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売買契約書とは。記載内容と不動産購入時に確認したい項目

公開日:2026年10月14日

売買契約書とは。記載内容と不動産購入時に確認したい項目

売買契約書とは、売主と買主の間で売買取引を行う際に取り決めた内容を記載する書類です。不動産売買においては、両者の合意内容を明確にするために不動産売買契約書を交わします。

不動産売買契約書は、不動産売買契約を行う際に交付されます。住宅ローンを利用する場合は、事前審査に通過したあと、契約を行う流れが一般的です。売買契約時には、「記載されている物件情報に誤りがないか」「契約条件に無理がないか」を確認することが大切です。

火災保険の見積りや契約手続きで提出を求められる場合もあるため、記載内容を確認し、必要に応じてすぐに用意できるようにしておきましょう。不動産売買契約書の主な記載内容や契約時に確認したい項目についてご説明します。不動産売買契約書の内容を理解したうえで各種手続きを進めたい方は、参考にしてください。

ポイント

  • 不動産売買契約書には、土地や建物の情報、所有権移転・引き渡し日などが記載されています。
  • 不動産売買契約書は、住宅ローンの契約や火災保険の契約の際に必要になることがあります。
  • 不動産売買契約書を紛失したときは、コピーや再発行が可能か不動産会社に相談しましょう。

目次

売買契約書とは

売買契約書とは

売買契約書とは、売主と買主の間で売買取引を行う際に作成する書類の一種です。民法上、契約は口頭による合意のみで成立するため、売買契約書の作成は必須ではありません。

しかし、口頭のみの約束ではトラブルが発生した際に、責任の所在を明確にできません。売買契約書は、取引条件を文書として残すことで責任を明確にし、トラブルを防ぐことを目的として作成されます。

主な売買契約書の種類

「売買契約書」は、売買取引に関する契約書全般を指す言葉で、取引内容や業種によってさまざまな種類が存在します。代表的な例は以下のとおりです。

継続的商品取引基本契約書 同じ相手と継続的に商品を取引するときの契約書。
取引のたびに契約書類を作成することを省略する。
自動車売買契約書 自動車の売買を行うときの契約書。
車検証をもとに車両の情報が記載されている。
動産売買契約書 不動産以外の財産(動産)の取引を行うときの契約書。
製造番号など、商品を特定する情報が記載されている。
不動産売買契約書 土地や建物などの不動産取引を行うときの契約書。

不動産売買契約書とは

不動産売買契約書とは、土地や建物などの不動産の売買にあたって、売主と買主の間で交わす契約書のことです。宅地建物取引業法(宅建法)という法律により、宅地建物取引業者が自ら売主となるときや仲介を行うときは、契約締結後、遅延なく不動産売買契約書(契約内容を記載した書面)を交付しなければなりません。

不動産売買契約書は、建売住宅や新築マンション、中古住宅や中古マンションといった建物の売買契約時に交わされる書面です。土地の購入後に注文住宅を建てる場合、土地の契約書として「売買契約書」、建物の契約書として「工事請負契約書」を交わすことが一般的です。

不動産売買契約書と重要事項説明書の違い

重要事項説明書は、物件の権利関係や法令上の制限、取引条件などについて記載されており、契約前に内容を理解するための書類です。宅地建物取引士が書面を交付し、買主に説明します。なお、ここでいう重要事項説明書は、火災保険契約の重要事項説明書(火災保険・地震保険の補償範囲やお支払いする保険金の額などが記載されている書面)ではありません。

一方、不動産売買契約書は、双方が合意した取引内容を明文化し、法的な約束を交わすための書類です。契約書には、売買代金や引き渡し日などが記載されています。

宅地建物取引業法の規定により、重要事項説明は売買契約締結前に行うことが義務付けられています。同日に行われることが多いですが、順番としては重要事項説明を行ったのちに契約締結となります。

