更新日:2024年5月24日
公開日:2020年8月21日
大型バイクは、パワフルな走りや力強い加速力が魅力のバイクです。バイクの運転に関心がある方の中には、かっこいい大型バイクに憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか。
400cc超の大型バイクを運転するには、大型自動二輪車免許(以下:大型二輪免許)が必要になります。大型バイクの免許を取得する場合は普通自動二輪免許(以下:普通二輪免許)を取得し、その後に大型二輪免許を取得する流れが一般的です。
大型バイクの免許の取り方や免許取得にかかる費用、税金や保険など大型バイクの維持費用などについてご説明します。
まずは、大型バイクの種類や燃費などの基礎知識をご説明します。
そもそも、どのようなバイクが「大型バイク」と呼ばれるのでしょうか。
一般的に大型バイクと呼ばれるのは、運転に「大型自動二輪車」の免許が必要な車種、すなわち排気量が400cc超のものです。
排気量(cc) | 〜50 | 50超〜90 | 90超〜125 | 125超〜250 | 250超〜400 | 400超〜 | |
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道路運送車両法 | 第一種 原動機付自転車 (原付一種) |
第二種 原動機付自転車 (原付二種) |
二輪の軽自動車 (軽二輪) |
二輪の小型自動車(小型二輪) | |||
道路交通法 | 車両の区分 | 原付 | 普通自動二輪 | 大型自動二輪 | |||
免許の種類 | 原付 | 普通自動二輪免許 小型限定 |
普通自動二輪免許 | 大型自動二輪免許 | |||
普通自動二輪免許 AT小型限定 |
普通自動二輪免許 AT限定 |
大型自動二輪免許 AT限定 |
普通自動二輪車と比較して車体や重量が大きく、エンジンのパワーもあります。
大型バイクのタイプも、さまざまです。主に次のような種類があります。
大型バイクの種類 | イメージ | 特長 |
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アメリカン |
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低いシート高と長いホイールベースが特長の大型バイク。車体に安定感があり、足つき性もよいため、長距離の走行に向いている。 |
スーパースポーツ |
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レース用のバイクをイメージする、スポーティーな性能を持つバイク。 カウルで覆われ、セパレートタイプのハンドルが装着されている。 |
ネイキッド |
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カウルやフェアリングなどのカバーが装着されていない。 ライトの周辺からエンジンが、裸でむき出しの状態になっているバイク。 |
アドベンチャー |
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オフロードの走破性を重視したオフロードバイクと、ツーリング時の快適性を追求したツアラーのよいところを併せ持ったバイク。 |
ツアラー |
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長距離のツーリングを目的としたバイク。ガソリンタンクやエンジンにゆとりがあり、防風効果の高いウインドスクリーンもシートも大きな形状が特長。 |
フルカウル |
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車体全体をカウル(樹脂の外装パーツ)で覆ったバイク。 |
大型バイクと中型バイクには、次のような違いがあります。
大型バイク(大型二輪) | 中型バイク(中型二輪) | |
---|---|---|
免許 | 大型自動二輪車免許(大型自動二輪免許) | 普通自動車二輪車免許(普通自動二輪免許) |
排気量 | 400cc超 | 126cc以上400cc以下 |
エンジンのパワー | 大きい | 大型バイクよりは小さい |
加速力 | 大きい | 大型バイクよりは小さい |
車体の大きさ | 車体が大きい | 大型バイクよりは小さい |
燃費はガソリン代に直結するため、できれば燃費のよいバイクを選びたいところです。
