公開日:2026年9月3日
土砂崩れ(土砂災害)によって自宅の建物や家財が損害を受けたとき、火災保険または地震保険で補償を受けられる可能性があります。どちらの保険で補償されるかは、土砂崩れが発生した原因によって異なります。自宅にどのような自然災害のリスクがあるかを確認し、十分な補償を受けるために必要な保険を検討しましょう。
大雨が原因で起こった土砂崩れ(土砂災害)は「火災保険」で、地震や噴火、これらによる津波を原因とする土砂崩れは「地震保険」で補償を受けられる場合があります。
土砂災害には大きく分けて、がけ崩れ・土石流・地すべりがあり、これらは発生のしくみや土砂の動き方によって現象が異なります。
災害によって自宅が被害を受けたとき、まずは自分が加入する火災保険の保険証券などを確認し、どのような災害で補償が受けられるのかを確認してください。
国土交通省は、2025年には土砂災害が37の都道県で578件(※)も発生したことを公表しています。集計を開始した1982年から2024年までの年間発生件数は平均1,116件です。大雨による被害の他、火山噴火や林野火災後の荒廃流域からの土砂流出被害が発生しています。
火災保険に加入したうえで、水災補償および地震保険を付けて、万が一の土砂災害に備えておくのがよいでしょう。
※出典:国土交通省『令和7年の土砂災害発生件数』2026年3月31日
土砂崩れ(土砂災害)が起こる原因はさまざまです。土砂崩れが発生した原因によって、どの保険で補償が受けられるかが異なります。土砂崩れの原因と補償が受けられる保険は以下のとおりです。
| 土砂崩れの原因 | 補償が受けられる保険 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 大雨・融雪洪水 | 火災保険 | 水災補償の有無 |
| 地震や噴火など | 地震保険 | 地震保険の加入の有無 |
ここでは、チューリッヒのネット火災保険を例に補償内容をご説明します。
台風や暴風雨など大雨を原因とする土砂崩れで、保険の対象である自宅(建物・家財)が損害を受け、損害が一定以上となった場合、火災保険の補償対象になります。
台風や暴風雨など大雨を原因とする土砂崩れは「水災」に該当し、保険の対象である建物または家財に再調達価額の30%以上の損害が生じた場合、または、建物が床上浸水(※)し、損害が生じた場合は「水災」による損害として補償対象となります。
※ 居住の用に供する部分の床を超える浸水をいいます。なお、「床」とは、畳敷または板張などのものをいい、土間、たたきの類を除きます。
なお、水災補償を外して契約している場合、水災による損害は補償されません。
地震や噴火をきっかけに土砂崩れが起き、建物や家財に損害を与えた場合、地震保険に加入しており、損害が一定以上になれば補償を受けられます。
地震や噴火、これらによる津波を原因とする損害は火災保険では補償されず、地震保険に加入する必要があります。なお、地震保険は、火災保険とセットでなければ加入できません。
火災保険や地震保険に加入していても、すべての土砂災害で補償が受けられるわけではありません。対象外となる主なケースを確認しておきましょう。
火災保険では、基本補償に「水災補償」が付帯していますが、水災補償を外して契約できることが多いです。
水災補償を外すと保険料を抑えられる一方、台風、暴風雨、豪雨など「水災」に該当するものを原因とした土砂崩れで損害を受けても、補償が受けられなくなります。さらに、水災補償を外すと土砂崩れだけではなく、床上浸水による損害や、洪水による堤防決壊で自宅が流されたときなども、補償が受けられません。
加入している火災保険で水災補償が対象かどうかを知りたい方は、保険証券などを確認してください。
地震保険に加入していない場合、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害で補償を受けられません。
たとえば、地震が起きたことで自宅付近の山が土砂崩れを起こし、自宅の建物や家財が損害を受けた場合、地震保険に加入していなければ補償が受けられません。
地震による被害で補償が受けられるかどうかは、地震保険に加入しているかを確認してください。
免責金額とは、保険金を支払う事故が生じたときに、被保険者が自己負担するものとして設定された金額のことです。
「免責金額20万円」と設定された火災保険の場合、20万円未満の損害のときは火災保険で補償を受けられません。20万円を超える損害の場合、20万円を超えた金額分が保険会社から補償されるしくみです。たとえば50万円の損害を受けた場合、20万円は自己負担となり、30万円が保険会社から支払われます。
火災保険のなかには、免責金額を任意で設定できるものと、0円のものがあります。自身が加入する火災保険において、免責金額があるのか、ある場合はいくらなのかを確認しておきましょう。