土地や建物の所在地、面積や構造といった情報は、どちらの書類にも記載されています。書類の役割が異なるため、どちらか一方だけでなく両方保管しておきましょう。

不動産売買契約書の必要性

不動産売買契約書を交わす目的は、売主と買主間のトラブルを防ぐことです。

土地や建物の取引は、数百万円や数千万円を超える規模に及ぶことが多く、認識の違いがトラブルにつながる可能性が考えられます。契約内容を文書として残すことで、万が一トラブルが生じた場合でも、責任の所在を確認することが可能です。

また、不動産売買契約書は、住宅ローンの手続きや火災保険の契約時にも必要書類として求められることがあります。

住宅ローン契約時に火災保険は必要?自分で選ぶ際のポイント

不動産売買契約書を受け取るタイミング

ここでは、マイホーム購入時の一般的な流れとあわせて、不動産売買契約書を受け取るタイミングをご説明します。主な流れは以下のとおりです。

  • 物件探し
  • 物件の購入申込み
  • 住宅ローンの事前審査
  • 不動産売買契約(不動産売買契約書の受け取り)
  • 住宅ローンの本審査
  • 審査通過後、住宅ローン契約(金消契約)
  • 融資実行・引き渡し

不動産売買契約書は、不動産売買契約を行う際に交付されます。住宅ローンを利用する場合は、事前審査に通過したあとに契約を行います。契約時には、手付金や印紙代などの費用を支払うのが一般的です。

不動産売買契約の当日、売主や不動産会社とともに不動産売買契約書の内容を確認しますが、不動産売買契約書には多くの項目が記載されているため、短時間ですべてを理解するのは難しいこともあるでしょう。

そのため、契約前に不動産売買契約書のコピーを受け取り、内容を確認しておくと安心です。コピーの発行可否は不動産会社によって異なるため、あらかじめ問合わせておくとよいでしょう。

不動産売買契約書の主な記載内容と確認したいポイント

不動産売買契約書には、取引に関する重要な条件が記載されています。ここでは、売主と取引を行う買主の視点で、確認しておきたい主な項目をご説明します。

不動産売買契約書を確認する際は、記載内容を把握するだけでなく、「購入する不動産の情報に誤りがないか」「自身にとって無理のない条件か」などをチェックすることが重要です。

売買される土地・建物の情報

不動産売買契約書には、売買の対象となる土地や建物の所在地、面積や構造などが記載されています。自分が購入する土地または建物の情報に、誤りがないかを確認しましょう。

不動産売買契約書に記載される土地や建物の所在地は、土地は「地番」、建物は「家屋番号」で特定され、日常生活で使用する住所(住居表示)とは異なります。地番とは、土地を特定するために一筆ごとに付けられる番号で、家屋番号は建物ごとに付けられる番号です。不動産取引の書類では、これらが記載されることが一般的です。

売買代金・手付金・支払日

不動産売買契約書には、土地や建物の売買代金に加え、支払いの内訳や支払時期が記載されています。主な項目は以下のとおりです。

手付金 売買契約時に、買主が売主に対し、購入金額の一部として支払う代金
中間金 物件の引き渡し前の中間時期に支払う代金
残代金 売買代金から手付金や中間金を差し引いた金額

これらの金額が正しいかを確認し、中間金や残代金の支払日も併せてチェックしておくことが重要です。

所有権移転・引き渡し日

不動産売買契約書には、所有権の移転、引き渡しの年月日が記載されています。所有権移転日をもって、土地や建物が売主から買主である自分のものになります。引き渡し日は物件の鍵や書類などが受け渡される日で、住宅ローンの融資日でもあるため、日付が正しいかを確認しましょう。

所有権移転や引き渡し日以降は、責任の所在が自分になります。火災保険の始期日は物件の引き渡し日に設定することが一般的です。

公租公課(税金)の分担日

公租公課とは税金のことで、不動産売買契約書では固定資産税や都市計画税が該当します。
公租公課を負担するのは、通常その年の1月1日時点の不動産所有者です。年の途中で売買する場合も、その年の1月1日時点の不動産所有者に1年分の納税通知が届きます。

そのため、不動産を売買する場合は引き渡し日を基準として、税金を売主と買主で分担して負担することが一般的です。公租公課(税金)の分担日には、売主・買主それぞれが所有する期間の境目となる基準日を記入します。

