公開日:2026年10月30日
地震保険と共済の地震保障は、いずれも地震・噴火・津波による損害に備える手段ですが、内容や特長に違いがあります。保険と共済、さらに共済ごとの特長を理解したうえで、自分の住まいや家計状況に合った制度を選ぶことが大切です。
この記事では、地震保険と共済の違いや共通点、共済のメリット・デメリットをわかりやすくご説明します。地震・噴火・津波への備えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
地震・噴火・津波による損害に備える方法として「地震保険」と「共済の地震保障」があります。まずは、「保険」と「共済」にどのような違いがあるかをご説明します。
| 保険 | 共済 | |
|---|---|---|
| 運営 | 保険会社 | 非営利団体である共済組合 |
| 用語 | 保険料・保険金など | 掛け金・共済金など |
| 加入対象者 | 不特定多数 | 組合員とその家族 |
保険は、営利を目的とする民間の保険会社が運営主体となり、保険商品として提供されています。契約者が支払う保険料を原資として、契約者同士でリスクを分散し、事故などの一定の条件を満たした場合に保険金が支払われます。
一方、共済は、共済組合が運営主体となり、営利を目的とせず、組合員同士の助け合いを目的として運営されています。組合員から掛け金を集め、事故などの一定の条件を満たした場合に共済金が支払われます。
保険と共済では、使われる用語にも以下のような違いがあります。
| 保険 | 共済 | |
|---|---|---|
| 契約者が支払うお金 | 保険料 | 掛け金 |
| 事故・災害時に受け取るお金 | 保険金 | 共済金 |
| リスクへの備えの呼び方 | 補償 | 保障 |
それぞれ意味は似ていますが、制度上の呼び方が異なります。
保険は、不特定多数の方を対象としています。各保険商品に定められた条件を満たせば誰でも加入できます。
一方、共済は、各共済団体の組合員とその家族が対象です。原則として、加入するには組合員になる必要があります。
地震保険は、民間の保険会社が単独で提供している保険ではなく、政府と民間保険会社が共同で運営しています。地震保険がどのような制度なのかを理解しておくと、共済の地震保障との違いも把握しやすくなります。
大規模な地震が発生した場合、広い地域で建物や家財に損害が生じ、多額の保険金支払いが同時に発生する可能性があります。このような損害に対する備えを民間の保険会社だけで引き受けることは困難です。
そのため、地震保険では、保険会社が引き受けた地震リスクの一部を政府が再保険によって引き受けています。地震保険は政府が再保険を引き受けることで、民間の保険会社だけでは対応が難しい巨大地震による損害にも備えるしくみとなっています。
※参照:財務省「地震保険制度の概要」
※2026年6月執筆時点
地震保険の補償内容や保険金の支払基準、保険料は、契約する保険会社によって変わることはありません。
同じ所在地、建物の構造、保険金額、割引条件などで契約する場合、どの保険会社で加入しても地震保険自体の保険料は同じです。また、損害の認定方法や、損害区分に応じて支払われる保険金(保険金額の所定の割合)も共通しています。
地震保険が全国共通の制度として運営されているのに対し、共済の地震保障は、運営する共済団体ごとにしくみが異なります。
共済の地震保障には、火災共済の基本保障に地震・噴火・津波時の共済金が含まれているものや、任意で地震特約を追加するもの、自然災害保障の一部として地震・噴火・津波による損害を保障するものなどがあります。
多くの場合、地震保障だけを単独で契約するのではなく、火災共済や建物に関する共済などの基本契約に含めるか、特約として追加するしくみです。
共済金の支払基準や支払割合、支払限度額も、共済団体や加入する商品によって異なります。
加入額や加入口数をもとに共済金が決まるものや、半壊以上など一定の損害が生じた場合に限って共済金が支払われるものがあります。また、住宅が全損した場合でも、加入額の全額が支払われるとは限りません。
一口に「共済」といっても、運営団体や加入条件、保障内容は共済ごとに違いがあります。地震保障を付けられる共済は複数あり、それぞれ運営組織や加入対象者が異なります。
| 共済の種類 | 運営 | 加入対象者 |
|---|---|---|
| 都道府県民共済 | 各都道府県の生活協同組合 | その都道府県の住民や勤務者 |
