公開日:2025年11月12日
「保険料が安くなるから」「マンションに住んでいるから大丈夫」といった理由で、水災補償はいらないと考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、水災の種類は多岐にわたり、水災が発生すると床上浸水により建物や家財に甚大な損害が生じる可能性があります。さらに、近年は台風だけでなく記録的な大雨も毎年のように発生し、各地で被害をもたらしています。本当に水災補償はいらないのか、この機会に再度検討してみましょう。
水災補償のいる・いらないを決める基準や、水災補償の付帯をおすすめするケースをご説明します。
火災保険の水災補償では、以下のような洪水や高潮、土砂災害などによる被害が補償されます。
水災による被害の例
水害により保険会社所定の支払基準(例:床上浸水、または地盤面から45cmを超える浸水など)を満たした場合は、契約時に設定した保険金額を上限に、実際の損害額を受け取れます。ただし、免責金額を設定している場合には、免責金額を差し引いた額となります。
契約内容や設定した保険金額および免責金額は保険証券に記載されています。被害が発生した際に慌てないよう、事前に確認しておくことが重要です。
基本補償に水災補償が含まれていない場合や、水災補償を外している場合は、たとえ火災保険に加入していても、水災による被害の補償を受けられません。
また、水災補償を付帯していても以下のケースに該当する場合は対象外となります。
地震による被害の補償を受けるためには、火災保険とは別に地震保険に加入する必要があります。地震保険は単独で加入できず、火災保険と同じ保険会社で加入します。
火災保険で水災補償を付帯すべきかを決める基準は、以下のとおりです。自分の状況と照らし合わせて検討しましょう。
自宅がある地域に、水災に関するどのようなリスクが、どれくらいあるかを確認することが、水災補償を付帯するかどうかの判断材料となります。
自宅がある地域の災害リスクは、ハザードマップで知ることが可能です。ハザードマップでは、洪水や土砂災害、高潮、津波のリスクの度合いが閲覧できます。
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」から、パソコンやスマートフォンで誰でも閲覧できるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
地域の災害リスクだけでなく、自宅の構造や階層といった物理的条件も、水災補償を付帯するかどうかの判断材料となります。
水害発生時の住宅の災害リスクは、住宅の種類(戸建て、マンション)によっても異なります。たとえば、住宅がマンションの高層階であれば洪水のリスクは比較的低いといえるでしょう。
ただし、マンションのある場所や階層によっては、その他のリスクがある可能性があります。
一方、戸建ての場合は、地盤の高さや高床構造、防水性のある外壁といった要素で浸水のリスクが変わります。
都市部や住宅街の場合、台風や大雨の際に排水が追いつかず、下水道などから水があふれる「内水氾濫」が起こり、被害が発生することがあります。
地域によっては、内水ハザードマップを公表しているため、洪水や土砂災害、高潮、津波だけでなく、内水氾濫のリスクも把握しておくとよいでしょう。
以下にあてはまる場合は、水災補償の付帯がおすすめです。
ハザードマップを確認し、住んでいる地域が洪水や土砂災害、高潮、内水氾濫のリスクが高いエリアである場合は、水災補償の付帯がおすすめです。
過去に水災があった地域に住んでいる場合も、水災補償の付帯を前向きに検討しましょう。
過去の水害状況は、気象庁の「災害をもたらした気象事例」や自治体が公表している水害史年表、近年の水害に関するニュースでも確認が可能です。
「○○(都道府県名) 過去の水害」や「○○市 洪水」、「○○川 氾濫」などのキーワードで検索してみると、地域の水害リスクをより理解できるでしょう。
「マンションだから」という理由だけで水災補償を外すのは、おすすめできません。マンションに住んでいる場合でも、ハザードマップを確認し、洪水や土砂災害のリスクを把握することが大切です。