手付解除の期限日

手付解除とは、買主は交付した手付を放棄し、売主は受領した手付の倍額を買主に支払うことによって契約を解除できるしくみのことです。なんらかの理由によって取引をやめる場合、期限日までであれば契約を解除できます。

手付解除ができる期限日も、不動産売買契約書に記載されています。不動産売買契約条項には、「買主に手付金を倍額払う」「売主に支払った手付金を放棄する」など、手付に関する規定が記載されています。
なお、この期限日を過ぎてから契約を解除する場合、手付解除ではなく契約違反による解除として扱われ、契約内容によっては違約金が発生する点に注意しましょう。

契約違反時による解除・違約金

不動産売買契約書には、契約違反時の解除や違約金に関する説明が記載されています。契約違反による契約解除には、以下のような例があります。

  • 売主側の問題の例
    • 物件の引き渡しが間に合わない
    • 引き渡し日を過ぎても鍵を渡さない
    • 約束した状態で物件を引き渡せない(契約条件と異なる物件状態など)
  • 買主側の問題の例
    • 代金を支払わない

これらの契約違反はいわゆる債務不履行にあたり、内容に応じて以下のいずれかに分類されます。

  • 履行遅滞(間に合わない)
  • 履行不能(物件の引き渡しが不可能)
  • 不完全履行(債務の履行は行われてはいるが内容が不充分)

このような契約違反によって、「売買代金の何%に相当する額を支払わなければならないのか」といったことが記載されています。

買主側としては、「居住予定である住宅に生じた損害の責任は売主・買主のどちらにあるのか」「どのような場合に契約解除が可能なのか」といった観点で不動産売買契約書を確認するとよいでしょう。

クーリング・オフ

不動産会社からの説明を受けて契約をしたものの、なんらかの事情によりキャンセルをしたいと考えることがあるかもしれません。そのような場合、条件によってはクーリング・オフで契約を解除できることがあります。

クーリング・オフとは、一定の条件を満たす場合、買主が一方的かつ無条件に売買契約を解除でき、支払った手付金なども全額返還される制度です。クーリング・オフが適用されるのは、売主が宅地建物取引業者であり、かつ買主が一般消費者であるときです。業者が仲介を行っている場合でも、売主が個人のときは適用されません。

ホテルや喫茶店、テント張りの案内所など、不動産会社の事務所以外の場所で申込みや契約を行ったことも条件のひとつです。買主が自ら自宅や勤務先を指定した場合は適用外となります。

契約解除をする場合は、宅建業者からクーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日以内に行う必要があります。売主が宅建業者で、かつ事務所以外の場所で契約する場合は、不動産売買契約書にクーリング・オフに関する記載があるかを確認しましょう。

引き渡し前の物件の損傷

火災や自然災害が発生した場合、買主に引き渡される前に建物がなくなる(滅失)、または一部が壊れたり使用できなくなったりするといったことが考えられます。自然災害などで滅失・損傷した場合、売主・買主のどちらが損失を負担すべきか、判断が難しいこともあるでしょう。

このような「誰が損害を負担するのか」という問題を「危険負担」といいます。自然災害などで物件が滅失・損傷した場合は、売主・買主双方が売買契約を解除できるよう特約が設けられているのが一般的です。不動産売買契約書では、双方が納得できる契約内容になっているかを確認しましょう。

反社会的勢力に関する条項

不動産売買契約書には、反社会的勢力ではないことの確認や、もし反社会的勢力だった場合に発生する制裁金の金額などが書かれています。自分自身が反社会的勢力ではないことの他、名義を利用しないこと、物件を反社会的勢力の活動拠点にしないことが前提です。

この条項は、反社会的勢力の排除を目的として定められています。買主・売主の双方が、反社会的勢力でないことを互いに表明する内容となっています。

融資利用時の売買契約・融資利用の特約

融資を受けて不動産を購入する場合、不動産売買契約書には、融資の申込先や融資額、融資が受けられなかったときの契約解除(融資利用の特約・ローン特約)について記載されています。

