公開日:2025年10月29日
火災保険の建物評価額とは、保険の対象となる建物の価値を評価した金額です。火災保険の保険金額は、保険会社から提示された建物評価額と同額に設定するのが一般的です。
建物評価額は保険会社が建築予定額や物価変動の統計などをもとに算出しますが、しくみを理解しておくことで保険金額が建物の価値に対して適正かどうかを判断しやすくなります。この記事では、建物評価額の算出基準や決め方をご説明します。
火災保険における建物評価額とは、保険の対象となる建物の価値を表す金額のことで、この評価額は、「建物に対する保険金額をいくらにするべきか」を判断するための重要な基準となります。
火災保険の保険金額は、原則として建物評価額をもとに決定し、建物評価額を超える額にできません。なお会社によっては、建物評価額以下の額(建物評価額の60%など)を保険金額に設定できる商品がありますが、実際の建物の価値が1,500万円であるにもかかわらず、5,000万円の保険金額を設定することはできません。
万が一、火災や自然災害などで建物に損害を受けた場合は、設定した保険金額を上限に、損害を被った額が保険金として支払われます。
損害を受けた際に充分な補償を受けるためには、建物評価額が適切に設定される必要があります。
火災保険の保険金額を決める基準となる建物評価額は、保険会社が算出することが一般的です。契約者は、保険会社から提示された建物評価額の範囲内で、自分の建物に応じた適切な保険金額を設定できます。
チューリッヒのネット火災保険では、見積り時に入力する「建物の建築年月」「建物の延床面積」「新築時の建物金額」などの情報をもとに自動で建物評価額が算出されます。
建物評価額の算出基準には「再調達価額(新価)」と「時価額」の2つがあります。
再調達価額(新価)とは、保険契約の対象となる建物と同等の建物を新たに建て直す、あるいは再購入する際にかかる金額を指します。一方、時価額とは、再調達価額から老朽化などによる価値の減少分を差し引いた金額です。
再調達価額(新価)と時価額の関係を算式で示すと、以下のようになります。
一般的に、火災保険の保険金額を決定するうえでの建物評価額には、時価額ではなく再調達価額(新価)が用いられます。チューリッヒのネット火災保険でも、再調達価額(新価)を用います。
ここからは、再調達価額(新価)と時価額をもとに建物評価額や保険金額を設定した場合に、補償内容にどのような違いが生じるかをご説明します。
再調達価額(新価)に基づいて建物評価額を設定した場合、同じ住宅を新たに建て直すのに必要な現在の価格を基準としているため、再建に充分な金額を確保できる点が特長です。
たとえば新築時の建築費が3,000万円であれば、建物評価額も3,000万円となります。
保険金額をこの評価額と同じ3,000万円に設定しておけば、万が一火災などで住宅が全焼した場合でも、保険金として3,000万円が支払われ、同等の住宅を再建することが可能です。
たとえば、新築費用が3,000万円の木造住宅を時価額で評価した場合、経年劣化などによる消耗分として800万円が差し引かれると、評価額は2,200万円となります。その結果、保険金額もこの評価額にあわせて2,200万円に設定されるため、万が一住宅が全焼した際に支払われる保険金は2,200万円が上限となります。
しかし、実際に同等の住宅を建て直すには3,000万円が必要となるため、800万円が不足し、保険金だけでは元通りの住宅を再建するのは難しくなります。
こうした補償不足を防ぐため、再調達価額(新価)を基準に契約するのが一般的であり、時価額での契約はほとんど見られません。
建物評価額の算出方法を知っておくことで、保険金額が建物の価値に対して妥当かどうかを判断しやすくなるでしょう。
新築年と新築時の建築費がわかる場合は、新築時の建築費に、新築年から評価時点までの年次別指数をかけて建物評価額を算出できます。
このように、新築年や新築時の建築費をもとに、物価変動などを考慮して再調達価額を算出する評価方法が「年次別指数法」です。算出時に使用する年次別指数は、保険会社によって異なります。
なお、土地代は建物評価額に含まれないため、建築費を不動産の購入価額から求める際には、土地代を差し引きましょう。
新築年と新築時の建築費がわからなくても、1平方メートルあたりの新築費単価に建物の延床面積をかけて建物評価額を算出できます。
この算出方法を「新築費単価法」といい、建物の広さをもとに再調達価額を見積るのが特徴です。算出時に使用する新築費単価は、保険会社によって異なります。
マンションにおいても、新築年と新築時の専有部分の建築費がわかる場合は、戸建てと同様に「年次別指数法」で建物評価額を算出できます。
