公開日:2026年9月3日
マンションなどの共同住宅で起こりうるトラブルのひとつに水漏れがあります。もし自宅の家電や給排水管などが故障し、下の階の住人に迷惑をかけてしまったときは、すぐに水道の元栓を閉め、水が漏れない状態にしたうえで状況説明・謝罪を行いましょう。
マンションの場合、「専有部分」と「共用部分」があり、どの部分からの水漏れかによって責任の所在が異なることがポイントです。下の階に水漏れを起こしたときの対処法と、利用できる保険をご説明します。
なお、上の階からの水漏れで自宅が被害を受けた場合は、火災保険の基本補償で保険金が受け取れる可能性があります。万が一の事態に備えたい方は、チューリッヒの水漏れ補償もご検討ください。
階下への被害の有無に関わらず、自宅で水漏れが起こったときは以下のことを行いましょう。
水漏れに気づいて最初に行うのは、水を止めることです。水を止める一般的な方法として、「止水栓を閉める」と「元栓を閉める」があります。止水栓は、キッチン・洗面台・トイレ・洗濯機など、それぞれの設備に設けられており、原因箇所が特定できているときはその部分の止水栓を閉めましょう。
元栓は玄関横のパイプスペースや共用廊下のメーターボックス内にあることが多く、住戸全体の水を止められます。原因がわからない場合や勢いよく水が漏れている場合は、最初に元栓を閉めましょう。水を止めることで被害の拡大と下の階への浸水を食い止められる可能性があります。
水を止めたら、床にたまった水をできる限り早く拭き取りましょう。水分を放置すると床材の腐食や階下への浸水が進行するため、迅速な対応が必要です。タオル・雑巾・モップなどを使い、家具の下や壁際に流れ込んだ水も忘れずに拭き取ります。カーペットや畳が濡れている場合は、可能であれば取り外して乾燥させましょう。
水気を残さないことが、カビや腐食といった二次被害の防止につながります。
水を拭き取りながら、水漏れの原因がどこにあるのかを確認します。以下のポイントを参考に、水漏れの原因を確認してみましょう。
不明な場合はキッチンや洗面台のシンク下、洗濯機の給排水ホース、トイレのタンク周りといった水を使う設備を中心にチェックしてください。天井から水が落ちてきている場合は、自室ではなく上の階や共用部分が原因の可能性もあります。
水漏れの原因が判明したら、画像や動画で撮影して記録しておきましょう。保険金の請求や下の階の住人との補償交渉の際に重要な証拠となる場合があります。
漏れた水の量・床や壁、家具や家電への被害状況も複数の角度から撮影するとよいでしょう。修理を始めると現場の状況が変わってしまうため、修理に着手する前に撮影しましょう。
原因が特定できれば、自分で対処するか業者に依頼するかの判断ができます。
洗濯機のホースが外れている、蛇口を閉め忘れたといった軽度なケースは、自分で対処できる場合もあるでしょう。一方で、配管の破損や壁の内部など見えない場所で生じた不具合や、原因が特定できないケースでは、無理に自分で修理をすることは控えましょう。
マンションの場合は管理会社または管理人へ連絡しましょう。すぐに水道業者などを呼ばず、まずは管理会社に連絡することが大切です。
最初に管理会社に連絡をしておくことで、下の階の住人への対応もしやすくなります。自分で水道業者などを手配するのではなく、管理会社から紹介された業者か、管理会社の指示に従って手配した業者に依頼します。
電気設備が濡れた場合、漏電のリスクがあるため管理会社や電気会社などにも伝えましょう。
水漏れの発生日時、原因、被害状況を整理し、加入している火災保険の会社へ状況を報告しましょう。
自宅の床や家財の被害は、火災保険の「水濡れ補償」などで補償される場合があります。一方で、自分の部屋の水漏れで下の階に被害を与えたときは、火災保険の基本補償では相手への補償はできません。その場合は、「個人賠償責任保険」で補償できる可能性があります。
個人賠償責任保険の詳細は、「下の階の損害を「個人賠償責任保険」で補償できる場合がある」でご説明します。
下の階の住人に迷惑をかけたときは、以下の流れで謝罪・対応をしましょう。
まずは、元栓などを閉めるといった応急処置をして水漏れが起こらないようにします。すでに下の階に水漏れ被害が発生している場合は、下の階の住人に現状の説明と謝罪を行いましょう。
その後、お詫びの品を持参し、翌日か翌々日には謝罪に行きましょう。その際、一人暮らし以外の方であれば、夫婦揃って、または世帯主と一緒に謝罪に行くと誠意が伝わりやすいです。
自宅の修理を行う日時に加え、個人賠償責任保険などに加入している場合は保険会社へ連絡をしている旨も伝えましょう。
なお、下の階の住人に謝罪をする際、示談金のような名目での「現金(お詫び金)」をその場で安易に手渡したり、示談について当事者同士で話を進めたりしないようにしましょう。保険会社の確認・了承を得ることなく補償の話を進めたり、示談をしたりすると、保険会社との間でトラブルになる可能性があります。まずは保険会社に連絡し、今後の対応に関する連絡を待ちましょう。