たとえば、状況によっては住宅ローン審査に通過できないことも考えられるでしょう。不動産売買契約書には、融資が承認されなかったときに契約を解除できる旨が記載されていることがあります。
契約解除の条件や期限を確認し、万が一ローンの審査に通過できなかった場合は、期限までに契約解除を申し出るようにしましょう。

あわせて、住宅ローンの本審査に通らなかった際、無条件で解約できる期限がいつまでか、また支払い済みの手付金が全額返還されるようになっているかを必ず確認してください。期限を過ぎてしまうと手付金を放棄することになったり、違約金の支払いが必要になったりする場合があるため、解除のルールを正確に把握しておくことが大切です。

契約不適合責任

契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)とは、引き渡されたものが契約の内容に適合していない場合、売主側が負う責任を指します。引き渡された物件と契約時に説明された内容が異なる場合、買主は売主に次のことを求める権利があります。

  • 履行の追完請求:契約どおりの状態にしてもらう(例:設備が故障していた場合、交換・修理してもらう)
  • 代金減額請求:不適合の内容に応じて、契約金額を減額してもらう
  • 損害賠償:損害が起きたときにその金銭を補償してもらう(例:建物の損害で引越しが遅れた場合に、それまでの仮住まいの家賃を請求する)
  • 契約解除:住めない場合は契約解除して代金を返還してもらう など

不動産売買契約書には、買主から売主に対して契約内容との不適合を通知し、協議の申し入れができる期間が記載されています。契約書の「買主から売主に対する契約不適合責任の通知期間」欄が該当します。

原則として、この期間を過ぎると、買主は売主に対して請求や損害賠償、契約解除ができません。民法上では、買主が契約不適合を知ってから1年以内に、売主に通知しなければならない点に注意しましょう。

物件状況等報告書

物件状況等報告書とは、取引する物件がどのような状態であるかを売主から買主に対して説明する書類です。中古物件の場合、物件状況等報告書の内容を確認しておく必要があります。

記載される主な項目は以下のとおりです。

  • 雨漏り
  • シロアリの害
  • 腐食
  • 給排水管の故障
  • 建物の傾き
  • 増改築
  • 火災などの被害 など

過去を含めた被害の有無や、「いつ、どこでどのような被害が起きたのか」「その被害は修復されているのか」を確認しましょう。

付帯設備表

付帯設備表とは、取引する物件の設備を説明する書類のことです。「物件状況等報告書」同様、中古物件の場合は内容を確認しておきましょう。

主な項目としては以下のようなものがあり、設備の有無と、故障・不具合の有無を確認できます。

  • 給湯設備
  • キッチン
  • 浴室
  • 洗面
  • 冷暖房の空調
  • 照明
  • 収納
  • 建具 など

付帯設備表があることで、「『有』と記載があったのに存在しない」「故障『無』と書いてあったのに壊れている」といったトラブルの回避につながります。

不動産売買契約書の印紙税について

不動産売買契約書を書面で交付する場合は、原則として印紙税の納付のために収入印紙が必要となります。なお、契約金額が1万円未満の場合や電子契約の場合は、収入印紙は不要です。

印紙代は契約金額によって異なり、契約金額が高額になるほど高くなります。たとえば、契約金額1,000万円超〜5,000万円以下の場合の印紙税額(軽減税率適用時)は1万円です。
※参照:国税庁『印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』
※2026年6月執筆時点

売主と買主のどちらが印紙代を負担するかに明確な決まりはありませんが、原本を2通作成し、お互いに1通分ずつの印紙代を負担することが一般的です。

不動産売買契約書を紛失したときの対処法

不動産売買契約書を紛失したり、相続した家や古い家であるために不動産売買契約書が残っていなかったりすることがあるかもしれません。その場合は、以下のいずれかの方法で対処しましょう。

不動産売買契約書のコピーを提供してもらう

各種手続きに不動産売買契約書を使う場合、原本の提示ではなく、コピーの提出で手続き可能なケースがあります。

まずは自分が行う手続きで、コピーの提出による申請が可能か確認しましょう。申請が可能であれば、契約当時の不動産会社にコピーの提供を依頼します。
不動産会社によっては、不動産売買契約書の写しの請求窓口が用意されている場合があります。専用窓口がない場合でも、コピーを提供してもらえることがあるため、まずは問合わせてみましょう。