区分所有者がマンションの火災保険を契約する場合の補償対象は、専有部分(居住部分、天井・床・壁などコンクリートで囲まれた内部空間)のみです。玄関ホール・エレベーター・廊下・階段といった共用部分は、マンション管理組合が契約します。
マンションの購入価格には共用部分も含まれているため、専有部分のみの金額を求める必要があります。
また、戸建てと同様に、土地代は建物評価額に含まれないため、建築費を不動産の購入価額から求める際には、土地代を差し引きましょう。
保険会社の見積りサイトでは、専有部分の建築費の算出が困難なことから、マンションの場合は、次にご説明する「新築費単価法」での算出のみであることが多いです。
※チューリッヒの見積りサイトも、マンションの場合は「新築費単価法」での算出のみです。
マンションにおいても、新築年と新築時の専有部分の建築費がわからなくても、戸建てと同様に1平方メートルあたりの新築費単価に専有面積をかける「新築費単価法」で建物評価額を算出することができます。
なお、戸建てでは、建物の延床面積を用いましたが、マンションでは専有部分の面積である専有面積を用いる点が異なります。
火災保険を契約する際は、再調達価額(新価)に基づいて算出された建物評価額と、同額の保険金額を設定するのが基本です。これにより、建物に損害が生じた際に、保険金だけで同等の建物を再建できます。
なお、建物評価額よりも少ない金額を保険金額に設定することを「一部保険」といいます。一部保険では、保険金額の上限を受け取ったとしても、建物の損害をカバーしきれません。
一方、建物評価額を超える金額を保険金額に設定することを「超過保険」といいますが、超過保険となるような保険金額の設定はできません。
火災保険の保険料は、契約時に設定した保険金額や保険期間、保険対象である建物の所在地・面積・構造・築年数などによって決まります。
保険料の算出条件のひとつである保険金額は、建物評価額と同額に設定するのが基本です。そのため建物評価額が上がると保険金額も上がり、それに伴い保険料も高くなります。
建物評価額は、物価や建築費の高騰などにより変動する可能性があるため、最初の契約時のままにせず、契約更新時などに定期的に見直すことが大切です。
見直しをせず、最初の契約時の評価額のままにしておくと、損害を受けた際に契約時より物価が上昇していた場合、保険金だけでは同等の住宅を再建できなかったり、元の状態への修理費用が不足したりする可能性があります。
また、リフォームにより面積・構造・耐火性能などに変更があった場合や、増築・改築・一部取り壊しを行った場合は、評価額が変更になる可能性があるため保険会社または代理店に連絡しましょう。
火災保険の建物評価額は保険金額を決める基準となるため、適正な金額を設定することが大切です。
チューリッヒのネット火災保険では、建物の情報を入力することで、建物評価額(再調達価額)が算出され、保険金額の目安を確認できます。新築時の売買契約書または工事請負契約書に記載された建物金額(土地代を除く)を入力すれば、より詳細な保険金額も確認できます。
3つの質問に答えて簡易的に保険料を確認することも可能ですので、保険金額や保険料の目安を知りたい方は、まずは見積りを試してください。
建物評価額は、万が一のことが起きたときの保険金額にも係る重要な要素です。しかし、多くの場合、申込み時の情報をもとに保険会社が自動的に計算するため、つい見落としがちです。建物のリフォームなどを行ったときは、忘れずに保険会社に連絡をしましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
火災保険の建物評価額は保険会社が設定するため、契約者自らが意図的に下げることはできません。ただし、物価や建築資材の価格が下落した場合などに下がる可能性はあります。
なお、保険会社によっては、保険金額を建物評価額の100%未満(建物評価額よりも低い額)に設定できる商品がありますが、損害を受けた際に損害の全額をカバーできず、保険対象の建物と同等の建物を新たに建築、あるいは再購入できなくなってしまいます。
原則として、提示された建物評価額と同等の金額を保険金額に設定しましょう。
※ チューリッヒでは保険金額を建物評価額の100%未満とする引受けは行っておりません
火災保険の建物評価額は、一般的に保険対象の建物と同等の建物を新たに建築、あるいは再購入するのに必要な金額で評価するため、物価の上昇などにより上がることがあります。
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