公開日:2025年9月30日
火災保険と地震保険は、どちらも損害保険ですが、異なる保険です。補償内容や保険対象、保険金額、保険料の決まり方など、さまざまな点で違いがあります。火災保険と地震保険の違いや特長についてご説明します。
火災保険と地震保険は、どちらも「損害保険」の一種です。
火災保険に加入すると、住宅・家財を対象とした火災の被害をはじめ、台風や豪雨による水災、強風による風災といった自然災害や、日常生活で起こりうる幅広いリスクにも備えられます。ただし、地震や噴火、津波による被害は対象外です。
一方、地震保険は、地震や噴火、津波による住宅・家財への被害に備える保険です。地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約する必要があります。
火災保険と地震保険は、どちらも住宅・家財への損害に備える保険である点は共通ですが、補償内容、保険金額などに違いがあります。
| 火災保険 | 地震保険 | |
|---|---|---|
| 保険対象 | 住居用の建物や生活用の家財(住居用以外の建物や生活用以外の家財(※)も可能としている保険会社もある) | 住居用の建物や生活用の家財 |
| 補償内容 | 火災・落雷・風災・水災・盗難などによる損害(地震・噴火・津波による損害は対象外) | 地震・噴火・津波による損害 |
| 保険金額 | 建物や家財の評価額の範囲内で設定可能 | 火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内 (建物5,000万円・家財1,000万円が上限) |
| 保険料 | 保険会社ごとに異なる | どの保険会社で加入しても同じ(割引制度も全社共通) |
| 保険期間 | 最長5年 | 最長5年 |
| 保険会社ごとの補償内容・支払基準の違い | あり | なし |
| 保険料による所得税・住民税の控除 | 対象外 | 対象(地震保険料控除) |
※高額貴金属などや什器・備品、商品・製品
ここからは、火災保険と地震保険の違いを項目ごとに詳しく説明します。
火災保険の保険対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターン(※)が選択可能となっています。
建物には、契約者が住居として使用している建物の他、門、塀、垣なども含まれるのが一般的です。住居用の建物を保険対象の前提とする保険会社が多く、その場合、店舗や空き家は対象外です。また、家財とは対象の建物に収容されている家具や家電、衣服などです。
地震保険の保険対象は、火災保険で契約している保険対象の範囲内で選択できます。たとえば、火災保険で「建物+家財」としている場合、地震保険では「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」のいずれかを選択できます。
なお、地震保険で保険対象とできる建物は、住居として使用している建物のみです。
※チューリッヒのネット火災保険は「建物のみ」または「建物+家財」の2パターンで、「家財のみ」での契約はできません。
火災保険は、火災や落雷、風災、水災など自然災害による損害の他、盗難や物体の衝突なども補償対象です。基本補償は、どの保険会社でも似ているものの、契約プランによって補償を追加したり外したりできる柔軟性は異なります。
ただし、火災保険では、地震を原因とする損害は補償されません。地震や噴火、津波によって直接的または間接的に生じた損害を補償対象としているのは、地震保険です。
たとえば、建物が燃えたケースでも、その原因が「通常の火災」であるのか、「地震により発生した火災」であるのかによって、補償を受けられる保険が異なります。
後者の地震による火災だった場合、地震保険に加入していなければ補償を受けることはできません。しかし、地震火災費用保険金を支払う契約プランであれば、火災保険から地震火災費用保険金を受け取ることができます。
火災保険では、火災や風災、水災、盗難などによる損害が補償されます。ただし、補償内容は保険会社によって細かい点が異なります。ここではチューリッヒのネット火災保険の基本補償を例に説明します。
チューリッヒのネット火災保険では、以下の補償が必ずセットされています。
| 基本補償 (建物や家財の補償) |
損害の例 |
|---|---|
| 火災、落雷、破裂・爆発 |
|
| 風災、雪災、雹(ひょう)災 |
|
| 水災 |
|
| 漏水、放水、溢(いっ)水による水濡れ 建物外部からの物体の飛来など 騒擾、労働争議など |
|
| 盗難 |
|
基本補償に「破損・汚損損害等補償特約」などの特約を追加して、補償範囲を広げることも可能です。
地震保険で補償される損害例は、以下のとおりです。
| 補償対象 | 損害の例 |
|---|---|
| 建物 |
|
| 家財 |
|
保険期間は、火災保険と地震保険のどちらも最長5年の契約が可能です。なお、火災保険の保険期間を5年としている場合で、地震保険の保険期間を1年とし、火災保険の満期まで、地震保険を自動継続する形式の契約を扱う保険会社もあります。
※チューリッヒでは、地震保険を中途付帯する場合を除いて、火災保険と地震保険の保険期間を同じにすることとしています。
火災保険と地震保険では保険金額、保険料の決まり方が異なります。
火災保険の保険金額は、建物や家財の評価額の範囲内で設定します。