コピーを提供してもらう際、不動産会社によっては1,000〜2,000円程度の手数料がかかる場合があります。また、請求してから書類が届くまでは、ある程度の日数を見込んでおきましょう。

各種手続きを代替書類で対応する

相続した古い家などの場合は、当時の不動産会社に問合わせできないことも考えられます。その場合は、手続きを進められる代替書類を確認して用意しましょう。

不動産売買契約書を求められる手続きの種類によっては、他の書類で代替可能な場合があります。また、新しい住宅であっても、不動産会社がコピーに対応していない場合や、急ぎの手続きで書類の取り寄せが間に合わない場合などは、代替書類による対応が選択肢になります。

火災保険契約で提出可能な書類は「火災保険・地震保険の見積りや契約に必要になることがある書類」を参照してください。

不動産売買契約書を再発行してもらう

コピーや代替書類による対応ができない場合は、不動産売買契約書の再発行を検討しましょう。契約書を再発行することに、法的な問題は原則としてありません。

新築などで、不動産会社やデベロッパーなどから物件を購入した場合は、業者に連絡をし、再発行できるかを確認しましょう。
中古住宅などで売主が個人の場合は、仲介業者として不動産会社が入っていることが多いため、まずは不動産会社に連絡してください。
不動産会社と売主双方に再発行を希望する旨を伝え、署名・捺印に応じてもらえれば再発行できる可能性があります。

再発行の方法によっては、あらためて収入印紙が必要になる場合があります。また、売主には再発行に応じる法的義務がなく、対応してもらえない場合もあります。

不動産売買契約書が必要になるシーンや手続き

不動産売買契約書は不動産契約を結ぶときだけではなく、マイホーム購入後もさまざまな手続きで必要になる場合があります。
不動産売買契約書を使う主なシーンや手続きには、以下のようなものがあります。

  • 住宅ローンの本申込み・本審査
  • 火災保険・地震保険の見積りや加入手続き
  • 住宅ローン控除を受けるための確定申告
  • 不動産取得税の軽減措置の申請
  • 将来の不動産売却時における税金(譲渡所得税)の計算

不動産の契約をしたあと数年から数十年後に不動産売買契約書が必要となるケースもあるため、不動産を手放すまで重要書類として大切に保管しておきましょう。

不動産売買契約書は新築時の建物価格の確認に利用できる

火災保険において「不動産売買契約書」は、新築時の建物価格を確認できる書類です。新築時の建物価格と建築年月をもとに建物評価額の計算を行い、必要な建物の保険金額の算出ができます。

火災保険では、保険金額(契約で定めた、保険金支払いの上限となる金額)は、再調達価額(同等の建物を建て直す・購入する金額)に基づいて算出された建物評価額と同額に設定することが基本です。そのため、火災保険の契約時に不動産売買契約書の提出が求められることがあります。

なお、火災保険の見積り・契約時に建物価格の確認で用いるのは、新築時の不動産売買契約書である点に注意が必要です。

中古住宅・中古マンション購入時の不動産売買契約書に記載されている金額は、築年数が経った時点での価格であり、新築時の価格ではありません。中古住宅などを購入した場合は、建物の面積や構造などの情報をもとに、各保険会社で定めた基準に沿って再調達価額を算出できます。

火災保険の保険金額の決め方。再調達価額と時価額の違い

建物価格と土地代の内訳の確認方法

火災保険の保険金額を決める基準となるのは建物価格のみであり、土地代は含まれません。不動産売買契約書に、建物代金と土地代の内訳が記載されている場合は、建物価格のみを使用します。

しかし、建売住宅やマンションなどでは、土地代と建物価格を合わせた売買代金総額しか記載されていないことがあります。その場合、消費税額が記載されていれば、消費税額から建物価格の逆算が可能です。土地は非課税であり、消費税がかかるのは建物部分のみであることを活用して計算する方法です。

消費税額から建物価格を求める計算式は以下のとおりです。
 総額の消費税額÷消費税率=建物の税抜価格
 建物の税抜価格+消費税額=建物の税込価格(=建物の新築時購入価格)

