更新日:2022年11月7日
公開日:2018年10月11日
保険の内容を確認するにあたって、「約款」という言葉に触れる機会があるでしょう。「約款」は、保険の契約内容がまとめられている文書です。
約款には、保険の補償範囲や保険会社が責任を追う範囲などが記載されています。保険に加入する際は、約款を確認するようにしましょう。当記事では、約款の見るべきポイントや紛失時の対応方法を説明します。
「約款(やっかん)」は、「多数の相手と契約を結ぶ事業者が、契約内容を文書にしたもの」です。多数の相手と契約を結ぶ場合、1人1人に対応した契約内容を作るのが難しいため、約款というひとつの文書を作成しています。
保険の約款は、保険契約者と保険会社が結ぶ契約の内容を定めたものです。保険料の支払いや告知・通知の義務、保険会社が保険金を支払う条件などが説明されており、契約書と同じ効力を持ちます。
約款は保険会社が作成し、金融庁が内容を審査します。金融庁が審査を行うのは、約款の内容が保険契約者にとって不利な規定になっていないことを確認するためです。
金融庁は、「約款の記載内容が契約者にとって理解できる内容になっているか」「必要な情報を記載できているか」などを確認します。金融庁の認可を取ったうえで、保険会社から契約者に約款を交付します。
約款が保険契約者にとって一方的に不利な内容であった場合、その契約内容は無効となります。保険法の「片面的(へんめんてき)強行規定」によって定められているためです。
保険法は、保険契約に関するルールを決めた法律です。「片面的強行規定」は保険契約者を保護する目的で定められています。
約款には、保険契約に関する重要な説明が記載されています。ここでは、約款で確認すべき6つのポイントを説明します。
約款では、保険会社から保険金が支払われるケース、支払われないケースについて説明されています。事故によって車が損傷したとしても、保険金が支払われるとは限りません。チューリッヒの場合、以下のようなケースでは保険金が支払われません。
保険に加入する前に、約款で保険金が支払われるケース・支払われないケースを確認しておきましょう。
保険に加入する際に、保険の補償範囲を把握しておきましょう。
約款では、保険金が支払われる補償の範囲が説明されています。事故にあったり病気にかかったりしたとき、その事故や病気が保険の補償範囲外であれば、保険金は支払われません。
約款で説明されている補償範囲は事故の内容だけでなく、「補償を受けられる対象の人」に関するものもあります。たとえば記名被保険者だけでなく、記名被保険者の配偶者やその親族が補償の範囲に含まれることがあります。
補償範囲は、国などの地域や時期が定められている場合もあります。がん保険の場合、契約日から責任開始日(補償が受けられる日)まで数ヵ月の免責期間が設定されているケースが多くあります。「免責期間」は、保険金の支払事由に該当したとしても補償されない期間のことです。
事故にあったり、事故を起こして損害賠償請求を受けたりしたとき、保険会社から補償を受けられるか相談することになるでしょう。約款では、以下のように保険会社が援助・解決してくれる責任範囲が記載されています。
保険会社が保険金の支払責任を追う範囲であったとしても、「契約者が保険会社とのやり取りに応じない」「保険会社の調査に協力しない」といった場合は、契約者の援助ができません。
約款には、保険金の計算方法や支払時期が記載されています。
チューリッヒの場合、保険の種類によって保険金の計算方法が異なります。それぞれの保険金の計算方法は以下の通りです。
保険の種類 | 保険金の計算方法 |
---|---|
対人賠償保険 | 損害賠償責任の金額 + 手続きや訴訟に要した費用 − 自賠責保険などによって支払われる金額 |
対物賠償保険 | 損害賠償責任の金額 + 手続きや訴訟に要した費用 − 損害賠償金の支払いによって何かを取得した際の価格 |
人身傷害保険条項 | 損害額 + 事故の拡大防止などに要した費用 |
車両保険 | 損害額 − 免責金額 |
チューリッヒでは、保険金の支払時期は、請求完了日からその日を含めて30日以内と決まっています。保険に加入する際に、保険金の計算方法や支払時期を確認しておきましょう。
契約者や記名被保険者は、「保険会社に正確な情報を告知・通知する義務がある」と約款で定められています。保険を契約する際、保険会社に対して故意に事実と異なる情報を伝えた場合は、保険会社から契約を解除できます。
保険加入時に保険会社に告知した後、自動車の用途車種や登録番号などの情報が変更になることもあるでしょう。告知後に情報が変更となった場合は、変更した内容を保険会社に通知しなければなりません。
保険の加入目的や利用方法が適切でなかった場合、契約が無効・解除となるケースがあります。チューリッヒの場合、以下のようなケースにおいて保険契約の無効・解除となる旨を約款で定義しています。
<保険契約が無効となるケース>
<保険契約が解除となるケース>
保険約款を確認したいと思ったものの、約款が見あたらない場合もあるかもしれません。保険約款をなくしたときは、保険会社に再発行を依頼できます。また、多くの保険会社では公式ウェブサイトに約款の内容を記載していたり、電子化された約款を公開していたりします。
公式ウェブサイトで確認すれば、いつでも約款を参照できます。「約款 商品名」などで検索し、ご自身が契約している保険の約款を探しましょう。
保険約款は、保険契約者と保険会社が結ぶ契約内容が記載されている文書です。保険金を支払うケースや支払わないケース、保険金の計算方法などが説明されています。
保険約款は、契約書と同じ効力を持つ重要な文書です。保険に加入する前に保険約款を確認し、補償内容を把握するようにしましょう。
約款のデジタル化により、保険加入後に見返すことは少ないかも知れません。しかし約款には今回説明したような、重要な情報が書かれているので、更新や満期の案内などの際には、腰を据えて一読しておくことをおすすめします。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
保険会社のウェブサイトを検索してみてください。見つからなかった場合は、保険代理店や保険会社に確認しましょう。
保険会社や代理店に問合わせてください。
※本記事の内容は特段の記載がない限り、チューリッヒの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明です。
※チューリッヒの自動車保険に関する内容について
本記事内で紹介しているチューリッヒの自動車保険に関する内容につきましては、ご契約の保険始期および契約条件によって、ご契約のお客さまに適用されない場合がございます。
必ずお客さまの保険証券、約款、重要事項説明書の記載などをご確認ください。
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