が所在する都道府県に応じてA~Cの3つのグループに分かれ、さらに建物の構造(木造等・鉄筋コンクリート造)ごとに、新型火災共済のご加入額1万円当たりの掛け金が決められています。
詳しくは、各都道府県の県民共済の新型火災共済のウェブサイト内にある地震特約の詳細ページをご覧ください。
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