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経年劣化は火災保険で補償が受けられないのか。損害の例と判断方法

公開日:2026年7月16日

経年劣化は火災保険で補償が受けられないのか。損害の例と判断方法

火災保険は、補償する旨が列挙されている事故のみが補償対象となります。そして、そこには経年劣化や老朽化はありません。そのため、経年劣化や老朽化を直接の原因とする損害は、火災保険の補償対象となりません。なお、経年劣化とは、変色や変質、さびやかび、腐食などのように、時間が経過したことによる品質低下を指します。

原則として、経年劣化は補償の対象とならないのですが、ここでは、建物の部位別に、経年劣化の例と、経年劣化以外の理由があるために補償対象になる例をご説明します。

ポイント

  • 経年劣化によって発生した損害は、火災保険の補償対象外です。
  • 火災保険によって基本補償・特約は異なるため、自分が加入する保険の約款などを確認することが大切です。
  • 損害を発見した際は、保険会社に正しく状況を判断してもらうためにも、すみやかに連絡しましょう。

目次

火災保険では経年劣化による損害は補償対象外

火災保険は、補償する旨が列挙されている事故のみが補償対象となり、そこには経年劣化や老朽化はないことから、経年劣化によって生じた損害は補償の対象外です。

火災保険で補償が受けられるかどうかは、損害の見た目や症状ではなく、原因によって判断されます。たとえば、同じ程度の家屋の損傷であっても、原因が自然災害か経年劣化かによって火災保険の補償対象となるかどうかが異なります。これはチューリッヒのネット火災保険に限らず、他社の保険会社も同様です。

【部位別】火災保険で経年劣化に該当するケース

【部位別】火災保険で経年劣化に該当するケース・補償対象になるケース

経年劣化に該当するのは、以下のようなケースです。

  • 自然の消耗
  • 劣化や性質による変色
  • 変質
  • さび
  • かび
  • 腐敗
  • 腐食
  • 浸食
  • ひび割れ
  • 剥がれ
  • 肌落ち
  • 発酵もしくは自然発熱の損害 など

これらのような症状や現象は経年劣化に該当するため、火災保険の補償対象外となります。
ここからは、建物の場所別で、経年劣化に該当する例、火災保険の補償対象になる可能性がある例を見ていきましょう。

ここで説明する「補償対象になる可能性がある例」は、あくまで基本補償に含まれる損害の例です。経年劣化に起因する損害かどうかは、個別の申告内容や現地調査などによって判断されます

屋根

屋根の経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • スレート(屋根材)が自然なひび割れを起こした
  • リフォームから年月が経過し、屋根瓦にひび割れが発生した
  • 板金の釘が浮いて屋根材がめくれた
  • 紫外線や雨風により屋根材が色あせた
  • 防水シートの硬化や破れによる雨漏りが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 台風で屋根材が飛散した(風災)
  • 雹(ひょう)によって屋根材に穴や割れが生じた(雹災)
  • 雪の重みで屋根が破損した(雪災)

災害によって建物の外側に新しい破損が発生していれば、火災保険で補償が受けられる可能性があります。何が原因で発生した不具合かを特定できるかがポイントです。

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外壁

外壁の経年劣化の例と、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • 外壁材の塗装に色あせが発生した
  • コーキング(シーリング)が劣化してひび割れが発生した
  • 新築から年月が経過した外壁材にひび割れが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 強風による飛来物で外壁が破損した(風災)
  • 台風で外壁材がはがれた(風災)
  • 外部から自動車が衝突して外壁が破損した(外部からの物体の飛来・落下・衝突)

美観の低下や老朽化による損傷は、経年劣化に該当する可能性が高くなります。
なお、外壁に限らず、建物外部からの物体の飛来・落下・衝突、車の飛び込みや、騒擾(そうじょう)などに伴う破壊行為で建物や家財に損害を受けたときは、火災保険の補償対象になる場合があります。

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雨どい

雨どいの経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • 金属製の雨どいがさびて腐食し、穴があいた
  • 接合部の緩みにより、雨どいが外れた

■補償対象になる可能性がある例

  • 強風で雨どいが外れた(風災)
  • 雪の重みで雨どいが破損した(雪災)

雨どいの損害は、部材の老朽化に伴うものか、災害による破損かがポイントです。たとえば、台風などの強風で雨どいが外れた場合、周辺部位にも災害による破損箇所があるか否かが、自然災害による損害を見極める材料になるでしょう。

窓・サッシ

窓やサッシの経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • パッキンの劣化によって雨水が侵入した
  • サッシの隙間が広がり浸水した
  • 窓の開閉不良により雨が吹き込んだ

■補償対象になる可能性がある例

  • 雹(ひょう)が窓ガラスに当たって割れた(雹災)
  • 竜巻で窓ガラスが割れた(風災)
  • 屋根からの落雪が当たり、窓ガラスが割れた(雪災)
  • 外からボールが飛んできて窓が破損した(外部からの物体の飛来・落下・衝突)
  • 空き巣により窓ガラスが割られた(盗難)

