運営体制と方針

リスク管理態勢

保険会社として適切に事業を運営するため、経営環境の変化などのさまざまなリスクを的確に把握・管理することが重要であるとの認識のもと、当社ではリスクを定量的・定性的観点から分析し自らの内部管理態勢の強化に役立てることができるように、よりよい統合リスク管理態勢の構築に努めています。

チューリッヒ・インシュアランス・グループでは、グループにおけるリスク管理の基本方針として「チューリッヒ・リスク・ポリシー」を定め、日本支店を含むすべての組織はこれに基づいたリスク管理を行っています。日本支店においては、統合リスク管理委員会を設置し、統合リスクおよびリスクガバナンス全般、保険引受リスク、財務リスクならびにオペレーショナルリスクに関して網羅的に重要なリスクの把握、分析、評価、対応に努めています。

またリスク選好の枠組みに沿って、リスク選好方針と経営戦略・事業計画との整合性を確認し、リスクアセスメントを担保する観点から、会社戦略目標に係る重要なリスクを総合的に分析し管理するチューリッヒ・インシュアランス・グループの所有するトータル・リスク・プロファイリングRと呼ばれるプログラムを年1回実施しています。また、このプログラムを通して洗い出されたリスクは、四半期ごとにその状況の報告が統合リスク管理委員会および本社になされ、チューリッヒ・インシュアランス・グループ全体で新たなリスクの把握に努めるとともに、リスク低減策を適切に実施する態勢を確立しています。

日本において保険事業を営む者として、チューリッヒ・インシュアランス・グループより求められるリスク管理に加えて、日本の各種法令などに則って事業の健全かつ適正な運営を確保し保険契約者の保護を図るべく、各種のリスクにふさわしい管理態勢の確立・強化に努めています。

毎年作成しているORSA報告書を活用することで、その取組み結果と今後の課題について確認し、経営の意思決定のさらなる高度化とリスク管理態勢の強化に取組んでいます。

リスク管理態勢図_委員会体制 リスク管理態勢図_リスク選好の枠組み

ストレステスト

当社では内外の経済環境・金融市場の変動に加え、リスク選好を踏まえた事業特性を勘案し、当社が保有するリスクに応じたストレスシナリオを作成し、四半期ごとにストレステストを実施しています。その結果は統合リスク管理委員会に報告され、必要に応じて本社との協議に活用されます。これにより将来の不利益が当社の財務の健全性・流動性などに与えるリスクを管理し、安定的に経営ができるように努めています。

各種リスクへの対応

保険引受リスク

保険引受リスクとは、保険料設定時の想定を上回る保険金発生により損失を被るリスクをいいます。保険事故発生頻度、損傷度の分析などを行い、適切な保険料水準の確保に努めています。また、損害保険会社の財務状態に重大な影響を与える可能性のある自然災害については、工学的なモデルによる分析を定期的に行っています。この分析結果をもとに、適切な保有水準となるよう再保険スキームを設定しています。

財務リスク

財務リスクとは、保有する資産を運用する際に生じる資産価値の変動のリスクなどをいい、「市場リスク」、「信用リスク」、「流動性リスク」などがあります。また、資産と負債のミスマッチにより損失を被るリスクも財務リスクに含まれています。

市場リスク

市場リスクとは、市場のリスク要因の変動により、当社が保有する資産の価値が変動するリスクのことをいいます。市場の代表的なリスク要因として、金利の変動、有価証券などの価格の変動、為替の変動などが挙げられます。
当社では、基本方針として安全性と流動性に重点を置いた資産運用を行うとともに、資産と負債の状況をモニタリングするALM(資産・負債の総合管理)を行っています。財務リスクの管理状況を定期的に把握し、必要に応じて適切な対応を実施して、保険会社としての健全な財務基盤の構築に努めています。

信用リスク

信用リスクとは、急激な経済環境の変化などにより信用供与先の財務状況が悪化し、それに伴い当社の資産の価値が減少ないし消失し財務的な損失が生じるリスクのことをいいます。投資先については、リスクの度合いに応じて信用リスクの上限の設定や格付けなどのモニタリングにより適切にこれを管理しています。また、再保険先については、チューリッヒ・インシュアランス・グループの全社的信用リスク管理の枠組みによる信用リスク審査・牽制手続きに従い、これを管理しています。

流動性リスク

流動性リスクとは、巨大災害での資金流出の増加や、風評被害による大量ないし大口解約に伴う解約返戻金支出の増加により資金繰りが悪化し、資金の確保のために著しく不利な価格での取引を余儀なくされるリスクのことをいいます。保険収支予測や資産運用予測などをモニタリングし、流動性危機時の対応手続きを定め、流動性リスクを管理しています。

オペレーショナル
リスク

オペレーショナルリスクには、主に「事務リスク」、「システムリスク」、「風評リスク」などがあり、以下のとおり対応に努めています。また、自然災害や人的災害に備えて、危機管理態勢の整備・強化に取り組んでいます。

事務リスク

事務リスクとは、当社ないし業務委託先などの役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正などを起こすことにより損失が発生するリスクのことをいい、狭義のオペレーショナルリスクにあたります。当社ではこれらの事故を未然に防ぐために、作業マニュアルの策定、定期的な自主検査を行っています。

サイバーリスクを含むシステムリスク

システムリスクとは、コンピュータシステムのダウンまたは誤作動など、システムの不備や不正アクセスなどに伴い損失が生じるリスクのことをいいます。中でもサイバー攻撃やネットを介したデータへの不正アクセスが原因で情報漏洩が発生し、損害を被るリスクをサイバーリスクといいます。当社では、システムおよびサイバーリスク対策の一環として、主要システムの二重化やグループ全体でのシステムのモニタリングの実施、各種の管理規程・マニュアルや従業員への教育などを通じシステムと情報の安全確保に努めています。

風評リスク

風評リスクとは、当社および当社と関わりを持つ会社・関係者に関する否定的な評価や評判が流布されることで当社のブランド価値などが悪化し損害を被るリスクのことをいいます。インターネットなどの各種メディアにおける当社に係る情報をモニタリングするなど、風評リスク対応に取り組んでいます。

事業継続リスク

当社では、地震に代表される自然災害や新型インフルエンザなどの事業継続に多大な影響を与える事態が発生した場合に備え、BCM・BCP(事業継続管理・計画)を策定し、必要な見直しと実効性の強化に努めています。

エマージングリスク

エマージングリスクとは、現在は存在していない、または認識していないが、外部環境の変化などにより新たに出現したり変化したりするリスクのことをいいます。世界規模で経営に大きな影響を与えかねないリスクについては、グループの方針のもと適切に対処しています。また日本支店においても、継続的にエマージングリスクの洗い出しを行い必要に応じて対応策を講じています。

データガバナンス

デジタライゼーションの加速度的な進展に伴い、お客さまへの更なる商品・サービスの提供には、技術革新への対応とあわせ、大量のデータの有効活用が益々重要になると認識しています。同時にこの膨大なデータ・情報を適切に管理し、高いデータ品質を確保する態勢整備が重要であるとの認識のもと、当社ではデータガバナンスへの取組みを進めています。

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