| こくみん共済 coop | 全国労働者共済生活協同組合連合会 (全労済) |
組合員 |
| JA共済 | 農業協同組合(JA)と 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連) |
正組合員(農家組合員) 准組合員 |
ここからは、「都道府県民共済」「こくみん共済 coop」「JA共済」の地震保障の特長をご説明します。
都道府県民共済は、消費生活協同組合法(生協法)に基づく生活協同組合で、都道府県ごとに認可を受けて運営されています。
都道府県民共済の「新型火災共済」には地震特約を付けることが可能です。地震・噴火・津波により、住宅が半壊・半焼以上の損害を被った場合には、地震等基本共済金として加入額の5%が支払われます。地震特約を付帯している場合はさらに15%が支払われ、あわせて最大20%の共済金が受け取れます。
掛け金は建物の構造や所在地によって異なるため、お住まいの都道府県共済の公式サイトで確認しましょう。
こくみん共済 coop(旧・全労済)は、正式名称を「全国労働者共済生活協同組合連合会」といい、原則として出資金を支払うことで組合員として加入できます。
こくみん共済 coopの「住まいる共済」は、火災共済と自然災害共済を組み合わせたもので、地震・噴火・津波などによる損害も自然災害共済の保障対象です。共済金の上限は加入プラン(ベーシック、エコノミー)や加入口数、損害の程度によって異なり、ベーシックに600口加入の場合は地震等共済金の支払限度額は1,800万円です。
JA共済は、農業協同組合(JA)と全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が共同で運営する共済事業です。組合員は「正組合員(農家)」と「准組合員」に分かれており、農家でない方も出資金を払うことで准組合員として加入できます。
JA共済の「むてきプラス(建物更生共済)」では、地震・噴火・津波による損害も保障対象です。地震共済金は損害割合が5%以上の場合に支払われ、その額は損害額に応じて算定されます。なお、損害額の50%が上限です。
地震保険の保険金額は、セットで契約する火災保険とは別に設定します。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内とします。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
一方、共済の地震保障の支払額は、加入プランや加入口数などによって異なります。また、共済は掛け金を抑えやすいしくみである反面、民間保険会社の地震保険と比較すると、支払限度額は抑えられている場合があります。
地震保険と共済の地震保障には共通点もあります。
地震保険は、火災保険とセットで加入する必要があり、地震保険単独で加入することはできません。
共済の地震保障も、火災やその他の自然災害の保障とセットで加入するのが一般的です。
地震保険料控除とは、年末調整や確定申告で所定の手続きを行うことで、支払った保険料(掛け金)の一部を所得から控除できる制度です。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できます。
地震保険と共済の地震保障は、いずれも原則として地震保険料控除の対象です。ただし、火災保険では地震保険料のみが対象となり、火災保険料は対象外です。
共済の地震保障では地震以外の自然災害がセットになっている場合もありますが、控除の対象となるのは地震等損害部分に相当する掛け金のみです。なお、共済によっては特約の付帯が控除の条件となる場合があります。
地震保険の保険金や共済の地震保障の共済金は、地震・噴火・津波による損害の額が全額支払われるようになっていません。そのため、保険金や共済金を受け取れたとしても、それだけで住宅や生活を元通りにできるとは限りません。
いずれも生活再建には有効ですが、特に以下のケースでは、金銭的に厳しくなってくる可能性が大きいです。
地震・噴火・津波によって住宅が倒壊したり、住み続けることが難しくなったりしても、住宅ローンの返済義務は原則として残ります。住宅を失った状態で、ローンを返済しながら新たな住居の家賃や住宅購入費を負担しなければならない可能性もあるでしょう。
住宅ローンが残っている方は、保険金・共済金だけでなく、ローン残債や住み替えに必要な資金まで含めて確認することが大切です。