バイクの燃費は、各メーカーのウェブサイトに車種ごとの実測値が公開されています。
排気量別に、代表車種の例を見てみましょう。
TMAX560(YAMAHA) | 31.7km/L |
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NC750X(Honda) | 43.0km/L |
Ninja1000SX(カワサキ) | 23.0km/L |
※すべて60km/h/2名乗車時で計測
※2023年5月執筆現在
大型バイクに乗る際は、以下の服装が基本になります。
大型バイクに乗るための基本の服装 |
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転倒や事故の際、大ケガに繋がる恐れがあるため、夏場であっても長袖・長ズボンを着用しましょう。
上着は、肩やひじなどにパッドが入っているものがおすすめです。また、サンダルなど、かかとのない靴の着用は絶対に避けましょう。
安全性を重視することは大切ですが、暑い季節になるとライダーはつい軽装になりがちです。猛暑の中でも快適に走れるよう、ライダーに配慮されたウェアも多く販売されています。
たとえばライダースジャケットでもナイロンメッシュ素材でできているものは、軽くて取り回しがよいだけでなく直射日光も防ぐことができます。
プロテクターがついていれば転倒時もダメージから身体を守ってくれる他、デザイン性の高いものもあります。
選択肢は、さまざまです。安全性を考慮しながら、ご自身に合った装備を選ぶこともライダーの楽しみのひとつでしょう。
バイク乗車時は、服装に気をつけたいものです。肌の露出を抑えるのは、転倒や接触時にケガを減らすだけでなく、日焼けや風圧による疲労も軽減してくれます。また、手袋をしたほうが転倒時に指や手のひらを守ってくれるだけでなく、ハンドルを握る握力も少なくてすみます。絶対に装着しましょう。
次に、大型バイクの免許の取り方と取得にかかる費用を見てみましょう。
大型自動二輪車免許は、18歳から取得可能です。
ただし、タンデム(二人乗り)走行は、免許取得から通算1年以上でなければできません。また、高速道路のタンデム走行は20歳以上で、かつ免許取得から通算3年以上でなければできないことも覚えておきましょう。
バイクの免許を取ったことがない方が、いきなり大型二輪免許を取得できないわけではありません。しかし、バイクの免許を持っていない方や、原付の免許しか持っていない方は、まずは普通自動二輪免許から取得することをおすすめします。
なぜなら大型バイクはエンジンのパワーや重量が段違いで、取り回しが非常に難しいためです。
初心者の場合、ライダーには必須である「車体の引き起こし」や「エンジン停止中の押し歩き」など、基本的な内容で苦戦することも珍しくありません。
結果として免許の取得に時間がかかることも多いため、いきなり大型二輪免許を取るのは費用面でも割高になる可能性があります。
まずは普通自動二輪車の免許に挑戦し、バイクの基本技能を身に付けたうえで大型二輪免許を取得した方がスムーズに運転技術を習得できるでしょう。
若年層のライダーだけでなく、中高年のリターンライダーでも大型バイクの判断・操作ミスによる交通事故が報道されるケースが目立ちます。大きく重く、加速力も強い大型バイクは、道路の状況により想像以上にコントロールが難しいです。小型や中型バイクで十分に運転操作になれてから、大型バイクに乗ることをおすすめします。
大型自動二輪免許を取得するには、乗用車と同じように教習所で学ぶ方法と教習所に通わず運転免許試験場で直接受験する一発試験があります。
運転免許試験場での一発試験の免許取得費用は、手数料と取得時講習受講料を合わせて22,750円ですみます(2023年5月執筆現在)。
教習所に通う場合の大型二輪免許取得にかかる費用は、すでに取得している免許証によって異なりますが、10万円〜25万円程度です。
しかしながら、一発試験は非常に難しく、一回で合格できる人はほんのわずかです。特別な場合以外は、教習所で学ぶことをおすすめします。
大型バイクを選ぶ際には、次のようなポイントを基準にして選ぶとよいでしょう。
大型バイクを選ぶ際のポイント |
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大型バイクの使用目的によって、適したバイクの種類が異なります。
ツーリングにはアメリカンやツアラー、アドべンチャーが向いています。また街乗りや峠道、高速走行などで走りを楽しむならスーパースポーツやネイキッドが向いていますが、デザインなど好みで選ぶ方も少なくありません。