チューリッヒのネット火災保険では「再調達価額」を基準に、見積り時に評価額を算出し、保険契約者はその範囲内で保険金額を設定する形となります。再調達価額とは、保険の対象と同一の構造・質・用途・規模・型・能力のものを再築、または再取得するために要する額です。
損害を受けた場合は、契約時に設定した保険金額を上限として実際の損害額が補償されます。建物の保険金額を再調達価額と同額に設定していれば、全焼や全壊となっても自己負担なく再建・再取得することが可能です。
地震保険の保険金額は、火災保険で設定した保険金額の30〜50%の範囲内で設定できます。たとえば、火災保険(建物)の保険金額を2,000万円に設定している場合、地震保険(建物)で設定できる保険金額は、600万円から1,000万円の範囲内となります。
なお、地震保険の補償額には上限(建物5,000万円、家財1,000万円)がある点を押さえておきましょう。たとえば、火災保険(建物)の保険金額を1億5,000万円に設定していた場合では、地震保険(建物)の保険金額を50%の7,500万円には設定できず、上限の5,000万円となります。
このように、地震保険には補償額の上限があるため、実際の損害額が全額補償されるわけではありません。
地震保険では、以下の4つの損害の程度に応じて保険金が支払われるしくみです。
| 損害の程度 | 支払われる保険金額 |
|---|---|
| 全損 | 地震保険の保険金額の100%(時価額が限度) |
| 大半損 | 地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度) |
| 小半損 | 地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度) |
| 一部損 | 地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度) |
ただし、一部損の判定に至らないケースや、門や塀、垣、エレベーター、給排水設備のみの損害であった場合は、保険金が支払われません。
火災保険の保険料は、建物の構造、所在地、築年数、選択する補償危険(たとえば水災を補償対象とするかどうか)、自己負担額などのさまざまな要素により決まります。
各保険会社が独自に設定しているため、同じ条件でも保険料が異なることがあります。
一方、地震保険の保険料は、損害保険料率算出機構が算出した料率をすべての保険会社が使用しており、建物の構造、所在地および耐震性能などの割引制度によって決まります。
耐震性能などの割引制度は下表のとおりです。
| 割引の種類 | 割引の条件 | 保険料の割引率 | |
|---|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 | 50% | |
| 耐震等級割引 | 対象建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊など防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合 | 耐震等級3 | 50% |
| 耐震等級2 | 30% | ||
| 耐震等級1 | 10% | ||
| 耐震診断割引 | 対象建物が地方公共団体などによる耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 | 10% | |
| 建築年割引 | 対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 | 10% | |
なお、それぞれの割引制度を併用することはできません。複数に該当した場合には、最も割引率の大きいものが適用されます。
地震保険の保険料は「地震保険料控除」として所得税・住民税の所得控除の対象となります。年間支払保険料に応じて、所得税は最大50,000円、住民税は最大25,000円が課税所得から控除されるため、税負担の軽減につながります。地震保険料控除は年末調整で申告できるため、地震保険料を支払っている場合は忘れずに手続きしましょう。
一方で、火災保険の保険料は控除対象になりません。
火災保険は、保険会社ごとに補償内容や保険料、特約の種類などに違いがあります。そのため、加入する際は複数の保険会社を比較し、自分にあったプランを選ぶことが大切です。
一方、地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、国と保険会社が共同で運営している保険であるため、どの保険会社で加入しても補償内容や保険料、支払基準は同じです。
ただし、地震保険は単独で契約できず、火災保険とセットでの加入となります。また、火災保険の契約期間の途中から地震保険を追加する場合も、その火災保険契約とセットでなければなりません。
そのため、地震保険にも加入したい場合は、火災保険の内容を比較したうえで保険会社を決めることが重要です。
地震保険は火災保険に比べて補償が限定的で、被害を受けても全額補償されないことから、加入をためらう方も少なくないでしょう。
しかし、地震保険は、地震による住宅などの損害を官民共同で補償し、被災後の生活再建を支える保険です。地震や津波による損害は火災保険の対象外のため、こうしたリスクに備えるには地震保険が不可欠です。現時点で加入していない方は、この機会に地震保険の必要性を確認しておくとよいでしょう。