マンションの1階や2階などの低層階に住んでいる場合は、大雨による浸水で被害を受けるリスクや、立地によっては土砂崩れや高潮の被害を受ける可能性もあります。雨水の排水能力が低い地域では、下水道や排水路の水による浸水が起こることも考えられます。
自宅の地下室で家財を保管している場合も、水災補償の付帯がおすすめです。特に、地下室に高価な家具や家電などを保管している場合は、建物だけでなく、家財の補償も必要になるといえます。
なお、その地下室が居住用かどうかで床上浸水となるか判断され、保険会社によって水災補償の対象になるかの基準が異なることもあります。どのような被害が補償されるかも、あわせて確認しておきましょう。
住宅が水害にあった場合でも、住宅ローンの返済が免除されるわけではありません。特に多額の住宅ローンがある方は、万が一に備えて水災補償の付帯がおすすめです。
近年は「記録的な大雨」による河川の氾濫や土砂崩れで、家屋の倒壊、浸水など、住宅が大きな被害にあうこともあります。
ここ数年以内の大きな水害の事例は、以下のとおりです。
| 災害名 | 発生時期 | 主な被害地域 | 死者数 | 家屋被害棟数 |
|---|---|---|---|---|
| 九州北部豪雨 | 2017年7月 | 福岡・大分 | 42人 |
全壊・流出:約400棟 半壊:約1,400棟 床上浸水:約700棟 |
|
西日本豪雨 (平成30年7月豪雨) |
2018年7月 | 岡山・広島・愛媛・福岡・岐阜など | 237人 |
全壊・流失:約7,000棟 半壊:約10,000棟 床上浸水:約17,000棟 |
|
東日本台風 (台風19号) |
2019年10月 | 関東・東北など | 84人 |
全壊・流失:約3,000棟 半壊:約18,000棟 床上浸水:約21,000棟 |
| 令和2年7月豪雨 | 2020年7月 | 九州・東海・東北 | 86人 |
全壊・流失:約2,000棟 半壊:約5,000棟 床上浸水:約3,000棟 |
| 令和3年8月豪雨 | 2021年8〜9月 | 佐賀・福岡・広島など | 13人 |
全壊・流失:約50棟 半壊:約1,600棟 床上浸水:約3,700棟 |
被害地域はさまざまであり、今後も過去に発生したような大雨、台風などによる水災が発生する可能性があります。万が一の水害リスクに備えるためにも、水災補償の付帯を検討しましょう。
「自宅は河川から離れているから、氾濫や洪水のリスクが少ない」「マンションだから大丈夫」といった理由で、水災補償がいらないと思う方もいるかもしれません。
しかし、それらの水害が絶対に起こらないわけではありません。昨今は、これまでにないような大雨が降るなど、水害のリスクが全国的に高まっています。
火災保険の水災補償を外すかどうかは、ハザードマップや過去の水害などを確認し、自宅の災害リスクを踏まえて慎重に検討することが重要です。
「水災補償はいらない」と判断する前に、まず、ハザードマップで自身が住んでいるエリアの災害リスクを確認しておきましょう。仮に、住宅ローンが残っている場合、被災したとしても返済は続きます。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
建物がマンションの高層階である場合は、低層階や戸建てと比べて洪水による損害のリスクは低いといえます。ただし、低層階ではなくても土砂災害などの被害にあう可能性はゼロではありません。
水災補償を外すと、万が一のときの補償を受けられなくなってしまうため、水災補償がいらないとは言い切れません。水災補償を外すかどうかは、慎重に検討しましょう。
火災保険の水災補償の要否は、主に地域の災害リスクと自宅の災害リスクの2つの観点から検討するとよいでしょう。
地域の災害リスクは、ハザードマップや過去の水害発生状況から把握でき、自宅の災害リスクは、マンションの階層や自宅の構造などから判断できます。
詳細は「水災補償のいる・いらないを決める基準」でご説明しています。
地震による津波で受けた被害は、火災保険の水災補償では補償されません。津波による被害で補償を受けるためには、火災保険とは別に、地震保険に加入する必要があります。
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