保険金・共済金だけで生活再建に必要な費用を賄えない場合は、不足分を貯蓄などで補う必要があります。ただし、貯蓄の大部分を住宅の再建に使うと、その後の生活費や教育費、老後資金などに影響する可能性があります。
保険・共済を検討する際は、「貯蓄があるか」だけではなく、被災後にどの程度まで生活再建に充てられるのかを確認しておきましょう。
地震保険と比較した共済のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| 共済の地震保障のメリット | 共済の地震保障のデメリット |
|---|---|
|
|
共済は非営利の協同組合が運営しているため、地震保険と比べて経済的な負担を抑えやすい点がメリットです。一方で、地震保険と比べると、被害時に受け取れる共済金が少なくなりやすい点がデメリットです。
また、地震保険は保険料や補償内容に保険会社ごとの差がないため、契約する保険会社は火災保険の比較だけで選べます。一方、共済は団体や加入プランによって保障内容や支払基準が異なるため、比較が難しい点もデメリットといえるでしょう。
地震保険と共済の地震保障は、それぞれ特長が異なるため、どちらがおすすめかは重視するポイントによって変わります。補償の手厚さを優先するのか、掛け金を抑えることを優先するのかなど、自身の考え方や家計状況に合わせて選ぶことが大切です。
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地震保険は、共済の地震保障と比べて保険料が高くなりやすい一方で、受け取れる保険金は大きくなる傾向があります。ただし、JA共済の「むてきプラス(建物更生共済)」は、地震保険よりも手厚い保障を受けられる可能性があります。また、すでに火災保険を契約している場合は、その火災保険に地震保険を付帯できるため、加入手続きもスムーズです。
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共済の地震保障は、掛け金を抑えながら地震によるリスクに備えられる点が特長です。
また、すでに特定の共済団体の組合員になっている方は、新たに保険を探すよりも加入しやすい場合があります。
地震保険と共済の地震保障は、いずれも地震・噴火・津波による損害に備える手段です。ただし、保険料(掛け金)や、損害時に支払われる保険金・共済金の額、加入方法などに違いがあります。どちらに加入するかは、重視するポイントを踏まえて検討しましょう。
また、地震保険は単独で加入できず、火災保険に付帯して契約する必要があります。火災保険の補償内容や保険料は保険会社ごとに異なるため、複数社の見積りを比較しながら、自身の住まいや家計状況に合ったプランを検討することが大切です。
地震保険と共済の地震保障は、どちらも地震・噴火・津波への備えとして有効ですが、支払条件や受け取れる保険金・共済金の額には違いがあります。特に共済は団体ごとに保障内容が異なるため、加入前に支払条件を確認しておくことが大切です。
資格:CFP
東証一部上場企業で10年間サラリーマンとして勤めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
地震共済は、非営利団体が運営する共済の一部で、地震・噴火・津波による損害に備えるしくみです。正式な制度名ではありませんが、共済が提供する地震保障を「地震共済」と呼ぶことがあります。
火災や自然災害などの損害を保障する基本契約に地震保障を含むタイプや、任意で地震保障を追加できるタイプなど、共済団体によって異なります。
共済には、保険会社が提供する「地震保険」と同じ名称の商品はありません。ただし、地震に備える保障を設けている共済はあります。
共済の地震保障でも地震や津波、噴火による建物や家財の損害に備えることができます。ただし、保障内容や支払基準は、共済や加入プランによって異なります。
原則として、共済の地震保障に単独で加入することはできません。多くの共済では、火災や自然災害による損害を保障する基本契約に地震保障を含めるか、任意で追加するしくみとなっています。
共済で地震・噴火・津波による損害に備えたい場合は、地震保障が基本契約に含まれているか、別途追加できるかを確認する必要があります。
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