そして、大切なのが足つき性です。いくらかっこいいバイクでも、足つきが悪い場合には走る際に危険が伴います。大型バイクを選ぶ際は、実際にバイクに乗り、足つき性を確認することが大切です。
次は、車検や名義変更など、大型バイクの手続きについてご説明します。
250cc超のバイクには、乗用車と同様に車検があります。
車検を受ける方法には、「ユーザー車検」と、「代行業者車検」「ディーラー車検」の3つの方法があります。
それぞれの特徴とメリットは、以下の通りです。
車検種別 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
ディーラー車検 | ディーラーやバイクの販売店で車検をしてもらう |
|
代行業者車検 | ユーザーに代行して、車検業者が持ち込み車検を行う |
|
ユーザー車検 | バイクを自分で整備して、運輸支局などに持ち込む |
|
中古で購入した場合など、大型バイクの名義変更をする際には、住所地を管轄する運輸支局や自動車検査登録事務所で手続きを行います。
旧所有者と新所有者でそれぞれ必要書類を用意し、新所有者が窓口に提出することで変更可能です。
なお、管轄地が変更になる場合は、ナンバープレートの交換が必要になります。
バイクを保有する際、気になるのがその維持費です。
ここでは、維持費の中でも負担額が大きい車検の費用と税金、保険についてご説明します。
大型バイクの車検には、次のような費用がかかります。
大型バイクの車検にかかる費用 |
※業者により、名目が異なる場合があります |
---|
ユーザー車検の場合にかかる費用は、法定費用のみです。
また、車検の費用はバイクの状態によって変わりますが、ディーラーに車検を依頼する場合は、自賠責保険や税金などの法定費用を含めると、平均して40,000〜60,000円程度の費用がかかります。
大型バイクには、乗用車と同じように税金がかかります。具体的な金額は、以下の通りです。
軽自動車税(種別割) | 6,000円(年間) |
---|---|
自動車重量税 |
新車新規登録等時:3年自家用 5,700円、2年自家用 3,800円 継続検査時等:2年自家用 3,800円(13年経過 4,600円、18年経過 5,000円)、1年自家用 1,900円(13年経過 2,300円、18年経過 2,500円) |
自賠責保険 |
12ヵ月:7,010円 13ヵ月:7,150円 24ヵ月:8,760円 25ヵ月:8,910円 36ヵ月:10,490円 37ヵ月:10,630円 |
参考元:府中町「軽自動車税(三輪車および四輪以上の車両・原付・バイク等)」
国土交通省「2023年5月1日からの自動車重量税の税額表 新車新規登録等時における自動車重量税の税額」
国土交通省「2023年5月1日からの自動車重量税の税額表 継続検査等時における自動車重量税の税額」
国土交通省「自動車損害賠償責任保険基準料率」
※2024年5月執筆現在
軽自動車税(種別割)は年に一度、重量税は車検時に支払います。
自賠責保険は保険期間を自分で選ぶことができ、数年分をまとめて払うことも可能です。
自賠責保険はあくまで「相手方の基本的な対人賠償を確保する」ため、事故のリスクに備えるには少々心もとない内容です。そのため任意保険が必要になりますが、保険料は会社ごとに異なります。
大型バイクは、中型バイクと比較して扱いが難しい乗り物です。
大型バイクの免許を取得する際には、まず普通自動二輪免許を取得し、バイクの扱いに慣れてから取得するとよいでしょう。
定期的なメンテナンスと、万が一に備えた任意保険を契約する必要があります。
大型バイクに乗るには何が必要なのかを理解したうえで、快適なバイクライフを楽しみましょう。
※記載の情報は、2024年5月時点の内容です。
1965年生まれ。芝浦工業大学工学部機械工学科卒。トヨタ直営販社の営業マン、輸入車専門誌の編集者を経て自動車ジャーナリストとして独立。さまざまな自動車雑誌の他、エンジニア向けのウェブメディアなどに寄稿している。
近著に『電気自動車用パワーユニットの必須知識』(日刊工業新聞社)、『エコカー技術の最前線』(SBクリエイティブ)、『図解カーメカニズム基礎講座パワートレーン編』(日経BP社)がある。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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