地震保険の付帯率は年々上昇しており、損害保険料率算出機構の統計によると、2023年度の全国平均は69.7%です。
地震保険は、被災後の生活再建にかかせない保険ですが、その必要性の度合いは、住んでいる地域や建物の耐震性、家計状況などによって異なります。以下の条件に当てはまる方は、地震保険の必要性が高いといえるでしょう。
特に住宅ローンを利用している方は、地震保険を検討する必要があります。
住宅ローンの返済中に、地震による被害を受けて家を建て直すことになった場合でも、これまでの住宅ローンの返済がなくなるわけではありません。新たなローンとあわせて2つの住宅ローンを抱えることになります。
地震保険に加入していれば、受け取った保険金を住宅ローンの返済にあてることも可能です。その結果、経済的な負担が軽減され、生活再建に大きく役立ちます。
以下の条件に当てはまる方は、地震保険の必要性が低いと考えられます。
自然災害のリスクは、ハザードマップで確認できます。各自治体のウェブサイトや国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で調べておくとよいでしょう。
火災保険には「地震火災費用」の補償が含まれていることがあります。
地震火災費用とは、地震や噴火、津波が原因で発生した火災による損害に対して、一定条件を満たした場合の補償のことです。その補償に基づいて支払われる保険金を地震火災費用保険金といいます。
チューリッヒのネット火災保険においても「地震火災費用」が基本補償に含まれており、以下の状況に当てはまる場合に保険金額の5%(1敷地内あたり300万円を限度)が支払われます。
※1 建物の主要構造部の火災による損害の額が、その建物の保険価額(保険金額)の20%以上となった場合、または建物の焼失した部分の床面積のその建物の延べ床面積に対する割合が20%以上となった場合をいいます。
※2 家財の火災による損害の額が、その家財の保険価額(保険金額)の80%以上となった場合をいいます。
ただし、地震火災費用で支払われる保険金額は、同程度の被害で地震保険から支払われる保険金額よりも少額です。火災保険の地震火災費用だけでは、地震による被害に備えるには不十分といえるでしょう。
地震保険は、どの保険会社でも補償内容や保険料は同じですが、火災保険とセットで加入する必要があります。火災保険は、保険会社によって補償内容や保険料が異なるため、加入にあたっては複数の保険会社で見積りをとり、比較・検討しましょう。
加入手続きの一般的な流れは、以下のとおりです。
見積りの内容を確認し、必要書類を提出して申し込み、保険料を支払うことで補償が開始されます。チューリッヒのネット火災保険では、見積りから契約までをスマートフォンやパソコンで完結できます。
火災保険の見積りを依頼する際は、住まいに関する情報(所在地、建築年月、面積、構造、耐火性能など)の入力が必要となります。以下の書類を用意しておくとスムーズに見積りが行えます。
【一戸建ての場合】
【マンション(共同住宅)の場合】
さらに、地震保険を検討する場合は、保険料の割引率を算出するため、免震・耐震性能を確認できる書類として以下のいずれか1つが必要です。
チューリッヒのネット火災保険は、通販型(ダイレクト型)の火災保険です。
代理店を介さず契約できることから中間コストが抑えられ、保険料がリーズナブルであることが特長です。火災や水災、風災などの基本補償に加え、地震保険や各種特約も付帯できます。
3つの質問に答えるだけで保険料の目安を確認できる見積りツールも用意しています。「自分にあった補償がどのくらいの保険料になるか知りたい」という方は、ぜひお試しください。
地震保険に加入しても、万が一のときに損害がすべて補償されるわけではありません。しかし、被災による経済的困難に直面した際、地震保険は大きな助けとなるでしょう。自宅の火災保険に加入する際は、必ず地震保険への加入を検討してください。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
火災保険と地震保険は補償対象となる損害が異なるため、セットで加入することでより幅広いリスクに備えることが可能です。
火災保険は、住宅ローン契約時や賃貸契約時の加入を条件とすることが多くなっています。ただし、地震や噴火、津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失によって生じた損害は、地震保険を契約していないと補償されません。そのため、必要に応じて加入を検討するとよいでしょう。
賃貸物件でも、火災保険や地震保険が必要になる場合があります。特に、賃貸契約時には火災保険(家財)への加入が必須条件となっているケースが多い傾向です。
一方、地震保険への加入は任意ですが、火災保険だけでは地震による家財の損害は補償を受けられません。高額な家電や価値が高い家具などがある場合には、万が一に備えて地震保険を付けておくと安心です。
地震保険の保険料は「地震保険料控除」として所得控除の対象になります。
給与所得者(会社員や公務員)の場合は、保険会社から送付される「地震保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して勤務先に提出することで、年末調整で控除を受けられます。
また、年末調整ではなく、確定申告で保険料控除の手続きも可能です。
ダイレクト型だからお手頃な保険料