下の階の住人への補償について話し合う際は、当事者同士だけで進めるのではなく、管理会社を介しましょう。住人同士のみで補償交渉を行うと、感情的になり話が進まないなど、新たなトラブルに発展するかもしれません。
住人同士のみで補償額などを約束してしまうと、後から保険を使って対応しようとしたときに、補償額の全額を保険金として支払われないことがあります。また、補償の内容や金額は口頭のみで終わらせず、書面やメールなど、記録に残すことも重要です。
修理費用を誰が補償するかは、マンションの場合、水漏れが発生した場所・原因によって異なります。大きく分けて、「上の階の住人が補償の責任を負う場合(専有部分)」と「マンションの管理組合が責任を負う場合(共用部分)」の2パターンです。
それぞれのパターンをご説明します。
「専有部分」の給排水設備からの水漏れや、住人の不注意が原因の場合は、原則として、その部屋の区分所有者や居住者が補償の責任を負います。専有部分とは、自身の居住部分を指します。たとえば、キッチンやトイレ、お風呂など、自宅で起こった水漏れによって下の階の住人に損害を与えてしまった場合、上の階の住人が責任を負います。
水漏れの原因が給水管・給湯管・排水管にある場合、どちらに責任があるか判断に迷うかもしれません。一般的には、住戸内に配管されている部分は「専有部分」の扱いとなります。
給水管の場合、水道本管から各住戸のメーターまでは共用部分、メーターから住戸側は専有部分です。給湯管の場合、住戸内にある給湯器から各設備の蛇口までの配管は専有部分におさまっていることが多いでしょう。
排水管は、立て管(本管)から配管継手(ジョイント部分)までが共用部分、継手から住戸側は専有部分になります。管理規約で独自に定められているケースもあるので、規約を確認する必要があります。自宅の床コンクリートと下の階の天井の間に配管されている場合、共用部分の扱いとなることもあるでしょう。
床下の配管は、コンクリートスラブの上(二重床の下)にあるか、スラブの下(下の階の天井裏)にあるかで扱いが異なり、見た目ではどちらに配管されているかわからない場合があります。断面図などの図面で確認できることもありますが、自分で判断が難しい場合は管理会社に相談しましょう。
「共用部分」の設備や管理不備が原因で水漏れが発生した場合は、原則として管理組合が補償の責任を負います。共用部分とは全居住者が使用する部分で、玄関ホールやエレベーター、廊下、階段などを指します。
たとえば、共用部分にある給排水設備の破損によって、自宅の下の階の住人に迷惑をかけた場合、下の階の住人に補償するのは管理組合となります。
個人賠償責任保険とは、補償を受けられる方(個人賠償被保険者本人)やそのご家族が、日常生活での偶然な事故や住宅の所有・使用・管理に起因する偶然な事故によって、他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまったりしたときに、法律上の損害賠償責任を補償する保険です。
自宅からの水漏れによって下の階に損害を与えてしまったときは、個人賠償責任保険を利用し、相手方への賠償が可能な場合があります。
ここからは「個人賠償責任保険」についてご説明します。
まずは、自分が個人賠償責任保険に加入しているかを確認してみましょう。個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険(任意保険)、自転車保険、傷害保険などの特約としてセットで契約できることが多いです。
火災保険以外にも加入している保険があれば、保険証券などで個人賠償責任補償特約を付けているかを確認してください。
専有部分からの下の階への水漏れにより、「天井や壁が濡れてクロスの貼り替えが必要になった」「漏れた水によって家電が壊れた」といった損害を与えた場合、自分の加入している保険の個人賠償責任保険で相手方への補償が可能です。
その他にも、以下のような場合は個人賠償責任保険で補償対象になる場合があります。
なお、以下のケースは個人賠償責任保険の補償対象外です。
個人賠償責任保険は被保険者だけではなく、その配偶者や同居の親族、別居の未婚の子も補償対象になる場合があります。たとえば、記名被保険者の子どもが自転車に乗っているときに相手にケガをさせた場合も補償の対象です。
なお、別居している親族や別居している既婚の子は補償対象外となるため注意が必要です。
個人賠償責任保険で保険金を請求する流れは、以下のとおりです。
連絡する際は、加入している保険の保険証券を用意するとスムーズに手続きができます。被害発生後、応急処置や下の階の住人への説明・謝罪も行い、すみやかに保険会社へ連絡しましょう。
ここでは、チューリッヒのネット火災保険で付帯できる「個人賠償責任補償特約」をもとに、保険金のご説明をします。
個人賠償責任補償特約では、日本国内において発生した以下のいずれかに該当する偶然な事故により、契約者(個人賠償被保険者)やその配偶者またはこれらの方の同居の親族・別居の未婚の子などが、他人の身体の障害または財物の損壊に対する法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金を支払います。支払い限度額は1億円(免責金額1,000円)となります。