※チューリッヒのネット火災保険では、免責金額は「自己負担なし」のみの設定となります。ただし、「破損・汚損損害等補償特約(住総用)」の免責金額は建物・家財それぞれ5万円です。このように特約によっては免責金額が存在します。
地震保険において支払われる保険金は、「設定した保険金額」と「損害の程度」によって決定します。
地震保険の損害の程度は、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに分かれます。4つのなかで「一部損」が損害の程度としては一番小さく、これに満たない場合は保険金が支払われません。
一部損とは、以下の状態を指します。
<建物の場合>
※参照:一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A」
※2026年6月執筆時点
<家財の場合>
※参照:財務省「地震保険制度の概要」
※2026年6月執筆時点
損害の程度の認定は「地震保険損害認定基準」に従って行われ、どの保険会社であっても基準は変わりません。地震によって損害を受けたときに支払われる保険金の詳細は、「土砂崩れによる被害で保険金はいくら受け取れる?」でご説明します。
火災保険や地震保険で補償の対象となるのは、建物と家財です。建物・家財に含まれないものは、火災保険や地震保険で補償を受けられません。
たとえば、自動車や自動二輪車(原動機付自転車は含みません。)は「家財」に含まれませんが、自動車保険(任意保険)の車両保険に加入することで、台風・竜巻・洪水・高潮・大雨を原因とする土砂崩れなどで補償が受けられる場合があります。ただし、地震、噴火、それらによる津波が原因の損害については、別途、地震等を補償する特約を付けていなければ補償が受けられないため注意が必要です。
保険金がいくら受け取れるのかは、加入する火災保険の保険証券などに記載されている「保険金額」で確認できます。ここでは、火災保険の保険金額を「建物3,000万円(再調達価額)、家財1,000万円」と想定してご説明します。
「保険金額」は保険証券などに記載されています。保険金額とは、損害発生時に保険会社から支払われる保険金の限度額です。たとえば土砂崩れによって、自宅が壊れて住めなくなった場合、その家を新しく建て直す費用(再調達価額)3,000万円を限度に、保険金が支払われます。
地震保険の場合、火災保険とは異なる点に注意が必要です。地震保険では、設定できる保険金額が、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内となります。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限であり、この額を超えた設定はできません。
火災保険の保険金額が「建物3,000万円、家財1,000万円」の場合、建物は900万円から1,500万円、家財は300万円から500万円の範囲で地震保険の保険金額を設定します。
実際に支払われる保険金は、損害の程度によって決まります。損害の程度は以下の4区分です。
| 損害の程度 | 支払われる保険金の割合 |
|---|---|
| 全損 |
地震保険金額の100% (時価額が限度) |
| 大半損 |
地震保険金額の60% (時価額の60%が限度) |
| 小半損 |
地震保険金額の30% (時価額の30%が限度) |
| 一部損 |
地震保険金額の5% (時価額の5%が限度) |
※損害の程度が「一部損」に至らない場合は、保険金は支払われません。
※72時間以内に生じた2回以上の地震等は、これらを一括して1回の地震等とみなします。
たとえば、地震保険で建物の保険金額を1,000万円に設定しており、損害の程度が一部損だった場合、50万円が保険金として支払われます。(建物の時価額が1,000万円以上の場合)
「被災者生活再建支援制度」は、被災者生活再建支援法に基づき、都道府県が共同で拠出した基金を財源として運営される公的支援制度です。
支援金は最大300万円ですが、すべての方がこの金額を受け取れるわけではなく、住宅の損害規模、再建方法によって25万円から300万円(※)の範囲で支給額が決まります。
※世帯人数が1人の場合は、各支援金の金額の4分の3の額となります。
※参照:内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」
※2026年6月執筆時点
被災者生活再建支援制度の対象となるのは、10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村などです。なおかつ、全壊または大・中規模半壊、解体、長期避難などの条件を満たしている必要があります。