窓やサッシに発生した損害は、外からの衝撃が確認できるかがポイントです。大雨などの自然災害が発生していても、窓の閉め忘れや、隙間からの浸水といった不注意による損害は、補償対象外となることが一般的です。

加入する火災保険の補償内容によっては、「空き巣により窓ガラスや扉が壊された」といった、未遂を含む強盗・窃盗による損害も補償対象になることがあります。
ただし、マンションなどの共同住宅の場合、窓・サッシは「専用使用権付き共用部分」に該当します。共用部分が補償対象となるかどうかは、保険会社や加入プランによって異なるため、確認してみましょう。

※チューリッヒのネット火災保険では「専用使用権付き共用部分」は補償対象外です。

ベランダ・バルコニー

ベランダやバルコニーの経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • 防水層の劣化によって水漏れが発生した
  • コンクリートスラブ(床スラブ)に細かいひび割れが発生した
  • 排水不良によって水漏れが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 強風で手すりが破損した(風災)
  • 飛来物でベランダの軒(外壁から飛び出た屋根部分)が破損した(外部からの物体の飛来・落下・衝突)

災害による破損は補償対象ですが、防水層の劣化やメンテナンス不良によるひび割れ、水漏れは経年劣化に該当します。なお、マンションなどの共同住宅の場合、ベランダ・バルコニーは「専用使用権付き共用部分」です。補償対象かどうかは火災保険や契約内容によって異なります。

※チューリッヒのネット火災保険では「専用使用権付き共用部分」は補償対象外です。

給排水設備まわり

水道管や給湯設備などの「給排水設備」の経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • パッキンのみの劣化によって水漏れが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 台風で給湯システムが転倒し、使用できなくなった(風災)
  • 給排水設備の事故で床や壁が水浸しになった(水濡れ)

給排水管自体に生じた損害については、「給排水管修理費用補償特約」などを別途付帯していれば、対象になる可能性があります。

その他の建物部分

ここまでにご説明した建物部位や設備以外の経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • 床下の湿気により、建物の土台となる木材が腐朽した
  • 基礎コンクリートの表面に細かいひび割れが発生した
  • 結露によって天井や壁紙にかびが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 火災で建物が燃えた(火災)
  • 集中豪雨で河川が氾濫し、床上浸水が起きた(水災)
  • 台風で窓ガラスが割れ、雨が吹き込んでフローリングが水浸しになった(風災)

家財・家電

家具や家電といった「家財」に生じた損害で補償を受けるには、家財を補償対象として火災保険に加入している必要があります。家財の経年劣化の例、補償対象の例は以下の通りです。

■経年劣化に該当する可能性がある例

  • 壁のコーキングのひび割れから雨水が侵入し、木製家具にかびが発生した
  • 家具に直射日光が当たり、日やけや色あせが発生した

■補償対象になる可能性がある例

  • 小規模な火災でソファが燃えた(火災)
  • 洪水で床上浸水し、タンスが水浸しになった(水災)
  • 上階の排水管が破損し、水漏れで家電が壊れた(水濡れ)
  • 空き巣に現金やパソコンなどを盗まれた(盗難)
  • 落雷によるサージ電流でテレビが壊れた(落雷)

火災保険によっては、集合住宅などで上階からの水漏れによって建物や家財に損害が生じたときも、補償を受けられる場合があります。なお、排水管に限らず、水道管や給湯器、雨どい、給水タンク、温水器、ボイラー、スプリンクラーといった「給排水設備」が故障し、室内が水浸しになったり、家財が水漏れによる損害を受けたりしたときも、補償対象になります。

経年劣化かどうかを判断されるポイント

損害の原因を調査するのは、火災保険の事故査定の担当者もしくは損害保険登録鑑定人です。

損害保険登録鑑定人とは、保険会社から委託を受けて調査する鑑定人で、一般社団法人 日本損害保険協会の認定試験に合格し、登録されている方です。損害保険登録鑑定人は火災保険の適用に関して、公正・中立な立場から建物の検査を行います。

ここでは、火災保険の調査で確認される可能性がある4つのポイントを見ていきましょう。

建物の外側に「災害による破損」があるか

台風などの風災による損害を認定するには、屋根や外壁などの建物の外側に、災害による破損があるかどうかが重要です。台風や強風で屋根や外壁が破損したことによって生じた雨漏りであれば、風災として補償対象になる可能性があります。

一方で、建物の外側に破損が確認できず、老朽化や施工不良が原因であると判断されたときは、補償対象外となる場合があります。

いつ起きた損害かを特定できるか

築年数の古い家では、損害が直近の事故や災害によるものか、以前から進行していた劣化によるものかが判断基準になります。建物の外側に発生した破損が、いつ起きたものかを具体的に立証できるかどうかが、経年劣化か自然災害かを判断するポイントです。

保険金を請求する前に、「損害を発見した日」「災害が発生した日」「損害箇所を前回点検した日」などの時系列を整理しておきましょう。建物の破損箇所に気づいた日と、実際に損害が発生した日が同日とは限りません。いつから不具合があったか、どの事故や災害による損害かを明確にしておきましょう。