(一戸建ての例)
 建物および土地などの取得価額の合計額が30,000,000円
 消費税額(10%)が1,500,000円の場合

 建物の税抜価格:1,500,000円÷10%=15,000,000円
 建物の税込価格:15,000,000円+1,500,000円=16,500,000円

 16,500,000円を建物の新築時購入価格として見積りを行います。

なお、マンションなどの共同住宅では、購入価格に共用部分の価格が含まれていますが、火災保険の補償対象となるのは専有部分のみです。そのため、建物の新築時購入価格に一定の割合をかけて「専有部分の価格」を算出するのが一般的です。

(マンションなど共同住宅の例)
 マンションの取得価額の合計額が30,000,000円
 消費税額(10%)が1,500,000円の場合

 建物の税抜価格:1,500,000円÷0.1=15,000,000円
 建物の税込価格(共用部分含む):15,000,000円+1,500,000円=16,500,000円
 建物の税込価格(専有部分のみ):16,500,000円×40%(※)=6,600,000円

 6,600,000円を建物(専有部分のみ)の新築時購入価格として見積りを行います。

※専有部分の割合を乗じます。専有部分の割合は、30〜50%程度が一般的です。

一方、個人間売買の中古住宅など、売主が事業者に該当しない個人である場合は消費税が課税されないため、不動産売買契約書に消費税額が記載されていないことがあります。建物のみの価格が不明な場合は、建物の所在地や構造、延床面積などの情報をもとに、建物の新価(評価額)を算出して保険金額を設定することが可能です。

不動産売買契約書の受け取り後、火災保険に申し込むタイミング

住宅ローンを利用してマイホームを購入し、引き渡しを受けるまでのおおまかな流れは以下のとおりです。

  • 物件探し
  • 物件の購入申込み
  • 住宅ローンの事前審査
  • 不動産売買契約(不動産売買契約書の受け取り)
  • 住宅ローンの本審査
  • 火災保険の申込み
  • (審査通過後)住宅ローン契約
  • 融資実行・引き渡し

火災保険は、物件の引き渡し日から補償が開始されるように契約するのが一般的です。正式な申込みを行う時期は、不動産売買契約後から住宅ローン契約までの間が目安です。

不動産売買契約書は契約当日に受け取れるため、住宅ローン契約の期日に間に合うよう、余裕を持って火災保険の手続きを進めましょう。売買契約から引き渡しまでの期間が短い場合、「複数の保険会社で相見積りを取る」「補償内容をじっくり考える」などを売買契約後から始めると、検討する時間が足りない可能性があるため、注意してください。

火災保険の検討は、物件の購入申込み後など、早い段階から始めておくとよいでしょう。保険料の見積りに必要な建物価格や構造、面積などの情報は、不動産会社に相談すれば契約前でも資料を提示してもらえる場合があります。

事前に保険会社や補償内容の目星を付けておき、不動産売買契約書を受け取ったら、速やかに申し込めるように準備をしておくのがおすすめです。

火災保険・地震保険の見積りや契約に必要になることがある書類

ここでは、チューリッヒのネット火災保険を例に、火災保険や地震保険の契約時に必要になることがある書類をご説明します。

  • 建物情報
    • 全部事項証明書
    • 登記簿謄本
    • 確認済証または確認通知書
    • 検査済証
    • 宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書 など
  • 新築時の建物価格
    • 不動産売買契約書(建売住宅)
    • 工事請負契約書(家を建てたとき) など
  • 耐火性能
    • 建築確認申請書
    • 設計仕様書 など
  • 地震保険の割引適用
    • 設計住宅性能評価書
    • 建設住宅性能評価書
    • 竣工現場検査に関する通知書・適合証明書(フラット35)
    • 旧・竣工現場検査に関する通知書・適合証明書(フラット35)
    • 長期優良住宅建築等計画に係る技術的審査適合証
    • 長期使用構造等である旨の確認書
    • 認定通知書 など