支援金の支給申請先は、市区町村の担当窓口です。申請は災害発生日から一定期間内に行う必要があるなど決まりがあるため、詳細は市区町村または都道府県のウェブサイトをご確認ください。
自然災害による土砂崩れ(土砂災害)は、原則として不可抗力とみなされるため、必ずしも土地の所有者が賠償責任を負うわけではありません。ただし、「崖が崩れる危険性を以前から認識していたにもかかわらず、適切な対策を講じていなかった」など、土地の管理に不備があったと認められる場合は、損害賠償責任を問われる可能性があります。
法的責任の有無は状況によって異なり、個別の判断が必要なケースもあります。具体的な状況は、弁護士などの専門家への相談がおすすめです。
火災保険、地震保険で保険金を請求するときのおおまかな流れは同様です。
まずは、被害が発生したらすみやかに保険会社に連絡しましょう。保険会社の連絡先は、保険証券、重要事項説明書またはウェブサイトで確認できます。保険会社が指示する必要書類を提出し、保険金の説明を受けたあと保険金が支払われるというのが一般的な流れです。
なお、水災補償で建物に関する保険金を受け取る場合には、原則として、建物の復旧後に保険金を受け取ることになります。
被害の状況によっては、保険会社の担当者や損害保険登録鑑定人などが自宅を訪問して確認することがあります。
土砂崩れに関連する災害リスクはハザードマップで把握できる
自分の住む地域に土砂崩れ(土砂災害)のリスクがあるかどうかは、ハザードマップを使って確認できます。
ハザードマップとは、自然災害による被害想定区域や避難場所などを地図上に示したものです。国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」にアクセスすることで、全国の土砂災害ハザードマップを確認できます。
土砂崩れに関するリスク区域は「土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)」と「土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)」の2種類に分けられています。
イエローゾーンとは、土砂災害などが発生した場合に住民の生命や体に危害が生じるおそれがある区域です。レッドゾーンとは、土砂災害により建築物に損壊が生じ、住民の生命や体に著しい危害が生じるおそれがある区域を指します。
※参照:国土交通省「土砂災害防止法の概要」
※2026年6月執筆時点
自分の住まいがどのリスク区分に該当するかを事前に把握しておくことで、水災補償が必要かどうかの判断が可能です。
ゲリラ豪雨や線状降水帯の発生、台風などの他、地震によっても土砂崩れは発生します。地域によって程度の差はあるものの、土砂崩れ(土砂災害)などの自然災害による被害を受ける可能性はあるでしょう。
火災保険は火災だけではなく、水災をはじめとする自然災害なども補償の対象です。ただし、地震による損害は、火災保険では補償を受けられないため、別途地震保険に加入する必要があります。
「自分が加入している火災保険には、水災補償が付帯しているか」を確認するとともに、ハザードマップの確認も行っておきましょう。地震保険に加入していない方は、加入を検討し、今後起こるかもしれないさまざまな災害に備えておくことも大切です。
チューリッヒのネット火災保険では、補償内容に関する相談を受け付けています。気になる点があれば、お気軽にご相談ください。
土砂崩れによる損害は、原因によって火災保険(水災補償)または地震保険で対応します。水災補償を外していないか、地震保険に加入しているかを確認し、ハザードマップで自宅の災害リスクも把握しておきましょう。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
台風の際、大雨が降り土砂崩れが発生することがあります。大雨による土砂崩れは火災保険で「水災」に該当し、加入している火災保険に水災補償が付帯されていれば、補償を受けられます。
ただし、水災補償を外している場合、火災保険に加入していても補償が受けられないので注意が必要です。
地震が原因で発生した土砂崩れの場合、火災保険のみでは補償を受けられません。
火災保険とは別に地震保険に加入することで、地震を原因とする損害が補償対象となります。
保険証券などを見ることで、保険金額を確認できます。
保険金額とは、損害発生時に保険会社から支払われる保険金の限度額です。「建物3,000万円、家財1,000万円」を保険金額としている火災保険の場合、これらの金額を上限に保険金が支払われます。
たとえば、土砂崩れによって自宅が壊れて住めなくなった場合、3,000万円を限度に損害額(修理、家の再築、家財の再購入などにかかる費用)に応じて保険金が支払われるということです。
ダイレクト型だからお手頃な保険料