公開日:2025年10月30日
火災保険の免責金額とは、万が一の事故で保険金が支払われるときに、契約者が自己負担する金額のことです。火災保険を契約する際にこの免責金額を設定する必要がありますが、具体的なしくみまで理解している方は少ないでしょう。「免責金額を設けるか」や「設ける場合の金額はいくらか」など、免責金額について詳しく知りたい方は、参考にしてください。
火災保険の免責金額とは、保険金を支払う事故が生じたときに、契約者が自己負担するものとして設定された金額のことです。
なお、損害額が20万円未満だった場合、保険金が支払われず、修理費用などはすべて自己負担となります。
免責金額には大きく「エクセス(※)方式」「フランチャイズ方式」の2つがあります。
エクセス方式は、損害額が免責金額を超えた際に超過分のみ支払われる方式です。たとえば、エクセス方式の免責金額20万円の契約で、事故が発生した際の損害額が50万円である場合、契約者は20万円を自己負担し、残りの30万円が保険金として支払われます。一方、フランチャイズ方式は、事故の損害額が免責金額以上になった際に損害額の全額が支払われる方式です。
このいずれであるかが明示されていない場合は、たいてい「エクセス方式」です。
※ ディダクティブルという場合もあります。ちなみに、チューリッヒの火災保険に付帯されている「風災等支払方法変更特約(ディダクティブル型)(住総用)」は、風災等の免責金額の方式をフランチャイズからエクセス(ディダクティブル)に変更する特約です。ただし、エクセスに変更したうえで免責金額を0円としているので、実際には免責金額なしとなっています。
免責金額が20万円の場合、エクセス方式・フランチャイズ方式それぞれで支払われる金額は以下のようになります。
| 損害額 | 支払われる保険金 | |
|---|---|---|
| エクセス方式 | フランチャイズ方式 | |
| 50万円 |
50万円 - 20万円 = 30万円 ⇒ 30万円 |
50万円 > 20万円 ⇒ 50万円 |
| 10万円 |
10万円 - 20万円 < 0円 ⇒ 0円 |
10万円 ≦ 20万円 ⇒ 0円 |
免責金額は、設定できる保険会社もあれば、免責金額なし(0円)のみで契約する保険会社もあります。たとえば、「なし(0円)/5万円/10万円」などから選択できる保険会社もある一方で、チューリッヒのネット火災保険の場合は、免責金額なし(0円)のみです。
※破損・汚損損害等補償特約(住総用)の免責金額は建物・家財それぞれ5万円です。
火災保険に加入する際は免責金額を設定できるのか、またどのような選択肢があるのかを確認しておくとよいでしょう。
免責金額を設定するのには、以下のような理由があります。
火災保険では、免責金額を高く設定するほど保険料を抑えられます。
火災保険は補償内容を削減した分、保険料が低くなります。そのため、免責金額で損害の一部を自己負担すること(補償の削減)により、その分のリスクを保険会社が負わずに済むため、保険料の負担を抑えられることになるのです。
免責金額を設定しておくことで、損害調査の負担を軽減できます。
事故が発生したとき、保険会社は支払う保険金の額を決定するために損害の状況を調査します。しかし、損害の規模を問わず、保険会社の調査には一定の時間や手間がかかります。
免責金額を設定すると、免責金額を下回る損害になったときの補償は契約者の自己負担となるため、保険会社に保険金の支払いが発生しません。その結果、損害を調査する負担を軽減でき、保険会社の業務効率化につながります。
保険におけるモラルハザードの一つに、「保険に加入しているから大丈夫」と考え、事故に対する注意が疎かになることがあります。
免責金額を設定し、契約者自身にも一定の自己負担が存在するようにすることで、「事故による損害をできるだけ避けよう」という意識が強くなります。
これにより、台風が近づいてきたときの備えや火災を防ぐための点検・対策など、日頃の防災意識の向上が期待できます。
免責金額を設定することで、保険料を抑えることができます。免責金額が高額になるほど保険会社の負担が減るため、保険料もリーズナブルになるしくみです。
免責金額を設定できる保険会社の場合は、「免責金額によってどれくらい保険料が変わるのか」を確認するとよいでしょう。免責金額を設定すると事故にあったときの自己負担金額は増えますが、保険料の負担は減らせます。
火災保険の免責金額は、原則として保険加入時、または保険更新時に設定します。
免責金額を決める際は、以下のポイントを確認してください。
火災保険は「火災」だけではなく、風災や雪災、水災などの自然災害も補償対象です。自然災害のリスクは居住地域の他、戸建て・マンションといった住宅条件によっても異なります。
たとえば、豪雪地帯に住んでいる場合は雪災のリスクが、川・海の近くに住んでいる場合は水災のリスクが考えられるでしょう。水災のリスクはハザードマップで確認できるため、リスクが高い場合は火災保険の補償を手厚くしておくと安心です。
災害リスクがある場合は、免責金額を下げる、または0円にすることで、災害発生時の自己負担額を抑えられます。
ただし、保険会社によっては、たとえば、築年数の古い物件に対する風雪災について免責金額が引き上げられるので要注意です。
また、免責金額を低く設定しても、特定の補償(たとえば水濡れ)については、自動的に免責金額が引き上げられることがあります。
免責金額を高くすることで、保険料を抑えられます。一方で、免責金額が高額になると、損害が発生したときに自己負担額が増えるというデメリットがあるため、一概に免責金額が高ければよいとは限りません。
免責金額を決めるときは、「保険料はどれくらいか」「いざというときにどの程度の自己負担が可能か」によって検討しましょう。保険料と事故にあったときの自己負担額のバランスを考慮しながら判断することが大切です。
加入している火災保険の免責金額は、定期的に見直しましょう。「自宅の災害リスクはどれくらいか」「保険料の負担が大きすぎていないか」などを考え、契約更新のタイミングで免責金額を見直すのがおすすめです。
また、免責金額とあわせて補償内容も見直しましょう。今の自宅や自身の状況に合った補償になっているかを定期的に確認し、必要に応じて内容を調整することが大切です。
免責金額を高く設定すると保険料は安くなりますが、事故の際の自己負担額が大きくなります。家計に無理のない範囲で、万が一のときに、いくらまでなら自分で負担できるかを考えて設定することが大切です。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
火災保険の免責金額とは、保険金を支払う事故が生じたとき、契約者が自己負担する金額のことです。(エクセス方式の場合)
「火災保険の免責金額5万円」は、損害額や修理費用のうち5万円分を契約者が負担するという意味です。5万円を超えた分は、保険金として保険会社が支払います。(エクセス方式の場合)
なお、損害額が5万円未満だった場合、保険金は支払われず、契約者が全額負担することになります。
「災害リスク」と「保険料」の2つのポイントから決めることをおすすめします。
居住地域や住宅条件によって災害のリスクは異なるため、豪雪地帯や水害の多い地域では免責金額を低めに設定すると安心です。
一方で、免責金額を高く設定すれば保険料を抑えられる反面、事故時の自己負担は増えるため、保険料といざというときの負担額のバランスを考えて選びましょう。
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