※1 住宅以外の不動産の所有、使用または管理を除きます。
※「個人賠償責任補償特約」は、ひとつのご契約に付帯することで、個人賠償被保険者とそのご家族等の損害賠償責任を補償します。そのため、ご家族等が契約している他の保険に同様の補償が付帯されている場合は補償が重複する可能性がありますのでご注意ください。
個人賠償責任保険など、専有部分からの水漏れによって下の階の住人から損害賠償を請求された際の補償に関する保険に加入していない場合、損害賠償するための費用は自己負担になります。被害の規模によっては、数十万円や数百万円にのぼる可能性もあるでしょう。
自己負担額によっては、すぐに支払いができないかもしれません。これにより、住人同士のトラブルになる可能性があるため、個人賠償責任保険に加入しておくことが大切です。
自宅の専有部分で起こった水漏れが原因で、下の階に被害を与えてしまう事例をご説明します。水漏れで階下の家に迷惑をかけてしまう事態を今後防ぐために、予防策としても確認しておきましょう。
水道管や排水管、貯水タンク、給水タンク、トイレの水洗設備、給湯設備などの給排水設備が経年劣化したり、破損したりすることで水が漏れ、下の階に被害を与えてしまうことがあります。壁の内部や床下を通る配管の場合、水漏れに気づきにくく、下の階の住人から報告を受けて知ることもあります。
水が出にくい、流れにくいなどの違和感があるときは、早めに専門業者に点検を依頼することで、大きな被害を防止できるでしょう。
給排水設備に汚れやモノなどが詰まった結果、水漏れを起こすことがあります。たとえば以下のようなことが原因で、詰まりが発生します。
流してはいけないものや水に溶けにくいものを流さず、定期的な掃除をすることによって詰まりを防げます。
洗濯機の給水ホースや排水ホースが本体から抜けると、床に大量の水が流れ出ます。ホースのゆるみや経年劣化、差し込み不足などが主な原因です。洗濯機の下に防水パンが設置されているケースでは、少量の水であれば受け止められます。しかし、排水時には一度に大量の水が出るため、防水パンで受けきれず、下の階まで浸水してしまうことがあります。
お風呂やトイレ、洗面台などから水が大量にあふれると、下の階に漏れてしまうことがあります。浴槽の水を出しっぱなしにする、洗面台の蛇口を閉め忘れるといったミスが主な原因として挙げられます。トイレの場合は詰まりによるあふれだけでなく、タンク内の不具合で水があふれてしまうケースもあります。
「階下への水漏れ」はマンションにおいて起こりうるトラブルのひとつです。火災保険の補償を見直す際に、個人賠償責任保険の特約を検討するとよいでしょう。火災保険の保険料・補償内容を見直したい方は、まずシミュレーションで保険料を確認してください。
逆に、マンションの上の階からの水漏れで自宅が被害を受けた場合、火災保険の基本補償にある「水濡れ」で保険金が受け取れる可能性があります。一方で、火災保険に加入していても、自分が下の階の住人に迷惑をかけてしまった場合は、火災保険の補償対象外です。
マンションの水漏れトラブルでは、自分の被害は火災保険、下の階への賠償は個人賠償責任保険と、役割が異なります。後者はさまざまな保険に付帯でき、重複しやすいため、保険証券で加入状況を確認し、補償に漏れがないよう整理しておきましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
マンションの下の階に水漏れが発生する原因としては、以下のようなことが考えられます。
「個人賠償責任保険」によって、相手方に補償できる場合があります。
個人賠償責任保険とは、補償を受けられる方(記名被保険者本人)やそのご家族が、日常生活での偶然な事故や住宅の所有・使用・管理に原因のある偶然な事故によって、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしたときの法律上の損害賠償責任を補償する保険です。
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険(任意保険)、自転車保険の特約として、あるいはクレジットカードに付帯するなどの方法でも加入できます。まずは保険証券などで、この保険に加入しているかを確認してください。
「個人賠償責任保険」など、下の階の住人への賠償ができる保険に加入しているかどうかで異なります。
個人賠償責任保険に加入している場合、この保険を使って損害を賠償できることがあります。保険に加入していない場合は、損害賠償として請求された額を自己負担しなければなりません。
被害の規模によって差はありますが、数十万円から数百万円の損害賠償を請求される可能性があります。
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