火災保険の契約時に建物価格の確認で用いるのは、新築住宅・新築マンションの不動産売買契約書である点に注意が必要です。また、すでに火災保険や地震保険を契約している場合、契約中の火災保険・地震保険の保険証券を見ることで建物に関する情報を把握できることがあるため、こちらも確認するとよいでしょう。

原則として、各項目につき提出する書類はいずれかひとつであるため、ここにある書類のすべてを提出する必要はありません。たとえば新築時の建物価格の場合は、不動産売買契約書または工事請負契約書のどちらかひとつを提出します。

なお、不動産売買契約書は建物価格だけでなく、所在地などを確認する目的で求められる場合もあります。不動産売買契約書も含め、全部事項証明書などの所在地は、原則として地番で記載されています。火災保険の申込みの際、地番と住所(住居表示)のどちらを入力するかは、保険会社の案内に従いましょう。

書類の提出方法

ここでは、チューリッヒのネット火災保険を例に提出方法をご説明します。書類は以下のいずれかの方法で提出します。

  • スマートフォンのカメラなどで撮影し、画像をアップロード
  • スキャナーでスキャンしてPDFファイルを作成し、アップロード
不動産売買契約書

不動産売買契約書の場合は、提出する前に以下を確認しましょう。

  • 保険対象の所在地が記載されている
  • 売買代金のうち建物価格(新築時の建物価格(消費税を含む))が記載されている
  • 売主と買主の記名・捺印がある

不動産売買契約書が複数ページにわたる場合は、必要事項が記載されているすべてのページをアップロードしてください。書類によってどの部分を確認するかは異なりますが、画像の文字が鮮明に見えるように映す必要があります。

書類の提出方法は?撮影のポイントは?(建物の新築時価格を確認できる書類)

不動産売買契約書は火災保険加入時の「新価」を知るための書類

不動産売買契約書は、住宅ローンや火災保険の申込みの際に必要となることが多い書類です。なくしたときは再発行できる場合もありますが、自宅に関する重要な情報が書かれているため慎重に保管しましょう。

不動産売買契約書は、火災保険の見積りをする際、住宅の情報を確認するために利用できます。売買契約時の価格を確認したうえで、火災保険の保険金額を検討するとよいでしょう。

チューリッヒのネット火災保険では、建物の種類「一戸建て・マンション」、都道府県、面積の3つの情報で、簡単に保険料の見積りが可能です。保険料を把握したい方は、見積りを確認してみましょう。

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金子 賢司
金子 賢司

不動産売買契約書は高額な取引における重要書類です。記載内容に誤りがないかを確認するとともに、火災保険の見積りや住宅ローン控除の手続きにも必要となる場合があるため、契約後は大切に保管しておきましょう。

売買契約書に関するよくあるご質問

Q不動産売買契約書にはどのようなことが記載されていますか?
A

不動産売買契約書には、以下の内容が記載されています。

  • 売買される土地・建物の情報
  • 売買代金・手付金・支払日
  • 所有権移転・引き渡し日
  • 公租公課(税金)の分担日
  • 手付解除の期限日
  • 契約違反時による解除・違約金
  • 引き渡し前の物件の損傷
  • 反社会的勢力に関する条項
  • 融資利用時の売買契約・融資利用の特約
  • 契約不適合責任
  • 物件状況等報告書
  • 付帯設備表

詳細は「不動産売買契約書の主な記載内容と確認したいポイント」を参照してください。

Q不動産売買契約書をなくした場合の対処法を教えてください。
A

まずは不動産を購入した不動産会社に連絡を入れ、紛失した旨を伝えましょう。不動産会社から直接不動産を購入した場合は、売買契約書のコピーや再発行をしてもらえることがあります。


不動産会社が仲介業者となっている場合は、売主と不動産会社の双方から署名と捺印をもらうことで、再発行してもらえる可能性があります。また、コピーの提供のみで対応できる場合もあるため、不動産会社に問合わせましょう。

Q不動産売買契約書の印紙代が不要なケースを教えてください。
A

以下いずれかに該当する場合は、不動産売買契約書の印紙代が不要です。

  • 不動産の契約金額が1万円未満の場合
  • 電子契約の場合

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