公開日:2026年1月19日
2024年10月に各保険会社で火災保険料率の改定が行われ、多くの契約者の保険料が値上げされました。契約条件によっては大幅な値上げとなるケースもあるため、更新通知を見て驚いた方もいるでしょう。
火災保険料の値上げの背景には、自然災害による保険金支払いの増加や、住宅の修理費用・建設コストの高騰などがあります。
今後も値上げ傾向が続く可能性はありますが、更新のタイミングで補償内容を見直せば、保険料を抑えつつ、住まいに合った補償内容へと変更することが可能です。
火災保険料の値上げの理由や今後の動向、そして契約更新時に見直すべきポイントを詳しくご説明します。
2024年10月に、多くの保険会社で火災保険料率の改定が行われました。
2023年6月に損害保険料率算出機構が定める「参考純率(各社が参考にする料率)」が全国平均で13.0%引き上げられたため、各保険会社が保険料を見直しました。なお、実際の値上げ幅は契約している保険会社や契約内容によるため、正確な金額は契約先の保険会社によって異なります。
改定後の保険料は契約更新時から適用されますが、すべての契約者の保険料が一律で高くなるわけではありません。建物の所在地・築年数・構造・水災リスクなどの条件によって、保険料が高くなることもあれば、安くなることもあります。
火災保険料が値上げされた理由は複数あります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
近年は気候変動の影響で自然災害が頻発しています。たとえば、2021年には寒波や大雨、2022年には台風やひょう災が各地に被害をもたらしました。
このように、前回の保険料率改定の時に想定していた以上の自然災害による被害が発生すると、損害保険会社が支払う保険金が増加し、結果として火災保険料の値上げにつながります。
日本では築年数の古い住宅が増えています。老朽化した住宅は、台風や大雪などで損壊しやすいだけでなく、電気設備や給排水設備の劣化によって火災や水漏れが発生するリスクも高まります。
こうしたリスクの増加も支払保険金の増加につながり、火災保険料を押し上げる要因となっています。
建設資材の価格上昇や人件費の高騰により、住宅の修理や再建にかかるコストも上昇傾向にあります。同じ損害でも、修理・再建コストが高くなれば、支払保険金も増加し、保険料の値上げにつながります。
2024年の改定前は水災補償の保険料率は地域差を設けず全国一律で設定されていました。しかし、水災リスクは地域ごとに大きな差があるため、公平性の観点から課題となっていました。
実際、洪水や土砂災害が頻発する地域がある一方、被害のリスクが低い地域もあります。リスクの低い地域では「水災補償を外す」という契約者も増え、制度全体の補償機能が損なわれる懸念もありました。こうした状況を踏まえ、水災料率は市区町村単位で5段階に見直されました。区分けの詳細は後述の「水災補償の保険料率の細分化」にてご説明します。
2024年10月の火災保険料率の改定は、損害保険料率算出機構が2023年6月に行った改定の内容が基準となっています。その内容について詳しく見ていきましょう。
2023年6月に火災保険の参考純率が全国平均で13.0%引き上げられました。参考純率とは、損害保険料率算出機構が算出する純保険料率のことです。各保険会社の火災保険の料率は「純保険料率」と「付加保険料率」で構成されており、「純保険料率」については参考純率をもとに算出されています。
| 純保険料率 |
事故発生時に支払う保険金の原資となる部分 (参考純率をもとに算出) |
|---|---|
| 付加保険料率 | 保険会社が事業を運営するための経費(人件費や事務費など) |
保険会社は保険料を設定する際に参考純率をもとに純保険料率を算出しますが、付加保険料率は各社が独自に設定するため、参考純率が引き上げられたからといって、火災保険料が同じ割合で高くなるわけではありません。実際の値上げ幅は契約内容や保険会社によって異なります。
損害保険料率算出機構は毎年、参考純率が適正な水準であるかを検証し、改定の必要があれば金融庁長官へ参考純率改定の届出を行います。参考純率の見直しは適宜行われています。
2014年7月以降の改定内容は以下のとおりです。
| 改定時期 |
参考純率の引き上げ率 (全国平均) |
その他の改定 |
|---|---|---|
| 2014年7月 | 3.5% | 火災保険の契約期間を最長10年に短縮 |
| 2018年6月 | 5.5% | ー |
| 2019年10月 | 4.9% |
築浅住宅を対象とした割引の導入 (割引率は都道府県や建物の構造などにより異なる) |
| 2021年6月 | 10.9% | 火災保険の契約期間を最長5年に短縮 |
| 2023年6月 | 13.0% | 水災に関する料率を地域リスクに応じて5区分に細分化 |