被害状況と災害の内容に整合性があるか

火災保険の補償対象として認められるためには、損害が事故や災害によって生じたものであることを示す必要があります。そのため、損害が発生した日時に加え、事故や災害の状況も明確にしておきましょう。

申告内容と被害状況だけでなく、災害の内容(水災や風災など)との整合性が求められます。保険会社によっては、整合性を確認する際に気象データなどをもとに検証することもあるでしょう。

写真・見積書・修理履歴などの資料がそろっているか

写真や見積書、修理履歴は、事故原因や発生時期の説明をする際の資料として役立ちます。
損害を受けた部分の写真を撮影する際は、以下のポイントを把握しておきましょう。なお、高所など危険な部分の撮影は、安全を確保したうえで行ってください。

  • 被害箇所をさまざまな角度・距離から撮影し、被害の程度を把握しやすくする
  • できる限り多くの枚数を撮影する
  • 建物全体、被害箇所、原因箇所などをそれぞれ撮影する
  • 風災の場合は、建物外側の破損箇所も撮影する

また、建物の点検記録やメンテナンスの記録があると、今回の災害による損害であることを説明しやすくなるでしょう。

経年劣化の他にも火災保険の補償対象外になるケースがある

火災保険では、経年劣化以外にも以下のような症状や損害は、補償対象外になります。

  • 購入時・入居時から存在していた初期不良
  • リフォーム時の施工不良
  • 故意による損害
  • 通常の使用で生じるすり傷・ゆがみ・塗料の剥がれなどの損傷
  • 機能低下を伴わない外観上の損傷・汚損

経年劣化と同様に、日常的な使用による摩耗などは、火災保険の補償対象外となります。補償が受けられるのは、補償する旨が列挙されている事故(火災・自然災害による損害など)や、保険会社が定める原因によるもののみです。

初期不良や施工不良は、施工会社や不動産会社などへ相談し、対応してもらいましょう。

経年劣化を「自然災害による損害」と偽る保険金請求トラブルに注意

昨今、悪質な修理業者が「火災保険を使えば無料で屋根や外壁の修理ができる」と謳い、契約を結ばせるケースが存在します。契約後に、業者が故意に建物を破損させて保険金の請求を勧めたり、高額な費用を要求したりするトラブルが発生しています。

経年劣化であることを隠し、「台風による損害」として保険金の請求をするのは虚偽の申告です。虚偽申告が発覚すると、保険会社から契約を解除されたり、契約者自身がトラブルの加害者になったりする可能性があります。

申請サポートなどを名乗る業者から「火災保険を使えば無料で修理できる」などといわれた場合、契約を結ぶ前に、まずは加入中の保険会社に相談しましょう。火災保険の請求手続きは第三者に依頼する必要はなく、原則として被保険者本人が行います。

原因特定のためにも早めに請求手続きを

火災保険の保険金請求にあたっては、まずは事故の通知を行う必要があります。「保険の対象について損害が生じたことを知った場合は、損害の発生ならびに他の保険契約等の有無および内容を当会社に遅滞なく通知しなければなりません。」とされています。
また、保険金の支払い対象となる損害を受けていても、3年経過すると保険金請求権が消滅するので注意しましょう。

時間が経過するにつれて、損害の原因を特定することが難しくなります。補償対象となる損害かどうかは原因によって判断が分かれるため、損害を発見した際はすみやかに保険会社に連絡しましょう。

保険会社への連絡・相談は、保険証券に記載された連絡先または公式サイトから行うことができます。

火災保険の保険金請求権の時効とは。請求手続きの流れも説明

火災保険の補償内容は定期的な見直しが必要

建物や家財に損害が生じた際に、火災保険の補償を受けられるかどうかは、損害の原因や契約しているプラン、特約などによって異なります。万が一のときに補償を受けられるよう、現在の契約内容で十分かを定期的に見直すことが大切です。

必要な特約や補償を選んだ場合の保険料がいくらになるか、まずはシミュレーションをしてみませんか?チューリッヒのネット火災保険では、3つの質問に答えるだけでサクッと見積りが可能です。

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金子 賢司
金子 賢司

火災保険は経年劣化による損害を補償しません。ただ、判断が難しいケースが多いため、損害を発見したらまず保険会社に連絡しましょう。時間が経つほど原因の特定が難しくなるため、早めの行動が大切です。

火災保険の経年劣化に関するよくある質問

Q外壁や屋根の経年劣化は火災保険で補償を受けることができますか?
A

経年劣化の場合、火災保険の補償対象外となります。
火災保険は、補償する旨が列挙されている事故のみが補償対象となります。そこに経年劣化は含まれないため、経年劣化を原因とする事故は補償の対象になりません。

Q火災保険の保険金が支払われない例を教えてください。
A

経年劣化の他、以下のような場合は火災保険の補償対象外となります。

  • 購入時・入居時から存在していた初期不良
  • リフォーム時の施工不良
  • 故意による損害
  • 通常の使用で生じるすり傷・ゆがみ・塗料の剥がれなどの損傷
  • 機能低下を伴わない外観上の損傷・汚損

初期不良や施工不良は、施工会社や不動産会社に相談しましょう。

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