2021年以降は引き上げ幅が大きくなっています。
台風や集中豪雨による洪水などの「水災」に関する保険料率は、これまで全国一律でした。しかし、地域ごとに水災リスクに大きな差があるため、2024年の改定では、洪水や土砂崩れなどの発生リスクに応じて市区町村単位で5段階に細分化されました。
気候変動の影響で自然災害の発生が増えると想定されており、支払保険金が増加すれば、火災保険料がさらに引き上げられる可能性があります。
また、2014年7月の参考純率改定を踏まえて各社が契約期間10年までとした長期契約が2025年頃から順次満期を迎え、多くの契約者が火災保険契約を更新することになります。その際には、改定された参考純率や水災補償の細分化といった新しい基準に基づいた保険料が適用され、また、住宅の修理費用と建設コストの高騰を反映した保険金額が設定されます。更新後の保険料が大幅に上昇するケースも考えられるでしょう。
火災保険料の値上げに直面したときは、補償内容や契約条件を見直すよい機会です。以下のポイントを確認しておきましょう。
火災保険は契約期間が長いほど、年間あたりの保険料が割安になります。火災保険は最長で5年までの契約が可能です。1年契約を繰り返すよりも、長期契約を選ぶことでトータルの負担を抑えられます。
免責金額とは、損害額に対して契約者が自己負担する金額のことです。免責金額を設定することで、保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、免責金額を高く設定すると、損害発生時の経済的な負担が大きくなります。無理なく負担できる範囲で免責額を設定することが重要です。
※チューリッヒのネット火災保険では、免責金額は「自己負担なし」のみです。ただし、破損・汚損の損害については免責金額50,000円です。
補償内容や特約を見直し、不要なものを外すと保険料の節約につながります。ただし、必要な補償まで外してしまうと、万が一の際に補償を受けられなくなるリスクがあります。現在の住まいや災害リスクに応じて、過不足のない補償内容になるよう見直しを行いましょう。
2024年の改定で水災料率が細分化されたことにより、地域によって保険料に差が生じるようになりました。そのため、水災リスクが低い地域や建物に住んでいる場合は、水災補償を外すことで保険料を抑えられます。
国土交通省や自治体が発行しているハザードマップで自分が住んでいる地域の水災リスクを確認し、水災補償の必要性を再考しましょう。
火災保険は、保険会社によって補償内容や保険料に違いがあります。保険料の値上げを受けて、複数社の保険料や特約を比較し、切り替えを検討するのも有効です。
たとえば、保険の販売形態には代理店型と通販型(ダイレクト型)があり、同じ補償内容であれば通販型のほうが保険料を抑えられる傾向があります。
複数の保険会社から見積りを取り、保険料や補償内容を比較・検討することで、より条件に合う保険を見つけられる可能性があります。
火災保険は「生活を守る備え」であり、値上げされたからといって安易に解約すべきではありません。むしろ火災保険料の値上げは、補償内容を見直すよい機会といえます。
近年は自然災害が頻発しているほか、住宅の老朽化も進んでいるため、単に保険料を下げるのではなく、生活状況や住環境に合った補償を選び、「守りの質」を高める視点が重要です。
チューリッヒのネット火災保険では、3つの質問に答えるだけで保険料のシミュレーションが可能です。補償を充実させつつ火災保険料を抑えたい方は、まずシミュレーションを試してみましょう。
火災保険料の値上げは、ご自身の補償内容を見直す絶好のチャンスです。
更新通知が来たら保険料だけで比較せず、お住まいの状況や災害リスクをあらためて把握し、必要な補償内容になっているかを確認しましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
火災保険料の値上げは、自然災害の増加や住宅の老朽化、住宅の修理費用や建設コストの高騰などにより、保険会社の支払保険金が増加したことなどが要因となっています。
「2024年に火災保険料が値上げされた理由」で詳しくご説明しています。
保険料が値上げされた際は、補償内容や契約条件の見直しを行いましょう。たとえば、長期契約の利用や免責金額の設定、補償や特約の見直し、保険会社の切り替えなどを検討することで、必要な補償を残しながら、保険料を抑えられる可能性があります。
保険期間中に商品改定などで保険料が見直された場合であっても、契約途中で差額保険料を請求されることはありません。改定後の新しい保険料は、契約更新のタイミングで適用されます。
また、逆に保険料が値下げされた場合に、契約途中で差額保険料が返還されることもありません。
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